※Web担編注 この記事は秀逸です!
最初はSEOmozがリンクを100万件獲得した自慢話ですが、その先にはブログを成功させる秘訣について、非常にすばらしい情報がまとめられています。
最初の自慢やリンク数の分析が気に入らなくても、ぜひ読み進めてください。実際、私もこの記事を編集しながら最初は「ふーん」としか思わなかったが、後半はどんどん引きずり込まれていきました。(Web担編集長 安田)
ちょっと見てほしい。すばらしい……。夢のようでもあり、そして励みになる。歳月を経てデイジーに再会したギャツビーのような気分だ。感動のあまり、このヒゲもじゃSEOの眼は涙でいっぱいだ。
もちろん、今すぐ夢見心地に浸るのをやめて、次のことを自覚しておかないと。
- これは九分九厘、正確ではない(Yahoo!の見積もりだ)
- ご褒美は何もない(あってもいいと思うけどね。100万リンクのメダル!)
- 検索由来のトラフィックはまだ30%以下
- 集計ツールのIndextoolsで見ると、このリンクのうち何らかのトラフィックを生み出しているのは30万件に満たない
- Google Webmaster Centralでは、リンク数は25万程度と見積もられている(すべて網羅しているわけではないことはGoogleも認めているけど)
- ありゃりゃ、Googleで「SEO」を検索したランキングが7位から15位に落ちちゃってる(僕らを抜いていったサイトの中には、1998年にデザインされたみたいなサイトで、3300リンクしか取ってなくて、フッタからは「セクシーなランジェリー」にリンクしてるようなサイトもあるな)
そんなわけで、いい事づくめというわけではないけれど、1つの節目ではあるし、みんなに報告する価値はあるだろう。検索マーケティングに的を絞ったサイトとして、SEOmozがリンケラティの心に訴えかけ、リンクを伝染的に増やすことに大成功したことは間違いない。手作業や不正やお金を払うことによるリンク構築は、ほとんど行っていないんだから。
どうやってこの数のリンクを獲得したのかって?
ところで、この記事を読んでいるあなたが知りたい、重要な問題があるね。どうやってこんなにリンクを稼げたのか。
実をいうと、僕らがリンクで成功した秘訣は3つある。それはコンテンツ、コミュニティ、そしてタイミングだ。
コンテンツ
SEOmozが獲得したリンクは、主にインターネットマーケティング(と関連分野)のウェブサイトのオーナーによって張られている。僕らがサイト上に作成したものが資料として参照されているんだ。具体的にはブログや記事やツールやおふざけなんかがあるけど、これらはリンク「ベイト」(餌)の方針ではなく、リンクを「引きつける」という方針に沿って作られている。つまり、リンクを増やすようにではなく、読んだ人に大ファンになってもらえるように意図されているんだ。ブログエントリも設計したツールも書かれた記事も、マーケティングの向上に寄与する価値ある提案なのだけど、同時に、言葉の端々から個性や肉声やスタイルを感じてもらうことを願った、感情がこもった訴えかけになっている。
SEOmozを構成するコンテンツには、単独で驚くほどたくさんのリンクを生み出しているものがたくさんある。
- 「Web 2.0 Awards」:7万2000リンク+3万リンク=10万リンク以上
- 「SEOビギナーズガイド」:6500リンク+5600リンク=1万2000リンク以上
- 「Page Strength」:4000リンク+3500リンク=7500リンク以上
- 「検索ランキングの要因」:1万4000+9000リンク=2万3000リンク以上
- 「SEOブログ」:1万9000リンク+3万4000リンク=5万3000リンク以上
ただ、見てもらえばわかるように、上記のメインページへのリンクは全体の15~20%しかない。また、SEOmozのトップページへのリンクは5%だ。あらゆるSEOでそうであるように、ここでもロングテールが形成されている。ブログエントリごとにそれぞれ5~10個のリンクがあり、あちこちにリンクが数百付いた記事があって、プロフィールやサービスのページにごく稀にリンクがある、といった具合だ。これはバックリンクというものの「自然」な特徴を表していると思う。なんといっても100%自然にできあがったものなのだから(オーケイ、99%という見方もあるかもしれない)。
ところで、コンテンツといっても学び取ってほしいのは、SEOmozのコンテンツの中身じゃない。僕らと同じ方針を、自分のプロジェクトやクライアントに適用するということだ。僕らのサイトで役に立ったやり方を真似るためのヒントとして、最も重要だと思うものを5個紹介しよう。
果敢に新しいことに挑戦する
僕らはクイズを試したり(ダウンして機能していないみたいだな……原因を突き止めなきゃ)、専門家に外注してみたり、キックバックなしの推奨リストを作ったり、プレミアム記事を試みたりしてきた。すごく成功したのもあるし、それほどではなかったものもあるけど、実験が重要なことは証明されている。時流にかなった話題を
Web 2.0が最新の流行語で、タイトルにWeb 2.0とあればことごとくDiggに取り上げられていた頃、僕らはWeb 2.0 Awardを創設した。検索ランキングを決めるのは何かとフォーラムで話題になり始めたころ、僕らは専門家にそれを質問した。Dan Thies氏(キーワードの権威で特別な存在)が、2004年にキーワードの難易度を自動で測定する方法がないともらしていたときには、ツールの最初のバージョンを作った。使いやすく見た目も良いサイトに
僕らの仕事の大部分はほかの人に真似されている(または先んじられている)。でも、(おもにMattが担当している)ユーザーインターフェイスと優れたデザインのおかげで、うちはほかのサイトに比べて大きく注目されているのだと思う。ほかとの違いを出す
特にSEOの世界は、ニュース、イベント、検索事情について、同じような内容を取り上げるサイトで満ちあふれている。SEOmozは主流を追わず、ほかでは無視されているようなトピックをあえて選んで、目立とうとしてきた。ニュースを生み出し独自の情報を出している僕らのコンテンツは、DannyやBarryやAndyのサイトと競合しないで済んでいるわけだ。文章の質
これについては僕が説明するより、Vizuのブログ調査レポート(PDFファイル)の数字を見てもらった方がいい。
コミュニティ
SEOmozがリンク獲得に成功した要因の2番目はコミュニティだ。僕が言いたいのはつまりこういうこと。SEOmozの人たちは、ウェブにとどまらずオフラインの世界でも、いろんなコミュニティに参加したり関与したりしてきた(そう、比率でいえば今も「インターネット < 実世界」なんだ)。
僕はこの3年間で、2000~4000人の人たちと個人的に会ったりやり取りしたりしてきた。握手をしたり、一緒に飲み食いしたり、会話を交わしたり、名刺を交換したりといった具合に。オンラインの世界が人をつなげるとすれば、現実の世界は結びつきを強化する。一度顔を合わせることで本当の人間関係が生まれる。ウェブ上で読者やリンクにつながる信用やブランドを形成するのは、そんな人間関係なんだ。ウェブ上でブランドを確立しようとしている人すべてに、直接の人間関係を軽視しないように言いたい。ウェブ開発やマーケティングの世界にいない人も、Vintage Tub & BathのAllan Dick氏がいかに直の関係を重視したのかを見てほしい。
コミュニティとの関係を価値あるものにする秘訣を、5個ほど紹介しよう。
素振りではなく、本心から相手のことを思う
この教えをマスターするのに僕は何年もかかったけど、その価値は計り知れない。興味のあるフリができれば十分だと思うかもしれないけど、本心から興味を持つ方がはるか優れている。この2つには大きな、ほとんどの人にわかる違いがある。僕の場合、相手の興味をそそる部分が見つかるまで、いろいろと探りを入れることにしている。信用してほしい。ビジネスの交流会で出会う人々には、絶対に何かしらつながりを持てる部分がある。学校、共通の友人、業界のイベント、新聞ダネ、趣味などなど。何であれ共通点を探そう。そうすれば、双方が覚えていられるような明確なつながりを得られるから。電子メールでフォローアップ
否応なしにたくさんの名刺をもらうだろう。もらった名刺はよく読んで、サイトを訪問しメールを出そう。今は名刺の数がものすごいので(1回の会合で50枚以上はもらう)なかなか時間がとれないのだけど、これをやっていたときにはものすごく効果があった。サイトを見てから、丁寧な言葉で、ときには提案を添えてメールで送れば、自然と僕やSEOmozを覚えてもらえるし、僕の方も相手のことを(少なくともサイトは)覚えられる。こちらが相手を覚えるのも同じように重要だ。うわさ話からは距離を置く
これを守るのが困難なことも確かにある。特にビールを飲んだときなどには、話題としてどうしても避けられないということがある。でも、特に個人攻撃のうわさ話は、得られるものよりも積み上がるリスクの方が大きい。不器用な講演者について冗談を言ったり、小話を披露し合ったりするのはいいと思う。ただ、人間関係や、会社や組織の政治的な話題にはできるだけ近づかないほうがいい。何度かそれで痛い目にあったことがある。「私ならでは」を活用する
うん、僕の黄色い靴がちょっと古びてきているのは知っている(新しいやつが盗まれたんだ)。でも、この靴ははっきりしたブランドの確立に、大きな力を発揮してきた。誰にでもお勧めするわけじゃないけど、身なりや経歴や話やスタイルに何かしら目立つ部分があると、自分を覚えてもらいやすくなるものなんだ。初対面の人とたくさん出会うイベントでは特に有効だよ。名前を思い出す方法をもつ
僕は名前を覚えるのが下手だけど、何とか覚えようと努力している。通常の方法はすべて使うし(初対面の会話で相手を名前で呼んだり、相手の着ているものや出身地や話した話題などに関連付けて名前を覚えたり)、それに加えてちょっとずるい手も使っている。「メールアドレスは何だっけ」と質問したり、身分証を見たり、名刺をもう1枚もらったり、急いで同僚に紹介したり……やあ、Rebeccaをご紹介しましょう(相手はもう一度名乗るから、それを聞き逃さなければいいってわけ!)。おまけ:コネクションに引き込む
将来重要になると思う人や、単にもっと時間を取って会いたいという人と知り合いになれたら、イベントが終わった後で、ウェブ上のなんらかの活動に引き込もう。ブログ向けにインタビューをするんだ。自分が書いたものについてコメントを求めたり、双方が関わっている分野のことで意見を求めたりする。こうして電子メールでやり取りすれば、結びつきは強くなって次に会う機会も生まれるし、話し合う共通の話題も新しくできる。
タイミング
SEOについて、新しいブログをこの2007年に始めるのは非常に難しい。それよりも、ブレイク寸前の新しいニッチ分野でブログを立ち上げた方がずっといい。このことはこれまでに何度か話したと思う(iPhoneの非公式ブログとか、検索エンジンにおける2008年選挙のブログとか、ソーシャルネットワーキング戦争のブログとかどうだろう)。SEOmozがマーケティングについて発言を始めた頃(2003年にさかのぼる。ブログは2004年10月から)、競合相手はあまりいなかった。SearchEngineWatchが日刊ブログを(ブログという形で)始めたのは2004年8月のことだ。大きなフォーラムやいくつかのニッチ関連の人気サイトを除けば、僕らは変化の潮流の先頭にいた。
SEOmozが始まったころは、検索や検索マーケティングに対する認知が広まった時期にあたっていた。Newsweekに載った僕らの記事は、米国内の非技術系雑誌がアルゴリズム検索を使ったマーケティング手法を明確に扱い始めた最初期のものだった。さらにほぼ同じ時期にWeb 2.0の動きが出てきて、検索エンジンからトラフィックを生み出すウェブ界のベンチャーや支持者たちに注目が集まり始めた。株式公開したGoogleは市場を独占し始め、僕らがウェブに出て行った最初の数年の間に、世界最大のブランドの1つになった。これらすべてがSEOmozにとっては良い兆候だった。わくわくする時代の高まりに、僕らは乗らないわけにはいかなかった。
ただ、タイミングというのは賢く立ち回るということでもある。僕らは検索マーケティング担当者の興味がどこにあるかを考え、ブログと記事とツールを常に変化させてきた。具体的には、IR(情報検索)理論やアルゴリズムの解析に力点を置いたやり方から、ニュースやイベントの取材へ、フォーラムでの議論へ、そして教育的な役割(とエンターテインメントや業界内のおもしろ話)へと移ってきている。そして今、再びいろんなことに挑戦しようと考えている(この数週間のうちに「これから6か月間でSEOmozがやろうとしていること」の記事を出そう)。キーワード広告や、検索以外の幅広いマーケティングに再び取り組むつもりだ。今の流行を見抜くことができれば(流行する前にわかればなおよい)、リンクや注目を大いに集めることができる。
みなさん、今夜の授業はこんなところだ。僕らがうまくやれたこと(そしてうまくできなかったこと)について、3年前なら無理だと思うことを成し遂げるのにどう役立ったのか、このブログ記事を通じて知ってもらい、やる気を出してもらえればと思う。検索マーケティング分野のほかのサイトについて、データをざっと紹介して終わりにしよう。リンクの人気度を比較する参考にしてほしい。
注:数字はすべてYahoo!から。毎日10~20%の変動がある。以下の数字は7月2日の午前12:45のものだ(そう、いつも夜更かしなのね)。
- SEOBook.com : 170万リンク
- SearchEngineWatch : 130万リンク
- SEOmoz : 113万リンク
- SEOChat : 95万5000リンク
- John Battelle氏のSearchblog : 60万6000リンク
- Search Engine Land : 30万リンク
- Search Engine Roundtable : 40万3000リンク
- MattCutts氏のブログ : 37万1000リンク
- Search Engine Journal : 33万2000リンク
- MarketingPilgrim.com : 18万1000リンク
- Search Engine Guide : 17万6000リンク
- Official Google Webmasters Blog : 10万5000リンク
- Shoemoney : 10万2000リンク
- HighRankings : 8万8000リンク
- Bruce Clay : 8万5000リンク
追伸:そう、僕はYahoo!の示すリンク数が、完璧なデータポイントではないという事実に、目立たないよう攻撃を加えている。つまり、このブログ記事には皮肉が込められているわけ。
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