Weather Learning Diary

日常的な気象予測や天気図理解ができるようになりたい気象勉強中の社会人ブログ

2025年2月の気象関連ニュース

 

今月の個人的に興味が湧いた気象関連ニュースについてまとめてみました。

 

 

2025年1月の世界平均気温過去最高に

まずは気候変動関連。

今年の1月の世界平均気温が発表されましたが,観測史上最高となり,地球温暖化に歯止めがかかっていない現実が突き付けられました。

パリ協定では,産業革命以前に比べて世界の平均気温の上昇を「1.5℃まで」に抑えるという目標が盛り込まれましたが,2025年1月は産業革命前の水準より1.75℃高かったということで,この1ヶ月だけ見ると(悪い方向に)大幅に上回ったことになります。

www.asahi.com

 

一方,日本のこの1月の気温を見てみると,平年比で0.6℃高かったようで,昨年1月の異常な高温と比べるとやや平年並みへと落ち着いた形になりました。

weathernews.jp

気象庁の発表では,この理由として,冬型の気圧配置が長続きせず寒気の影響が弱かったこと,全国的に低気圧の影響を受けにくく高気圧に覆われる日が多かったことを挙げています。

 

2025年の夏も全国的に猛暑と予想

ようやく冬も終わりが見え,この春は何をしようかとウキウキ気分になっているところに,気象庁から今年の夏の天候についての発表がありました。

気象庁では例年,2月25日ごろに「暖候期予報」を発表しており,その年の夏の平均気温や降水量などの大まかな傾向について確認することができます。

 

今回の発表によると,2025年の夏も全国的に猛暑となる予想になっていました。いやー,結構ゲンナリしますね。

個人的には暑い夏は嫌いではないですが,暑すぎる夏はどこにもお出かけする気が起こらず,家の中で過ごさざるを得ない状況が続き好きではないのです。

 

下は気象庁発表の暖候期予報解説資料(気象庁 | 季節予報解説資料)から引用した図ですが,平均気温(図左)は平年よりも高くなる予想で,日本列島が赤く染まっています。一方で,夏の降水量(図中央)と梅雨時期の降水量(図右)は灰色となっており,ほぼ平年並みという予想でした。

 

また,太平洋高気圧の北への張り出しが強まる見込みという発表内容もあり,梅雨入り・梅雨明けが早く,夏の前半から台風の発生が多くなるのではないかと予想している記事もありました。チベット高気圧についても平年に比べ北側に強くなるという予想で,太平洋高気圧とチベット高気圧の影響で日本付近は暖かい空気に覆われやすく,梅雨前線の活動が活発となる時期があり注意が必要とのことです。

weather-jwa.jp

 

地球温暖化の影響も含めて,暑い夏は続きそうです。

 

2度の寒波の襲来

今年の2月は平年に比べて寒い1ヶ月になったように思われます。

2月上旬に寒波の第一波が,中旬に第二波が日本列島に到来し,特に日本海側を中心に大雪となりました。

newsdig.tbs.co.jp

 

今回の二度の寒波が立て続いて日本に襲来した理由として,北極を中心に吹いている「極渦」というジェット気流の分裂があったようです。

www3.nhk.or.jp

なんでも,ロシア周辺とアラスカ周辺にあった上空の高気圧が北極側へと張り出したため,極渦が2つに分裂したのだそうで。風船を左右両側から押さえつけると上下方向に伸びるように,横から押さえつけられた空気が別の方向に逃げて渦の形が変わってしまったのですね。

極渦の分裂に伴って偏西風の蛇行が大きくなり,結果的にはトラフの南下による冷たい寒気の流入が日本付近で起こったことで,この2月は寒くなりました。

 

ここから先は,三寒四温を繰り返しながら,少しずつ春の季節へと移行していくのですね。しかし,これから花粉の大量飛散が待っており,花粉症の私としては辛い季節となりそうです。

 

出典

 

【天気図】2025年2月の寒波到来

 

2025年2月17日から強烈な寒波が日本に到来し,その数日前から「10年に一度程度の大雪の可能性」がニュースで報道されていました。

今回は,週間天気図をもとにして,この寒波の到来について勉強してみたいと思います。

 

 

週間予報図から見る寒波到来

下は,寒波が襲来する前の2025年2月14日に発表された週間予報支援図(略号:FXXN519)と呼ばれる約1週間先までの天気および気温の傾向を予想することができる天気図の一部を切り取ったものです。この図では,「T=96~192」と書かれており,発表日から4日後(2月18日)~8日後(2月22日)にかけての5日間の北半球の500hPa高度平均と平年偏差が表現されています。

図の網掛け部分は負偏差域であり,平年よりも値(ここでは高度)が低くなっている場所を表しています。青い色で色付けしましたが,日本付近は負偏差となっていることが分かりますね。500hPa高度が平年よりも低いということは,地上から500hPaまでの気温が平年よりも低いということであり,このことから(トラフの南下に伴って)日本付近では寒気が入りやすい状況になることが予想されていました。

 

また,3日後(2月17日)~8日後(2月22日)の6日間の上空850hPa(約1500m)の気温予想を見てみると,平地で雪の目安となるマイナス6℃の等温線が日本列島を覆うように,太平洋側へと張り出していました(下図でマイナス6℃以下を水色に着色)。

上空に強い寒気が入りこみ,普段は雪の少ない北~西日本の太平洋側で(降水があれば)平地でも雪が降る可能性があると考えることができますね。

 

週間予報支援図(アンサンブル)(略号:FZCX50)の850hPa気温偏差予想では,館野・福岡・那覇と,特に2月18日・19日にかけて気温が平年よりも6℃近くも低く予想されていました。

後半は各クラスタ*1のばらつきが大きくなりはじめているものの,平年よりも気温が低い傾向が続くことに変わりはなく,寒気の流入が継続することが示唆されます。

 

2,3日後までの天気図だけでなく,もう少し先を予想する週間天気図や一か月予報図などを解析することによって,この先の天気の大きな傾向をとらえることができるのですね。

 

寒気の到来

天気予報の示した通り,2月17日の夜からは本格的に寒気が到来し,日本全国で寒くなりました。

結果的には,今シーズンで最長の寒波となり,メディアなどでは「居座り寒波」とも表現されていました。特に,新潟県や石川県などの日本海側で大雪となりました。

www.fnn.jp

新潟県の湯沢のスキー場も,例年にないほど雪が降ったことで,安全確保のために営業を一時的に休止したそうです。雪が降らなければそれはそれで困り,大雪が降ってもそれも困るというのも,天気の取り扱いの難しさを教えてくれます。

 

下は2月22日の降水量を示したものですが,日本海側の平地から山沿いで多いことが見て取れます(Ventusky - Wind, Rain and Temperature Maps)。

また,近畿・山陰地方に指向するJPCZ日本海寒帯気団収束帯)も観察されました。

朝鮮半島の付け根にある山地を迂回した風が,日本海でぶつかって収束し,積乱雲が発達すると考えられています。JPCZは過去に何度も日本海側を中心に大雪をもたらしており,これらの地域では大雪に伴う災害に注意しないといけません

太平洋側でもこの寒気の流入により気温がぐっと下がりました。2月の東京の気温のグラフの推移を見てみると,17日から24日にかけてぐっと気温が低くなっており,たしかに強い寒気がやってきたことが分かります。東京や大阪でも雪が少し舞ったそうです。

この寒波が過ぎ去ると一変して日本列島は暖かくなるようで,本格的な冬も終わりが近づき徐々に春へと移っていく予想となっています。

ただ,雪が積もったところは,雪融けによって雪崩などの災害が起こりやすくなるので注意しなければなりません気象庁からの警報や注意報は下記のリンクから確認することができます。

www.jma.go.jp

 

【まとめ】学習の要点

天気図理解のメモ
  • 週間天気図や一か月予報図などを解析することによって,この先の天気の大きな傾向をとらえることができる。
  • (高度が)負偏差であると,日本付近では寒気が入りやすい状況になることが予想される。
  • JPCZは過去に何度も日本海側を中心に大雪をもたらしており,これらの地域では大雪に伴う災害に注意する必要がある。
  • 雪が積もったあとに暖気が入ると,雪融けによって雪崩などの災害が起こりやすくなるので注意する必要がある。

 

参考図書・参考URL

下記の書籍・文献およびwebサイトを参考にしました。

*1:週間アンサンブル予報では,初期値に異なる誤差を与えた合計27個の個々の予想(「メンバー」という)により構成される。27メンバーの中で,類似の変化パターンを示すもの同士をまとめたものを「クラスター」と呼ぶ

【天気図】ポーラーロウ(極低気圧)

 

下の写真は,2025年2月8日午前10時ごろの東日本周辺の気象衛星ひまわりの可視画像です(気象庁|統合地図ページより)。

秋田県沖に渦巻きが確認できますね。これはポーラーロウ極低気圧)と呼ばれるものだそうですが,私がはじめてこのポーラーロウを勉強したとき,寒冷低気圧と混乱してしまった過去がありますので,今回はその辺についてまとめておくことにしました。

 

 

ポーラーロウとは

ポーラーロウとはバレンツ海ノルウェー北海グリーンランド近海など高緯度の海域で発生する低気圧のことを指します。と言っても,海外の地名がいまひとつ分からないので,下の地図にそれぞれの位置を示しておきます。また,これらの海域よりも比較的緯度の低い日本海にも現れることもあり,冒頭の衛星画像はそれを捉えたものになります。

ポーラーロウは「寒気内(小)低気圧」「寒気場の小低気圧」などと呼ばれることもあり,水平スケールは200km~1000km程度と,温帯低気圧や台風と比較して規模が小さいメソスケールの擾乱であることが特徴です。前線は伴いません

上空からとらえたポーラーロウの雲の形も必ずしも渦巻き状になるわけではなく,コンマ状であったりとその形状も多様だそうです(下図参照;『ポーラーロウの理想化実験』,柳瀬 2010. より引用)。

左側がコンマ状で,右側がスパイラル状(渦巻き状)ですね。

 

小規模スケールの低気圧であるため,寿命はだいたい1~2日程度(スケールと寿命が概ね相関することが知られている)と短く,小さい規模でありながら,タイミング次第では,豪雪・豪雨や暴風雪・暴風雨,雷などの災害をもたらすこともあるようなので,注意が必要です。

 

では,この『真冬のミニ台風』『真冬の小悪魔』などとも揶揄(?)されるポーラーロウは,どのようなメカニズムで発生するのでしょうか?

 

ポーラーロウが発生するメカニズム

ポーラーロウが『真冬のミニ台風』と呼ばれているように,その発生メカニズムは台風のそれと類似していると考えられているようです。

台風は第2種条件付き不安定CISK:conditional instability of the second kind)と呼ばれる熱的不安定なメカニズムで発達することは以前勉強しています。

weatherlearning.hatenablog.jp

 

冒頭に示したポーラーロウの衛星画像は2025年2月8日に撮影されたものですが,この日は今季最強の寒波が到来したとニュースでも大きな話題となっていました。一方,日本海には対馬海流という南からの暖流が流れ込んでいるため海面水温は日本の沿岸域なら10℃以上と比較的温かい状態になっています。

 

すると,相対的に高温の海洋上に強い寒気が流れ込むことになり,寒気は海面から顕熱と潜熱を受け取ります(簡単に言い換えると,寒気が海面を通過すると,海からの熱で温まり温度が上昇します。また,海面から蒸発した水蒸気が寒気の中に取り込まれます)。

水蒸気を含んで軽くなった空気は上昇しますが,このとき対流雲が発達すると同時に,渦の下の海面付近では気圧が低くなります。気圧が低くなったところに,周囲から空気が流れこみ,上昇気流が強まるような循環が生じ不安定化するのです。

おそらく下のようなメカニズムとして図示できるかと思います。

このように,ポーラーロウは台風と同様のCISKと呼ばれる熱的不安定で発達すると考えられているというのが教科書的な記述です。しかしながら,その発達メカニズムは複雑で,(温帯低気圧の発達メカニズムである)傾圧不安定による影響も少なくないようです。例えば,南北の温度差がなければ熱的不安定な影響が大きく渦状の雲となりやすく,他方で,南北の温度差が大きいときには傾圧不安定の寄与も大きくなってコンマ状の雲が発達しやすい,という感じ。

 

とにかく,台風が発達するメカニズムと,温帯低気圧が発達するメカニズムのハイブリッドなメカニズムが働き,それらの寄与の違いによってポーラーロウの多様性が生み出されているという点は非常に興味深いと思います。

 

ポーラーロウと寒冷低気圧との違い

さて,冒頭述べました通り,寒気の中の低気圧という点で,ポーラーロウというのは寒冷低気圧と混乱を生みやすいものだと思います。私自身,気象の勉強を始めてしばらくの間はこれらの低気圧は同じものだと勘違いしていました。

というのも,ポーラーロウもしくは寒気内低気圧(Polar Low)と寒冷低気圧(Cold Low)という日本語の字面および英語表記が酷似していて,これが混乱の元になっていたのですね。

 

では,この二つの低気圧はどういう点で異なるのでしょうか。

 

まず1つ目の違いはそのスケールです。ポーラーロウは水平スケール200~1000km程度のメソスケールの擾乱であることは先ほど述べた通りですが,寒冷低気圧の方は数千km程度の総観規模の擾乱になります。寒冷低気圧は偏西風の蛇行によって生まれるものなので,総観規模スケールである傾圧不安定波とスケール感が一致するのも矛盾しません。

weatherlearning.hatenablog.jp

 

2つ目の違いは,発生するメカニズムとそれに伴う構造です。ポーラーロウは熱的不安定や傾圧不安定による影響によって発生すると考えられていますが,寒冷低気圧は偏西風の蛇行が大きくなって切り離されることで発生します。それゆえ,ポーラーロウは地上に現れ(上空では不明瞭),寒冷低気圧は上空に現れます(地上で不明瞭なことが多い)。低気圧が明瞭となる高度も違ってくるということですね。

 

さらに,発生メカニズムの違いに伴って,低気圧周辺の気温分布も異なってきます。

ポーラーロウの場合は,海面から供給される水蒸気の凝結による潜熱の放出によって低気圧中心付近の気温は周囲よりも高くなり,「暖気核」をもつこともあります。これは台風中心が暖気核をもつことと同様であり,この特徴に注目してみても『真冬のミニ台風』と呼ばれることは納得感があります。

 

一方寒冷低気圧では,中心付近において,周囲よりも気温が低い「寒気核」を持ちます

 

下は2025年2月7日21時における地上天気図ですが,北海道の西にポーラーロウが南下して進んでいます。

このときの850hPa(上空約1500m)の温度分布を見てみると,地上低気圧のほぼ真上に「W」というスタンプがあって暖気核(Warm core)の存在が示されていました。

 

一方で,2024年5月16日の寒冷低気圧を見てみますと,上空850hPaでも寒気核(Cold core)を表す「C」スタンプがありました。すなわち寒冷低気圧中心付近は周囲よりも気温が低くなっているのです。

このように,ポーラーロウと寒冷低気圧はその発生メカニズムが異なり,それに伴って明瞭となる高度分布や温度分布が違ってくるのですね。

 

そして3つ目の違いは発生時期です。ここまで述べてきたように,ポーラーロウは温暖な海面に吹き出す寒気によって発生する下層にできる小低気圧であるため,海が暖かいほど,また寒気が強いほど発達しやすいといえます。夏は海水温も気温も高くなるため温度差は小さくなって,ポーラーロウはほとんど発生しません。

一方で,寒冷低気圧は季節問わずに発生することが知られています。上に示した寒冷低気圧の高層天気図は5月中旬の比較的温かい季節のものです。

 

以上の点を考慮すると,ポーラーロウというのは寒冷低気圧と字面はよく似ているものの,異なるものであることが分かります。

ただ,これらの低気圧に関係性がまったくないかというと,そういうわけでもなさそうです。冬季に上空に寒気をもたらす寒冷低気圧があると,日本海でポーラーロウが発達することが多いそうなので,寒冷低気圧はポーラーロウの発生のきっかけをつくる役割もしているという点で,ふたつの低気圧は関係しているのです。

 

【まとめ】学習の要点

天気図理解のメモ
  • ポーラーロウとはバレンツ海ノルウェー海,北海,グリーンランド近海など高緯度の海域で発生する小規模な低気圧。冬季の日本海でも発生する。
  • 水平スケールは200km~1000km程度と,温帯低気圧や台風と比較して規模が小さい「メソスケール」の擾乱であり,前線は伴わない。寿命はだいたい1~2日程度と短い。
  • 小低気圧であるが,雪・雨や風雪,雷などの災害をもたらすこともあるため注意が必要。
  • 第2種条件付き不安定(CISK:conditional instability of the second kind)と呼ばれる熱的不安定なメカニズムで発達すると考えられているが,傾圧不安定による影響も少なくない。
  • ポーラーロウは寒冷低気圧と以下の点で異なる。
  •  ①スケール:ポーラーロウはメソスケール,寒冷低気圧は総観スケール
  •  ②発生メカニズム:ポーラーロウはCISK,寒冷低気圧は偏西風の蛇行
  •  ③構造:ポーラーロウは中心に暖気核,寒冷低気圧は中心に寒気核
  •  ④発生時期:ポーラーロウは冬季,寒冷低気圧は季節を問わない
  • ポーラーロウは寒冷低気圧に伴って日本海で発達することが多い。

 

参考図書・参考URL

下記の文献やwebサイトを参考にしました。

2025年1月の気象関連ニュース

 

これまで月末には1ヶ月間に撮影した空の写真をアップしていましたが,マンネリ化してきて飽きてきましたので,これからは1ヶ月間にあった個人的に興味をそそられた気象関連ニュースを書き留めていくことにします。

 

 

2024年史上最も暑い年に

2025年1月のニュースで衝撃だったのはやはり気候変動関連でした。1850年以降から記録されている1年間の世界の平均気温が昨年2024年最も高くなったとのこと。さらに,工業発達以前と比較して,初めて1.5℃を超えたということで話題になりました。

www.bbc.com

www.unic.or.jp

まぁ昨年の夏の暑さは異常であったので,このニュースにそこまでの驚きはないかもしれませんが,2年連続で最高記録を更新したことは,これからの急速な気温上昇の開始を予感させ,少しばかり不気味ではあります。

 

温室効果ガス排出量世界第2位のアメリカでは,トランプ政権になった途端にパリ協定からの脱退を国連に通告したことが報道されており,気候変動対策で世界が足並みをそろえることに暗雲も立ちこめています。

 

果たして2025年はどうなるんでしょうか。さらに気温を更新してくるのでしょうか(3年連続記録更新だと,さすがにのんびりしていられない状況になってきそうです)。

 

南海トラフ巨大地震 30年以内発生確率80%程度に

2025年の1月13日には日向灘で最大震度5弱を観測する地震がありました。

このとき,今回の地震南海トラフ地震との関連性について大きな話題となったことは記憶に新しいですね。『南海トラフ地震臨時情報』というものが発表され,ヤバそうな雰囲気も感じられましたが,気象庁では今回起きた地震南海トラフ地震に与える影響はないという結論に至ったようです。

その一方で,政府の地震調査委員会は2025年1月15日に,30年以内の南海トラフ巨大地震の発生確率は80%程度としてその確率を引き上げたことを発表しています。

www3.nhk.or.jp

「30年以内の南海トラフ巨大地震の発生確率は80%程度」というこの数字は,巨大地震がいつ起きてもおかしくない数字であるそうで,日ごろの備えを進めておくことが重要とのこと。

 

それにしても,気象といい,地象といい,予測が困難なものを扱うのは大変ですね。地震や災害の予測というのは社会への損失を前提としたネガティブな要素が強いため,予測が外れたら外れたで批判され,地震や大雨予報が当たったら当たったで恨まれるという大変なお仕事だろうと勝手ながら想像しています。

 

気象予報士試験の受験

こちらは個人的なお話。1月末に予報士試験を受験してきました。

怖くて答え合わせはしていないんですが,一般知識と実技試験の受験でした。

一般知識は1時間の制限時間内に3回くらい解き直して,石橋を叩いて渡りました。そんなに手こずった問題はありませんでしたが,知識問題で怪しいところはいくつかあったのでまぁ結果を待ちましょう。

実技試験の方は,いずれも時間内に回答を終えたものの,実技1が中盤でストーリーを追えなくなって途中から結構イイカゲンな記述を続けてしまい,だいぶ点数をロスしたと思います。まだまだ勉強不足だと痛感しました。

実技2の方は,今の自分の実力を考えると,あの制限された時間の中では個人的にベストは尽くせたかなと。ただ記述の仕方は未だに我流で,こんなんで良いのかと不安しかないですが。

とりあえず,今年の問題は解いていて楽しかったなと思いました。これは私の視野が広がったことも一つとしてあると思いますが,問題自体が面白かったという点も大きいと思われます。一般知識にしろ実技にしろ,結果はどうあれ試験自体を楽しめたことは久しぶりのことだったので,個人的には面白い体験ができたとポジティブにとらえています。

一点辛かったのが,一般知識が終了して実技試験開始まで2時間半程度の時間を潰さないといけなかったこと。とりあえずパラパラ教科書めくってましたが,何していいのか分からずに途中で寝てしまいそうになりました。

 

さいごに

今年は,これまでスキップしたり,途中で書き終わってしまった気象学の勉強ページを更新させていくことを目標にしたいと思います。

一般知識なら「温度風」,専門知識なら「ガイダンス」や「予報精度評価」「季節予報」など。あとは日々の天気図を通して,日常的な気象予測ができるように応用力や視野の広さをつけていけたら良いかなと思っています。

 

 

2024年12月の空の観察

 

新しい年に向けたあわただしい日々も過ぎて,とうとう2024年も大晦日になりました。

今月は仕事の締めに出張にと非常に忙しい日々でした。体調も崩してしまい,1週間ほど寝込んでしまいました。

12月はほとんど勉強時間を確保できなかったので,気象学勉強はこの正月休みに時間をみつけてやろうと思っています。

ここ最近は,あまりブログも更新できていないので,気象について勉強したことを世の中に発信して,気象の面白さと難しさと奥深さを伝えていけたらと思っています。

 

下は先日飛行機から撮影した雲。

雲が山の間にびっしりと層をなしており,とても美しいですね。気象学を勉強すると,こういった現象に潜むからくりを知りたくなるのは自然な感情なのかもしれません。

 

クリスマスにはサンタクロースが世界中を飛び回っている様子も確認できました。

サンタクロースの飛行高度は60000フィート(地上約18km),対地速度1762ノット(約3300km/h)だそうです。成層圏下層でマッハ3程度の速さで飛び回っているということです。初めて知りました。

 

2025年も引き続き気象の勉強を継続し,新しいことをどんどん学んでいけたらと思います。

 

2024年11月の空の観察

 

11月のとある日,晴れた空の下で遠くに虹が出ていることに気がつきました。

この日は細かい日照り雨も降りました。

こんな時はいつも,黒澤明監督の『夢』という映画の中で,日照り雨が降る日に狐の嫁入りを目撃した少年が虹の下にある狐の家へ謝りに行くシーンが思い出されるのです。

 

きれいな虹のアーチ。

この日の虹は,主虹だけではなく,その外側に副虹がはっきり。私が副虹を見たのは何年振りかのことです。

虹については以前勉強しています。虹は必ず太陽を背にした方向に現れ,主虹は外側から赤橙黄緑青藍紫と色づく一方,副虹内側から赤橙黄緑青藍紫という色の並びになります。色の並びが逆なんでしたね。

weatherlearning.hatenablog.jp

 

この日,もっともテンションが上がったのが虹の足を見たとき。

麓の家がすっぽりと虹に覆われていました。こんなに虹の袂をハッキリと見た経験はあまりなかったので,これにはちょっとばかり興奮しました。

詩人・吉野弘さんの『虹の足』という作品にある台詞を思わず叫びたくなりました。

 ―――おーい、君の家が虹の中にあるぞオ

 

久しぶりにキレイな虹が見れたので,ここ最近何事にもモチベーションを失っていた気持ちも少しだけ吹っ飛んだのでした。

 

 

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さて,11月も中旬ごろまでは暖かかったのですが,下旬ともなると平年並みの涼しさを取り戻し,もうすっかり秋の気配となりました。

前半が暖かかっただけに,秋はあっという間に過ぎていくのでしょうね。

紅葉もすでに見頃が終わったところもあるようです。

この1ヶ月は実技の問題をいくつか解きました。いつも思いますが,記述の仕方が難しいですね。私の回答が合っているのかが分からない。独学の悪い側面です。

12月は仕事の締めや出張などがいろいろ重なるので,とても勉強できるような余裕はないかもしれません。それでも通勤時間や移動時間のわずかなスキマ時間を見つけて参考書などをペラペラめくるようには努力するつもりです。

でも,結局は誘惑に負けて,YouTubeのショート動画を見てしまい時間を浪費するという未来が目に見えてるんですよね。わかっちゃいるけどやめられねぇ。

まぁそれでも,出来るところまではやるって感じですかね。



 

2024年10月の空の観察

 

2024年の10月もいつにも増して暑い1ヶ月だったように思います。10月19日には,東京都心で最高気温が30.1度を記録し,観測開始以来最も遅い真夏日となりました。福島県静岡県などでも,真夏日の地点が相次いだようです。

www.sponichi.co.jp

そんな暑かった10月の空を切り取ってみました。

 

 

行合の空(ゆきあいのそら)

季節の変わり目,特に夏から秋に変わる時期は「行き合い」と呼ばれます。その頃の空を「行合の空」と呼び,古くは平安時代の和歌にも詠まれているんだそうで。

行合の空では,空高くに秋の空,空の低いところには夏の空が共演し,多種多様な雲が入り混じる空模様を呈します。

この日も,空高くには巻雲そして高積雲,空の低いところには積雲や層積雲などが観察されました。いよいよ夏も終わり,本格的な秋の季節へと入っていくのですね。

 

 

そういえば紫金山・アトラス彗星が地球に接近していましたが,結局10月14日に撮影したこの1枚しか撮影できませんでした。ここ最近,私の住んでいる街では,西の空は雲が続いていたのです。

この彗星が次回地球に近づくのは約8万年後らしいので,おそらく次回お目にかかるのは難しいでしょう。彗星よ,さようなら。

東京の10月の気温推移

冒頭でも述べた通り,今年の10月もいつも以上に暖かい秋で,おそらく観測史上最も暑い10月になるのは間違いないでしょう。

ここで,1950年から2024年までの75年間の東京における10月の1ヶ月平均気温をプロットしてみました。その結果,以下のような図を得ました。

2024年は10月26日までのデータですが,他の年と比較しても明らかに突出した気温の高値を示しています。

また,75年間という長い期間で見ると,気温の増加傾向が見て取れますね。

 

単純な線形の回帰分析をしてみると,青色の線が引けました。

75年間の気温の上昇傾向は明らかですし,おそらくヒートアイランド現象地球温暖化などの影響が反映されたものだと考えられます。

 

地球温暖化などの気候変動に伴い,暑い夏が長期化し,春と秋が極端に短くなり,暖かい冬が来るだろうと懸念されていますが,まさに今年はそんな1年になるかもしれません。

 

参考図書・参考URL

下記のサイトから一部引用させていただきました。

【天気図】前線解析②~閉塞前線~

 

今回は閉塞前線について勉強していきたいと思います。第62回気象予報士試験実技試験の前線解析でも出題され,私としてはあまり理解できていなかった点だったので,ここでちゃんと頭に入れておくことにします。

 

 

閉塞前線とは

以前,前線については勉強しました。

weatherlearning.hatenablog.jp

前線には,寒冷前線温暖前線停滞前線閉塞前線の4つがあったのでした。

中でも,閉塞前線は,低気圧から伸びる寒冷前線が前面にある温暖前線に追いついたときにできる前線のことで,この閉塞前線ができる頃に低気圧は最盛期を迎えます。

 

低気圧の最盛期には,下の図(Microsoft PowerPoint - 03_gainen (jma.go.jp)より一部改変)のように,トラフの位置(下図赤の二重線)は地上の低気圧中心のほとんど真上にくるような形になります。そして,閉塞前線温暖前線寒冷前線に分岐する点(閉塞点)付近の上空をジェット気流が流れるようになるのです。

weatherlearning.hatenablog.jp

 

閉塞前線の種類

この閉塞前線には,寒冷前線の延長線上に閉塞前線がある寒冷型閉塞前線と,温暖前線の延長線上に閉塞前線がある温暖型閉塞前線の大きく2つに分類されます*1

 

実際に地上の天気図を見てみましょう。

下のように寒冷前線を伸ばした先に閉塞前線があるのが寒冷型閉塞前線。ちょうど漢字の「人」の字の形をしているのが分かりますね。

 

一方,温暖前線を伸ばした先に閉塞前線があるのが温暖型閉塞前線。こちらは漢字の「入」の字の形です。

 

では,なぜこのような前線の形に違いが出るのでしょうか。

 

結論から言ってしまうと,寒冷型閉塞前線ができるときは,寒冷前線の進行方向後面の寒気が強く(温度が低く),寒冷前線の性質が強く現れます。一方で,温暖型閉塞前線ができるときは,寒冷前線の進行方向後面の寒気は比較的弱く,温暖前線の進行方向前面の寒気が強く(温度が低く)なるという特徴を持ちます。

 

気象庁が公開している資料(Microsoft PowerPoint - 04_teigi (jma.go.jp))を見ると,それらの違いが分かりやすくまとめられていました(下表)。



ちなみに,日本付近では大陸からの冷たい寒気が流れ込みやすいため,寒冷型の閉塞前線の方が温暖型より発生頻度は多いようです。

天気図上の寒冷型閉塞前線

ここまで閉塞前線について見てきましたが,どのような大気の状態のときにこれらの前線が解析されているのかをちゃんと見てみないことには理解できたとは言えません。

そこで,まずは寒冷型閉塞前線の地上・高層天気図を眺めていくことにしました。

 

下は2024年1月15日9時(日本時間)の500hPa高度・渦度の分布図(AXFE578)。冒頭に示した地上天気図の寒冷型閉塞前線の高層に相当します。

北海道の北部に低気圧中心があり,高度5280m付近に渦度0線に対応する強風軸が位置している感じでしょうか。地上の低気圧中心は強風軸の北側にあり,すでに閉塞していることが予想できます。

 

次に700hPa上昇流/850hPa気温・風の分布図(AXFE578)。

等温線の分布が密なところがあり,そのあたりに前線が解析できそうな気はしてきます。

では実際にどのように前線は解析されたのでしょうか。

高層天気図に地上天気図の前線を重ねてみました。

 

下は500hPa高度・渦度の分布図(赤)と地上天気図(黒)を重ね合わせたもの*2

たしかに,ちょうど閉塞点付近を渦度0線に対応する強風軸(青矢印)が通っていることが分かりますね。

 

次に700hPa上昇流/850hPa気温・風の分布図(赤)と地上天気図(黒)を重ね合わせてみます。

閉塞点付近には,「-81hPa/h」という上昇流の極値があります。閉塞点付近は(寒冷前線温暖前線閉塞前線の3つの前線が交わるので)風が収束しやすく強い上昇流が生まれやすいといいます。

寒冷前線はだいたい0℃の等温線に沿って引かれており,教科書に良く書かれている等温線の集中帯の南縁に解析されています。

一方,温暖前線はー3℃の等温線に沿って引かれており,こちらは風の水平シアーをもとに解析されてるんですかね。


特徴的なことは,寒冷前線付近で等温線が密になっていること。すなわち,寒冷前線を挟んで温度差が比較的大きく,これが寒冷型閉塞前線として解析されるためのポイントとなるようです。また,後面からの寒気が強いため,曲率が大きくなることも寒冷型閉塞前線の特徴として挙げられるといいます。

天気図上の温暖型閉塞前線

お次は温暖型閉塞前線の地上・高層天気図を眺めてみます。

下は2024年3月8日21時(日本時間)の500hPa面天気図。こちらも冒頭に示した地上天気図の温暖型閉塞前線の高層に相当するものです。

この図から低気圧がどこに位置しているかは判断が難しそうですが,日本の東海上に低気圧が存在しているようです。

 

700hPa上昇流/850hPa気温・風の分布図。

東経150°,北緯35°あたりに位置する暖気核「W」付近に低気圧が位置しています。その暖気の北側で等温線が密になっていることが分かります。

 

先ほどと同じように,高層天気図に地上天気図の前線を重ねてみました。

500hPa高度・渦度の分布図(赤)と地上天気図(黒)を重ね合わせたもの。

強風軸はあまり明瞭には見えませんが,閉塞点付近の上空を通る渦度0線あたりをだいたい青矢印で引いてみました。

 

次に700hPa上昇流/850hPa気温・風の分布図(赤)と地上天気図(黒)を重ね合わせてみます。

やはり閉塞点付近には,「-152hPa/h」という上昇流の極値があります。寒冷前線は9~12℃の等温線に沿うように引かれ,温暖前線は等温線の集中帯の南縁付近に解析されているようです。

 

温暖型の閉塞前線を解析する上で重要なことは,先ほどの寒冷型とは異なり,温暖前線付近で等温線が密になっている点です。寒冷前線側では等温線の明らかな集中帯は認められません。また,進行方向後面の寒気が弱いため,閉塞前線の曲率が小さくなる傾向があります。

すなわち,「温暖型の閉塞前線ができる際には,寒冷前線の進行方向後面の寒気は比較的弱く,温暖前線の進行方向前面の寒気が強く(温度が低く)なる」という上述した特徴が,天気図上できちんと表現されているのです。

 

 

天気図理解のメモ

 

参考図書・参考URL

下記の文献やwebサイトを参考にしました。

 

*1:中立型閉塞前線というのもあるらしい

*2:GIMPという無料の画像編集ソフトを用いて2つの図を重ねました

第62回気象予報士試験 結果報告

 

10月11日に,第62回気象予報士試験の結果が発表されました。

 

今回は2度目の受験となりましたが,あまり手ごたえ的なものがなかったことは以前に記事にしています。自己採点もせずにこの一ヶ月は気象の勉強から離れてゆっくり過ごしておりました。

weatherlearning.hatenablog.jp

 

今回の一般知識・専門知識はいずれも合格点が10点となっており,ボーダーが少し低くなったようです。難しかったんですかね。

 

で,会社帰りに郵便ポストを見てみると,気象業務センターから合否通知のハガキが入っていました。

開いてみると次のようにありました。

 

 

 

 

 

うーん,一般知識が思っていた以上に点数が取れていなくて少しがっかりです。専門知識は一般知識よりもまだ手ごたえは感じたので,何とか拾ってもらえた感じでしょうか。

 

自己採点した結果,一般知識は9点,専門知識は11~12点(うち1問は2択まで絞ったことは問題冊子に書いてましたが,迷った結果どちらを選んだか覚えていない)となりました。

具体的には下のような結果です(各15問のうち,〇が正解した問題,✕が不正解,?はどれを選択したかはっきり覚えていない)。

 一般知識:〇✕〇〇〇〇〇✕✕✕✕✕〇〇〇

 専門知識:〇〇✕〇〇〇〇✕〇〇?〇〇✕〇

 

一般知識は水平スケールを問われた問8(b), 問9(a) のどちらも間違えていました(๑´ڡ`๑)テヘペロ。問11(c)は個人的には細かいとこついてきたな問題。「対流圏」ではなく「成層圏」が正解とはちょっと意地悪すぎやしないか。何の違和感も感じず速攻正しいと判断したわ。気象法規も問12を落としてましたね。問12(d)は一周回って引っ掛け問題かと邪推しましたが,シンプルに私の思い過ごしでした。問3は良問。

専門知識は問3(d)の問は重箱の隅をつつき過ぎではないだろうか。こんなの覚えた記憶ないよ。問14の気象防災情報については全然覚えてなかったので(覚えようともしていない←オイ)勘で書きましたが当然間違っていました。

 

学科試験でつまづいているので実技試験は採点されませんが,先日1ヶ月半ぶりに実技試験を解き直してみました。気象業務センターからの回答と照らし合わせてみると,記述に関しては怪しい点が多々あるものの,考え方自体は大きく外してはいないと思って少し安心したのでした(温暖型閉塞前線と寒冷型閉塞前線についての前線解析の問題はちゃんと理解できていなかったので,このやり直しの機会で非常に勉強になりました)。

ただ,試験当日はどうしても緊張して焦ってしまって,時間を気にするあまり問題文を読み飛ばしたりもしたので,試験会場でいかに平常心で試験に臨むかは私にとって重要なポイントです。でも平常心で試験に臨むのはなかなか難しいんですよね。

 

 

ということで今回の結果は中途半端で,喜び半分,ガッカリ半分といったところですが,とりあえず次回の1月の試験だけは受験しようかと思います。正直,学科試験であんまりつまづいていたくはないのです(かと言ってあんまり勉強に時間もかけたくない)。

 

 

追伸。

肉眼で見えるという彗星(紫金山・アトラス彗星)が話題になっていましたので,カメラを向けてみました。

雲が出てきてキレイには撮影できませんでしたが,彗星の核とそこから伸びるわずかな尾を確認できました(10月14日撮影)。

少なくとも雲が出てきたこの日の空では,肉眼で彗星を見つけるのはとても難しい明るさでした。カメラの露出を上げてようやく確認できるといった感じです。

あと何日かは夕方の西空にいるようなので(ただしどんどん暗くなってゆく),チャンスがあればもう一度撮影にトライしたいと思います。



2024年9月の空の観察

この1ヶ月間は気象についてほとんど勉強せずに,土日休日はお出かけしたり,家でゆっくりしたりと,あまり頭を使わずに過ごしておりました。

しかしながら,勉強をほとんどしなくなると,なんとなく張り合いのない生活にも思えてきます(とは言え,これまでそんなに日々勉強してたのかと問われると,胸を張って「してた」とはとても言えませんが)。

仕事以外の勉強に時間を費やすことは,意外にも,仕事自体のリズムをつかむのに良いサイクルを生み出しているのかもしれないと,最近気がついたのでした。

通勤時間に本をパラパラと読み,帰宅はだいたい20時ごろですが,その日の余力が残っていれば少しだけ勉強する。知らないうちに,作業効率を考えて行動していたのかもしれません。

 

さて,この1ヶ月は机に向かっての勉強こそほとんどしませんでしたが,何冊かの気象の本は読みました。

まず1冊目が『天気の不思議を読む力』(トリスタン・グーリー著)。著者は気象学の研究者ではなく,探検家です。

日常の身近に存在する,雲の動きや風の変化などの「微気象」について,具体的な例を挙げながら天気を読むコツについて書かれています。気象予報士試験の一般知識を一通り勉強した人であれば,容易に理解できる内容です。

気象に興味があったとしても,実際に空を眺めて雲の動きの変化を観察することは時間のない現代人にとってはなかなか難しいことですよね。この本では,こういう点に着目すれば良いといったちょっとしたコツが書かれていますので,それくらいならできるかも,と読み手に思わせてくれます。

何より,探検を通して蓄積された豊富な体験談が面白い。こういった科学読み物が私は大好きなのです。

 

2冊目が『沸騰する地球』(ニュートンプレス)。

   

世界各地の異常気象とその原因と考えられている地球温暖化について,写真を用いて分かりやすく解説されています。2023年7月,国連のグテーレス事務総長が「地球沸騰化」という表現を用いて,地球温暖化の進行に警鐘を鳴らしたことは記憶に新しいですね。

こういった本を読むと,地球の温暖化は楽観視できない危機的な状況であることを改めて突きつけられます。

 

9月も終わろうとしていますが,この1ヶ月も先月に引き続いて猛暑日が続き,観測史上最も暑い9月になりそうな勢いですね。

EUの研究機関が発表したことには,今年2024年の6〜8月の北半球は史上最も暑い夏だったそうです。気象庁も今年の日本の夏は昨年と並んで最も暑い夏であることを発表しています。これも地球温暖化の影響が大きいと考えられています。

 

来年以降もこの暑さが続くようなら,(私が大好きな)太陽が燦々と輝く眩しい陽光降り注ぐ夏の季節は,暑くて外出できない灼熱の季節へと認識を新たにする必要がありそうです。

そんな過酷な夏にするのを阻止するためにも,温暖化防止に何ができるかを我々が小さいながらも少しずつ考えることが重要になってきますね。それはなにも我慢しろと言っているのではなく,まずは過度にやりすぎていること(冷房の設定温度が低すぎる,過剰に食べ物を買って腐らせる,寝落ちして夜中を通して室内電気をつけっぱなしにする,近くのコンビニに行くのにも車を使う,などなど)に目を向けて,徐々に減らしていくことから始めるのが良いそうです。