こんばんは。

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第32回試験・実技1・問2

今回は、前回と同じ問題で、36時間後に予想される前線の解析をしてみたいと思います。温暖型閉塞前線を解析するというのが今回の主題ですが、まず、与えられた資料から低気圧が閉塞しているのをどうやって見分けるかについて触れておきたいと思います。

 

図6(左下)の図を見てみますと、図5(下)において地上に予想されている北緯43°東経141°付近にある低気圧中心付近ではその南側に相当温位の低い空気が回り込んでいることがわかります。さらに暖気あるいは高相当温位の空気が低気圧中心の方向ではなく、低気圧中心の前方に向かって突っ込んでいることから、低気圧は閉塞する過程にある、つまり閉塞前線が存在していることがわかります。

 

 

図6(左下)で閉塞前線が存在していることがわかったところで次に、温暖型閉塞前線なのか、寒冷型閉塞前線なのかを判断することになります。寒冷型閉塞前線につきましては、次回以降にくわしくとりあげることにしますので、今回は少し触れる程度にします。温暖型閉塞前線の特徴は、閉塞前線を挟んで、赤道側と極側の断面で見た場合、上の模式図にも書きましたが、寒気Aの進む速度が速く、暖気と寒気Bに追いつき、寒気Aが寒気Bよりも相対的に温度が高いために寒気Bの上を滑昇する形をとります。天気図上では閉塞前線と温暖前線が連続する形で、850hPa相当温位の場で見られる高相当温位の突っ込みの先端部の閉塞点から寒冷前線が分かれて延びている、いわゆる「入」の字の形状になります。

 

一方の寒冷型閉塞前線は閉塞前線の赤道側の寒気が極側の寒気よりも相対的に温度が低いため、極側の寒気の下に潜り込んで押し上げる形で天気図上では「人」の字の形状になります。

 

上の図では相対的に温度(相当温位)の高い方の寒気の「寒気A」を水色、温度(相当温位)の低い方の寒気の「寒気B」を青色とした場合に実際に解析しますとこのようになります。

 

図5の温度分布と重ねてみた場合でも相対的に赤道側の寒気の方が温度が高いことがわかります。

 

 

あとは、地上の寒冷前線を、閉塞点から850hPaの寒冷前線の少し暖気側、地上の気圧の谷、降水域を参考にしながら解析しますとこのようになります。したがって、解答図では下のようになります。

 

(気象業務支援センター解答例)

なお、前回の24時間後の前線の解答で問題文中の「北緯30°以北」のところを見落として、寒冷前線を北緯30°より南にはみ出して書いてしまいました。大変失礼しました。受験予定の方はこのような凡ミスをされませんよう、他山の石としていただければと思います。

 

では。バイバイ