おわりの一歩

さて、今年も既に半月が過ぎ去りましたね。


去年から、たまに書くといいつつほぼ告知しか打たない廃墟となってしまったこのブログではありますが、たまにはとくに意味もなくダラダラと思いついたことを書くのもまたよし、ということで今年最初のエントリを。


というのも、ボクシング漫画の金字塔である(皮肉でもなんでもない)『はじめの一歩』が、ついに完結を匂わせる展開になってきたことですよ。

ここ数年ずっと引き延ばしてきた、一歩のパンチドランカー疑惑がついに決定的になり、引退がほぼ確定したといっていいでしょう。
単行本が70巻を過ぎたあたりから、試合展開の引き伸ばしが顕著になり、往年のファンがどんどん離れていったこの作品ですが、ここ最近はドラマがしっかり動いているので、オールドファンにもまた読み直してほしいと思っております。

思えば、ボクシング漫画で主人公がパンチドランカーになることは珍しくありませんが、たいていは症状を隠して戦い続け、世界チャンピオンを倒す(もしくは圧倒する)ものの、その代償として廃人になる、的な終わり方になりがちでした。そもそも物語のクライマックスとしては、栄光の絶頂で終わるか、または破滅で終わるというのが定石であります。

しかし、旧来のボクシング漫画とは一線を画すリアリティが魅力だった『はじめの一歩』ですから、ここは新しいエンディングを持ってきてもらいたいですね。ボクサーがちゃんと引退する漫画、って読んだ記憶がないので、そこをしっかり描いてほしい。会長がコミッションに引退届を出して、一歩が会長に「長い間お世話になりました!」とあいさつをして、ちゃんと社会人として生きていく終わりにしてほしいですね。作者の森川ジョージには、自らボクシングジムを経営して、かつてスター選手だった高橋ナオトを会長に起用するものの、素行の悪さが目に余ったため訣別するという経験がありますから、一歩にはナオトを反面教師として、釣り船屋としてしっかり働く人になってもらいたいものです。


だいたい今までの展開と、漫画のお約束を踏まえて考えると、最終回はこんな感じになると予想します。

  • 後楽園ホールで一歩の引退セレモニーが行われ、リング上でテンカウントゴングを聞きながら四方に深々と頭を下げる
  • それから一年ほど時間が経ち、一歩と久美の結婚式が行われる
  • かつてのライバルたちが大集合する
  • テレビでは、ヴォルグと千堂の世界タイトルマッチ(勝った方がリカルドと統一戦をやる)が流れている
  • 久美を連れてバージンロードを歩く間柴の目に涙が光る
  • 久美が投げたブーケをトミ子が受け取り、青木と「次は私たちね」とうなずき合う
  • 披露宴で鷹村が一歩の巨根をネタにしたセクハラスピーチを行い、激怒した間柴と殴り合いになる
  • 大騒ぎの中、浮かない表情の一歩。宮田の席を見ると空席になっている
  • 二次会を終え、家へ帰ろうとする久美に「先に帰っててください。忘れ物を取ってきます」と一歩
  • 鴨川ジムの地下リングへ行くと、そこで待っていた宮田が「遅かったな」と
  • 「あの日の決着をつけよう」と二人だけのスパーリングを開始
  • 「カーン」とゴングが鳴り「ご愛読ありがとうございました」


うーん……「カーン」オチってのは、あまりにもベタすぎるかなぁ。
とはいえ、一歩が引退した途端にパンチドランカーが急速に悪化して、釣り船から落ちて亡くなるなんてのはやめてほしいし、引退を撤回して廃人になるまでリングに上がり続ける、なんてのは論外だし、一歩がトレーナーの道を歩み始めてまたダラダラ続けるというのもイヤだ。そもそも一歩の性格からいって、あいつ指導者に向いてないし。


あとは、結婚した一歩と久美の間に、間柴そっくりの赤ちゃんが生まれるってのも捨てがたいが、30年続いた漫画のオチがそれってのもちょっとね。


ていうか、『はじめの一歩』は1989年に連載が始まってるので、来年で30周年なんですよね。たぶん、一歩が引退することになっても、30周年まではまたダラダラ引き延ばすんだろうなあ、という悪い予感もあったりするのです。