オランダの極右議員、英国への入国を拒否される
英国独立党(UKIP)のピアソン上院議員の発案で、ウイルダース議員の反イスラム短編映画「フィトナ」が、12日、英上院議員向けに上映される予定となっていた。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/7882953.stm
http://www.radionetherlands.nl/currentaffairs/region/netherlands/090211-Wilders-UK-ban
自分自身がムスリムのアーマド上院議員は、ウイルダース議員が英国に来れば「憎悪を引き起こしただろう」として、入国拒否を歓迎した。
フィトナが公開されたとき、オランダ首相は「何の目的も果たさない。侮辱するだけだ」と述べていた。「公開」といっても、ネット上での公開だ。
BBCのアドレスからリンクをたどると、この動きに賛成派と反対派の意見が読める。下のリンクに寄れば、同じEU諸国の国会議員の入国を拒否するとはいかがなものか、という意見がオランダ議員の中で出ていることが分かる。
サルマン・ラシュディーの「悪魔の詩」を巡る騒動で、英国内で焚書騒ぎが起きたのは丁度20年前になる。在英のムスリムたちの中には、「反対運動を起こしてよかった」という人もいれば、「やり方がまずかった」と考える人もいるとBBCの番組が先日紹介していた。
映画フィトナやウイルダース氏のインタビュービデオはユーチューブでも結構見つかりやすい。特にフォックステレビでの氏のインタビューを見ると、また氏の違う側面が見える。
今朝のBBCラジオ「TODAY」を聞いていたら、英国知識人はイスラム批判には及び腰ではないか、という聞き方を、司会者が自民党議員にしていた。
ウイルダース議員が英国に来て、さまざまなメディアのインタビューに応じ、いかに論理が破綻しているか(もし論理が破綻しているなら)、いかに映画が偏っているか・偏っていないかをオープンに議論できる場があれば最もよかったと思う。
2005年以降、オランダに出かけて、対ムスリム関係の話をいろいろな人から聞いてきたことを振り返ると、何故ウイルダース議員が反イスラムを言うのか(ある意味では反移民でもある)、何故そのようなことを言い出すことになったのか、何故一部のオランダ国民の支持を受けているのか(圧倒的多数は反対、政府もお手上げ状態)の背景が想像できるような気がする。
増えるムスリム市民に対する漠とした恐れは欧州の一部の国民の中にある。知らないものに対する恐れかもしれないし、ベールで顔をおおうなど自分たちとは違う風習を持つものに対する反発かもしれない。ムスリムのアーマド議員がウイルダース氏への入国不許可を歓迎しているところが、どうも気になる。英国のムスリムはデンマークのムスリムたちと比べて人数が多く、政治的な発言力もあるはずで、よい議論の機会になりえたように思ったのだが。