ジャズ初心者のための入門書”入門”⑤「JAZZウルトラ・ガイド」
- 2008/12/30
- 11:35
書名「JAZZウルトラ・ガイド とことん楽しむ7つのステップ」
著者:小川隆夫
平凡社新書105
著者:小川隆夫
平凡社新書105
紹介した版:
2001年9月19日初版第1刷
2001年9月19日初版第1刷
全237ページ
価格税別760円
※インプレッション:
著者の小川隆夫さんも、随分ジャズ関係の本を書いておられる。本職は整形外科医だそうだが、大変な趣味人であります。
さて、本書の特徴は、今まで紹介した本といささか違います。いわゆる「名盤」紹介をメインとするものではなく、ジャズの楽しさを様々な角度から紹介していこうという意欲作です。
例えば、第1章では、楽器や編成ごとにジャズを紹介しています。ピアノ・管楽器・ギターやベース・ドラムなど楽器の紹介から、どのような演奏で聴くとプレイヤーの実力が分かりやすいかなど。そして、しっかりと推薦盤もあげています。その紹介の仕方も、ピアノなら「ソロ」「デュオ」「トリオ」「グループ」、管楽器なら「ワンホーン」「2ホーン」「それ以上」というように分けて、代表的な「名盤」を紹介しています。これは、実は意外に良い方法です。
入門者の場合、プレイヤーの誰がどんな音楽を演奏するのか、スタイルはどうかなど分からないわけです。お気に入りのミュージシャンが見つかる前には、「ピアノ主体で静かな奴がいい」とか「トランペットとかサックスとかみんなでバリバリ吹いているのがいい」とか結構アバウトなイメージしか持っていないものです。そんなときに、「じゃあピアノソロで良いのはないのか」「トリオ位が良いなあ」と選べますし、何と言っても紹介しているアルバムを絞り込んでいるところが良いところです。
次に、第2章では、楽器ではなく歴史やスタイルで分けてジャズを紹介しています。スイング、ビバップ、クール、ハードバップ、モードジャズなどなど。どこかで聞いたことのあるジャズ用語ですが、歴史を追いながら、その特徴や代表的奏者、推薦盤を紹介してくれます。これも、大変便利です。
第3章では、ライヴでジャズを楽しむとして、ライヴクラブの紹介や、ライブ録音の推薦盤も紹介されています。こんな調子で、音を聴かずにジャズを楽しむ(雑誌や本の紹介)、マイルスを通してジャズを楽しむ、ヴォーカルでジャズを楽しむ、日本のジャズを楽しむ、と7つのテーマで多角的にジャズを捉えています。
全体の感想ですが、全編を通じて読み応えのある、大変充実した情報が満載の本だという印象です。まさに著者の狙い通り、ジャズをとことん楽しんじゃえという意図が生かされた編集です。ただし、実際の結末として、多くの場合「じゃあCDでも買って聴いてみよう」いうことになるわけでしょうから、推薦盤の紹介のところは、もう少し情報量を増やして、写真や参加ミュージシャンの情報などもあると嬉しいなあと思います。それでは、欲張りすぎということであれば、この本の他に、例えば「JAZZ名盤入門!」など、名盤の情報満載の本もあわせて手元に置いておくことをお薦めします。
(★★★初心者必読書、★★初心者の参考になる書、★ジャズ経験者向けの書、☆危険!初心者は近づかない方が良い書)
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