不動産売却の基礎知識や知っておきたいコツを分かりやすく解説します。売却の体験談もご紹介。

いつかは海の近くに住みたい。健康を損ねたことで、夢だった"移住"を前倒しで実現!/東京都台東区Mさん(40代)

東京都台東区Mさん(40代)/50代で海の近くに住みたい。生活環境の変化で海の近くに移住することを決め、築2年のマンションを売却

再婚を機に、東京都台東区の新築マンションを購入したMさんですが、健康状態の変化や生活環境など状況が変わったことで、夢だった海の近くに移住することを決意。購入したばかりの1LDKを購入価格と同額で売却することができました。

不動産区分 マンション
所在地 東京都台東区
築年数 約2年
間取り・面積 1LDK(34m2)
ローン残高 3800万円
査定価格 4000万円
売り出し価格 4000万円
成約価格 4000万円

体調や妻の仕事環境、不動産市場など、状況が変わったことで移住を決意

再婚したのを機に、東京都台東区の新築マンションを2020年に購入したMさん。14階にあり、周囲に高い建物がないため眺望が良い1LDKの住戸です。JRと地下鉄が使える最寄駅からは徒歩5〜6分で、大きなターミナル駅にも歩いていける距離でした。

そのためMさんと妻の2人とも通勤は30分〜40分程度と便利でしたし、駅前は繁華街なので、日常の買い物や食事に困りませんでした。一方で自宅周辺はとても静かな環境で暮らしやすかったそうです。

ところがある日、たまたま健康診断を受けたところ、医者から「激しい運動はなるべく控えたほうがいい」とアドバイスを受けました。サッカーが趣味で週1回は楽しんでいたMさんですが、このアドバイスに従いサッカーをやめることにしました。

さらに気になって海の近くのマンションの販売状況と、自宅マンションの相場を調べました。

「気になって」というのは、実はMさんは、海の近くで生まれたわけではないのですが、いつの頃からか漠然と「50代になったら海のそばで暮らしたい」という思いがあったのです。

状況が変わったことで移住を決意

移住先として考えていた神奈川県藤沢市の希望エリアは、コロナ禍の影響で移住先として人気が高まっていました。そのためMさんが目を付けていたエリアの中古マンションは、物件が出るとすぐに売約が決まるほどに人気ぶりに。「50代になってから、なんて悠長に構えていると、もう物件が出なくなるのではないか?と心配になりました」。

そこで自宅マンションを購入した不動産会社に尋ねると「少なくとも(台東区のマンションは)2022年までは値が上がると言われました」。また、自分でも周囲の新築マンションの販売価格を調べて、これなら良い価格で売れそうだと確信し、妻に話をすると、コロナ禍で妻の仕事も自宅で行えるようになっていたので、移住しても良いという返事。

現在の自分の体調の変化や、自宅や移住希望先のマンションの売買状況、妻の仕事環境が変わったこと……さまざまな状況を考えると、50代といわず、今こそ海の近くに移り住むタイミングではないかと考えたのです。

こうしてMさんはまだ住んで約1年半のマンションを売却して、海の近くのマンションを購入することにしました。

購入時と同じ価格で販売を開始、一方移住先は早々に購入が決まった

体調の変化に気づいたのが2021年12月。それをきっかけにさまざまなことを検討して翌年の2022年1月にはもう移住を決意したMさん。すぐさま、2022年1月に不動産仲介会社のA社と専属専任媒介契約を結びます。ただし、契約期限は1カ月にしました。「なるべく早めに売りたかったので、1カ月たって売れなかったら一般媒介に切り替えることも頭の隅にあったからです」

A社は、最初の結婚時に購入したマンションを手放す際にも販売を依頼した大手の不動産仲介会社でした。「その時の売却がとてもスムーズで売却額も満足いくものでした。そのため今回も、何の迷いもなくお願いすることにしました」。

A社に査定してもらうと査定額は4000万円。この時点でのMさんのローン残高は約3800万円でしたし、そもそも購入時の価格が約4000万円でしたから、十分納得のいく金額だったと言います。

こうして2022年1月に4000万円で売り出しました。

同時に海のそばの、気になる中古マンションの購入活動も開始。するとタイミング良く、予算や間取りなど条件にあう住戸が売り出されていました。「何しろ競争の激しい人気のマンションでしたから、見に行って、その場で購入を決めました」。それが2022年1月の末。頭金を200万円用意し、住宅ローンを組みました。「台東区のマンションよりも月々の支払いを抑えられました」。

あとは台東区のマンションを売却するのみとなりました。

一般媒介に切り替え、売り出して約2カ月後には購入希望者が現れる

売り出しを開始した2022年1月の内覧者は2〜3組。内覧は休日だけでしたから悪くはないですし、A社の報告では物件情報へのアクセス状況も上々のため「いつかは決まるだろうと思っていました」。

しかし2月には一般媒介契約に切り替えて、B社にも売却を依頼することにしました。1月末に移住先が決まったこともあり、「A社に不満があったわけではないのですが、内覧者を増やして早く売れるようにしようと考えたのです」。

B社は、移住先のマンション購入の際の不動産仲介会社。台東区のマンション近くにも営業所がある大手の会社で、話をするとすぐに一般媒介を結ぶことになりました。「A社にもB社と一般媒介したことを伝えて、私なりの『がんばってね』というエールを送ったつもりです」

結局、内覧の頻度は月2組程度と1月と変わりませんでしたが、3月に内覧した1人から「購入したいという人がいます」とA社から連絡がありました。購入者は20代後半の女性で、1人で住む家を探していたそうです。

その後は「とてもスムーズでした」とMさん。ローン審査に多少時間はかかりましたが5月には売買契約を結ぶことができました。

一方、Mさんは3月には海の近くのマンションに引っ越しを完了。当初の「50代には〜」より少し早まった人生計画ですが、「海辺を散歩したり、のんびりとした生活を送れています」。

すべてのタイミングがぴったり合って、100点満点

今回の売却を振り返ってMさんは「100点満点」と評価。たまたま受けた健康診断から始まった売却活動ですが、「すべてのタイミングが、ぴったり合ったと思います」。
移住先の神奈川県藤沢市のマンションは駅と海、いずれも徒歩7〜8分。出掛けるにも、海へ遊びに行くにも便利な立地です。「このあたりはあまりマンションがないので、移住人気の高いコロナ禍では物件が出るとすぐに売れてしまいます」。そんな中で、探し始めてすぐに移住先を見つけることができたMさん。「買い時であり、売り時だったと思います。タイミングがばっちりで、売却額にも満足しています」。
時間があれば海へ散歩に行くというMさん。「サーフィンなどマリンスポーツの趣味はないですが、海って、ただ砂浜を歩いているだけでも気持ちいいんですよね」。
以前と比べて「生活のリズムがゆっくりと感じられる」と移住生活を満喫していました。

2022年1月 ・売却を決意、不動産仲介会社と専属専任媒介契約を結ぶ
・4000万円で売り出す
・移住先のマンションを購入
2022年3月 ・購入希望者が現れる
・移住先マンションへ引っ越し
2022年5月 ・売買契約を結ぶ

まとめ

  • 希望する引っ越し先がある場合、その不動産市場の状況も確認すると売却・購入計画が立てやすくなる
  • 売却のタイミングは、人それぞれ。入居から日が浅くても「タイミングが良い」と思えば即行動を
  • 一般媒介契約だからといって、必ずしも反響が増えるわけではない

イラスト/杉崎アチャ

●構成・取材・文/籠島康弘
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