口から出まかせ日記【表】

こんな寒かったっけ冬

「経験値」はちょっと恥ずかしくて使えない。

 

約一か月前、ベッドの上を元気にゴロゴロゴロゴロしていると夕方五時を過ぎたので、なんとなくテレビをつけたら、急に見慣れないアニメが始まってびっくりしました。が、すぐに勘づいて、「これあれやろ。新しいガンダムやないか」と思ったら、その通りでした。

g-witch.net

中途半端なとこから観たので、すでに戦闘シーンが始まっており、主人公の女の子が乗るガンダムが、なんかザクの強い版みたいなモビルスーツと戦いはじめました。で、ガンダムが強いのか女の子が強いのかよく分からないまま、相手は一瞬でメタメタにやられてしもうた。何十年経とうとも、ガンダムは最初の相手をボコボコにする。


で、面食らったのは、戦闘の始まる直前に主人公の放ったセリフです。「勝てなくてもいいんです!! ただ進めばいいんです!! そしたら手に入ります。え、何がって? そりゃあ経験値も、プライドも~」みたいな感じ(超うろ覚え)。なんて健気な主人公だ。ひと昔まえのガンダムの主人公なんて、「なんでそうも簡単に人を殺すんだよ! 死んでしまえ!」とかさらっと言うんだぞ。


それはいいとして、気になったのが、セリフにあった「経験値」という言葉。これって、会話の中でそんな気軽に織り込めるものだったっけと思ったんです。もちろんアニメのセリフだし、日常的に使う言葉を使う事にこだわらなくていい。けど、実際に「経験値」という言葉を、それこそ仕事の合間に交わすような会話の中で使えるかというと、微妙だよなぁと感じました。現実に「経験値」など存在しないわけですし。

 

 

「経験値」といえばゲームですよね。特にRPGの要素があるものは、敵を倒すと、自分が操作するキャラクターに「経験値」が溜まっていき、ある程度になると「レベルアップ」して強くなるのが伝統。これは言わずもがな、人の成長をゲーム的に数値化したもので、本来は可視化できないものを可視化しているわけです。


さて、ある日。会社でミーティングがあったとします。その中で社員のひとりが、「こうすればもっと、社員ひとりひとりの経験値があがり、それによって会社全体のレベルアップを図れる~」みたいな話をし始めた。どうですか。私は相当な違和感を感じます。「あの〜、その経験値ってなんですか。いまってゲームの話してるんですか。なんで私たちは勝手にあなたの中でゲーム化させられてるのでしょう」。そう文句を言いたくなる。


「経験値」って、なかなかに趣味性の高い言葉だと思うんです。先に言ったように、ゲームとの親和性が強い言葉ですし、本来、捉えられないはずのものを、「経験値」としてその人が捉えていることは、勝手に自分の趣味を持ち込んで世界を見ている印象があります。「経験値」は別世界の”符丁”(プライベート世界での言葉)であって、まだまだ社会的に用いる言葉ではないのでは、というのが私の感覚です。


ただ、その「経験値」の使える仕事の領域もあるだろうなと。それこそ、ゲーム会社では飛び交っているでしょうし。あとAIなんかが学習した領域を数値で把握するにも「経験値」は使えるのかもしれない(適当)。ちなみに「経験知」って言葉もありますが、これはいささか哲学的。文面では使えるかもだけど、話すと「経験値」との区別がつかないし、ややこしい。でも、「経験値じゃなくて、私がいってるのは経験知なんだ~」なんて趣味的な会話が繰り出される会社、逆に好きかも。

 

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ヱヴァンゲリヲンも ガンダムだという 母よ生きよ

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