そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

2022-01-01から1年間の記事一覧

2022年の世界と日本と当ブログをふり返る・「生き残りたい」

2022年最後の更新です。今年の世界・日本の出来事をふり返りながら、その出来事についての当ブログの記事を紹介します。そこで「当ブログの2022年のふり返り」でもあります。 もくじ ロシアによるウクライナ侵攻 安倍元首相殺害 中国における新型コロナ対策 …

ハワード・ヒューズという究極の不幸な金持ち

12月24日のクリスマス・イブになると、私はこの日が誕生日の、ある大富豪のことを思い出します。 20世紀のアメリカにハワード・ヒューズ(1905~1976)という大富豪がいました。彼は早死にした父親が創業した機械メーカーを18歳で相続し、その後まもなく、会…

世界における「移民」「難民」の大まかで基本的な数字

「移民」「難民」のことは、世界情勢を理解するうえで非常に重要なはずですが、私たちはそれについては(世界情勢に関するほかのこととくらべても)まったく知識が足りないように思います。 この記事では、世界における「移民」「難民」についてのごく大まか…

お金を使うのはむずかしい・防衛予算増額のこと

防衛予算の増額については、今の日本周辺の情勢だと、一定程度はやむを得ないと、私も思います。しかし心配なのは、「増額した予算をうまく使えるか?」ということです。 アジア・太平洋戦争における日本軍は、軍事費の使い方が上手ではなかったようです。そ…

歴史と偉人の話が満載の『そういちカレンダー2023』をつくって販売しています

私そういちは毎年、歴史や偉人、社会などに関する記事がぎっしり詰まった、雑誌感覚の「読むカレンダー」をつくって『そういちカレンダー』という名称で販売しています(下の画像、現物はB5サイズ)。 これをトイレの壁とか、家族や仲間が立ち止まって読むよ…

「大国・先進国ばかり」ではないのが、サッカーのワールドカップ

オリンピックと比較したときのサッカーのワールドカップ(以下単にワールドカップ)の特徴として、「大国・先進国ばかりが強いわけではない」ということがあると思います。 いわば「サッカーにおける平等」が、限界はあるものの、かなり成立しています。 た…

虫プロ倒産のときに手塚治虫を救った、ある社長のこと

マンガ家・手塚治虫は、「虫プロダクション」というアニメーションスタジオを設立し、経営していました。 虫プロは、日本初の(毎週30分放映の)テレビアニメのシリーズである『鉄腕アトム』(1963~66放映)をはじめ、手塚治虫原作の作品を中心にいくつもの…

来年の手帳を買いました・13年間ずっと能率手帳

近所の書店で、来年(2023年)の手帳を買いました。 私そういちは、2011年以来毎年同じ手帳を使っています。「能率手帳」の一番昔からあるタイプのもので、1949年の発売のロングセラー。 2023年の手帳で私には13代目ということになります。まあ、この手帳は…

なつかしいFIRE(経済的独立による早期リタイア)というテーマについての経験談

「若いうちに資産形成をして、早期リタイアをしよう」という、FIRE(ファイア)といわれる考え方・ムーブメントがあります。 この記事では、FIREに関する私の経験を述べます。基本的に「FIREのすすめ」といえる内容です。 FIRE(ファイア)は、Financial Ind…

よく働き、よく学ぶ・エジソンが発明家として独立するまで

10月18日は発明王トマス・エジソン(1847~1931)の命日です。エジソンの葬儀が行われた1931年10月21日の夜、全米で彼の功績をたたえて1分間電灯を消すということが(どこまで完全に行われたかは別にして)実施されました。 エジソンは「よく働き、よく学ん…

日中戦争とウクライナの戦争の類似・和平交渉のむずかしさについて

先日(2022年9月15日)アップした当ブログの記事で、私は日中の戦争(満州事変も含めると1931~45)の経緯を簡単に紹介し、それが今のウクライナの戦争と似たところがある、ということを述べています。 要約するとこういうことです。 以下、侵略する国=日本…

日本初の鉄道建設・そこには日本人の前向きな面があらわれている

1872年(明治5)10月14日(旧暦9月12日)、新橋~横浜間(約29キロ)を結ぶ、日本で最初の鉄道が開業しました。10月14日は「鉄道の日」。 今年(2022年)は「鉄道開業150年」ということで、記念品の販売や関連のイベントなどが行われているようです。 この記…

レジー『ファスト教養』・ファスト教養をただ非難するのではなく「生き方」をまじめに考える本

レジ―著『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』(集英社新書、2022年)を読みました。レジ―さんは、企業に勤める傍ら、音楽をはじめとするポップカルチャーについて、ブログやその他のメディアで発信している方で、1981年生まれ。 「ファスト教養」は、…

専制国家・中国と、多元的で「民主主義」のインド

先日(2022年9月30日)アップした当ブログの記事で、「中国は権力集中の専制構造の社会で、日本は権力分散の団体構造の社会」ということを述べました。 現代中国の研究者にも、歴史学者にも、つぎのようなことを言う人がいて、私も「そうだな」と思うのです…

ボーア研究所のコペンハーゲン精神(わけへだてのない協力・自由な討議・ゆとりとユーモア)

「量子力学」の建設者、ニールス・ボーア(1885~1962、デンマーク)は、アインシュタインと並んで、20世紀を代表する物理学者だといわれます。 でも「量子力学とは何か」をきちんと説明する能力が私にはありません。とりあえず「現代物理学の重要な領域で、…

ル・コルビュジエ・「無名の若者が巨匠になるまで」の典型

ル・コルビュジエ(1887~1965)は、20世紀を代表する建築家です。なお、ル・コルビュジエはペンネームで、本名はシャルル・エドゥアール・ジャンヌレといいます。10月6日は、彼の誕生日。 彼は、数々の邸宅や公共建築のほか、大風呂敷な都市計画などで知ら…

「職業教育を重視した多様な学校教育」を60年前の政府は考えていた?

先日友人と、社会や歴史についての長時間の会話をしていて、日本の教育の話題になりました。友人はこんなことを言いました。 「同じような学校教育を、大半の子どもたちが小学校から大学まで10数年間も受け続けるなんておかしい」 「多くの子どもたちは、高…

「専門の事典を手元に置いて、ちょっと調べる」習慣のすすめ

私はいくつかの小型の専門事典(辞典)を手元において、ときどき参照しています。 「インターネットでたいていのことは調べられる」というのは、たしかにそうでしょう。私もインターネットで調べたり、確認したりということはしょっちゅう行っています。 で…

「権力集中」の中国と、団体・階層ごとに権力が分散する日本

中国社会の特徴として、「トップへの権力集中」ということがあると思います。 つまり「絶対的な権力者がいて、その権力者によってバラバラな個人が束ねられる」という専制的(独裁的)構造がある。 中国は、今も昔も専制的な「皇帝」が支配する社会です。毛…

「分断」のある幸せと心配

昨日の安倍元総理の国葬についての報道を、テレビでみました。 献花のための長い列、その一方で反対派のデモ。反対派のデモは警察官に誘導されていました。デモに対し怒りをあらわにして暴れようとする賛成派の人もいましたが、警察官がなだめて制止している…

GDPとは「総買い物額」だと理解しよう

最近、つぎのような報道が出て、ネット上でも話題になっていました。たとえば日経新聞(2022年9月19日)では「止まらぬ円安、縮む日本」という見出しでこう報じています。 《ドル建てでみた日本が縮んでいる。1ドル=140円換算なら2022年の名目国内総生産(GD…

『指輪物語』の初版は何部だった?・マイナーから興隆したファンタジー

最近、ハンフリー・カーペンター『J.R.R.トールキン 在る伝記』(評論社、1982年、菅原啓州訳)を読みました。 トールキン(1892~1973)は『指輪物語』(映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作、最初の巻は1954年刊)を書いたイギリスの作家。 この本でと…

今日の名言 葛飾北斎 70歳までに描いたものは取るに足りない

【今日の名言】葛飾北斎(江戸時代の絵師・1760~1849) 私は6歳のころからモノのかたちを写す癖があり、50歳のころから多くの作品を発表してきたが、70歳までに描いたものは取るに足りない。 己(おのれ)六才より物の形状(かたち)を写すの癖(へき)あり…

エリザベス女王の葬儀とチャーチルの戦争指導体制

エリザベス女王の葬儀(2022年9月19日)は、報道によれば1960年代から政府・王室のほか軍・警察・放送局などの関係者が、計画を練ってきたものだそうです。近年は女王自身も、その検討に加わって、詳細に希望などを伝えていた。 そして、先日その葬儀はつい…

今日の名言 雨の日は家に守られている

【今日の名言】吉村順三(建築家、1908~1997) 雨の日に家にいると、家に守られているようで、好きだ。(『吉村順三建築展・図録』より) 吉村はおもに昭和の戦後に活躍し、大規模な公共建築から低予算の小住宅まで、いずれもみごとな作品を残した建築家で…

そもそも「元首」とは? 元首にもいくつかのパターンがある

エリザベス女王の葬儀(2022年9月19日)の海外からの参列者は、女王が「元首」であることから、それに対応する各国の元首になるとのことです。 では、そもそも元首とは何か? 元首とは、国家のトップのうち「国を代表または象徴する存在」のこと。 そして「…

ウクライナの戦争と日中戦争は似ている?

ロシアによるウクライナの侵攻は、日本がかつて中国で行った戦争に似ていると、最近思うようになりました。 つまり、満州事変(1931~1933)およびその後の日中戦争(1937~1945)の経緯は、今のウクライナの戦争と共通性があるのではないか。なお、満州事変…

イギリス・フランスには「関西」がない――そのことの意味は大きい

イギリス史を専門とする歴史学者・川北稔さんに「イギリスに関西はない――首都とは何か」というエッセイがあります(『イギリス 繁栄のあとさき』講談社学術文庫所収)。 「イギリスに関西はない」とは、どういう意味か。 イギリス(ここではイングランドのこ…

今日の名言 ケインズ 「無用」な専門家のコメントへの皮肉

【今日の名言】ジョン・メイナード・ケインズ(イギリスの経済学者、1883~1946) 嵐の最中、経済学者にいえることが「嵐が過ぎ去れば波はまた静まるだろう」というだけならば、彼らの仕事は無用である。 テレビや新聞などで、その手の「無用」な専門家のコ…

エリザベス2世は「最初の現代人」

英国の女王エリザベス2世(1926~2022)が、9月8日に亡くなりました。 テレビの報道で、彼女の生涯をふりかえる映像(動画)をみました。幼少期から、現在までのいろんな映像が残っている。 彼女の昔の映像をみていると私は、「本筋」のことではないかもしれ…