視点

クリスマスの思い出

子供の頃、プラモデルが欲しくて欲しくて仕方なかった。 「ガンダム」とかがはやっていた頃だ。 欲しくて欲しくてどうしようもなかったけど、誕生日だって両親はそれを買ってくれたことはなかった。 そんなあるクリスマスの日、朝起きたら、プラモデルが枕元…

遺物

先日、友達に強く言われて、前カノの残していったもの――化粧道具とか生理用品、部屋着といった日用品――を処分した。別に未練があって残していた訳ではなく、単に片づけるのが面倒だっただけなのだが。 昨日、警察に身分証として、保険証を持っていった。警官…

暗闇を通り過ぎれば

今日、学生時代に一緒にバンド組んでいたギタリストのサイトを見つけた。 以前にも書いたことがあると思うが、前の会社にいた時にたまたま出向先にいた奴だ。 彼も会社を辞め、次の仕事を探しているらしい。 彼のサイトを見て判ったことだが、後輩が会社を作…

「君のせいだからね」

倒れた酒瓶、零れた酒、中身の無い包装シート、散らばった錠剤。 炬燵で眠る彼女の手首から目を逸らす。 幾本もの線条痕。察知出来なかった訳ではない。 けれどもそれと同じ事。少しため息をついた。

微睡みの中

週末に彼女は薬を大量服用して、様子がおかしくなった。 昨晩、ようやく本来の彼女らしくなったので、安心してしまったのか、いつの間にか炬燵で寝てしまっていた。 考えてみれば当たり前だ。私は土曜日から合わせて10時間足らずしか寝ていなかったのだから…

帰りを待つ

とても空腹。 キッチンには鍋一杯のおでん。冷蔵庫に冷えたビール。少し綺麗になった部屋に一人。 足りないのは食事の相手。 彼女は仕事で帰りも遅い。 今日は少し嫌な思いをさせてしまったから、お腹が空いても我慢我慢。 最後の煙草が終わったら、補充つい…

好きな時間帯

私の好きな時間帯は、いわゆる「逢魔が刻」という時間帯だ。 昼と夜の境界が薄い靄の中に溶け込むようなとき、全ての境界線があいまいになったように感じて安心し楽しくなる。