2024年 03月 19日
坨の史料学 |
竹簡が巻き込まれた形で形成された坨だが,そこから編綴されていた簿籍を本来の形状に復元する研究が盛んになっている.簿籍として編綴されて用いられ,かつ保管されていたのであるから,このような復元作業は困難を伴うが,当然のことながら行なわれるべきである.
しかし巻き込まれていたからと言って,それを前後関係を忠実に復元したとしても,簿籍としての本来の形状が直ちに復元できるわけではない.吏民簿にはいくつかの種別があることは既に指摘されているが,どれもこれも吏民支配のための基礎資料であり,またそれがゆえに取り扱い注意の資料だったはずである.それを編綴したまま井戸に投げ捨てるというような安易なことをしたであろうか.答えは否である.その結果が,坨の構成内容に如実に示されているのである.
by s_sekio
| 2024-03-19 09:23
| その他