電気自動車(EV)のこれから

 ジョー・バイデン米大統領は米国時間の8月5日、2030年までに米国で販売される新車の半分を電気自動車にするという大統領令に署名した。トランプ政権が緩和した自動車の燃費基準は引き上げられる。 政府はまた、電気自動車の販売を促進するため、自動車とトラックの汚染規則を強化する予定だ。

 電気自動車(EV)とは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を持たず、電気を動力源としたモーターによって走行を行う自動車である。

 内燃機関を持たないため、二酸化炭素や窒素酸化物といった物質が排出されない、地球温暖化対策や環境に優しい自動車として注目を集めている。

 自動車を動かす動力源となる電気は、ディーラーはもちろん家庭や商業施設などで充電が可能で、その充電スポットは電気自動車の普及に伴って急速に数を増やしつつある。

 最近では、満充電状態で300~500Kmとガソリン車の燃料満タン状態とほぼ同じ水準の航続距離を持っているモデルも登場している。日常使いはもちろんレジャーなどで遠出をする機会が多い人でも安心して乗りこなせるようになってきた。

 問題は価格が高いところだ。一番安いクラスでも、テスラModel Xでは1,200万円、ベンツEQCで1,000万円、国産車ではホンダeで450万円、日産リーフe+でも450万円と一般的な家庭にはまだまだ高い印象がある。

 三菱自動車、200万円切る軽EV

 しかし、小型車ならば結構値段が下がってきた。三菱自動車は国内で2023年度までに軽自動車の商用EVを200万円未満まで約2割値下げする。

 日本勢のEVで最安水準となる。仏ルノーは今秋、現行EVの半額程度の新型車を欧州で出す。買い手の裾野が広がる普及期に入り、大衆化で先行する中国勢との競争が激しくなる。

 本体価格はガソリン車よりなお高いが、EVの補助金や走行に使うガソリン代や電気代なども勘案すると、ガソリン車に近いコスト競争力を持つ車種が小型車では出てきた。

 三菱自は現在240万円強からで販売している商用EV「ミニキャブ・ミーブ」を安くする。電池などを低価格の最新のものに替える。1回あたりの航続距離は150キロメートルを維持する。

 東南アジアでは23年に軽自動車サイズのEVを200万円前後で出す。タイで年1万台生産する。ハイブリッド車(HV)分と合わせて新設備に190億円を投じる。現地で販売している最も安い自社のガソリン車は170万円程度だ。

 ルノーは傘下の「ダチア」ブランドから低価格EVを出す。航続距離を230キロ、最高時速は125キロに抑え、フランスの場合で約226万円とする。中国で生産し逆輸入することで「欧州最安EV」をうたう。独フォルクスワーゲン(VW)も25年にも2万ユーロ前後のEVを売り出す。

 電池の生産コスト減少

 EVの低価格化をけん引するのが、原価の3~5割を占めるとされる電池の生産コストの減少だ。20年までに12年比8割下がった。中国や欧州で量産が進んだことが大きい。

 三菱自のミニキャブ・ミーブの場合、同クラスのガソリン車との価格差は現在約130万円あるが、値下げで約90万円まで縮まる。ただ、EVには10万円単位の補助金がつく。政府は車種によって異なるが最大で42万円を支給。東京都など独自の補助をする自治体もある。

 「燃料費」の違いを勘案すると価格差はさらに小さくなる。次世代自動車振興センターによると、日本で10万キロ走った場合、ガソリン車の燃料代は69万円なのに対してEVの電気代は31万円。車両の実質価格の差が38万円を切るとガソリン車とEVの価格競争力が逆転する計算だ。

 海外の主要国もEV普及を後押しするために補助金を拡充している。中国では機能を徹底的に絞ることでガソリン車より安い約50万円まで価格を下げたEVが登場し、販売台数を伸ばしている。

 電気自動車(EV)のメリット

 地球環境に優しいとされる電気自動車だが、ここでは具体的なメリットをご紹介する。地球環境だけでなく、人にも優しいとされるポイントを抑えておおう。

1.二酸化炭素(CO2)を排出しないので環境に優しい

2.走行音と振動がほとんどないので乗り心地が快適

3.充電は自宅でも外出先でもOK!電気代もお得

4.購入時の補助金制度や減税など優遇策が充実

 充電スポットの充実

 電気自動車の動力源となる電気の充電は、ディーラーや商業施設、公共施設のほかにも自宅で行うことも可能。電気自動車の普及を促進するため、充電スポットは急激に数を増やし、都市部はもちろん郊外でも比較的容易に充電することが可能。

 気になる費用ですが、例えば自宅で40kWhのバッテリーを残量がほとんどない状態から満充電した場合、概ね1,000円の充電が可能。モデルによって異なるが、満充電で走行できる距離はガソリン車の燃料満タン時とほぼ同じかやや少ない程度となるため、大幅にお得な金額で走行することが可能になった。

 外出先での充電は、急速充電を利用するとやや割高となりますが、それでも1分あたり10~50円、普通充電であれば1分あたりで無料~8円程度での充電が可能となっている。

 購入時の補助金制度や減税など優遇策が充実

 ガソリン車と比較すると車体そのものは割高になりがちな電気自動車だが、国や自治体によって購入時の補助金制度や減税といった優遇制度が設けられている。それによって新車購入時や維持費など、負担額の差が大きく縮まっている。

 新車購入時の補助金は、国産車や外国産者を問わず受けられる環境省の事業をはじめ、国産車を対象とした経済産業省の事業、そして住んでいる自治体が独自の事業から受けられる。

 また、自動車購入時に課せられる税金となる「環境性能割」ですが、電気自動車は非課税となっているほか、毎年課税される「自動車税」においても優遇が受けられるといったメリットも存在している。

参考 三菱自動車: MINICAB-MiEV