化学合成生物群集
熱水噴出孔(hydrothermal vent)は地熱で熱せられた水が噴出する割れ目である。数百度の熱水は、重金属や硫化水素を豊富に含む。熱水噴出孔がよく見られる場所は、火山活動が活発なところ、発散的プレート境界、海盆、ホットスポットである。 熱水噴出孔は地球上ではふんだんにみられるが、その理由は地質学的活動が活発であることと、表面に水が大量にあることである。
深海によく見られる熱水噴出孔周辺は、生物活動が活発であり、噴出する液体中に溶解した各種の化学物質を目当てにした複雑な生物社会が成立している。有機物合成をする細菌や古細菌が食物連鎖の最底辺を支え、そのほかにジャイアントチューブワーム・二枚貝・エビなどがみられる。
このような、太陽の光の届かない深海底などにおいて,海底から湧き出す熱水や冷湧水に含まれる硫化水素やメタンに依存している生物群集を化学合成生物群集(Chemosynthetic community)という。深海であるにもかかわらず、大型の生物も多く、魚類やシロウリガイなどの二枚貝やハオリムシ、ユノハナガニといった生物がみられる。これらの多くは、体内に硫黄酸化細菌やメタン酸化細菌といった細菌を共生しており、それらがメタンや硫化水素から生成したエネルギーに依存している(このようなシステムを光合成に対して,化学合成という)。
深海の不思議 (発見!ネイチャー&サイエンス) | |
クリエーター情報なし | |
日本実業出版社 |
nature [Japan] July 9, 2015 Vol. 523 No. 7559 (単号) | |
クリエーター情報なし | |
ネイチャー・ジャパン |
これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。
��潟�<�潟��