東京・駒場で新種のカメムシ「エドクロツヤチビカスミカメ」を発見
 東京大学(東大)は12月26日、同大駒場キャンパスで採集したカメムシが新種であることを確認したと発表した。

 同成果は、同大大学院総合文化研究科の石川忠 特任研究員、同研究科の伊藤元己 教授、アメリカ自然史博物館の安永智秀 特別研究員らによるもの。詳細はオランダ昆虫学会誌「Tijdschrift voor Entomologie」に掲載された。

 近年、生物多様性条約が締結されるなど、地球規模での生物の多様性を保持するための取り組みが進められているが、例えば日本における都市部では、元来の自然があまり残されていないにも関わらず、その生物相は完全に把握されているとは言えなかった。


 そこで研究グループは今回、東京都・目黒区にある東大駒場キャンパスの生物相の解明に向けた研究の一環として、1年間にわたるキャンパス内のカメムシ類採集を行ったという。合計で114種類のカメムシ類の生息を確認したが、その過程において、初夏にアカメガシワの花に訪花していた昆虫を採集した試料の中から、採集された未知のカメムシ(カスミカメ類)を発見。

 同カメムシの外部および内部形態の調査を行い、既知の近縁種と比較したところ、これまで報告されたことのない新種であることが判明したという。

 新種であるため、名前がなかったことから、和名として「エドクロツヤチビカスミカメ」、学名としては、駒場キャンパスで得られたことにちなんで「Sejanus komabanus(セジャヌス・コマバヌス)」と命名された。

 なお、現在のところ、この新種カメムシは駒場キャンパス以外での生息は確認されていないという。(マイナビニュース 2013.12.27)


 カメムシとは何か?
 カメムシ(椿象、亀虫)は、カメムシ目(半翅目)・カメムシ亜目(異翅亜目)に属する昆虫のうち、カメムシ科など陸生昆虫の総称である。標準和名を「カメムシ」とする昆虫は存在しない。悪臭を放つことで知られる。そこから「クサムシ」や「屁こき虫」という俗称がある。英名の”Stink bug”(臭い虫)もその習性に由来する。

 カメムシの名で呼ばれる昆虫にはいくつもの科がある。カメムシ科にはナガメ、アオクサカメムシなどが含まれている。

 頭は先端が尖った三角形、前胸は左右に張り、羽根に覆われた胴体は後ろすぼみになっているので、全体はおおよそ五角形の底を引き伸ばしたような形になる。一部の地域ではヘッピリ、またはクサンボと呼ばれている。

 頭部は三角で、細長い触角がある。複眼は頭部の基部の左右に突き出ている。前胸は左右に張りだし、肩のように角をもつものが多い。そこから後方の胴体は羽根に覆われる。前羽根は基部の半ばまでは固く厚くなり、先だけが膜状になる。この羽根の先だけを左右を重ねるように、胴体の背面に折り重ねて畳む。左右の翅の基部の間は、背中が三角に見えており、この部分は厚くなって、小楯板(しょうじゅんばん)と呼ばれる。後翅は、前翅の下に折り込まれる。

 口器はストローのような形で、頭の下側に折り込まれている。足は三対、特に特徴のない歩脚型のものが多い。ヘリカメ類には、後ろ足が太くて刺があったりといった発達が雄に見られる場合がある。

 カメムシの卵は円筒形で、上端が丸い蓋になり、片端に蝶番があるものが多い。孵化の時は、この蓋を押し開けるようにして、幼虫が出てくる。幼虫は成虫とほぼ同じ形だが、模様が異なる。蛹を経過せずに羽化する、いわゆる不完全変態である。


 臭いの効用
 カメムシは、胸部第三節である後胸の、腹面にある臭腺から悪臭を分泌する。敵の攻撃など、外部からの刺激を受けると分泌され、捕食者に対しての防御であると考えられている。

 群れでいるカメムシの場合1匹が臭いを発すると、たちまちのうちに周辺一帯のカメムシが逃げ出す現象が見られる。カメムシの臭いは、仲間に対しては警報の役割を果たしている。

 カメムシの悪臭は、彼ら自身にとっても有害である。瓶の中にカメムシを入れ、つついて臭いを出させたあと、蓋を閉めておくと、死んでしまうことがある(テレビ番組『トリビアの泉』でも紹介されている)。

 カメムシ学者の中には、臭いでカメムシの種類をかぎ分ける者もいる。オオクモヘリカメムシは、青りんごのようなにおいを放つ。

 カメムシ類は植食性のものが多く、葉や茎、果実などに口を差し込み、液を吸収する。草や木の上に暮らすものが多いが、地中で根につくものや、地表に生息し、落下した種子などから吸収するものもある。

 朽ち木に生息するものでは、菌類を餌にするものもあると見られるが、詳しいことはよく分かっていない。

他の昆虫などを餌にする肉食性のものもある。サシガメはさまざまな昆虫を餌にし、一部には大型動物から吸血するものがある。クチブトカメムシ類は主としてイモムシなどのガ類の幼虫を標的にする。

 クチブトカメムシ類は肉食と同時に植物からも吸汁するが、同様に肉食と草食の両刀使いの性質を示すものは多く、草食を主に肉食を交えるものとしてスコットカメムシやウシカメムシが知られている。またカスミカメムシ科には純肉食や肉食主体で草食を交えるものから草食主体で肉食を交えるものまで様々なバリエーションがある。

 多くのカメムシは餌のところに卵を産み、そのまま放置するが、ツノカメ類など、一部に雌が産卵後も卵を守る行動をするものが知られている。また、一つの卵塊から孵化した幼虫が、ある程度成長するまで集団で生活するものも見られる。他に、ヘリカメムシ類では、多数の雌の集団を一頭の雄が守る、ハーレムを作るものが知られている。そのような種では、雄の後ろ足が太く発達し、他の雄が近づくと、その足で蹴るようにして撃退しようとする。

 クサギカメムシなどでは、集団で越冬するものが知られている。時に人家が越冬場所に選ばれると、たいてい住人は悪臭に悩まされることになる。漬物桶に一匹飛び込むと、もう使いものにならなくなるといわれている。


Wikipedia: カメムシ マイナビニュース: 東京・駒場で新種のカメムシ

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