無人航空機で宅配計画 
 無人航空機は、人が搭乗していない航空機のこと。単に無人機とも呼ばれる。無人機といえば、一般的には軍事目的で使われるイメージが強いが、アメリカ国内では民間での利用についても様々なアイデアが出されている。

 現在ではビデオカメラが搭載された小型の無人機が安いものでは5万円ほどで販売されており、ラジコン機のように簡単に操作できるため、市街地での空撮用、空輸用としてメディアが注目している。例えば、米アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが先日、同社が5年以内に無人飛行機を使った新しい宅配サービスを開始する計画があると明らかにしている。

 マサチューセッツ工科大学では現在「スカイコール」というプロジェクトが進められている。これはキャンパス内でスマホを使って無人機を呼び出し、行きたい場所をスマホに打ち込むと、そのデーターを受信した無人機がゆっくりと低空飛行しながら、訪問者を希望の教室や研究所に連れて行ってくれるサービスである。また、農業でも農薬の散布や害獣の監視で無人機が注目されている。


 プライバシーの保護といった観点から、アメリカ国内で無人機を飛行させることには賛否両論あるが、無人機ビジネスが新たな成長産業になる可能性もあり、ビジネスチャンスを窺う企業は少なくない。

 首都ワシントン郊外に本部のある業界団体「国際無人機システム協会(AUVSI)」は、民間企業の無人機利用が解禁された場合、最初の三年間で約7万人分の雇用が創出されると見込んでいる。(THE PAGE 2013年12月7日)


 アマゾンの空飛ぶ配達で注目 無人機ビジネスの課題と可能性は?
 米アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが先日、同社が5年以内に無人飛行機を使った新しい宅配サービスを開始する計画があると明らかにしました。ベゾスCEOは「注文から30分以内に商品の配達が完了するシステムを完成させたい」と意気込んでおり、同社の新しい流通戦略に注目が集まっています。この計画が実現するかどうかも含めて、無人機ビジネスの課題と可能性も見えてきました。

 米アマゾンのこの計画対しては様々な声があがっていますが、アマゾンはすでにオクトコプター(8枚のローターを備えたヘリコプター)の自社開発に成功しています。GPS機能を搭載したオクトコプターで全米各地の物流センターから購入者の住む家に注文した商品が送り届けられます。無人機には5ポンド(約2.2キロ)までの商品を積むことでき、行動半径は10マイル(約16キロ)になると伝えられています。

 動画URL:http://www.youtube.com/watch?v=98BIu9dpwHU

 しかし、クリアしなければならない問題も存在します。全世界でアマゾンを利用するショッピング客は年間3億人超といわれており、アメリカだけで考えた場合も、莫大な数には変わりありません。それだけの顧客に対応できる無人機をアマゾンが用意できるのかは不明ですし、なによりもFAA(連邦航空局)が定めている現行の制度ではまだ特定のエリアのみでしか民間の無人機利用は認められていません。


 法整備にはまだ時間がかかる
 FAAのフエルタ長官は11月、民間企業の無人機利用解禁に向けたロードマップを発表。2015年9月までに連邦議会がアメリカ国内での民間企業の無人機利用に関する調査を行い、調査結果をもとにして新たなルールを設定したのち、まずは7500機程度の無人機に飛行許可を与える考えを示しています。

しかし、議会による調査はすでに当初の予定から数カ月の遅れを見せています。加えて、地上で無人機の操縦を担当する人員を今から大量に養成できるのか、飛行中の無人機が操縦不能に陥った場合に事故を回避する手段はあるのかといった問題も指摘されており、問題が山積したままです。(THE PAGE 2013年12月7日)


 米無人機が結婚式の車列を誤爆、14人死亡 イエメン
 一方、無人機を有名にしたのが、米国がテロリスト対策に開発した、攻撃用無人機である。これは、本国にいながら他国の攻撃目標に、人工衛星のGPS機能を使い、遠隔無線操作で敵に近づき、ミサイルを発射し殺戮する。しかし、民間人を巻き込むミスが多発している。

 イエメン・サヌア(CNN) イエメンの国家治安当局者は12月12日、米軍の無人機が結婚式の車列を誤爆し、14人が死亡、22人が負傷したと語った。うち9人は重体だという。

 当局者2人がCNNに語ったところでは、車列はアルバイダ州ラッダ近郊を走行中に攻撃された。米軍の無人機は、国際テロ組織アルカイダのメンバーが乗っているとの情報を受けてこの車列を狙ったという。しかし「犠牲者の中にはイエメン政府が手配中の容疑者はいなかった」と当局者は話している。

 攻撃されたのは11台で構成される車列のうちの4台で、2台は完全に破壊された。犠牲者のうち2人は地元部族の有力指導者だったという。米当局はこの情報についてコメントを避けた。

 ラッダの住民はイエメン政府に対し、同地域での無人機による攻撃をやめさせるよう訴えている。

 現場を目撃した男性は、「この町では罪のない民間人が50人以上も無人機に殺されてきた。犠牲者はみんな、政府のテロ対策を支持していた。だが政府が介入しなければ、部族や家族の支持は得られなくなる」と憤りをあらわにした。

 無人機による攻撃は、米国とイエメンが共同展開するアルカイダ撲滅作戦の一環として行われている。(CNNnews 2013.12.13 Fri)


 日本防衛計画 オスプレイ、5年で17機 中朝念頭、無人機は3機
 一方、日本では新たな防衛計画の発表があり、オスプレイをはじめ、無人機3機を導入することを決めた。

 政府が12月17日に閣議決定する新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)と平成26~30年度の中期防衛力整備計画(中期防)で、具体的な防衛力の数量を示す「別表」の全容が13日、判明した。中期防期間の5年で、事実上、垂直離着陸輸送機オスプレイを指す「ティルトローター機」17機の取得を明記。米軍が運用している無人偵察機グローバルホークを念頭に「滞空型無人機」3機を導入するとした。(産経news 2013.12.14)


 米軍の無人機攻撃は国際法違反なの?
 米軍の無人機攻撃では民間人の犠牲者も出ている。これは国際法違反ではないのか?

 2013年10月22日、世界的な人権団体アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは、米軍がパキスタンやイエメンで行っている無人機攻撃が国際法に違反し、戦争犯罪の疑いがあるという声明を発表しました。国際世論に大きな影響力をもつ二つの団体が揃って批判したことで、米国政府は厳しい立場に立たされています。

 米軍は2004年頃から、無人機を対テロ戦争に投入してきたといわれます。無人機は米国内からの遠隔操作で、偵察だけでなくミサイル攻撃も可能です。

 米軍の無人機攻撃は長く「公然の秘密」でしたが、今年4月、国家テロ対策センター議長だったジョン・ブレナン氏は政府関係者として初めてこれを認めました。ブレナン氏は、音が小さく、気づかれにくい無人機はテロリストを確実に攻撃できるため、民間人や米兵の犠牲者が少ないと強調。無人機攻撃が戦略として優れているだけでなく、倫理的にも問題ないと主張したのです。

 また、ブレナン氏は米国がアル・カイダと「戦争状態」にあるため、国外であっても脅威となるテロリストを攻撃することは米国憲法に矛盾せず、さらに「遠隔操作による攻撃を禁止する国際条約がない」ため、国際法違反にもあたらないと強調。無人機計画の責任者とみられ、その後CIA長官に就任したブレナン氏の見解は、オバマ政権の見解といえます。
 
 国際法「違反」とする3つの理由
 しかし、無人機攻撃は国際的に批判を呼んでいます。10月20日、国連は2004年から米軍がパキスタンで行った無人機攻撃が330回におよび、その結果約2200人が死亡し、そのうち少なくとも400人が民間人だったと報告して懸念を示しました。

 今回、アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは無人機攻撃が大きく以下の三点で、1949年のジュネーブ諸条約および追加議定書などに違反していると批判しています。

 第一に、戦時に「敵意をもった相手」を攻撃することは認められていますが、無人機攻撃は敵意や武器の有無の識別が充分でない可能性が高いこと。第二に、仮に標的がテロリストでも、「敵対行為」を行っている最中でなければ、過去の行いを理由に攻撃できないこと。第三に、テロリストへの攻撃は捕獲が難しい場合に認められていますが、その場合でも警告が必要で、それらの手順を踏まない攻撃は「裁判によらない処刑」でさえあり得ることです。


 孤立する米国の主張
 これに対して、米国政府は「国内法、国際法に照らして問題ない」という立場を崩していません。さらに「米国政府は包括的なデータをもっており、それによれば民間人の死傷者はもっと少ない」とも主張。しかし、根拠となる標的の選定基準、作戦の実施回数、死傷者の数などは明らかにしておらず、批判に応えているといえません。

 さらに、安全保障上のパートナーであるパキスタンのシャリフ首相も、国内の反米感情を背景に、10月23日のオバマ大統領との会談で無人機攻撃の停止を要請しています。オバマ大統領は無人機攻撃への理解を求めていますが、米国の主張は孤立を深めているといえるでしょう。(THE PAGE 2013/10/29)


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