富士山よりはるかに大きい火山
富士山が世界遺産に登録されて、今夏はどのくらい登山者が増えたのだろう?
環境省は9月10日、前年同期に比べ2.5%減の31万721人だったと発表した。世界文化遺産の登録効果で大幅な増加が見込まれたが、渋滞緩和や環境保全を目的としたマイカー規制強化などが影響、ほぼ前年並みとなったという。意外だ。
富士山は日本では大きな火山であるが、世界ではもっと大きな火山がある。例えば、ハワイのキラウエア火山は、富士山の13倍以上の大きさがある(富士山1400km3で、キラウエア火山は18700km3)。さらに、ハワイ島は火山島であるので、海底からの高さをかんがえると、その大きさは富士山の約100倍以上にもなる。
しかし、こんなことで驚いてはいけない、地球最大の火山が日本近海の海底で見つかった。太陽系全体を含めても最大級になるという。こんな近場にこんな怪物が眠っていたなんて、びっくりだ。
この「タム・マシフ(Tamu Massif)」と呼ばれる巨大火山、場所は日本の東方約1600kmの太平洋の海底で、海面からは見えないが、高さは2.2マイル(3541m)で、エベレストの半分ぐらいある。タム・マシフは何がすごいって、面積と体積。裾野は総面積11万9000平方マイル(31万平方km)―米ニューメキシコ州に迫る規模。
世界最大の活火山マウナロア(総面積2000平方マイル=5179平方km)でもこの2%にしかならない。 高さでは太陽系最大の火星の山「オリンポス山(Olympus Mons)」(標高2万2000m)に遠く及ばないが、体積ではオリンポス山より25%少ない程度。
これまで、ここに火山が複数あるのはわかっていたが、今回、テキサスA&M大学の調査で、一つの火山であることが判明した。
以下はNational Geographic newsの記事「太平洋の海底で世界最大の火山を発見か?」から引用する。
巨大な海底火山を発見
日本の東方沖およそ1600キロの太平洋で、単一の巨大な海底火山が特定された。最新の研究結果によると、底面の広さはアメリカのニューメキシコ州や、イギリスとアイルランドを併せたブリテン諸島の面積に相当する。地球上はおろか、太陽系の中でも最大級の火山であると見られる。
盾状の海底火山、タム山塊は、小規模な火山が集まってできたと考えられていたが、いずれ見直しを迫られる可能性が出てきた。
研究を発表したのは、アメリカ、テキサス州にあるヒューストン大学の地質学者ウィリアム・セーガー(William Sager)氏らのグループ。セーガー氏は「タム山塊は単一の巨大な火山で、その規模はこれまで太陽系内で最大と考えられてきた火星のオリンポス山に匹敵する」と述べている。
主に玄武岩から成り、太平洋北西部の海底台地、シャツキー海台にある。水深6400メートル付近を底面とする丸いドーム状で、面積は約30万平方キロ、頂点は水深約2000メートル。地球上最大の活火山、ハワイのマウナロア山も、その底面の広さは5200平方キロ程度とタム山塊には遠く及ばない。
研究を始めておよそ20年になるセーガー氏は、この山塊の名付け親でもある。同氏がかつて所属していたテキサスA&M大学(Texas A&M University)の頭文字から、「タム(Tamu)」と命名した。
シャツキー海台が初めて地図に記載されたのは20世紀初頭。セーガー氏によると、「その一帯が巨大な海底山脈であることは知られていたが、その構造や形成過程についてはほとんどわかっていなかった」という。
中生代に一時期活動した古代火山
シャツキー海台は、同時に発達した複数の火山の集合体として形成されたという説が一般的だった。隣接する5つの火山が噴火して生まれたハワイ島とよく似ている。
だが今回、研究チームがタム山塊の地震データを調べたところ、思いがけない事実に突き当たった。
「中心からあらゆる方向に溶岩が流出した痕跡が見られるが、火山活動の二次的な発生源は見当たらない。これは意外だった」とセーガー氏。
研究チームはさらに、タム山塊からいくつものコア試料(柱状の地層サンプル)を採取し、化学分析を行った。その結果、構成岩石および形成年代がほぼ同一である可能性が強まる。
研究チームは、タム山塊が単一の火山で、おそらくは数百年という比較的短い期間に形成されたという結論に至った。またセーガー氏によると、形成後ほどなくして火山活動を休止したという。時期はおよそ1億4500万年前、ジュラ紀後期から白亜紀前期にかけてと推定される。
世界の海台に古代火山の可能性
アメリカ、ウィスコンシン大学の地質学者ブライアン・ジチャ(Brian Jicha)氏は次のように語る。「この説が正しいとすれば、タム山塊はまさしく超巨大火山だということになる。海台は世界中に数多く存在する。そのうちのいくつかが火山だとすれば、この研究成果は海台の形成過程に関する常識を覆す可能性すら秘めている」。
セーガー氏も、さらなる研究が必要だと考えている。「世界には同じような海台が十数カ所程度あるのではないか」。タム山塊よりも大規模な海底火山が存在する可能性も十分考えられるようだ。
今回の研究結果は9月5日、「Nature Geoscience」誌に発表された。(Brian Clark Howard for National Geographic News September 6, 2013)
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