敦賀破砕帯、活断層の可能性
原子力発電所の下の活断層が問題になっている。活断層かそうでないか、専門家どうしが議論してもはっきりと結論が出ない。果たして特定することはできるのだろうか?現状を調べてみた。
例えば、敦賀発電所の敷地内の断層(破砕帯)について、原子力規制委員会は12月10日、日本原子力発電敦賀発電所の敷地内破砕帯に関する評価会合を開催した。
問題視される敦賀2号機の直下に延びる「D-1」と呼ばれる破砕帯について、原電は「少なくとも9万5千年以降は動いていない」と強調。さらに詳細な再調査を行う意向を示した。ただ敦賀発電所を現地調査した専門家からは、D-1を活断層とみなす意見や、活動性の強い浦底断層が敷地にあることを問題視する意見が相次いだ。
規制委の島崎邦彦委員長代理は専門家の見解に「大きな食い違いはない」とし、D-1破砕帯の一部を「活断層として考えられる」とまとめた。 (2012/12/11 電気新聞)
大飯原発は結論持ち越し 活断層の判断、専門家も難しい
関西電力・大飯原子力発電所(福井県)の敷地内を走る断層を調査した国の原子力規制委員会は、2012年12月28、29日の2日間にわたる調査を終えたが、活断層かどうかの見解はまとまらなかった。2013年春に最終判断を「持ち越す」という。
大飯原発は国内で唯一稼働している原発で、規制委員会の田中俊一委員長が「重要施設直下に活断層があれば、関西電力に停止を指示する」との考えを示していた。
大飯原発では、敷地内を縦断する「F‐6破砕帯」が活断層である可能性が指摘されている。2012年11月の現地調査で新たに確認された地層のずれが活断層か地滑りかで見解が分かれたため、関電が追加調査を求めていた。
12月28日の調査で原子力規制委員会は、島崎邦彦委員長代理が「活断層はないという関電の説明には納得していない」と、活断層の疑いが残るとしていた。
関電は、断層は「地滑り」によるものと主張する。関電は海岸付近に掘った溝を東西に延長して調べた結果、「溝の東西で同じようなずれが見つかった」と説明。地滑りにみられる、馬てい状に土が崩れ落ちる「ずれ」が溝の東側と西側に同じ方向があったため、地滑りの可能性が高いと判断した。
調査団も溝に入って地層の歪みを見たり、土を採取したりしたが、関電と同じ見解を示したのは5人の調査団のうち、立命館大学の岡田篤正教授だけ。ほかの4人は「説明しきれない部分がある」(信州大学の広内大助准教授)と述べるなど、疑問が残った。
そのため、29日は原子炉建屋北側の溝を調べ、F‐6断層の走向などを確認。調査を続行したが、それでも敷地内に活断層が走っているかどうか、見解は一致しなかった。
島崎委員長代理は「まだ検討が必要だ。大飯原発は判断が難しい。データを整理する時間がほしい」と話し、関電の追加調査を待って13年春以降に最終判断するとの見通しを明らかにした。
東通原発の再稼働、13年春に「新基準」で判断
一方、原子力規制委員会は東北電力・東通原発(青森県)の敷地内の断層については、島崎規制委員長代理ら専門家が現地調査した結果、「活断層の可能性が高い」との見解でほぼ一致した。調査団が原発の敷地内で活断層の存在を指摘するのは、敦賀原発(福井県)に次いで2例目。
ただ、活断層が原子炉建屋の真下を通る敦賀原発が、再稼動を認めず、廃炉の可能性が強まっているのに対して、規制委員会は東通原発の敷地内の断層が活断層と判断された場合でも、再稼働できるかどうかの判断を13年春まで先送りする考えだ。
規制委員会は地震による原発の安全性への基準づくりを見直している。その新基準を待つ必要があり、田中俊一委員長は「基準が出ないと判断の根拠がない」と話し、さらには「事業者が耐震対応し、その結果がよければ運転できる」と述べている。
活断層が敷地内を走っていても、再稼働できる可能性に含みをもたせたわけだ。
安倍晋三首相は、民主党政権時の「2030年に原発ゼロ」の方針を、踏襲しない考えを示している。また、茂木敏充経済産業相も原子力規制委員会が安全確認した原発の再稼働について、「政府の責任で決めたい」と発言。再稼働の最終判断に、政府が強く関与し、前面に立って地元自治体などと調整を進める考えを明らかにしている。(2012/12/30 J-cast news)
地震予知は未熟、活断層判断も現状無理
結局、地震予知技術さえ、まだ未熟なのに、活断層かどうか見分ける技術があるとは思えない。こうした議論はほとんど意味がないと思う。
原発の敷地内に活断層が存在する恐れがあるとして、原子力規制委員会が6つの原発を調査中だ。敦賀原発(福井県)は活断層があると判断され、廃炉の可能性がある。また東通原発(青森県)でも活断層が存在する可能性が濃厚になっている。
だが2005年の福岡沖地震や07年の新潟県中越沖地震など、大地震は活断層と関係ない場所で起きており、逆に地震後に新たな断層が見つかることも多い。活断層から地震の可能性を論じる地震学は役に立っていない。
「断層ができたということは、これから動くということじゃないんです。断層というのは、どこにでもできるんです」と述べている人もいる。
断層は地層のずれで生まれるもので、地震の原因というよりむしろ結果として生じるものではないか。ずれた地層は再び動く恐れがあると言っても、可能性を議論するのは不毛な話だ。
実際に、地震予知計画が日本で始まって以来、予知に成功したケースはない。東日本大震災も阪神大震災も、ほとんどノーマークだった場所で起きている。
予知に失敗し続けてきた地震学は、起きるか分からない地震の危険性をことさらに煽り、予想を外した時の逃げ道をつくっている。その言い逃れに利用されているのが活断層なのだ。 (The Liberty web)
あいまいな活断層の定義
活断層は〈最近の時代まで活動しており,将来も活動する可能性のある断層〉と定義される。ここでいう〈最近〉とは,厳密な規定はないが,現代の地質・地形学の分野では,一般に第四紀または第四紀の後期(およそ数十万年前以降)を指す。
1906年のサンフランシスコ地震のときに、以前から地質学的には知られていたサン・アンドレアス断層が再活動し、新たな変位を生じた。それまで断層とは、「過去の地質時代に岩石がずれ動いたことを示す単なる痕跡」と考えられていたのが、このとき、「断層のなかには現在もまだ活動をやめていないもの、したがって将来にも活動するかもしれないものもある」という考え方が生まれた。
「極めて近き時代まで地殻運動を繰り返した断層であり、今後もなお活動するべき可能性のある断層」を特に活断層(かつだんそう、active fault)という。ここでいう「極めて近き時代」とは新生代第四紀を指す。狭義には、「過去数十万年」を指す場合もあるが、これは多くの場合、活断層の認定が断層の変位基準となる地形の形成年代に深く関わることから設定された便宜的なものであって、その曖昧さが指摘されている。
別の定義によれば、「現在の応力場の下で地震を起こし得る断層のうちで、断層面が地表まで達しているもの(地表断層)に限る。ただし、伏在断層であっても断層面の上端が地表近く(およそ1km以下の深度)まで達しているものは、何らかの方法で最近の地質時代における活動を確認することができる。
したがって、この種の浅部伏在断層は活断層の範疇に含める。」とされる。活断層では地震が過去に繰り返し発生しており、また今後も地震が発生すると考えられているため、活断層の活動度の評価は、そこを震源として発生する地震の予知に役立つと考えられている。
活断層の調査は、空中写真の判読、地形分類図の作成、現地での測量や地形観察、地表踏査、トレンチ調査、弾性波探査、ボーリング調査、広域テフラの同定(鍵層)や放射年代測定(特に放射性炭素年代測定)などの方法によって行われる。調査の結果判明した活動時期及び変位量を基に、平均変位速度、地震の発生間隔、活動度(AA級からC級まで)の評価を行う。
活断層は長期間連続的に動き続けるのではない。一部の例外を除いて、ある一定の周期で瞬間的に動き、他の期間はあまり目立った活動をしないものが多い。活動周期と1回に動く大きさは、断層によって異なるが、概して、海洋プレート沈み込み地帯やトランスフォーム断層では100年前後、内陸の断層では数百年~数十万年程度の活動周期を示す。
ただし、ごくまれに、常時ずるずると滑りつづけ(「安定すべり」という)、大きな地震を起こさない活断層もある。これはクリープ断層と呼ばれ、サンアンドレアス断層の一部などがそうである。(Wikipedia)
日本の活断層
プレートテクトニクスによれば、日本列島は、関東・東北地方の沖の日本海溝で太平洋プレートが北アメリカプレートの下に沈み込む際に東西方向の強い圧縮力を受けている。東北から近畿にかけての断層の多くは、この応力を受けて生成された逆断層や横ずれ断層である。逆断層は南北方向のものが多く、山々を隆起させる。
火山以外の山地の多くは逆断層によって形成されたものである。横ずれ断層は東北-西南方向と西北-東南方向の2方向に向くものが多い。ほとんどの断層は横にずれると同時に上下にも動いている(斜めずれ)。また南海トラフではフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいるが、東端の伊豆半島付近を除けば太平洋プレートの沈み込みほどには顕著な断層系を発達させていないと見られている。
また日本の中では例外的に、九州中部の別府から島原にかけての地域では南北方向に引っ張られる応力が働いていることが知られており、正断層が多く見られる。これは沖縄トラフの延長とする説もある。
日本においては、1980年に『日本の活断層 - 分布と資料』(活断層研究会編、東京大学出版会)が刊行され、その後、1995年の兵庫県南部地震を契機として、各地で活断層調査が実施された。
その結果は、国土地理院による『縮尺2.5万分の1都市圏活断層図』(2007年現在で133面刊行)や、産業技術総合研究所活断層研究センターによる『活断層ストリップマップ』などにまとめられ、近年刊行されている地域地質研究報告(5万分の1地質図幅)にも反映されている。また、活断層データベースには、日本の主な活断層の平均変位速度などのパラメータや、それらの算出根拠となった調査データがまとめられている。
代表的な活断層の例としては、AA級活断層:〔平均変位速度が10m/1000年以上〕では、南海トラフ断層(南海地震)、サンアンドレアス断層(サンフランシスコ地震)、千島海溝断層(十勝沖地震、日高沖等多数)、糸魚川静岡構造線断層帯系牛伏寺断層:長野県などがあげられる。(Wikipedia)
参考HP Wikipedia:断層 糸魚川静岡構造線 The Libertyweb:不毛な活断層探しは地震学者の責任逃れ
活断層大地震に備える (ちくま新書) | |
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[最新版] 活火山 活断層 赤色立体地図でみる 日本の凸凹 | |
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