科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
キャッシング融資一括申込 美容皮膚科の無料カウンセリング 激安オークションなら 

 iPS細胞で再生医療
 がんなどの先端医療の進歩はめざましいが、再生医療の分野も素晴らしい、2006年に京都大学の山中伸弥教授らのグループによって、マウスの線維芽細胞から2006年に世界で初めて初めて「iPS細胞」をつくってから5年が過ぎた。現在、iPS細胞をさまざまな組織の細胞に分化させて、実用化への道を探っている。

 今回は、iPS細胞から「色素細胞」や「肝細胞」、「心筋細胞」を分化させることに成功した事例を紹介する。効率性や安全性が確立されれば、いよいよ実用化も近い。 

iPS_application

 iPS細胞から色素細胞を作成 
 ヒトの皮膚細胞で作った人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、皮膚や毛髪などの色素をつかさどる色素細胞を、慶応大などのチームが作成した。1月14日の米科学誌プロスワン電子版に発表した。生まれつき色素細胞がなかったり、少ない白皮症や白髪化、色素細胞ががん化してできる悪性黒色腫など、色素異常症の解明や治療法開発に役立つとみられる。

 チームは、受精卵から得られる胚性幹細胞(ES細胞)からの色素細胞の作成法を参考に手法を開発。メラニン色素を作り出す色素細胞特有の特徴を確認した。(毎日新聞 2011年1月14日)

  iPS細胞:90%以上を肝細胞に 
 あらゆる組織や臓器の細胞になる胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)を効率よく培養し、90%以上を肝細胞にする新技術を、赤池敏宏・東京工業大教授(生体材料工学)のチームがマウスで開発した。1月14日、発表した。従来の効率は10%程度だった。今後、他の組織や臓器への応用が期待される。

 ES細胞やiPS細胞は塊になる性質がある。ほぐす過程で細胞が傷ついたり、他の細胞になる「分化」を促す物質が均等に行き渡りにくかった。

 チームは、細胞同士をくっつけるたんぱく質「カドヘリン」に着目。加工したカドヘリンを培養皿に敷き詰めた。その上で培養すると、ES細胞やiPS細胞が培養皿の上で塊にならず、均一に広がったまま増殖できた。さらに、分化を促す物質を与えると、90%以上の効率で肝細胞になった。がん化するとされる未分化の細胞はほとんど残らなかった。

 この道具は、細胞を料理するまな板のようだとして「細胞用まな板」と命名した。赤池教授は「医療として実用化するには大量で効率よく作ることが重要で、再生医療の実現に有用だ」と話す。(毎日新聞 2011年1月14日)

  iPS細胞から心疾患細胞を作成
 突然死の恐れがある遺伝性心疾患「QT延長症候群」の患者の皮膚から作った人工多能性幹細胞(iPS細胞)から心筋細胞を作成することに、イスラエル工科大のチームが成功した。得られた細胞に薬を与え患者への投与前に副作用の有無や効果を把握できる。iPS細胞を使ったオーダーメード医療の一歩として注目される。16日付の英科学誌ネイチャー電子版で発表した。

 心電図の波形のQTと呼ばれる部分が正常より長い疾患で、立ちくらみや動悸(どうき)が起き、突然死する場合がある。日本人の患者数は数千人とも言われる。

 チームは、28歳の女性患者から皮膚細胞を採取し、iPS細胞を作成した後、心筋細胞に変化させた。この心筋細胞を調べると、QT部分が正常より長く、細胞レベルでの症状の再現に成功した。

 iPS細胞からつくった心筋細胞は日米のベンチャー企業が製品化したが、いずれも健康な人の細胞だった。(毎日新聞 2011年1月17日)

 iPS細胞とは何か?
 iPS細胞とは、 人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cells)のことで、細胞を初期の状態に戻し、受精卵のようにさまざまな細胞や組織に成長する能力を持たせた細胞。京都大学の山中伸弥教授らのグループによって、マウスの線維芽細胞から2006年に世界で初めて作られた。

 山中教授は四つの遺伝子を、ウイルスを使って皮膚細胞に導入した。その後、遺伝子の数を減らすなどさまざまな作成法が発表された。再生医療に用いる場合はがんを作らない作成法が必要。病気の仕組みを解明したり、新薬の安全性確認への応用も期待されている。しかし、真の実用化までには、まだ課題がある。

 マウスの実験において表面化した最大の懸念は、iPS細胞の癌化であった。iPS細胞の分化能力を調べるためにiPS細胞をマウス胚盤胞へ導入した胚を偽妊娠マウスに着床させ、キメラマウスを作製した所、およそ20%の個体において癌の形成が認められた。これはES細胞を用いた同様の実験よりも有意に高い数値であった。

 この原因は、iPS細胞を樹立するのに発癌関連遺伝子であるc-Mycを使用している点と、遺伝子導入の際に使用しているレトロウイルスは染色体内のランダムな位置に遺伝子を導入するため、変異が起こり、内在性発癌遺伝子の活性化を引き起こしやすい点が考えられた。その後、山中教授らは発癌遺伝子を使用しないiPS細胞の作出に成功したが、作出効率が極めて低下(1/100といわれる)するとの問題があり、効率を改善する手法の開発が進められている。また、レトロウイルスを用いないでiPS細胞を作出する手法の開発も多くのグループにより進められている。


参考HP Wikipedia「iPS細胞」・科学技術振興機構「ヒト皮膚から万能細胞作成に成功

再生医療の最前線 2010―ES・iPS・組織幹細胞の特性の理解と分化誘導、創薬・臨床応用に向けた品質管理、 (実験医学増刊 Vol. 28-2)
クリエーター情報なし
羊土社
iPS細胞―再生医療への道を切り開く 人工多能性幹細胞 (ニュートンムック Newton別冊)
クリエーター情報なし
ニュートンプレス

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please