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 岩塩中に生きる微生物発見
 米カリフォルニア州の砂漠デスバレーの2万2千~3万4千年前の岩塩の中に、単細胞の微生物が生存しているのを、ニューヨーク州立大の研究チームが見つけた。これほど古い生物が生きた形で見つかったのは非常に珍しい。米地質学会の専門誌GSAtodayに発表した。

 この微生物は、掘り出された岩塩に閉じこめられた塩水滴の中で見つかった。栄養を与えて最大90日間培養したところ、900の試料のうち5つが成長した。そのDNAを調べたところ、古細菌と呼ばれる生物の仲間で、高い塩分濃度の環境を好む特徴を持っていることがわかった。

Badwater_Death_Valley

 塩水滴に残っていた緑藻が栄養源になったり、体の形を小さな球状に変化させて「休眠モード」状態になったりしていたことで生き残れたらしい。チームは、今回のような「長生き生物」の秘密を探ることが、地球の奥深くや惑星などでの生命探しのカギになると指摘している。(asahi.com 2011年1月15日)

 古細菌とは何か?
 古細菌(Archaea/アーキア)は、生物の分類の一つで、細胞膜が一般の細菌のものと構造が違う。sn-グリセロール-1-リン酸のイソプレノイドエーテル(他生物はsn-グリセロール-3-リン酸の脂肪酸エステル)より構成される細胞膜に特徴付けられる生物群である。古"細菌"と名付けられてはいるが、細菌(真正細菌)とは異なる系統に属している。始原菌(しげんきん)や後生細菌(こうせいさいきん)と呼ばれることもある。

 形態はほとんど細菌と同一、細菌の一系統と考えられていた時期もある。しかしrRNAから得られる進化的な近縁性は細菌と真核生物の間ほども離れており、現在の生物分類上では独立したドメインまたは界が与えられる。一般には、メタン菌・高度好塩菌・好熱好酸菌・超好熱菌など、極限環境に生息する微生物として認知されている。

 たとえば、古細菌とその他の生物(特に真正細菌)の間には、以下のような違いが知られている。

1.細胞膜を構成する脂質の構造が対掌体の関係にある。具体的には、真正細菌を含むその他の生物がグリセロール骨格のsn-1、sn-2位に炭化水素鎖が結合するのに対し、古細菌は例外なく炭化水素鎖が sn-2、sn-3 位に結合する。
2.細胞膜に脂肪酸を一切持たず、グリセロールにイソプレノイドアルコールがエーテル結合した脂質骨格を持つ。真正細菌を含むその他の生物はグリセロールに脂肪酸がエステル結合する。
3.真正細菌の細胞壁はムレイン(ペプチドグリカン)であり、N-アセチルムラミン酸、D-アミノ酸を含むのに対し、多くの古細菌の細胞壁は糖タンパク質であり、N-アセチルムラミン酸、D-アミノ酸を持たない。

 これらの違いに加え、進化系統的にはむしろ真正細菌よりも真核生物に近縁で、DNAの複製やタンパク質合成系といった生命の基幹部分の機構が真核生物に類似している。このような生化学的差異、系統学的位置が明らかになるに従い独立のドメインとして扱われるようになった。

 古細菌についての研究は、病原性がないことや、知られたのが遅かったことなどから真正細菌に比べ立ち遅れた。その生体システムは未だ不明な点が多いが、原始生命体や真核生物の起源、あるいは有用酵素の利用・メタン発酵などと関連して研究が進められている。 

 高度高塩菌とは?
 高度好塩菌(こうどこうえんきん、ハロバクテリア)とは、ユリアーキオータ門ハロバクテリウム綱に属す古細菌の総称。いずれも増殖に高い塩化ナトリウム (NaCl) 濃度を要求する。高度好塩古細菌やハロアーキア (Haloarchaea) と呼ぶこともある。

  広義の高度好塩菌には、上記に加え、至適増殖塩化ナトリウム (NaCl) 濃度が2.5–5.2M(高度好塩性)の古細菌・真正細菌全てを含む。しかし、これらはいずれもメタン菌や光合成細菌(真正細菌)であり、系統関係上高度好塩菌には含まれない。発見種も僅かである。好塩菌参照。
 高度好塩菌は成育に高濃度のNaClを要求することから、分離源としては飽和に近い高濃度のNaClを含む水系に生息している。具体的には塩湖、海岸の塩のこびりついた砂、天日塩田、岩塩鉱山、断層の岩塩層などが挙げられる。
 塩湖についてはイスラエルの死海、アメリカ合衆国のグレートソルトレイク、アラル海などが挙げられる。また有名なもの以外にも内陸部の河川による淡水の流入の少ない湖などはこの様な環境を呈することがある。アフリカの大地溝帯や中国ではアルカリ性の塩湖が存在し、マガディ湖、ガール湖ではpHが10–11程度である。このような環境からは好アルカリ性高度好塩菌が分離される。上記のような塩湖は降水量の多い日本では存在し得ないため、国内のサンプルで分離を行なうには海岸にて高濃度に塩が濃縮された砂、観光用の天日塩田があげられる。

 高度好塩古細菌によって赤く着色した塩湖また岩塩鉱山の岩塩結晶内に高度好塩菌が生残していると言われている。その証拠としてNaCl結晶内に高度好塩菌を封入した場合、室温暗所で長期にわたって保存が利くと報告されている。事実、イギリスの岩塩鉱より高度好塩菌が分離されているが、地上からのコンタミネーションでは無いかという指摘もなされている。

参考HP Wikipedia「古細菌」「高度好塩菌」 ・GSA 「GSA Today 2011年1月号

特殊環境微生物の発見―酸性土壌を緑地・耕地にするバイオレメディエーション
惣田 〓夫,河合 富佐子
合同出版
極限環境微生物とその利用
掘越 弘毅,中村 聡,関口 武司,井上 明
講談社

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