分からないことがあるということがたまらなく嬉しい

9月に1番見られたツイートはこれだった。

 

スズキナオの『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』を読んだ。深夜高速バスの本だと思ったら、それは1話目だけだった。デイリーポータルZっぽいなあ。瀬戸内海の海小屋で四つ手網をして、「私はずっとこういうことがしたかったのかもしれないと思う」というところが心に残った。

 

「私はずっとこういうことがしたかったのかもしれないと思う」という言葉から、『進撃の巨人』の最終巻でのアルミンの台詞、「その時、僕はなぜか思った…。ここで3人でかけっこするために、生まれてきたんじゃないかって…」という言葉を思い出した。

 

なぜ旅行をするのかときどき聞かれる。現実逃避をしていると批判されているのかなと思っていたけど最近、本当に疑問に思っているらしいということが分かった。いろいろ言っていたけど、旅行は衝動だと思う。ただ旅に出たくなる。

 

妹の友達夫妻のいるスリランカに行ってきた。雄大な大地がまだ自分の中にある気がする。インドネシアと違ってスリランカでは同じような木がずっと続いている。バスから見える景色は単調だ。シギリヤロックの上から見ても一面同じ木だった。

 

バスはGoogle Mapsにほとんど載っていない。鉄道が時間通りに来ているかどうかも分からない。10か国以上で映画を見てきたが、なんとスリランカでは前の映画が押していて上映が遅れた。上映時間は決まっているのにそんなことがあるのか。初めてのパターンに遭遇してとても嬉しかった。タイからシンガポールまでのマレー半島縦断は簡単だった。私はスリランカで分からないということに興奮した。

 

ゴールの夕日は美しかった。そこにいる人みなが美しいと思ってくつろいでいるのがよかった。シギリヤロックの後に行ったダンブッラ石窟寺院は大したことないなと思ったら、ドイツ人観光客が素晴らしいと言っており、ちゃんと知ったら紀元前からの話だった。インドの一部のように思っていたスリランカにはシンハラ人が住んでいて、しかし北の方にはインドから来たタミル人も多くて、スリランカは両方を公用語にしているが、学校は分かれていて、シンハラ語ができないと市役所で働けないと知った。イスラエルとかずっと揉めているよねと思っていたが、話は紀元前から今に続いていて、地続きの歴史の中にいるんだと感じた。財政破綻してしまうと輸入品がたっけえということも分かった。私はスリランカを知らなかったということを知った。

 

青春18きっぷが、我々が大好きな青春18きっぷではなくなるそうだ。スリランカは情勢が不安定だし、いつでも行けるとは限らない。調べたら何でも分かるような世の中だが、「私はずっとこういうことがしたかったのかもしれないと思う」というような思いはどこで湧くか分からない。行けるときに行って、出会える人に出会っておきたい。