2020年2月1日 宮城県登米市の横山不動尊 いよいよ本堂へ

2020年02月07日
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宮城県 登米圏
前回の記事の続きです。

気仙大工の巨匠,花輪喜久蔵氏と,仙台の伝説の彫師,石井寅正氏コンビの足跡です。
山門や周辺の小堂や池などを見学して,いよいよ本堂へ参ります。
本堂は丈六のお不動様をお祀りしているので,定義山の貞能堂よりもずっと大きいものです。
貞能堂は六角堂でしたが,横山不動尊は方形ですね。
でも両者とも宝塔が付いております。
設計した花輪喜久蔵氏が好んだデザインなんだそうです。
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こちらは狛犬です。
石造りではありますが,何となくモフモフの大型犬のような気がして,かわいく見えました。
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お堂の前に池があったり,津山杉がたくましく育っていたりで,なかなか全景をきれいに納めるのが難しいのですが,お池にある薬師堂から振り返ると何とか全景が納まりました。
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まずは向拝の全景から。
唐破風付きの向拝です。
屋根は二重垂木です。
向拝は梁の木鼻に一部省略はありますが,見事な彫刻で飾られています。
本堂から向拝に伸びる海老虹梁にも見事な細工があります。
これは貞能堂にもありませんでした。
扁額の「不動尊」は昭和15年に当時の総理大臣近衛文麿氏に揮毫してもらったそうです。
近衛文麿! 公爵で太平洋戦争に翻弄された政治家として有名ですね。
向拝に較べて本堂側は緻密な彫刻はありますが,若干貞能堂より控え目な印象を受けます。
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正面から見た向拝です。
唐破風には鳳凰があしらわれています。
丸みを帯びた立体的な彫刻で,優雅な印象がありました。
両側の木鼻はボタンかなぁ椿かなぁ?
唐破風の垂木の曲線が見事にそろっていてきれいですね。
下に続く蟇股には龍の彫刻です。
1匹の龍のようですが,波頭やうろこ,下腹の節々の丸みまで精緻に彫刻されています。
その下に蟇股に続く形で左右に2匹の龍が彫刻されています。
こちらのウネウネとした様も見事で,動き出しそうな感じすらありますよね。
梁と梁の間の小さい柱は枡形をしているので斗なのかな?
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向拝の木鼻は唐獅子です。
このたてがみ?前髪?は寅正氏のものですねぇ。
ちょっと鼻息が荒そうなのもかわいいですね。
左の唐獅子はボタンの花があしらっているので唐獅子牡丹ですね。
肘木には亀が彫り込まれています。
向かって左の亀は大きく,右の亀は子亀の上に孫亀が乗っています。
ユーモラスなデザインですね。
寅正氏の彫刻にはちょっとした遊び心があるのですね。
定義山の山門にある三猿にも戯れて落ちそうになっていたものがありましたねぇ。
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寅正氏のサインが見えます。
かっこいいー!
ちゃんと唐獅子の肉球の丸みや毛並みを,木目で表現しています。
定義山の唐獅子もそうでしたが,すごく凝った造りです。
この木肌で見せるために,あえて彩色はしないのでしょうね。
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十二支の蟇股でしょうか。
カブの穴からネズミが顔を出しています。
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扁額を挟んで反対側にも十二支の蟇股が彫り込んであります。
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四方の木鼻には唐獅子と龍があります。
斗栱も三段組でしょうか。
複雑な造りをしていてカッコいいです!
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海老虹梁にも緻密な彫刻が施されています。
鶴ですね。本堂側の方にももう一羽彫り込んであります。
海老虹梁の上にある垂木を支える手挟みにも鶴が彫ってあります。
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ここは本堂の建物から土台に繋がるところにも斗栱があります。
おもしろいです。
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側面です。
屋根の斗栱,土台に繋がる斗栱,木鼻の装飾。
きれいですね。
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こちらは本堂の裏側です。
裏山の杉林が迫っていますが,凝灰岩?の岩がしっかりと本堂を守っています。
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本堂の裏側はご本尊に埋められた黄金の不動尊を参拝できるようになっています。
でも秘仏だからご開帳時以外は拝むだけですよ。
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斗栱と木鼻の装飾が複雑できれい~。
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土台の木鼻もちゃんと装飾されています。
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虹梁の彫刻も彫りが深いですね。
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宝塔のアップです。
望遠レンズで狙えば良かったなぁ。
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ご住職様がいらっしゃいましたので,お不動様を見学しながら,貴重なお話しをうかがうことができました。
次回に続きます。
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Snufkin
Posted by Snufkin
ご訪問ありがとうございます。
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