雨 ときどき晴れ☀

~鬱と発達障害とつきあう日々~

よっしゃぁぁ!栄養士さん

 

 私は、朝2時間半ほど新聞配達を、昼間3時間(実際は4時間は稼働している)ほど給食・仕出し・お弁当を配達する会社で、某大病院にお弁当を届けている。

 昼間の弁当配達の話。

 以前は3市町村に渡るルート配達を担当していたが、今年春、疲れから居眠り運転で事故を起こし、歩道わきのフェンスに突っ込み、社用車を廃車にしてしまった。

 幸い誰も巻き込まず、自分もケガがなかったが、長い運転は危険だと判断され、さほど会社から離れていない病院の配達に変わるよう命じられた。

 その病院は、コロナ患者も受け入れており、前任の配達者は、『感染の危険があるから』とご主人に反対され、辞めてしまったばかりだった。

 

 ・・という前置きはさておき、それからなんとか半年くらい過ぎ、仕事や雰囲気にも慣れてきたところであった。

 病院の先生や看護師さんをはじめ職員の方々の邪魔にならないよう気を使い、挨拶しながら配達する半面、気さくな先生もいたりして、顔を覚えていただいたり、清掃会社のおじさま・奥さま・お姉さま方などと仲良くなって、ちょっと会話したりするのが楽しくなったり、ここでの仕事も悪くないな、と感じている。

 

 就任当初は、病院内30数か所回って、40~50食台の売り上げだったが、

 「以前は70食くらい軽く出てたんだよ」とか

 「えっ、40台は少ないわな~」とか言う他のパートのおっさんもいて、私が就任してから、これを機に買うのをやめた人もいるのかな~と悩んだりもした。

 

 しかし、だんだん気づいて来たのは、他の同業者2社のメニューとくらべて、魅力が足りない、目新しいメニューが少ないということ、盛り付けも少し粗雑で損しているということだった。

 前のようなルート回りの時は、時間もなく気づかなかったが、確認のためちょっと蓋を開けてみると、やんちゃな感じの盛り付けが結構あり、これじゃ開けた時にがっかりする人もいるだろうと思った。

 また、清掃会社のおじさまには、「同じようなメニューで飽きるんだよね」とはっきり言われたり。(好き嫌いがあって、同じようなメニューしか頼まない人もいるけど)

 以降、盛り付けが良くないものは、箸でささっと直したり、しながらの配達となった。「山菜スパゲティー」なのに、たまたま山菜ばかりで麺が1本しか入っていないものがあった時は、事務の上司に現物を持ち帰って、「山菜の好きな人ならいいんですけどねー」などと、やんわりと報告したり。居合わせた人たちで「アラほんとだ、麺が異物に見える」と笑ったものである。

 炒め物なんかでも、お肉がたくさん入っている弁当と、野菜ばかりのものがあれば、ちょっと調整したりした。

 本来なら、配達人がするべき仕事ではなく、本当なら笑いごとではないんだけど、こういう指摘は難しく、言わない方がいい場合もあるし、タイミングも言い方もある。

 当人のプライドを傷つけてやる気をなくさせるのが、一番まずい。

 

 メニューにしても、若い頑張り屋の栄養士さんが一生懸命作ったものだ。むげに否定するわけにいかない。

 お客様にほめられたこと、美味しく食べているとの報告だけ、たくさんしてから

 「〇〇ランチさんで、この前、紫いもコロッケというのを出してましたけど、私は里いもコロッケを食べてみたいなぁ」

などと話していくと、

 「紫いもコロッケは、あまり男性に人気がないんですよね・・・里いもコロッケは、今のところ商品がないんです」

と、栄養士さんもよく考えていらっしゃるのがわかった。

 

 でも!今日のメニューは「肉じゃがコロッケ」だったのだが、初めて採用したメニューだったようだが、お客様にも好評で、「食べてみたい」と70食近く注文をいただいた。

 予想持参個数をはるかに超えたので、会社に追加を取りに行くはめになったが、なんのそのガッツポーズですよ。

 後で、私もコロッケを食べてみたけど、おいしくて、これは絶対リピート決定だな、と思った。

 

 先月終わりに、今月のメニューを見た時に、「あっ、今月いいかも!」と感じた通り、今月に入ってから60~70食くらい出る日が多く、

あまり会わなくて言えないのだが、栄養士のSさんには心の中で「よっしゃー、Sさんセンスいいぞ!」と感謝しながら仕事をしている。心なしか、盛り付けも最近キレイだ。

 私も自社のお弁当を食べて、美味しいものは調理師さんに即報告し、レシピを簡単に教えてもらったりしている。

 この間は、

「ちょっとOさん、昨日のお弁当、パーフェクト!全部おいしかった!」

と鼻息荒く報告したら、気をよくしたOさんは、カレーの残りを大袋に入れて私にくれた。(本当は衛生上持ち帰ってはいけないのですが、ま、内緒で(^_^;)

 

 明日は「鶏の唐揚げ」がメインなのだが、本来なら人気メニューだけども、前回食べた時にジューシーさがなく、味も薄かったので、あれと同じだったら厳しいなーと思っている。お客様はそういうのをよく覚えているから、あまり売れないかもしれないな。。

 明日美味しいのを、期待してるけども。

 

 私は昔洋食を作っていたので、個人的には、山形県産セロリを使ったキーマカレーとか、副菜にほうれんそうキッシュとか、ポークソテーのチーズかクリーム系ソースなんかをリクエストしたいのだが、

「田中さん、おとなしく聞いてれば調子にのって!採算合いませんよ!」

 なーんて怒られたりして・・・笑

 タイミングと言い方を、練っていきたいと思っております(^_^;)

 

 

 

 最近気になることが少々。

 この病院もコロナ患者が少しばかり増えてきているせいか、やはりお疲れの様子の方も見かけるようになった。以前よりも忙しそうだったり、配達の際によく冗談を言ってくれる技師の先生など、顔が険しくなったり、近寄りがたい雰囲気になったりしている方もいる。なので気のせいならいいのだが、なるべく静かに配達をするようにしている。

 お弁当につける「おまけ」を「どこで売ってるの、見たことない」とか「あのお菓子おいしかった」などと言って下さった方には、時々、喜びそうなものをそっと置いてきたりもする。

 最初は、顔を覚えてもらうとか、やる気を見せるためだとか、販売促進のきっかけだとか、そういったことでのおまけのお菓子であったり、ご飯のお供であったりしたのだが、

 最近は、医療従事者の方々に少しでも息抜きになれば、という気持ちに変わってきた。

 なので、肝心のお弁当の中身が充実して美味しいのは、配る側としてはとても気合いが入る。なんならおまけなど要らないくらい満足感があり、誇らしく思う。

 

 これからも、栄養士さんや調理師さんたちを大事に、仲間を大事にして、いい商品を作っていただき配達したいと思う。

 一生懸命作った食事や気づかいは人を元気にさせる、を心がけて頑張ろうと思う。