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本シリーズ記事は、「写真用(等)の交換レンズ に興味を持ち、それを収集したり実用とする趣味」 つまり、俗称「レンズグルメ」の趣味への「入門編」 であり、入門層/ビギナー層等を対象とした説明内容 にしている。 その際、初級層等が疑問に思うだろう事を、1人の 仮想人格、「ビギナーのB君」の質問内容に集約し、 本シリーズ記事を「仮想問答」の形式としている。 今回第18回目は「NIKKOR OLD MICRO vs 他社マクロ」 編とする。 NIKONでの銀塩時代(1980年代~1990年代)の 一眼レフ用の古い(オールド)マイクロレンズ3本と、 他社の期間問わず (1980年代~2010年代)での 一眼レフ用およびミラーレス機用のマクロレンズ 7本との対決記事としよう。 では、最初のマクロ(マイクロ)レンズ。 レンズは、NIKON Ai Micro-NIKKOR 105mm/F2.8S (中古購入価格 18,000円)(以下、Ai105/2.8) カメラは、NIKON Df (フルサイズ機) 1984年発売のMF中望遠1/2倍マイクロレンズ。 では、以下は「仮想問答」となる。 B「ニコンでは、”マクロ”ではなく”マイクロ” と呼ぶのだろう? これもまた、”用語不統一”の問題か?」 匠「まあ、光学界での用語不統一の問題点は確かだ。 だが、この件に関しては、私は比較的好意的に 解釈している。 本来の”語源”を考えてみよう、以下となる。 *MACRO(マクロ) =巨視的、全般的、大規模、大きな・・ *MICRO(マイクロ/ミクロ) =微視的、小型の、小さい、微小な・・ 世間一般的な言葉(単語/用語)のみならず、 例えば”経済学”では著名な概念や用語であり、 「ミクロ経済学とマクロ経済学」等と呼ばれる。 この語源からすると、「マクロレンズ」という のは、なんだか逆の概念だ。 それよりも、NIKONの言う「マイクロレンズ」の 方が正しいようにも思える。 大きく写せるから「巨視的」というよりも、 本来は小さい被写体を見るのだから「微視的」 の方が適切なのではなかろうか?」 B「NIKON以外の他社は全部、用語の使い方が 間違っている、という事か? そうだったら、何故、改めない?」 匠「こういう事を簡単に改めるような市場であれば 他に極めて多数ある、カメラ用語の間違い等も どんどんと治していけるのだろうけどなあ・・ ほんと、”硬直した市場”であると思うぞ」 B「他に、どんな間違いがある?」 匠「いくらでもあるが・・ まあ、代表的なものと しては”スチール写真”があるかな。 正しくは”Still Picture”又は”Still Photo" だから、”スティル写真”となる。 スチール写真では、まるで、鋼鉄の”Steel”とか、 盗塁/盗むの”Steal”を想像してしまう。 だけど、これは厳密に言えば、写真業界ではなく、 映画業界からの発祥だったかも知れない。 写真業界での他の例は、また機会があれば教えるよ」 B「皆が英語を知らない時代での和製英語なのでは? 先年のスマホの通信障害の時にも”トラヒック” とか言っていたぞ。 それこそ”Traffic”(交通量、通行量、通信量) だから、”トラフィック”が正しいのでは?」 匠「そうだろうな、まだ英語教育が何も無かった頃の とても昔の時代の記法や発音に見える。 いつまでも昔の慣習を変えれない側の課題だろう。 だがまあ、固有名詞とかであれば、やむを得ない。 写真界では「富士フイルム」「キヤノン」が有名だ。 なので、富士フィルムやキャノンは誤記だ」 B「それは、昔の文部省とかが、外来語とかが由来の ”拗音”等を(社名等に使う事を)禁止していた からじゃあないのか?」 匠「そこまで詳しくは知らないが、そうなのかもな。 B君は、写真についてはビギナーかも知れないが、 世の中の事とかについては詳しいし、理解もして いるな。 そこは良い点だ、写真の事も世の中の事も何も わかっていなければ、もう、説明する事も難しい。 でもまあ、いずれにしても、それらについては ”硬直した考え方”だろう。 時代が変わり、その言葉がそぐわなくなったら 変えたら良いではないか? それを変えないから いつの間にか、もう古すぎて、世の中で全然通じ ない言葉になってしまう。 ”トラヒック”では、さすがに酷いだろう(?) PCやITの業界では、既に”Traffic”は一般的な 技術用語として、かなり以前から定着しているしな。 その読み方では、まるで、呑兵衛(のんべえ)が 泥酔して(→俗称では”大虎”(おおとら)と言う) ヒック、としゃっくりをしているようなイメージだ。 ・・・え~と、今回は、何の話だっけ?(汗) ああ、Micro-NIKKORだ。 古い時代、しかもマイナー(不人気、有名では無い) な、Micro-NIKKORを3本、順次紹介していく」 B「NIKKORとは、全て大文字で書くのか?」 匠「そうだよ。そこは、ニコンの拘りであり、ブランドだ。 社名は「Nikon」と書くのが正しいが、本ブログでは 便宜上、全てのメーカー名は全部大文字表記としている。 メーカー毎に、それぞれ固有の書き方がある、とかは、 正直、付き合っていられないからな。 だけど、NIKKORは、常に、いつの時代でも全て大文字だ。 だが、NIKKORの名前が出来てから100年近くも経つ のに、依然、市場やWeb上にある各種のまとめ資料 等では、Nikkorやニッコールと、間違いだらけだ」 B「その”用語不統一”は、ユーザー側の問題だ。 メーカー側は、いつでも"NIKKOR"を主張している のだろう?」 匠「だけど、そもそも”全て大文字で書けば強調できる” という考え方も、また非常に古臭いぞ。 こういうつまらない話は、カメラ界にはいくらでも あるが、書いていても、もう、気分が悪くなってきた ので、実例を挙げるのはやめておく。 で、こういう、あまり面白くも無い話をしているのは このAi105/2.8が、凡庸なマイクロで、あまり 面白味とか、説明する内容が無いからだ。 まあ、この銀塩MF時代、各社のマクロ/マイクロは 確かに、どれも技術的・性能的に未成熟だ。 だが、特にこのレンズは凡庸。特徴や特筆すべき 点を挙げていくと、弱点ばかりに言及する事となる ので、それも面白く無いので、もうやめておく」 B「具体的に、どんな課題があるのだっけ?」 匠「もうやめておくよ。過去記事でも何度か紹介して いるし、そのたびに、このレンズの設計手法に 対しての苦言ばかりだ。 はい、おしまい。これの弱点を咎めたいならば、 過去の紹介記事を読んでくれ。 じゃあ、次のレンズの話に進むぞ・・」 B「え~っ・・? 終わりかよ!?」 レンズは、ぐぐっとマクロ (120mm/F4.5) (中古購入価格 レンズ1本あたり7,000円相当) カメラは、FUJIFILM X-T1 (APS-C機) 1995年に限定発売、2000年に再生産された、 特殊レンズ3本セット「ニコンおもしろレンズ工房」 の中の1本。 MF中望遠1/3倍マクロと軟焦点レンズとの組み換え をユーザー自身が行う事ができる極めてユニークな レンズである。 B「こちらのレンズは、ちゃんと解説してくれるよな?」 匠「いや~。 このレンズも、また、苦言ばかりの パターンになりそうだぞ(汗)」 B「そもそも、これは何で”マクロ”と呼ぶのだ? さっきまで、”NIKONではマイクロと呼ぶ”という 説明をしていたのではないのか?」 匠「このレンズは、NIKKORを名乗ることも許されず、 正式なNIKON製品とも認められず、徹底的に 意地悪をされた、不遇のレンズ(セット)だ。 恐らくは開発者も、一時的にNIKONの外に出向し ”社外での設計”という扱いだっただろう。 マイクロと呼ばないのも、そのせいだ。 この「おもしろレンズ工房」は、NIKONとしては 異色すぎる企画商品であり、ブランドを重視する NIKONとしては、おっかなびっくりの商品であり、 ユーザー層が、何か、これについて文句を言って きたら、その時は、何がなんでも”これは我が社の 正規の製品ではありませんので・・”と、責任逃れ をするスタンスだ。 その為に、NIKONの名称も外し(注:製品の中に Nikonと印刷されたシールが入っていて、ユーザーが それを自分でレンズに貼って使うスタイルだ・苦笑) そしてNIKKOR銘も外し、マイクロとも呼べていない」 B「くだらない! 古臭い考え方で、馬鹿馬鹿しくて何も意見を言う気に もならない。”昭和”、それも”戦前”の話か?」 匠「平成だよ。 残念な事に(汗)」 B「なんだか、ボクも腹が立ってきたな」 匠「平成の時代でも、第二次大戦の前もの古い時代の 感覚で商売をやっていたのだろう・・ だから、あまり書きたく無い黒歴史なのだよ」 B「もういいや、次のレンズの紹介に行ってくれ」 匠「次も恐らく同様だぞ。今回では、そんな不条理な 出自を持つレンズばかりを集めている」 B「ずいぶんと趣味が悪いなあ・・」 匠「だが、ユーザー層は、必ず知っておかなくては ならない”事実”であり、”歴史”でもある。 どう思うか?は、個々の消費者層の判断だ。 じゃあ、次のNIKKORレンズに進む」 レンズは、NIKON AiAF MICRO NIKKOR 105mm/F2.8S (中古購入価格 14,000円)(以下、AiAF105/2.8) カメラは、NIKON D500(APS-C機) 1989年発売のAF中望遠等倍マクロ(マイクロ) レンズ。 B「これは、冒頭のAi105/2.8のAF版か? ・・・ん? 良く見ると型番表記が違うな。 冒頭が「Micro-NIKKOR」で、こちらのレンズは 「MICRO NIKKOR」だ。これは書き間違いか?」 匠「書き間違いじゃあないよ。レンズ上に記載されて いる通り、これが”正式名称”だ」 B「だったら、書き方が違うじゃあないか!?」 匠「私に詰め寄っても意味が無いよ。 これはNIKONの問題だ、同じマイクロNIKKORの レンズでも、様々なレンズ機種毎に、3種類の 異なった表記がある。 完全に”用語不統一”なのだけど、他社との間で それが起こるのは、まあ、やむを得ないだろうが NIKONの場合、自社の中で、すでに”不統一”が 発生してしまっている」 B「変な話だ・・」 匠「もういいよ。そういう企業なのだろう・・」 B「特徴は何だ?」 匠「このレンズと、前機種のAi105/2.8は、光学系の 設計手法は類似だ。 簡単に言えば、50mm級標準レンズをまず設計し 後群に2倍のテレコンバーターを追加する手法だ。 テレコンの中でも、1980年代前後に流行した 「KENKO マクロテレプラス (MC7)」を想像すると わかりやすい」 B「マクロテレプラスって何だ?」 匠「それそのものは、KENKO社の商品名だ、だが 他にあまり相当する商品は無いので、その用語で 一般的に通じるだろう。 写真用レンズの後ろ、マウント面との間に装着する ”アタッチメント”(=付属品、という意味。 注:決して”フィルター径”の代用の用語として 使ってはならない。そんな間違いを良く見かける。 これは、用語不統一ではなく、完全な勘違いだ) であり、”リアコンバーター”(=レンズ後部に 装着する付属品の総称)の一種である。 ”ヘリコイド”(=螺旋構造により、伸縮する機構) を持ち、近接撮影性能を大幅に高める事ができる。 主に、銀塩MF時代(1980年代前後)で普及していた 各社の50mm/F1.4級標準レンズのオーナーに対して の商品だ。(注:50mm/F1.8級レンズでも利用可) なお、マウント毎に仕様が違うので、マウントを 選んでKENKO MC7を購入する必要がある」 B「どれくらい近接できる?」 匠「当時のMFの50mm/F1.4級標準レンズの最短撮影 距離は、各社横並びで45cmだ。 マクロテレプラスMC7を装着すると、20cm程度の 最短撮影距離が得られ、等倍(1対1)撮影が 可能となる。 等倍というのは、”35mm判フィルム規格と同じ” という意味だから、撮影範囲は3.6cm x 2.4cmだ。 あ、念の為、フィルム等のサイズ(≒フォーマット) では”判”が正解であり。"版”表記は誤りだ。 ”版はバージョンだ”という風に覚えると良い」 B「なかなか便利な付属品だ。いくら位だった? それと、弱点は無いのか?」 匠「当時での値段は、新品で1万円前後位、中古品 だと5,000円前後、という感じだろう。 マクロテレプラスの弱点は沢山あるよ。列記しよう ・焦点距離が2倍に伸びる他、口径比が2段(4倍) 暗くなる。 つまり、50mm/F1.4は、100mm/F2.8相当の レンズとなる。また、恐らく近接撮影時には 露光倍数も掛かり、さらに暗くなるだろう。 (注:”露光倍数”の他、”露出倍数”とも言う。 ここも例によって、用語不統一の問題だ) 銀塩機+低感度フィルムで使う場合では手ブレの 可能性が高くなるので、十分に注意する。 ・または、50mm/F1.8級レンズの場合では、 100mm/F3.5相当となり、もっと暗くなる。 ・近接撮影時はレンズのピント位置を無限遠に して、さらにマクロテレプラス側のヘリコイド を廻す必要がある。 この時、その回転角は大きいので時間や手間が かかる他、無限遠撮影はできなくなる。 なので、近接撮影と遠距離撮影が交互に訪れる ような撮影条件/スタイルには向かない。 ・マウントを選んで購入する必要がある。 他マウントには流用できない。 ・概ね50mm/F1.4レンズの専用付属品であり、 他の焦点距離仕様のレンズでは、有益な効果が 得られない場合がある。 ・画質が劣化する。 まあ、設計想定外の余分なレンズを3~4枚 入れている状態なので、やむを得ないだろう。 ・現代での入手性は低い。 だいたいこんなところか」 B「理解した。面白そうなので探してみたいが、 もう中古品は入手が難しそうだな・・ で、マクロテレプラスと、このレンズの関係性は いかに?」 匠「前機種Ai105/2.8も、本機種AiAF105/2.8も、 両者同様に、標準レンズ+マクロテレプラス風の 基本構造となっている。 (注:"Ai"表記は、2010年代頃から、NIKON側 からは未発表のまま"AI"表記に改められているが 従前の、世の中のほぼ全ての資料は”Ai"表記の ままである。ここも自社内での用語不統一問題だ) ただしAi105/2.8はMFレンズで、1/2倍仕様だ。 AiAF105/2.8は、AF化の世情とともに”等倍化” が強く望まれたのだが、旧機種のままの構造だと 等倍化をすると、ヘリコイドの繰り出し量が大きく なりすぎてしまい、AFの性能/実用性が低下する。 そこで、本レンズではヘリコイドの繰り出し量を 減らす為の改良(=フローティング構造、ただし これも用語の定義が曖昧だ)が施されている」 B「ふむ・・ そこに何か問題点が??」 匠「マクロテレプラスの弱点であった、”画質があまり よろしく無い”という部分が、この2本のレンズ でも類似の設計手法により、同様な、画質的な 弱点となっているのだよ。 ただ、1980年代までの、各社のマクロレンズは どれも似たり寄ったりで、あまり高画質では無い。 だから、この系列のレンズだけを責める訳にも いかない。 画質が市場全体で改善されるのは、概ね1990年代 後半以降の時代のマクロでの話だ」 B「古い時代のマクロレンズには、あまり期待するな という事だな? 了解した」 ---- では、ここからは、各社のマクロレンズを、無作為に 7本選んで、オールド(Micro)NIKKORと比べてみよう。 レンズは、TAMRON SP 90mm/F2.5 (Model 52BB) (中古購入価格 20,000円)(以下、SP90/2.5) カメラは、SONY α7S (フルサイズ機) 1988年発売のMF中望遠1/2倍マクロレンズ。 B「これは、初代”タムキュー”だな? 高性能と聞くぞ」 匠「1度詳しく説明したな?(本シリーズ第8回) これは初代ではなく、外観変更版の2代目だ。 重複するので、特徴を簡単に述べておくと・・ ・中距離の撮影を主体とした、ポートレートにも 近接撮影にも使えるレンズとして企画された。 ・当時は、中望遠レンズやマクロは普及して いなかった為、ヒット商品となった。 ・交換マウント方式であり、同じレンズを複数の MFマウントの一眼レフで共用できる。 ・後年には、中古相場が極めて安価であり、 買いやすく、コスパが良い。」 B「そうだったな。なかなか良いレンズだ」 匠「中距離の描写力は悪く無いが、近接撮影で画質が 落ちるので、近接撮影主体ならば、後年の等倍 タイプ(x72E系)の方が優れるであろう。 NIKONとの比較で言えば、NIKKORでは「マイクロ」 という仕様を実現する事が主体になっていたように 思え、実用性とか、あるいは当時の消費者が何を 望んでいたのか?という点に、あまり配慮が 無かったように思える。 まあだから、SP90/2.5の方が、多くのユーザー層に 受け入れられたのであろう」 B「ふ~ん。このレンズは、当時として特別に性能が 高かった、というよりも、当時の消費者層が欲しい レンズとして企画され、それが上手くハマった訳か。 それで人気レンズとして有名になった訳か? なかなか良い設計思想だな、よくわかった。」 では、次のマクロ。本記事の5本目だ。 レンズは、COSINA (MC) MACRO 100mm/F3.5 (新品購入価格14,000円)(以下、COSINA100/3.5) カメラは、CANON EOS M5 (APS-C機) 恐らくは1980~1990年代頃のMF中望遠マクロ。 B「これは、結構(値段が)安いマクロだな。 確か、COSINAは”7割引戦略”をやっていたの だろう? このレンズも同様か?」 匠「そうだ。まだマクロレンズがあまりユーザー層に 普及していない時代に、できるだけ安価に製造し 低価格帯市場を狙って発売されたレンズだ」 B「他社は、どうしていた?」 匠「他社でも同様に、マクロを安く売りたい世情だ。 だから、恐らくだが、本レンズは、TOKINAや PENTAXと共同開発であり、両社でも、ほぼ同等の 光学系設計での低価格帯マクロが、AF版として 1990年代くらいに発売されていた。 3社で同じ光学系を使えば、開発費の負担は ”割り勘”で減るからな」 B「コストダウンによる弱点は?」 匠「主にレンズの構成枚数を減らす事での課題だ。 その場合でも、描写特性をシャープにする事が 可能だ、ただ、その分、ボケ質は固く、破綻する」 B「ああ、つまりこれは”平面マクロ”な訳だな? ”複写に向く”というやつだ、それはそれで良い のでは?」 匠「特性を理解して被写体を選ぶならば問題は無い。 ただ、草花の撮影や人物撮影等、汎用的に使うのは やや厳しいかもしれないな」 B「全て了解した」 では、次のマクロ レンズは、7Artisans (七工匠)60mm/F2.8 Macro (新品購入価格 24,000円) カメラは、PANASONIC (LUMIX) DMC-G1(μ4/3機) 2019年に発売された、中国製のAPS-C機以下の ミラーレス機対応MF中望遠等倍マクロレンズ。 B「中国製か、比較的新しいが、良く写るのか?」 匠「それがだなあ・・ あまり芳しくない描写力だ。 ”七工匠”というメーカーは、オールドの名玉の 光学系設計を踏襲して、現代のミラーレス機用の レンズにリメイクするケースが多いメーカーだが・・ (注:これは同社の初期レンズ群の知名度を高める為に、 できるだけ安価で高性能なレンズを販売する目的での リメイク版であった。アフターコロナ禍の現在では、 十分に知名度が行き渡った、および/または、コロナ禍 以降での世界的なレンズ販売不振により、同社新製品は 高付加価値化されて、大きく値上げされている) たまに、設計の元となったレンズが低性能だったので、 その弱点まで引き継いでしまう事がある(汗) だが、このレンズに関しては、設計の元となった マクロレンズが、どれであったのか?を、私は まだ特定できていない。 仮に設計元があったとしても、1970年代とかの 古い時代のマクロでは、ちょっと前述したように ”まだマクロとしての光学系設計が未成熟”の 時代であるから、それを現代に蘇らせても、 あまり有益では無い次第だ」 B「ふうむ、なるほど。このレンズは避けておくのが 良さそうだ」 匠「例えば、TAMRONのSP90/2.5の光学系を引用して くれれば良かったのだけどなあ・・ 少しは似ている構成だけど、同等とも言えないし、 等倍化仕様で、無理をしたのかも知れないな。 そういえば、このレンズは発売日の発表から、 実際には数ヶ月遅れての新発売となっていた。 発売直前に、色々と改善していたのかもな」 さて、次のレンズ。 レンズは、OLYMPUS ZUIKO DIGITAL 50mm/F2 Macro (中古購入価格 22,000円) カメラは、OLYMPUS E-410(4/3機) 2003年発売の4/3機用のAF1/2倍マクロ。 B「フォーサーズ用か。古いな」 匠「デジタル時代で、21世紀に入ってからの発売 なので、さほど古さは感じないさ。 むしろ、4/3機が終焉しているので、中古相場が 下落を続け、買い易く、コスパが良いと思うぞ」 B「そもそも、4/3用レンズをどう使う?」 匠「μ4/3機を母艦として、電子マウントアダプター 例えば、OLYMPUS MMF-1~3を使えば大丈夫だ」 B「AFが効くのか?」 匠「勿論。でも、母艦側には、像面位相差AF機能が 搭載されている機体が望ましい。OLYMPUSの場合、 μ4/3機では高級機のみへの搭載だった。 AFは、それで良いが、ポイントは近接撮影時に 多用するMFでの使い勝手だ。 まず、μ4/3機でのピーキング機能を用いれば 4/3機の光学ファインダーでMFをするよりも簡便だ。 MFの課題だが、電子アダプター経由の場合 (注:4/3機でも同じ)、4/3レンズでは、カメラ の電源をONしてからでないと、ピントリングは 空回りして、有効ではない(作動しない)。 この為、MF技法の利用、又は速写性に、若干の 課題がある。 また、近接撮影後に、レンズのヘリコイドが 伸びた状態で、カメラの電源を切ると、もう ピントリングが廻らず、レンズを引っ込める事が 出来ない(もう1度電源を入れなおし、引っ込めて から、また電源を切る)」 B「ふむ、たいした問題じゃあないさ」 匠「そうか? まあ、頭の中で考えて想像している だけだと、たいした問題点には感じないかも 知れないが、実用・実践撮影の際には、これらは 結構大きな問題点だと感じている」 B「そんなものか? まあ、確かに、使ってみないと わからないな」 匠「描写力は、さほど悪く無いマクロだ。 ただし、私の個体は、経年劣化が始まっていて 内部クモリか? ちょっとコントラストが低く なってきてしまっている。 それと、これと類似スペックの、銀塩OM用の OM50mm/F2というレンズが存在していた。 しかし、そのレンズは超レアものであり、 入手困難で、私も未所有となっている。 OLYMPUSは、本レンズの企画時に、そのレア物 レンズの代替品として、本レンズを発売した 可能性もある。ただ、別に、それがどうという 話では無いが、念の為、参考まで」 B「投機対象のレア品を高値で買う必要はあまり 無く、これを買えば十分という事か。了解した」 では次のレンズ、8本目だ。 レンズは、TAMRON SP AF 90mm /F2.8 MACRO[1:1] (Model 172E)(中古購入価格 25,000円) カメラは、SONY α99(フルサイズ機) 1999年に発売されたAF中望遠等倍マクロレンズ。 B「これもタムキューだな? 中期型だっけ?」 匠「中期型という分類は、一般的では無いかも しれないが、まあ、その通りであり、概ね 中期の製品に相当するポジションだ。 本ブログでは、72E、172E、272E型を 総括して、「x72E型(系)」と呼んでいる。 (1996年~2004年発売のAF一眼レフ用マウント) x72E系は、完成度が高く中古相場も安価なので、 最も推奨できる、SP90マクロだ。 (注:2024年発売のミラーレス機用の90mmマクロは SP銘が外されてしまっている、未所有)」 B「ふむ、172E型の課題は無かったっけ?」 匠「やや”近接優先”の描写傾向に設定されている事だ。 だから、近接撮影ばかりを行うならば良いが 中遠距離の被写体を混ぜて使うと、その 特徴を活かしきれない。 あと、被写体によっては、もう少し解像感つまり シャープさが欲しいと感じるかも知れない。 その場合は、やや後年の2000年代に発売された SIGMA EX DGシリーズのマクロレンズ群であれば いずれも「カミソリマクロ」と評された、高い 解像感が得られる」 B「わかったよ、TAMRON SP90マクロと、SIGMAの EXマクロは、被写体の状況により使い分ける 訳だな?」 匠「2000年代のマクロ製品では、それで良い。 注意点は、いずれの機種もAF性能は、あまり 高く無いので、MFを主体にして使う事だ。 もっとも、近接撮影では、MFしか使わないと 思うので、大きな問題にはならないが・・ あと、MFが不安な場合、ミラーレス機を母艦と する事が望ましいが、その場合では、NIKON F マウント版を選んでおけば、この時代のTAMRON やSIGMAのレンズには、絞り環が、まだ残って いるので、ミラーレス機での実用が容易だ」 B「全て了解した」 さて、次のマクロ。 レンズは、HD PENTAX-DA 35mm/F2.8 Macro Limited (中古購入価格 26,000円)(以下、HD35/2.8) カメラは、PENTAX KP (APS-C機) 2013年に発売されたAF等倍マクロレンズ。 B「APS-C機専用の標準画角相当のマクロだな?」 匠「そうだ。本ブログでは”準標準マクロ”と 呼ぶケースもある」 B「どんな被写体に向く?」 匠「準標準マクロ全般の特徴としては、最短撮影 距離や、最短WD(ワーキング・ディスタンス。 レンズ先端部から、被写体までの距離の事)が とても短いことが特徴だ。 だから、近接撮影の中でも、特に、被写体に 寄って写さなければならない状況に向く。 寄れる、という事は、撮影倍率を高める他、 被写体に対し、前後左右等、どこのアングル (角度)からでも撮影が可能になるという事で、 つまり、背景を含めた構図の選択肢が増大し、 撮影者側での写真表現の自由度が増す。 寄れないレンズでは、これが弱点となるので ”最短撮影距離”は、レンズでの最重要スペック だと言っても過言ではない。 まあ、ここまでは”当たり前”の話か・・・ じゃあもう少し。 他の中望遠マクロに比べて描写が固いケースが 多い、だから、季節の草花等を撮るならば、 中望遠マクロの方が適正だろう。 固い描写でも構わない被写体、例えば、小物/ 製品等の接写、一部の昆虫類、あるいは、 それこそ、昔の”複写”では無いが、資料等を 平面的に撮影するのに向くと思う」 B「了解した。そういえば”標準マクロ”という ものは、いつの間にか、殆ど見ないな」 匠「何故かそうだなあ。 もう、”標準マクロ”、つまり50mm前後の 焦点距離で、フルサイズ対応で、等倍という マクロは、各社から、殆ど販売されていない。 APS-C機専用の準標準マクロですら、新製品が あまり無い、 あえて選ぶならば、COSINAフォクトレンダーの MF版の製品は、新機種も色々と出ているのだが、 多くは1/2倍までで、等倍の製品は少ない」 B「ふ~ん。 いまの内に買っておいた方が良いか?」 匠「投機的視点だったら推奨しないが、シンプルに ”その画角のマクロが必要だ”、というならば、 完全に無くなる前に、今の内に入手しておく事が 望ましい」 B「了解した。探しておこう」 では、今回ラストのレンズ。 レンズは、OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO 90mm/F2 Macro (中古購入価格 50,000円)(以下、OM90/2) カメラは、PANASONIC DC-G9(μ4/3機) 1980年代後半頃に発売の1/2倍MF中望遠マクロ。 B「オリンパスのマクロは有名だ」 匠「とは言っても・・ 医療用の特殊マクロを除き、 銀塩MF時代で3機種、4/3時代で2機種、 μ4/3時代で2機種のみを発売した時点で、 OLYMPUSは、カメラ事業から撤退してしまった。 僅か7機種だけだよ。定評があるとか、有名だとか 言う前に、機種数が少なすぎる」 B「しかも、ボクは1機種も持っていないさ(汗) それで、有名だ、とかなんだとか言うのは確かに 良くないな、転売ヤーと同じになってしまうよ、 他を知らないのに何かと褒めて高く売ろうとする。 ちょっとボクも反省だ・・ では、このレンズはどうなのだ?」 匠「残念ながら、超レア品で、当然ながら投機的相場 であるから、全く推奨は出来ない」 B「じゃあ、何故、記事で紹介する? さらに有名にして、相場吊り上げの片棒を担いで いるのか?」 匠「いや、まったく逆の理由だよ。 希少だ、有名だ、という理由だけで、誰も見た 事も、使った事も無いのだから、過剰な高評価 の幻想ばかりが相場高騰の原因となってしまう。 そうではなく、レンズの実際の実力値や実用性を 冷静に判断してもらいたいわけだ。だから、レア物 は、それを所有している場合には、優先的に記事で 紹介している訳だ」 B「ふむ、実態を説明したい訳ね? それならいいや。 では、その実態は、どうなのだ?」 匠「1980年代、これは各社が、まだマクロレンズの 設計手法に慣れずにいた時代であり、全般的に 高性能(高描写力)のレンズは、ほとんど存在しない。 その中で、現代でも通用する描写表現力を持つ 中望遠MFマクロは、概ね、4機種しか存在しない。 具体的には、 ・TAMRON SP90/2.5系(1979年~、1988年~) ・TOKIN AT-X 90/2.5(1980年頃~) ・CONTAX Makro-Planar 100/2.8(1980年代) ・OLYMPUS OM ZUIKO 90/2(1980年代) たったこれだけだ」 B「ふうむ、じゃあ、このOM90/2は、優秀なレンズ では無いか?」 匠「ここでは細かく各レンズの詳細を述べる事は避けて おくが、上記の4機種であっても、常に最良の 描写力が得られる訳では無い。特定の撮影条件に ハマった場合のみであり、つまり汎用性は低い。 本レンズも同様、中距離撮影には向くが、 近接撮影に強いレンズでは無い、描写傾向も そうであるし、最大撮影倍率も1/2倍と低い。 どちらかと言えば、TAMRON SP90/2.5系に近い 状態(特性)だ」 B「その弱点を回避する手段は?」 匠「簡単には、μ4/3機を母艦とする事だ。 これで、180mm/F2、等倍相当の望遠マクロとして 使う事ができる。 撮影倍率の不満は解消され、さらにデジタル拡大 機能を併用する事で、超望遠マクロとして使え 中遠距離の画質が良い事から、屋外での自然観察 撮影全般に有益だ。 μ4/3機の狭いセンサーサイズは、レンズの周辺 収差をキャンセルし、中央部の高画質領域を 活用できる」 B「なるほど、フルサイズ機で使わない方が良い訳だ」 匠「そういう事だ。初級中級マニア層等では、オールド レンズ等は、なんでもかんでもフルサイズ機を母艦 としたがる傾向が強いが、そうではなく、レンズの 特性に合わせて、フルサイズ機、APS-C機、μ4/3機 はたまた、もっと小型のセンサー機(PENATX Q等) を選ぶと良い」 B「よくわかった。でも実践は難しそうだな」 ---- 匠「本記事の総括だが。たとえ、NIKKORのマイクロ レンズと言っても、時代的に未成熟な理由もあって 1980年代あたりまでのものは、あまり推奨できない。 ただ、1970年代でも、Ai105/4等、平面マクロ的 用法に特化して使えば優れるマクロも存在する。 また、1990年代以降、NIKKORの一眼レフ用の マクロは、3~4機種程度しか存在せず、あまり NIKONがマイクロレンズに力を入れていた状況 では無い。 これの理由は、TAMRON、SIGMA、TOKINA等の レンズメーカーが、安価で優秀な、コスパの良い マクロレンズを常に販売しつづけたので、NIKONや CANONといった、メーカー純正のマクロは不利な 立場にあったからだろう。 また、他社マクロの全般だが、NIKKORと同様に 1980年代まででは、あまり優れた(実用的な) マクロは(多くは)存在しない。 以降の時代(1990年代~)では、色々と実用的 マクロは存在するが、それぞれ機種毎にずいぶんと 異なる特性であったりする。くれぐれもメーカー名 やシリーズ名が有名だから、と選ぶのではなく、 個々のレンズの長所短所を把握した上で、ユーザー 自身の撮影目的に合うものを選ぶ事が望ましい。 世間一般の評価においては高評価が得られていない 場合ですら、ユーザー個々の用途が、そのレンズ の特徴にマッチするならば、それはユーザーに とっては、実用的で有益なマクロになる訳だ」 ---- では最後に、本記事は「対決」編なので、各紹介 マクロの、個人総合評価点を順位付けしておこう。 (順位、発売年代、個人評価点、レンズ名簡略表記) 01位:1980:4.1点:OLYMPUS OM90/2 02位:1990:3.7点:TAMRON SP90/2.8(172E) 02位:1980:3.7点:TAMRON SP90/2.5(52BB) 04位:2010:3.6点:PENTAX HD35/2.8 05位:2000:3.3点:OLYMPUS ZD50/2 05位:1990:3.3点:COSINA 100/3.5 07位:1990:3.1点:NIKON ぐぐっとマクロ 08位:1980:3.0点:NIKON Ai105/2.8 09位:1980:2.9点:NIKON AiAF105/2.8 10位:2010:2.7点:七工匠 60/2.8 なお、平均評価点は5点満点で、3.0点が標準点。 3点台前半で”やや良い”、3点台後半で”準名玉”、 4点を超えると”名玉扱い”という感じだ。 また、1位のOM90/2は、希少価値から投機対象と なってしまっているので、あまり推奨が出来ない。 それと、この評価得点は、定期的に見直すので、 今後も(または以前も)同じ得点だとは限らない。 ---- では、本記事は、このあたりまでで。 次回記事の内容は未定としておく。
by pchansblog2
| 2024-12-19 18:25
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