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本シリーズ記事は、「写真用(等)の交換レンズ に興味を持ち、それを収集したり実用とする趣味」 すなわち「レンズグルメ」への、入門層/ビギナー層 等を対象とした説明内容にしている。 その際、初級層等が疑問に思うだろう事を、1人の 仮想人格、「ビギナーのB君」の質問内容に集約し、 本シリーズ記事を「仮想問答」の形式としている。 今回第12回目は「変則レンズ」(後編)編とする。 この後編では9本の変則レンズを紹介していく。 ---- ではまず、最初の変則レンズ。 レンズは、LENSBABY Velvet 56mm/F1.6 (中古購入価格 30,000円)(以下、Velvet56/1.6) カメラは、NIKON Df(フルサイズ機) 2015年に発売された、米国製単焦点MF中望遠レンズ。 B「これ(Velvet)は、どんなレンズだ?」 匠「Velvetシリーズには、3つの特徴がある。 まず、ソフト(軟焦点)レンズである事、 ここは現代において希少だ。 次いで、最大1/2倍、ハーフマクロである事。 ソフト+マクロ効果が得られるものは、この Velvetシリーズが、ほぼ史上唯一だ。 (注:超オールドの準マクロレンズ等の一部で、 収差補正が行届いておらず、意図せずに 軟焦点効果が出てしまっているレンズもある) さらに、軽い”ぐるぐるボケ効果”が発生する」 B「思うのだけど、今回の変則レンズ前後編記事は、 ちょっと難しすぎるレンズばかりを推奨していないか?」 匠「別に、”これらを買え”とは言っていないよ。 単に”こういうレンズもある”と紹介しているだけだ」 B「それなら良いが・・ どうみても、こうした特殊なレンズは、難しそうで ボクには使いこなせそうも無い」 匠「それは、ビギナー層だけに限らない話だよ。 特に、本レンズでは、軟焦点効果(球面収差)と ぐるぐるボケ(像面湾曲や非点収差)は、両者は 関連する要素があるから、それぞれの効果を 個別にコントロールする事は、不可能か、または 超高難易度だ。 だから、ビギナー層のみならず、上級層以上でも、 これのコントロールは、ほとんど”お手上げ”だ」 B「関連する要素?」 匠「ぐるぐるボケを出そうとすれば、必然的に 軟焦点効果が出てしまう。そのソフト効果を 減らそうとすれば、今度はぐるぐるボケも減って しまう。 両者を良い塩梅で個別にコントロールする事が 極めて困難だ。 この課題の回避は難しく、例えば、センサーサイズ を変える(意図的にクロップしたり、デジタル ズームを活用したり)あたりしか、方法論が無いし そうやったとしても、依然、完全には制御できない」 B「なるほど、それは難しそうだ。 ・・・ふむ。そうであれば、これは研究や実験や 様々な練習をする為のレンズなのか?」 匠「世間一般では、そう思って、これを買っている人は ほとんど誰も居ないと思うぞ。 だけどまあ、私は、ある程度は、そこは意識して 購入している、つまり”研究用”のレンズだ」 B「それは、”試しに買ってみたが、うまく扱えない” という状況を避ける為だな? ・・なるほど、最初から難しいレンズだと知って 買うならば、途中でメゲてしまう事は無さそうだ。 だがな、そういう目的で高価なレンズは買い難いよ」 匠「でもな、安価なトイレンズとかを買って来て、 途中で飽きてしまっても、安価に購入した故に 死蔵する等は、もう気にしなくなってしまう。 ある程度、自腹を切ったことで”これは、ちゃんと 使いこなせるように頑張ろう”という気にもなる」 B「なるほどね、だいたいわかった。 ボクは買わないとは思うが、考え方は参考にする」 ---- さて、2本目の変則レンズ。 レンズは、CANON EF-S 35mm/F2.8 Macro IS STM (中古購入価格 30,000円) カメラは、CANON EOS 8000D(APS-C機) 2017年頃発売の、APS-C機専用AF準広角(標準画角) LED照明内蔵型等倍マクロレンズ。 B「LEDが付いているのか? 良いアイデアだな」 匠「私もそう思って買った。 これまでも、ごく特殊な機材または、コンパクト機 では、近接撮影専用の照明を持つものがあったが あまりに特殊だ。 一眼レフやミラーレス機で簡便に使えるものは、 (つまり、別途電源供給を必要としないものは) これが初、またはCANON製の前年でのミラーレス機 専用LED付きマクロの計2機種しか存在しない」 B「実用性はどうなのか?」 匠「あまりよろしく無い。 第一に、LEDの光量は、特に屋外の自然光に対しては 小さすぎる。だから、その効能が少ない。 昆虫や花などの小さい被写体に掛かった影を消せる かと思ったが、そこまでの効果は得られない。 マウント部からの電源供給なので、電力の限界も あるかも知れないし、面発光での拡散板仕様も 光量の低下を招いているのかも知れない。 ただし、室内や暗所で使う場合には、それなりの 効能が得られる。 第二に、LEDを使う為には、レンズ先端のねじ込み式 フードを取り外さないとならない。 ここが若干の手間となり、速写性(すぐ撮れる)を 失ってしまう。珍しい昆虫を見つけた場合とかで なかなか撮れずにモタモタしていたら致命的だ。 じゃあ、フードを外しっぱなしにすれば良いか?と 思いきや、そうすると、LEDがむき出しとなり、 このレンズは最短WD(ワーキング・ディスタンス→ レンズ先端から被写体までの距離)が、とても短い から、被写体に衝突して、LEDの破損や汚損のリスク が非常に高い」 B「なるほど、ちょっと使い難そうだな」 匠「だけどまあ、意欲的な製品だ。 他社で、これに追従したものは無いので、 もう、これは実用面でのちょっとした課題は、 無視しても、買っておくべきかもしれない」 B「了解した。 ミラーレス機用もあるのだろう?」 匠「ミラーレス機用は、現状、EF-Mマウント版のみ であり、それを買ったら、EF-M機でしか使えない。 本レンズは、EF-Sマウントであり、このままか 又は、電子マウントアダプターを併用する事で CANON EOS一眼レフ(注:フルサイズ機を除く)、 ミラーレス機のEF-R、EF-Mの、3系統の機体で 共用できる。 ただ、他社のミラーレス機で本レンズを使う事は 難しい。LEDに電源を供給する必要があるしな」 B「良くわかった」 ---- では、次のレンズ。 レンズは、FUJIFILM FILTER LENS XM-FL 24mm/F8 (中古購入価格 6,000円)(以下、FILTERLENS) カメラは、FUJIFILM X-E1 (APS-C機) 2015年に発売のFUJI Xマウント専用ボディキャップ型 効果フィルター内蔵、固定焦点型レンズ。 銀色版、黒色版が存在した(注:現在は生産完了) B「ボディキャップ(レンズ)というやつだな?」 匠「そうだ。 ちなみに、薄型レンズ(パンケーキ)との差だが ボディキャップレンズは、その名の通りに、 ボディキャップ代わりとして使う為に、レンズに バリアー(蓋)の設定が存在している」 B「なるほど。そして、効能は?」 匠「通常撮影、ソフト(軟焦点)撮影、さらに クロスフィルター(四筋の光条を出す)の 3つの効能がある。 それらを、レンズを回転させて切り替える。 ただし、いずれも固定焦点(パンフォーカス) であり、MF機能を持たない」 B「意外に面白いかも知れないな?」 匠「課題としては・・ まず、固定焦点だが、完全にパンフォーカス 状態にはならないので、若干写りが甘くなる。 ただし、そこはトイレンズ相当として認識して おけば、Lo-Fi描写は課題にはならない。 また、短期間で生産完了となってしまった レンズなので、入手性があまり良くない。 また、FUJIFILMのXマウント専用のレンズの為、 他社機で使う(併用する)手段が、ほとんど無い」 B「良くわかった。 今のところFUJIFILM機を持っていないが、 もし入手したら、これも検討してみよう」 匠「パンフォーカス仕様なので、母艦のAF性能等は、 ほとんど関係ない為、古い機体でも大丈夫だ」 ---- では、4本目のレンズ。 レンズは、NIKON AiAF DC-NIKKOR 105mm/F2D (中古購入価格 70,000円)(以下、DC105/2) カメラは、SONY α7(フルサイズ機) 1993年発売のDC機構搭載型AF大口径中望遠レンズ。 B「DC機構って何だっけ?」 匠「簡単に説明する事は難しいが・・ 1990年代に、NIKONから、数機種のみの DC機構入りレンズが発売されている。 DC環を持ち、利用者が設定した通常絞り値と 同じ値になるように、F(前ボケ)または R(後ろボケ)を選んで設定すれば、その 前景背景の、どちらかのボケ質が良好となる。 DC-NIKKORは、2020年頃に全て生産完了と なってしまった。が、2021年ごろ、CANONの レンズで、ほとんど同等の機能を持つ”SA環” 搭載のマクロレンズが発売されているが、 そちらは高価すぎるので今のところ未所有だ」 B「ふ~ん、アポ何とか、と同様に、これも ボケ質を良くするものなのか」 匠「アポダイゼーションとは、全く光学原理が 異なるが、目的とする方向性は類似だ。 アポダイゼーションと違うのは、明確に前ボケと 後ろボケを意識して設定しないとならない点がある。 逆に設定してしまうと、むしろボケ質は汚くなるし、 場合により「シャボン玉ボケ」が発生する。 また、設定したレンズの絞り値を超えてDC環を 設定すると、過剰補正となり、軟焦点化してしまう」 B「軟焦点? ソフトフォーカスの事か?」 匠「そうだ。 そして、銀塩時代、一眼レフの光学ファインダー では、これの効能をファインダーで視認する事は、 まず出来ず、加えて、撮った写真においても、 L判プリント等では、ボケ質の判断は難しい。 だから、思い切りDC環を過剰に設定してしまい、 発生した軟焦点効果だけを見て ”DC-NIKKORは、ソフト(フォーカス)レンズだ” と言い張る、マニアやレビュー記事も多かった。 勿論、とんでもない誤解である。 で、本レンズでの、ボケ質改善効果は、昔から 旧ブログでも多数紹介している。 今回は、ちょっと捻くれて、無理に軟焦点効果を 出してみよう」 B「ふむ、これは完全なソフトレンズの写りだ。 しかし、これは、あくまで特別な用法だろう?」 匠「そうだ、普通は、こんな撮り方をする事は、 有り得ない。本レンズの目的や用途とは、まるで 異なるからな。 加えて、別の問題もある。 DC環を廻すと、ピント位置も変わる、つまり ”焦点移動”が発生するのだよ。 この為、DC環とピントリングを都度、バランス を考えて使う必要があり、MFでの操作は煩雑だ」 B「面倒な事をやる必要がある訳か。 それだったら、一般的なソフトレンズを使った 方が良さそうだし、そもそも論で言えば、DC環を 普通に使った方がベターだ」 匠「実は、一般的ソフトレンズでも、軟焦点効果を 調整する為に絞り値を変えると、焦点移動が 発生する事があるのだよ。 でも、あまりその事は、世の中に知られていない。 厳密に絞りを調整して撮るタイプのレンズでは 無いし、多少ピントが狂っても、軟焦点効果に かき消されて、わからなくなってしまう。 まあ、いずれにしても、DC-NIKKORを軟焦点の レンズとして使う用法は誤りだな。 せっかく、ボケ質が良くなるレンズなのに、 何もそのメリットを活用していない事になる」 B「わかった、ボクは、このレンズを買う事は まず無いと思うが、参考にしておく」 匠「あと、今回は長くなるので詳細説明は割愛するが、 このDCレンズは、球面収差を上手く調整すると、 ”シャボン玉ボケ”が出せる」 B「へぇ・・ (だから何か?)」 匠「興味なしか(汗) まあいい、いずれ他の記事で詳しく説明しよう」 ---- さて、次のレンズ。 レンズは、HOLGA LENS 60mm/F8 HL-O (4/3機用) (新古品購入価格 1,000円) カメラは、OLYMPUS E-520(4/3C機) 2010年代前半に発売と思われる単焦点MFトイレンズ。 B「ホルガは有名だ、トイカメラだろう?」 匠「元々は、安価なカメラとして発売された ものが、銀塩のHolgaシリーズ(120等)の カメラ群だ。 しかし、コストダウンにより低画質であった事が 逆に、世界でのアート層等にウケて、トイカメラの 代表格として、Lo-Fi志向の作品作りに使われた。 銀塩時代が終焉した後、2010年頃になって、 銀塩HOLGAのレンズを、デジカメ用に単体発売 されたものが「Holga Lens」であり、 一眼レフ用の60mm/F8、ミラーレス機用の25mm/F8 PENTAX Q用の10mm/F8の、3系統が存在する。 (注:初期の一眼レフ用でBC銘を持たないモノは 周辺減光が出ないので、あまり推奨出来ない) 定価はいずれも3,000円+税と安価だったが、 2020年頃には、既に生産完了となっている」 B「歴史はわかった。 すると現代では入手困難だな」 匠「まあ、このレンズ自体は、もう入手困難だ。 しかし、トイレンズやLo-Fi用レンズは、これのみ という訳では無いし、また新製品が出るかも知れない」 B「了解した、ボクも何らかのトイレンズは欲しいな」 匠「で、問題はトイレンズを買った後の話だ。 それをどう使うか? つまり、どんな映像表現に しようとするのか? さらには、どういう技法で撮るか?」 B「ん? 技法? それはトイレンズを使えば、 必ず写りが悪い”Lo-Fi”描写になるのでは?」 匠「単純にそうとも言えない。 で、今回は、Lo-Fi描写を強く意識する為、 母艦のOLYMPUS E-520が持つ、手ブレ補正と、 その焦点距離入力設定を、このレンズの60mmでは なく、あえて8mmに設定している。 この値は、今後、色々と変えて試してみる予定だが、 つまり、カメラが検知した撮影者の手ブレを、 カメラが、あえて誤った手ブレ補正を行うように 設定している。 また、ISO感度は、最低のISO100で固定し、ここも 手ブレを起こし易いようにしている」 B「ん? あえて、手ブレしやすいようにする設定か?」 匠「その通りだ。いくらトイレンズとは言え、カメラの 高性能を利用し、撮影者も正当な撮影技法を使うと、 あまりLo-Fi描写にはならないケースもある。 トイレンズでHi-Fi写真が撮れてしまうと、目的には 合わない為、あの手、この手で、意図的に失敗写真 を撮れるようにするのだよ。 この措置は極めて難しく、普通にHi-Fi写真を撮る 場合よりも、数段高難易度だ」 B「むずかしい事をやっているなぁ。 そこまでしないと、ならないのか?」 匠「あくまでここも、研究や実験だ。 まあ、普通は、そこまでやらないでもいいけど、 これもまた”知的好奇心”だ」 B「よくわかった。 トイレンズを入手したら、 ボクもやってみよう」 ---- さて、次の変則(ミラー)レンズ。 ミラーは、TAMRON SP 500mm/F8 (Model 55B) (中古購入価格 23,000円)(以下SP500/8) カメラは、FUJIFILM X-T1 (APS-C機) 1979年発売の恐らくタムロン初となる超望遠ミラー。 B「またミラーレンズか? すでに前編で聞いているよ、そしてボクは 反射式望遠鏡の仕組みも知っている。 もはや冗長なのでは?」 匠「あはは・・ B君が望遠鏡に詳しいとは知らなかった し、そもそも、多くの人たちでも、そこまでは 詳しく無いだろう? だから、2回紹介するつもり でいた」 B「わかったよ、では、話につきあおう。 このレンズは、何か特徴があるのか?」 匠「恐らくだが、最もロングセラーだったミラーレンス だと思う。外観等の変更はあったが、55B型の 初代が1979年~1983年、そして、後継の55BB型が 1983年~2006年まで。 都合、27年間も販売が継続されたレンズだ。 特徴は、アダプトール2型の交換マウントにより 多くの銀塩一眼レフや、後年のデジタル一眼レフ、 および、マウントアダプターを併用する事で、 ほぼ任意のミラーレス機に装着できる汎用性の 高さがある。 加えて、最短撮影距離1.7mと寄れて、 素のままで、1/3倍の最大撮影倍率が得られ、 現代では小センサー機や、デジタル拡大機能と 組み合わせて、等倍以上の撮影倍率となる ”超望遠マクロレンズ”としての用法が可能だ」 B「おお・・ それは実用的では無いか!」 匠「おまけに中古相場も、比較的安価だ。 ただ、近年では、さすがに中古流通も減り、 気になる世情としては、”希少品であるから”と たったそれだけの理由で、かなり高額な投機的 相場になっていた事もある。 高価に買うならば意味がなく、概ね1万円台が 適正相場だ」 B「ふうむ、なるほどね。 代替のミラーレンズはあるのか?」 匠「古い時代のミラーレンズは、耐久性がもう 厳しい。ミラーが曇ったり、蒸着が剥げて しまったりもする。 だから、買うならば新鋭の製品に限るだろう。 幸い、KENKO社が継続的にミラーレンズを新規に 発売を続けている。 現行タイプだと、400mm/F8だな。前編で 紹介したミラーレンズと、同系列の製品だ。 それも「Tマウント」の交換式マウントの為、 ほぼ任意のカメラで使える。 なお、Tマウントを替えず、マウントアダプター を用いても良い。 最短撮影距離は、新型では1.15mとかなり寄れ、 1/2.5倍(0.4倍)の最大撮影倍率だ。 勿論、カメラ側デジタル拡大機能の併用で、 これも、超望遠マクロとして活用できる」 B「ふうむ・・ やはりミラーレンズは買って おくべきかな?」 匠「そこは、ユーザーの個々の判断だ。 ミラーレンズの長所短所は、前編記事でも 書いてあるだろう? そこの検討だ。 ちなみに、新製品は少しづつ値上げされていく。 近年のものだと、定価では3万円~4万円あるいは 2020年代では、それ以上もしてしまうだろう。 ただ、中古品はミラーの劣化のケースもあるので そこは良く考え、または”目利き”して購入する 必要がある」 B「よくわかった」 ---- では、7本目の変則レンズ。 レンズは、LAOWA 105mm/F2 Bokeh Dreamer (LAO0013) (新品購入価格 90,000円)(以下、LAOWA 105/2) カメラは、CANON EOS M5 (APS-C機) 2016年に発売された中国製MF中望遠APD搭載レンズ。 B「これもアポダイゼーションだな? 以前の記事で、STFと対決していたよな?」 匠「そうだ、毎回同じようなレンズばかりで すまないなあ・・(笑) だけど、何度も紹介する事で、ようやくそれを 覚えてくれる、というのも確かだろう? そろそろ「アポダイゼーション」も聞きなれた 用語になってきている頃だし」 B「わかっているよ。 ボケ質が綺麗なレンズだ。 で、このレンズの長所はなんだっけ?」 匠「以前の記事と重複するので簡単に言うよ。 <長所> ・アポダイゼーション5機種中、最も安価に買える。 ・マウント汎用性が高く、アポダイゼーションを ラインナップしていないメーカーのカメラでも 使える。 ・F値絞りとT値絞りを独立に持つ、その効能は 少ないが、マニアックな研究的使い方ができる。 まあ、そんなところだ。対して、短所は・・ <短所> ・アポダイゼーションとして考えると、描写表現力が 非常に高い訳ではない。 ・その割に高価である、10万円前後も出すならば 一般的構成のレンズで、描写力に優れるものは 本レンズでなくても、色々と存在する。 それくらいだ、と考えておけば良い」 B「思い出したよ、で、だいたい了解だ。 あまり買う気にはなれないが、参考にしておく」 ---- さて、次のレンズ。 レンズは、Lomography New Petzval 55mm/F1.7 MKⅡ (新品購入価格 41,000円)(以下、PV55/1.7) カメラは、SONY α7S(フルサイズ機) 2019年発売のMF標準「ぐるぐるボケ」レンズ。 B「また、ぐるぐるボケかよ? そればかりでは無いのか?」 匠「特殊レンズ、変則レンズといっても、そこまで 多数の機種が存在している訳ではない。 おそそ100数十機種(系統)程度までだろう。 その中から、20~30機種も紹介すれば、もう 十分ではなかろうか?(本記事以外でも紹介) そういう意味での紹介機種のチョイスだ。 ぐるぐるボケも、それが出る機種数は10機種 にも満たない。でも、代表的な2~3機種は 紹介しておきたいようにも思う」 B「もうわかったよ。 で、このレンズの特徴は?」 匠「なんだかムカついてきた。 マニアだったら自分で買って調べろよ。 なんでもかんでも人に聞くとは、それは 本当にマニアなのか?」 B「初級のマニアだから、しかたがない」 匠「いつまでもビギナーのフリをするなよ(笑) もう、そこまで知っていたら、中級マニアだ」 B「わかった。では、少しは自分で調べるさ。 ふむ・・ BC機構というものがあるな、 それと、ウォーターハウス? それは何だ?」 匠「よし(笑) 確かに、その2つがポイントだ。 まず、BC環は、「ボケコントロール」の意味だと 思われる、英語でも「ボケ」は「Bokeh」だしな」 B「ボケが英語だと? 日本語では無かったのか?」 匠「英語だと、アウトフォーカス(Out Focus)という 単語は元々あった。でも、それは「ピンボケになる」 という意味であり、いつも述べているような ”ボケ質”とかの概念は、英語圏でもなかった。 なので、日本語の”ボケ”を、そのまま英語化した」 B「なるほど、日本人でも”ボケ質”の概念理解は 難しく、外国人でも、それは同様だった訳だな?」 匠「その通りだ。 で、このBC機構(BC環)は、変形ペッツヴァール 構成での後群の2枚の分離距離を意図的に調整し 非点収差および像面湾曲の発生具合を制御できる」 B「いきなり説明が難しいのだよね(汗) 要は、ボケ質が変わるのか?」 匠「そうだ。 ただし、ぐるぐるボケレンズでの”ボケ質”は、 前述のアポダイゼーションや、DC機構の場合とは 異なり、ぐるぐるボケの発生量の多寡を制御する 事になる。 つまり、ぐるぐると渦巻くボケ方を強く出すか、 弱く出すか、そこのコントロールだ。 一部のマニア層の間では「ぐるぐるボケの回転数」 と、これを呼ぶ事がある」 B「なるほど、”回転数”か、わかりやすいな」 匠「ただし、そう単純なものでは無い。 BC環をいっぱいに廻したところで、簡単に回転数が 高まるものではなく、撮影条件に依存する」 B「撮影条件? 具体的には何だ?」 匠「詳細な説明は割愛するが、ごく簡単に言えば・・ センサーサイズ、絞り値、撮影距離、背景または 前景の距離、背景等の絵柄(パターン、または テクスチャー)、そして勿論、レンズ自体の 焦点距離や開放F値の仕様、加えて、このBC環の 設定、それらの総合だ」 B「ふむ、ちょっと(かなり)難しそうだ。 で、それらがうまく組合されないと、ぐるぐるボケ の回転数は上がらないわけだな?」 匠「その通りだ。だから、ぐるぐるボケレンズは 結構高難易度であり、ビギナーレベルでは、その 使いこなしは困難だ。 それと、ウォーターハウス絞りの質問だったな? こちらは簡単、「差込式」の絞り機構の事だ。 レンズ自体にも絞りは付いているが、通常の円形 タイプだ。 差込式では、星型、雪型、ハート型、△型等の 様々な形状の絞りプレートを挿入・交換して使える」 B「なるほど、それらのプレートを入れると、 ボケに、その形が出る訳だな」 匠「ただし、ここもそう簡単な話では無い。 本レンズでは特に難しく、実焦点距離等の関連も あって、あまり背景に大型のボケが出るような ものでは無い。せっかくプレートを入れ替えても 背景の小さいボケの中に、星型等が出ても、 形がはっきりせず、ごちゃごちゃするだけだ。 だから、夜景点光源、木漏れ日の点光源等を うまく捉えて使わないと、効能が少ない」 B「ううむ、とっても使いこなしが難しそうだ。 ボクには無理そうだな、遠慮しておく」 匠「それならば、そういう判断でも良い。 いずれ興味が出てきたら、その時に買えば良いさ。 ただ、生産終了になって、慌てて買おうとしても その時に投機が入って高額相場になってしまう リスクもあるぞ」 B「もし、そうなったら、どうするのだ?」 匠「簡単な話だよ。高額相場になってしまったら ”もう、自分には縁が無かった機材だ”と思い、 すっぱり諦めたら良いのだよ。 ”失恋”と同じ事だ、いつまでもウジウジと 未練を持っていても、しょうが無いだろう?」 B「よ~くわかった、そういう簡単な説明を期待する」 匠「なんか、いちいち、上から目線だなあ(笑)」 ---- では、今回ラストの変則レンズ。 レンズは、KONICA MACRO HEXANON AR 105mm/F4 (中古購入価格 9,000円)(以下、AR105/4) カメラは、PANASONIC DMC-G6 (μ4/3機) 1970年台後半の発売と思われるMF中望遠小口径マクロ。 B「メカメカしい外観だ、格好良いなあ」 匠「これを、格好が良いと思うか? まあ、例えば”ガンダム”なんかでも、初代の シンプルな形状の機体を好む人も居るし、後年の、 あちこちに羽根が生えたような機体を好む人も いるから、そのあたりは、個人の好き好きだなあ」 B「わかりやすいたとえだ、それで良い(笑)」 匠「ぐっ・・ なんだか偉そうだが、まあいいか。 で、格好良いかどうか?は、さておき、これは 本来、超近接撮影用のレンズではある。 ただ、幸いな事に、近距離オンリーの仕様では なく、一応、無限遠までピントが合うため、これを 近接用途専用レンズとしてしまうのは勿体無い。 そこで、本来、もう少しついていた部品を、最低限 になるまで外してダイエットし、かろうじて屋外の 手持ち撮影にも耐えられる形態として使っている」 B「かろうじて? そんなに難しいのか?」 匠「手持ちで、機材を支えられる部分が無いのだよ。 ツマミを廻してピントを合わせる事も大変だし、 全体の重心を支えてホールド(保持)する事も 困難だ」 B「だったら、三脚を使えば良い」 匠「まあ普通はそうだろう。これの設計は、もう 50年近くも昔だから、当時の機材環境では、 まさかこれを、手持ちで使う人が居るとは 全く考えなかったに違いない。 でも、勿論、カメラも進歩したのだよ。 超高感度化、場合により手ブレ補正も使えるし、 小型化もされている。 だったら、手持ちでも「かろうじて」使える訳だ」 B「だいぶ捻くれているなあ・・」 匠「なんとでも言え。ともかく、三脚を立てるのは 撮影条件の制限が大きいので好まないのだよ」 B「ふむ、そこはわかった。 で、レンズ自体の特徴はなんなのだ?」 匠「第一に、”平面マクロ”特性である事、 ここは何度も説明しているので詳細は不用だな? そして、3倍強(フルサイズの場合)の最大 撮影倍率を持ちながら、無限遠撮影も可能な点。 さらに、史上2系統しか存在しない、一眼レフ用 のHELIAR(ヘリアー、Heliar)型3群5枚構成 である事、これの歴史的価値は高い。 加えて、同時代のNIKKOR Ai105/4と、ほぼ 同一の設計である事、ここも興味深い」 B「ニコン製と同じというのは、共同開発か?」 匠「共同開発、OEM供給、設計の売買等の可能性があるが どれも同じ事だ。つまりNIKKORと全く同じだ」 B「だったら、NIKKORを買えば、苦労せずに使える」 匠「基本的にはそうだ。でも、Ai105/4は、1/2倍 までの撮影倍率なので、このレンズの方が寄れる」 B「そこも、いつも言っているように、μ4/3機で 使って撮影倍率を高めたり、デジタルズームで 拡大すればよいだろう?」 匠「ぐぅ・・ まさに、その通りなのだが・・・ まあでも、今回もこのレンズをμ4/3機で使って いるが、そのままで約7倍、さらにデジタル テレコンで、14倍やら28倍の撮影倍率を得られる」 B「そんな極端な設定をして、上手く撮れるのか?」 匠「ぐっ・・ そこも、おっしゃる通りでして(汗) 実用的には、屋外手持ちで、3倍以上の撮影 倍率ともなれば、もう非常に高難易度となって ほとんど偶然でしか撮れなくなってしまう。 だから、通常は、そこまで撮影倍率を欲張らず 適宜、多くとも等倍~2倍の範囲で撮るケースが 殆どだ。 よって、NIKKON Ai105/4でも十分であり、 本レンズを、わざわざ使う必要は無い。 しかも、両レンズとも、中古で1万円以下で買って いるので、値段的な差異も無い」 B「だったら、何故、こんな面倒なモノを推薦する?」 匠「推薦じゃあないよ、紹介だ。 ”世の中には、こんな変わったものものもある” という意味での紹介だ」 B「でも、実用に適さなければ、その紹介も無意味だ」 匠「ずいぶんと正論続きの論破だなあ。 全て、おっしゃる通りだよ(汗) だけど、たかが9,000円の購入価格だぞ。 高額相場の希少品を、相場吊り上げ目的とか、 または単なる自慢で紹介している訳では無い。 安くておもしろい機材があれば、それを紹介しても バチは当たるまい?」 B「わかったよ。でも、どうせ希少品だから、 いまさら、これを入手するのは困難だろう?」 匠「ああ、そこは重要だ。 希少品だから、珍しいから、レアだから、と言って ”価値が高い”と勘違いして、高額な投機的相場を 受け入れてしまう人達が多すぎる。 そういう人達が、万が一、本AR105/4を見つけ、 相場がわからないから、仮に”10万円です”と、 ふっかけられても、買ってしまう恐れがある。 そんな場合、本/旧ブログを参照してもらえれば、 どの記事でも、そこに購入金額は、必ず書いて ある訳だ。 しかも、その金額は、私が「買うに値する」と 考えて購入した金額であるから、不条理な高額 相場では絶対にない。何故ならば、高額すぎると 感じた機材は、私自身、絶対に購入しないからだ」 B「なるほど、相場参照用の情報でもある訳だな」 匠「その通りだ。 特に希少機材の場合、世の中に存在する情報が 殆ど無い為、単にマニアやハイアマチュア層が さらりと書いたレビューや評価を元に、その 希少機材が注目されて、投機対象となり相場高騰 してしまう事も、十分に有り得る話だ。 そして、そうした情報提供側は、必ず取得価格を 併記しておくべきだと思う。そうすれば、それより 高価にはしにくくなる点が1つあり、それに加え 希少機材をただ単に「紹介するだけ」で、それを 高額転売するような目的では無い事も、明らかに しておく為だ。 ”このレンズは凄い、名玉だ、幻だ”とかの評価が あったとしても、単にそれを高額に販売する為の 流通側からの宣伝記事かも知れないしな。 だから、あくまで実際のユーザーのレビューである 事を明記する意味でも、購入価格の情報は重要だ」 B「よくわかった。 まあ、ボクも近年のネット上の情報は、広告宣伝 ばかりで嫌気がさしている事が多いよ。 ボクも何かレビュー記事とかをSNS等に載せる場合 そのあたりは注意する事とするよ。 なんだか、値段を書いてしまう事は、良くないと 思っていたが、実際には逆なのだな? ちゃんと値段を書かないと、むしろ正しい情報には ならない訳だ。良くわかった、気をつけよう」 ---- では、本記事は、このあたりまでで。 次回記事の内容は未定としておく。
by pchansblog2
| 2024-10-28 18:34
| 完了:レンズグルメ入門編第一部
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