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本シリーズ記事は、「写真用(等)の交換レンズ に興味を持ち、それを収集したり実用とする趣味」 への「入門編」であり、入門層、ビギナー層等を 対象とした説明内容にしている。 その際、初級層等が疑問に思うだろう事を、1人の 仮想人格、「ビギナーのB君」の質問内容に集約し、 本シリーズ記事を「仮想問答」の形式としている。 ただし、本記事に関しては、若干だが高度な内容も 含む為、仮想人格は「初級マニアのM君」とする。 今回第6回目は「キットレンズ(AF単焦点)」編とし、 銀塩AF一眼レフ、デジタル一眼レフ、ミラーレス機 とセットで販売された、または、ズバリの販売セット では無いまでも、多くのユーザー層がカメラ本体と 同時に購入しただろう、スタンダードなAFレンズを 8本紹介する。 なお、母艦とするカメラは販売当時のキット形態が 本来は望ましいが、銀塩機も含まれる古いシステム とかで、実用性に欠ける場合もある為、母艦は 任意の機体を使用する。 ---- まず、最初のレンズ レンズは、smc PENTAX-FA 50mm/F1.4 (中古購入価格 14,000円) カメラは、PENTAX *istDs (APS-C機) 1991年頃に発売されたPENTAX Kマウント用大口径 AF標準レンズ。 では、以下は「仮想問答」となる。 M「そもそも、キットとは何だ? セットとか、バンドリングとか、色々な呼び方 があって、意味の違いが分かり難い」 匠「そうだな、分かり難い。 理由の1つは、カメラ界全般で遥か昔から現代に 至るまで、”用語統一”という事が全く行われて いない状況だ。 だから、メーカー毎、流通市場、ユーザー等の それぞれで、勝手な新しい用語を作ってしまい、 消費者層の混乱を助長するばかりだ。 ぶっちゃけ言って、用語統一が出来なかったり 規格統一ができない・・ 例えば、カメラ毎に レンズのマウントがバラバラだったりして、 長年、ユーザーに不便を強いていた事が、カメラ が売れなくなった原因の1つだとも思っている」 M「ふむ、確かに名前や仕様がバラバラなのは不便だ。 で、結局、キットとは何だ?」 匠「ちゃんと定義できない。 元々の語源としては、”道具等の一式”という 意味だ。 近代のカメラ界では、”ボディキット”と 言えば、カメラ本体、キャップ類、ストラップ、 バッテリー、充電器、専用ソフトウェア等の 付属品一式が入った販売形態を指す事が普通だ。 対して”レンズキット”と言えば、ボディキット に、さらに1本ないし2本のレンズが付属している 状態を示している」 M「ふむ、じゃあ、セットと何処が違う?」 匠「キットは、やや専門用語に近いから、その意味が わからない消費者層も多いと思われる。 ”何それ? キットカット(チョコレート)の事?” とか言われてしまう事もあるだろうから、キットでは わかりにくい事を警戒し、一般に”セット”等とも 呼ばれる。 また”バンドリング”は、正確に言えば”独立した 異なる製品を2つ以上のセットで販売する形態”だ。 特にパソコン業界等で1990年代頃から言われ始め ”PCと専用ソフトを、バンドル(束ねる、同梱する) して販売する”という商品形態で使われた用語だ。 異なる独立した商品ならば、なんでもバンドリング であるから、広い意味で、”カメラと交換レンズの バンドリング販売”のように使われるケースもある」 M「なんだ、結局、どれも同じモノ(商品)では無いか」 匠「その通りだ。 だから、こういう”用語不統一”は困った話だ。 そして、”セット”と言うと、なんだか普通だし ”キット”と言うと、精密な機械や工具を連想するし ”バンドリング”と言うと、昔の電気街で、売れ残った パソコンとソフトを抱き合わせ販売していたような 悪印象もある。それぞれの言葉(用語)には、使われ 続ける事で、微妙に印象(イメージ)が付いてくる 訳であり、その良いイメージや、逆に悪いイメージ を主張したいが為に、そうした言葉を使うケースもある。 例えば、”なんだ、バンドリング販売では無いか” のように使えば、売れ残った商品を抱き合わせに するようなイメージが僅かに発生する為、これは 悪口や苦言を言いたい時に使ったりするわけだ。 しかし、元々の用語には、悪い意味は無いのだから 周囲に角(かど)を立てずに不満や文句を言う事が できる訳だ」 M「ふ~ん、日本語、いや、こういうのは元々は英語か? ・・それらは複雑なものだな」 匠「時代によって、言葉の意味が変化する事もある。 また後で、もっと酷い用語の変遷の例を挙げる。 でも、まずは、このレンズの話をまとめておこう」 M「とは言っても、ありふれたAF標準レンズだろう?」 匠「FA50/1.4は、超ロングセラーである点が特徴だ。 1991年ごろの発売だと思うけど、発売から 30年を超えて、ようやく2023年に後継型が 発売された。 もしかすると、ロングセラーの最長記録の レンズだったかも知れない。 しかも、後継型の「smc PENTAX-FA 50mm/F1.4 Classic」は、ほぼ本レンズと同等仕様であり、 (詳細後述)それも含めて、超ロングセラーを 継続中と見なす事もできると思う」 M「ふ~ん、そう聞くと、なんだか、有りがた味がある」 匠「写りは過不足無く、オーソドックスだ。 これ以前の1970年代前後から、他のカメラ・レンズ メーカーでは”PENTAXの標準レンズをリファレンス とする”、すなわち、PENTAXの標準レンズを他社の 開発部門が買ってきて、自社製品と性能の比較を する為の機材として使われて続けた、という話を 良く聞いた」 M「キットとして発売されたのか?」 匠「情報が少なく、良くわからない(汗) PENTAX初期の銀塩AF一眼レフ、SFXシリーズでは 恐らく、このレンズの前期型のF50/1.4(未所有) がキットレンズであった事だろう。 FAレンズの時代では、Zシリーズ一眼レフだったが 既にズームレンズが主流の時代なので、キットレンズも 旗艦機Z-1であっても、FA28-105mmのズームだった かもしれない(詳細不明)」 M「ふ~ん、単体レンズとしてロングセラーだった ならば、なんだか、ますます面白い」 匠「変なところに興味を持つのだな(笑) まあ、現在、このレンズの中古相場は安価なので どうぞ、ご自由に買ったら良いと思う」 参考:本FA50/1.4は32年間ものロングセラーを終了し、 2023年に後継のHD PENTAX-FA 50mm/F1.4および smc PENTAX-FA 50mm/F1.4 Classicの2機種に 分化されている。仕様や内部光学系は、旧機種と 同等と思われるが、HD版は、新型コーティングや 円形絞りを採用。 また、Classic版は、各レンズ面のコーティングを オールドレンズ風に再調整したとの事だ。 勿論、旧版より、だいぶ値上げされている。 そして何故か、よりFA50/1.4に近いと思われる Classic版の方が定価が高価である。 いずれも、本FA50/1.4を代替する理由が少ないと 思われる仕様につき、現状、それらは購入していない。 なお、後継型に変わった直後から、旧機種の新品 流通は、ほぼ停止している。もはや旧版は中古品で ないと入手不能であろう。 ---- では、次のレンズ。 レンズは、NIKON AiAF NIKKOR 50mm/F1.4S (中古購入価格 15,000円) カメラは、NIKON D500 (APS-C機) 1991年頃に発売のFマウント用大口径AF標準レンズ。 (注:初期型としては、1986年の発売となる) M「このレンズも、NIKONのフィルム一眼レフの キットレンズだったのか?」 匠「情報が少なく、良くわからない(汗) 基本的にNIKONの銀塩一眼レフは、ボディ単体 販売のケースも多かったと思う。 ただ、少なくとも、NIKON F4(1988年)では、 本レンズ(の初期型)とのキット形態も存在した と記憶している」 M「ふ~ん、やっぱ単焦点のキットは珍しいのかな? ズームが主流だったという事か?」 匠「1990年代からは、ほとんどがズームキットだな。 AF時代に入るとともに”これからはズームの時代だ” と、市場も、そんな様相に変化したからな」 M「時代が変わった、という事か?」 匠「いや、色々理由があるが、細かくなりすぎるので 今回は説明は省略しておく。 そうそう、”時代により用語の意味が変わる” という話が途中だったな・・ その手の例では、”プレミアム”がある。 これは、つい近年までは”高額転売”等で、 非常に悪印象の強い言葉であり、その用法も ”プレミア(ム)相場となってしまった” (=不条理なまでに、価値を超えて高額となった) のように、文句や不満を言う際の用語だった。 でも、”証券等で額面と価格の差”という別の 意味もあり、これは、”プレミアム商品券”あたり では、これに類する意味を持たせていたのだが、 ここ数年では、いつのまにか”プレミアムとは 高級品の事”という(誤った)常識が世間一般に 広まってしまった。 ここの理由は、2010年代後半から、各市場分野での 消費の低迷、消費税の税率アップ等で、各市場の 商品の値上げを意図した様相があったが、そのまま 同じ商品を値上げすると消費者や世論が文句を言う ので、商品の仕様を変えて「高級品」つまり、 高価格で売りたい高付加価値製品とし、それらの 多くに”プレミアム”と名づけた。 (→既に”プレミアム商品券”で、消費者層に、良い (得をする)イメージが根付いていた) だから、いつの間にか、世の中は”プレミアム”と 名がついた高額商品ばかりとなった訳だ。 で、2022年ごろから、市場では値上げが相次いで、 世論も騒ぎ始めたたのだが、実際には2018年ごろ からの”実質値上げ””ステルス値上げ””プレミアム 値上げ”等の措置が甚だしく、”世のお偉いさんとか、 マスコミ等が、これらの兆候に気付かないならば、 相当に買い物に疎い”と、個人的には感じていた」 M「そうだ、カメラも2010年代後半から値上げされた」 匠「その通り。つまり、カメラでの”プレミアム化”では、 フルサイズ化とか、超高速電子シャッター連写とかの、 あまりユーザーにとって、実用的な利点とならない 付加価値を謳って、大きく値上げされていた。 普通のカメラユーザー層ならば、多くの人達は、 それに気付く。だから、皆、”高価すぎるカメラは 買えない”と買い控えをした。 だけど、モノの価値がわからない初級消費者層は、 そうしたプレミアム(=悪い意味での)カメラを ”高級品だ!”と勘違いをして高値でも買う訳だから、 その後の数年間で、世の中は見事なまでに ”新鋭の高価なカメラを買うのはビギナー層だけ” という状況に陥ってしまった」 M「だけど、高いモノを買うのも、あくまでその消費者 の好き好きだ」 匠「その通り。そして、そのようにプレミアムな商品を、 ありがたがって買ってくれる消費者が居なければ カメラ界でも、どの商品市場でも、もう衰退して しまって、酷い事となる。 だから、商品の本質や価値がわかっていないならば、 好きに、それら高額商品を買えば良い、誰もそれで 損はしないし。 だが、コロナ禍以降(2020年代)、どの市場でも、 もう、安価な(ベーシックな仕様な)商品が、 殆ど存在しなくなってしまった。 プレミアム化後に一時的に併売されていた旧様式 のシンプルな製品・商品は、”もう儲からない” という視点から、販売終了となってしまった訳だ。 そうして、市場に残ったのは高額な商品ばかりと なり、ここでようやく2022年くらいから ”世の中の品物が高くなった。物価高騰か?!”と 気付くのが遅すぎるよ、という類の世論が出てくる」 M「だいたいわかったが、レンズの話と何の関連がある?」 匠「まあ、そう言うなよ(汗) レンズの事よりも、世の中の状況の方が重要だ」 M「そうか? オレにはあまり関心が無い。 で、このレンズの写りはどうなのだ?」 匠「AiAF50/1.4は、特に可も無く不可も無し」 M「みんな同じ評価じゃあないか(怒)」 匠「だって、50mmF1.4級レンズは、同じ時代 (MF末期、あるいは銀塩AF時代)のものは 各社とも、ほとんど同じ性能だ。 他社より劣っているものを販売したら不利だしな。 (1990年代頃での)ビールの味比べと同様に、 ほとんど差が無いので、各自好きなものを買って 使えば(飲めば)良い」 M「なんだか、おもしろくない話だ・・」 匠「逆に言えば、”NIKONだから優れている”とか、 そんなブランド信奉は意味が無いという話だ」 M「そんなに各社のレンズを沢山持っている訳では 無いので、ピンと来ないが、まあ了解した」 ---- では、3本目のレンズ。 レンズは、MINOLTA AF 50mm/F1.4 (初期型) (中古購入価格 9,000円) カメラは、SONY α99(フルサイズ機) 1985年発売のα用大口径AF標準レンズ。 M「さては、このレンズも可も無く不可も無しか?」 匠「そうだ。だが、ポイントが2つある。 本レンズは、1985年発売の史上初の一眼レフ 用のAF標準レンズであり、歴史的価値が高い。 しかし、元となった光学系が、従前のMF時代の New MD50/1.4であり、これは、小型化が望まれた 世情の標準レンズであった為、その小型化により 若干の性能ダウンをしてしまったレンズだ」 M「低性能なモノを引き継いでどうする?」 匠「私に言われてもなあ・・ MINOLTA αは、他社とのAF化競争に圧勝する為 発売時点(1985年)から、多数の単焦点AFレンズ を用意(準備)する戦略を取っていた。 その際に、その時点での最新型の光学系を 使わざるを得なかったのだろう、そこからさらに 先祖返りして、MC50/1.4等をベースにする訳には いかないからなあ・・」 M「なんだか複雑な歴史だ」 匠「そう、で、そこを一口に説明するのは難しい。 いまさらMINOLTAの古い時代の標準レンズに 興味を持つ事は無いとは思うが、もし興味が あるのならば、以下の旧ブログ記事を参照 されたし」 関連参考記事:旧ブログ *特殊レンズ超マニアックス第43回 「MINOLTA ROKKOR 標準レンズ」編 M「軽く読んでみたが、こんな古い時代のレンズを 集めているのか? 変わった趣味だ」 匠「集めているのでは無い。コレクション志向は 全然持っていない。これらは、MINOLTAの技術の 変遷を調べるための”研究材料(資料)”だ」 M「ますます変な趣味だ。 それを研究してどうなる? 論文でも書くのか?」 匠「知的好奇心だ。まあでも、理解されにくい趣味 でもあろう」 M「普通、マニアと言えば、珍しい機材を買ってきて 収集するものでは無いのか?」 匠「そんな事は無い。マニアでも様々な志向性がある。 ただ”研究派マニア”というのは、さほど多くは 無いと思うが、長くマニアを続けていけば、 だんだんと、そうなっていくことは良くあると思う」 M「ふ~ん、そんなものか。 オレには、今はわからないが、色々と機材を 集めたら、いずれそうなるかもな・・・」 匠「まあ、そういう事だ」 ---- では、次のレンズ。 レンズは、CANON EF 50mm/F1.8 初期型(Ⅰ型) (中古購入価格 11,000円) カメラは、CANON EOS 30D (APS-C機) 1987年に発売された銀塩EOS用初のAF小口径標準レンズ。 M「これもキットレンズだったのか?」 匠「実は、記録が見つからない。 恐らく、当時(1980年代末)のEOS機での キットレンズは、殆ど全てがズームレンズであり 本EF50/1.8とのキットは、存在しなかったかも知れない」 M「じゃあ、”キットレンズ特集”などは、ウソか?」 匠「細かい事に拘るなあ・・(汗) バンドリング販売形態が仮に無かったとしても、 当時の多くのEOSユーザー層は、このレンズか 又は、これの後継型のEF50/1.8Ⅱを買って使った 比率が高いと思うぞ」 M「何故、ズームレンズを使わない?」 匠「色々と事情がある。 CANONは、前述のMINOLTA αに1985年時点で 惨敗してしまい、結果、一時的に1986年では MFのシステムに逆戻りした。 だが、1987年、EOSが初登場した際、αに勝利 する為には、旧来のFDマウントを捨てるという 苦渋の決断をした。 でも、それではFD系の旧来ユーザーから不満が出る。 その不満を解消する為、EOSのレンズは単焦点を 減らし、ズームを主体にした。 こうしておけば、FD系ユーザーは単焦点主体で あったから、新たなEOSに買い換えてもらう大儀名分 が発生する」 M「ふむふむ・・・ メーカー側の都合だったと」 匠「都合というか、市場戦略だ。 で、EOSではズームを主体にしたのだが、ユーザー の意識は、まだズームレンズには違和感や不満が あった。 具体的には、”暗い、寄れない、画質が悪い、重い、 高価”等の様々な課題を感じていた次第だ。 それを解消するには、やはり単焦点しかない。 だが、EOSの戦略上、単焦点に力を入れられない。 例えば、EOS登場から6年間もの間、F1.4級標準 レンズは発売されていなかった」 M「ふむ、それは、ジレンマだな」 匠「そうだ。そして、おりしも、時代はバブル期だ。 世間では、”ともかく凄いモノ”を欲した時代で あったのだが・・ CANONは、その心理を逆手につき、本EF50/1.8を 大幅にコストダウンしたEF50/1.8Ⅱを、 1990年に発売した。バブル景気のさなかに、 ”1万円以下で買える高性能レンズ”という事で これは瞬時に人気レンズになり、当時の多くの EOSユーザーが買ったし、これを使う為にEOSを 買う人も現れた。 この戦略は、史上初のエントリーレンズ、つまり ”お試し版レンズ”の戦略として、歴史的に重要だ」 M「なるほどね。 バブル景気の中の「逆張り」か。 で、EF50/1.8Ⅱは近年まで販売が続いたのだろう? ”神レンズ”として有名だ、オレでも知っている。 でも、それと、この初期型とどんな関係がある?」 匠「EF50/1.8Ⅱは、実に25年間ものロングセラー となり、EOS普及の礎を築いた隠れた立役者だ。 だが、本レンズは・・ 実は不人気レンズだった かも知れない。 だって、当時のCANONがズームレンズを推している のに、わざわざ”オレは単焦点が欲しい”など とは言わないだろう? 言ったとすれば、それは CANONではなく、MINOLTA αかNIKONを買っている。 それに、EF50/1.8は、意外に高価なレンズだ、 Ⅱ型の軽く倍以上もする。 これでは売れなかっただろう。 私は、EF50/1.8Ⅱは、ありふれたレンズだとして マニアック度が無いと見なし、あえてこの初期型 を15年間以上も探し、ようやく入手した次第だ」 M「そんなにレアなのか?」 匠「隠れレアモノ(笑)だ。 値段も高くない(投機的措置は行われていない) し、ありふれたスペックだが、ともかく入手性が 悪い次第だ」 M「結局、あまり売れていなかったのだな。 じゃあ、やはり、キットレンズとは言えないな」 匠「あはは・・ そう言われてしまえば、お手上げだ(汗)」 --- では、次のレンズ。 レンズは、OLYMPUS M.ZUIKO DIGIAL 17mm/F2.8 (中古購入価格 5,000円)(以下、MZ17/2.8) カメラは、OLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡ Limited(μ4/3機) 2009年発売、OLYMPUS最初期のμ4/3機用AF小口径 準広角レンズ。 M「ここからはミラーレス機の時代か?」 匠「そうだ、このレンズは、OLYMPUS初のミラーレス機 OLYMPUS PEN E-P1(2009年、未所有)のキット レンズである。 17mmの実焦点距離だが、μ4/3機では2倍換算なので 34mm相当の準広角画角。銀塩OLYMPUS-PENのような 小型軽量・軽快なスナップ用途を意図したカメラと レンズ(システム)であった次第だ」 M「すると、歴史的価値が高いとかいう、アレか? だが、歴史的価値って、カメラやレンズの性能に 関係ないだろう? 何故、そんな事を気にする?」 匠「1つは、歴史ロマンやドラマが背景にあるからだよ。 歴史ロマン、たとえば古代や戦国時代とか・・ そんなものは誰も見た事は無いけど、色々と知識を 得てくれば想像力が膨らみ、楽しくなってくる。 たとえば、本レンズの発売、2009年7月というのは、 OLYMPUSの主力設計技師として非常に著名な 米谷(まいたに)技師が、他界した時代だ。 米谷氏は、銀塩OM、銀塩PENを設計開発し、現代の OM SYSTEMの製品にも、その名が残るほどの、日本の カメラ史での最重要人物と言っても過言では無い。 その米谷氏が亡くなる直前、新しいデジタルの PENが出来たわけで、それを開発者が持っていって 病床の米谷氏に見せたならば・・」 M「ああ、確かに、それは”ドラマ”だ、 それが本当ならば、泣けてくるような話だ」 匠「実際のところは知らないよ。でも、十分にその 可能性はある訳であり、ドラマとして想像ができる ならば、もうこれもまた”歴史ロマン”だろうな。 だから、歴史的価値というものは、その製品を理解 したり、愛着を持ったりする上で、マニア的観点 からは、とても重要な要素となってくる」 M「よくわかった。で、このレンズの性能は?」 匠「可も無く不可も無しだ(汗) いつも、そればかりと言うかもしれないが、まあ 低性能なレンズをキットにはできない。 それを買った人達が、”PENは写りが悪い”とか 言い出したら困るしな。 だが、悪くは無いが、さほどの高性能でもない。 最大の課題は、開放F値が暗く、ボケを含めた 映像的表現力が足りない事であろう」 M「何故、銀塩時代のように大口径F1.4級レンズを キットレンズにしないのだ?」 匠「カメラ側の問題だよ。 最初期のミラーレス機は、各社においても コントラストAF機構のみの搭載だ。 これだとAF性能(速度や精度)が、まだ未成熟だ。 そこに、F1.4級やF1.2級の大口径レンズをキット としたら、”AFが遅い、合わない、低性能だ、”と ユーザー層からクレーム(文句)が出てしまう」 M「ああなるほど。例えば像面位相差AF等が出来て いない時代では、ピント問題が起こりにくい レンズをキットとするしか無かったと・・?」 匠「正解だ。そういう事なので、これ以上の説明は 不要だな。 ちなみに、OLYMPUS時代でのμ4/3レンズを ”松竹梅”等と価格帯で分類するのは、基本的には 誤りだ。それらは母艦側のAF性能の進化と密接に 関係する話であり、価格でのランク分類は、後付け での市場戦略だった訳だ」 M「了解した」 ---- では、次のシステム レンズは、SONY E16mm/F2.8 (SEL16F28) (中古購入価格 6,000円相当)(以下、E16/2.8) カメラは、SONY NEX-7 (APS-C機) 2010年発売の、SONY初のミラーレス機用である、 AF広角レンズ。 M「これも、コントラストAFでの問題があるレンズか?」 匠「その通り、察しが早いな! SONY初のミラーレス機、NEX-3/5(2010年)の キットレンズだ」 M「パンケーキ(薄型)だな。 しかし、16mmか? これはAPS-C機用だったっけ? そうだとしても、24mm相当のキットレンズ?? これでは広角すぎるのでは無いのか?」 匠「なかなか鋭いな! もう初級マニアではなく 中級マニアレベルだな。 その通りだ、24mmでは広角すぎる。 しかし、その理由は不明だ。 あくまで戦略上、他社機との差別化もあっただろうし 当時流行が始まった、自撮り(セルフィー)への 対応、さらにはSNS用写真としての広角での「映え」 への対応とか、様々な理由が想像できるが、どれも 決定的な理由では無い」 M「そして、ズームでも無い。 こんな仕様で、ビギナーに通用するのか?」 匠「そこも鋭い視点だ。 ビギナー層では、必ず”ズームがついてなくっちゃ” と駄々をこねるからな。 その点だが、NEX-3やNEX-5では、本レンズE16/2.8 と組みあわせた場合のみ(注:当時での仕様) 動作する、プレシジョン・デジタルズームという 機能が搭載されている(いた) これは実に10倍までの(デジタル)拡大範囲を持ち 換算24mm~240mmまでの仮想(デジタル)ズーム として動作する仕様となっていた」 M「しかし、いくらなんでも、デジタルズームで 10倍だと、恐ろしく画質が悪くなるのでは?」 匠「その通り。特に、NEX-3/5の背面モニター (注:EVF無し)では、3倍や4倍を超えると、もう 荒れ荒れの画質になって、見るに耐えない。 だが、撮影すると、リアルタイム表示の際とは異なり ちゃんと画像処理されるので、だいたい3倍程度 までの拡大は、かろうじて実用範囲だ」 M「そうだろうさ、デジタルズームは画質劣化が酷い」 匠「世間でビギナー層が思う程に顕著な課題では無い。 特に、リアルタイムモニター(≒ライブビュー) 画像では、デジタル拡大時の画質劣化が目立つ為、 そういうビギナー評価になるだろうが、撮影後は 正規の画像処理アルゴリズムにより補間処理が なされるので、前述のように、3倍程度は許容範囲 と言えるだろう。 だが、やはり”デジタルズームは酷い”という 評価は多かったと思われ、後継のNEX機では、 そこまで大きなレンジ(範囲)での、デジタル ズーム機能は廃止され、実用域に制限された」 M「なるほど。しかし、そんな事は、やる(搭載する) 前からでもわかっていたのでは無いのか?」 匠「初期のミラーレス機では、デジタル一眼レフとの 差異や差別化を強調する為、色々な試行錯誤を 行う風潮が強かった。 特にSONYでのNEXシリーズは、そうしたテスト・ マーケティング、すなわち市場調査用の実験機種群 であり、かなりユニークな仕様、かつ、それを 大きな振り幅を持って発売し、その評判を聞き ”どんな仕様のカメラが、どんな人達にウケるのか” を探っていた節が強い」 M「ふ~ん。市場調査か、あまり聞かない話だな」 匠「そうだ、カメラ業界には、一眼レフ時代までは、 そうしたテストマーケティング的機体や戦略は ほとんど存在しない。そういう慣習だった、とも 言えるだろう。 だがSONYやPANSONICは、その時代(2010年前後) からの(カメラ市場への)新規参入メーカーだし しかも家電製品を扱うメーカーでもある。 家電製品では、そうした市場調査的な商品を出して ユーザーの反応を探るのは、比較的常套手段だ。 家電メーカーが、カメラメーカーに勝つためには、 カメラメーカーが、やらない、自分達の土俵で 戦うのが良い。だから、SONYやPANASONICでは、 そういう戦略を実行した訳だ」 M「なるほど、良くわかった。その市場調査の結果で αが出来てきたわけなのだな?」 匠「その通りだ。 だが、個人的には、あまりに”見え見え”で あったので、αフルサイズ機は好まず、最初期の α7と、α7Sの2台を所有するに留まる」 M「フルサイズ機でも、APS-C機専用のレンズは 使えるのだろう?」 匠「SONYの場合、使えるし、自動でAPS-C撮影に 切り替わってもくれる。しかし、その際には 画素数が大幅に減少する。自分の写真の用途に おいて減少した画素数が問題にならないならば そうやって使えば良いが、多くのユーザー層は 自身の写真の明確な用途など持っていないから ”ともかく大画素で撮るのだ、小画素で撮ったら 画質が悪くなるし、プリントする時に困ってしまう” という、偏った見方をしてしまう」 M「まあ、そういう傾向はあるよな。 別に、常に、A3判やら四つ切にプリントする訳 でも無いのに、画素数を大きくして撮ってしまう」 匠「実は、多くのSONY機の演繹補間演算処理では、 最大画素とした際に、むしろ解像感が劣化する。 ここは難しい話なので、今回その詳細は割愛する。 SONY機ユーザーならば、自分で確かめてみたら良い。 で、そこはともかく、APS-C用レンズをフルサイズ 機に装着すると画素数が減るが、同じレンズを APS-C機に装着するならば、画素数は減らない」 M「ああなるほど。単純な話だが、言われてみれば そうだ。 なるほどなるほど・・ 常にフルサイズ機が良い という訳では無い訳ね。よくわかった」 匠「そういう結論だ。レンズの様々な仕様や性能を きっちり受け止めるカメラを選ぶ必要がある。 これは基本中の基本だ。 くれぐれも”フルサイズ機の高級機を1台持って おけば、どんなレンズも、それに装着すれば良い” という訳ではないので、十分に注意されたし」 M「了解した。オレも、ちょっと、そのクチだ(汗)」 ---- では、次のレンズ。 レンズは、PANASONIC G14mm/F2.5 (H-H014) (中古購入価格 13,000円)(以下、G14/2.5) カメラは、PANASONIC DMC-G5 (μ4/3機) 2010年発売のμ4/3機用AF単焦点広角レンズ。 M「このレンズも、ミラーレス機用のキットレンズか?」 匠「そうだ。PANASONIC DMC-GF2のキットとして 2010年頃に発売された。 しかし、ここにも歴史的背景がある。 まず、初代GF1(2009年)のキットレンズは、 G20/1.7の大口径準標準レンズだ。 それがGF2では、G14/2.5の小口径広角となった。 これは改悪やスペックダウンというよりも、まず 前述のSONYと同様、テストマーケティングの為だ。 G14/2.5の方が、セルフィー(自撮り)や集合写真 に向くし、SNS向きでもある。 商売的理由からは、G20/1.7よりもG14/2.5の 方が原価が安いと思われ、キット商品の価格を 下げる事ができる。 DMC-GF1C (GF1+G20/1.7):発売時実勢価格9万円 DMC-GF2C (GF2+G14/2.5):発売時実勢価格8万円 また、技術的理由では、G20/1.7は大口径なので GF1/GF2のコントラストAFではAF性能が厳しいが、 G14/2.5は被写界深度が深い為、GF2とのキットで AF性能(精度、速度)は改善できる」 M「なるほど・・ 色々と理由がある訳だな」 匠「しかし、GF2の発売からしばらくして、未曾有の 大災害である東日本大震災が発生してしまった。 この結果、2011年での消費行動は酷く低迷、 従前のDMC-GF1Cを含め、流通市場では、その 在庫を持て余す状況となった。 なので2011年末頃から、旧機種DMC-GF1Cは 発売時実勢価格の半額以下の3万円台とかで、 在庫処分が行われる事となった。 この時点では、DMC-GF2Cよりも、DMC-GF1Cの 方が遥かに安価だ。 だから、初級中級層の多くがDMC-GF1Cを買った。 そして、ビギナー層では、F1.7級の大口径単焦点 など、初めて見た訳だし、そのレンズは、最初期の ミラーレス機普及の為、あまり手を抜いた性能でも 無かったから、これに驚き、”神レンズだ”と 評価した」 M「ふむ、単に在庫処分で値段が安かったから、 それを”神”だと思った訳だな」 匠「そうだ、そして、そこに”投機層”が目をつけた DMC-GF1Cを3万円台の安価で購入し、それから ”G20/1.7は神レンズだ”という噂を煽り、拡散 させた訳だ。 だから、G20/1.7単体で3万円以上の中古相場 となった、一応は定価5万円だが、この定価は PANASONICがDMC-GF1Cのセットを安価に見せる 為のダミーの定価だ(注:前述のMZ17/2.8も 同様のダミーの高額定価があったが、これは あまり公正な措置では無いので、後に値下げ という形で、本来の市場価値に即した価格に 改められていた) だから、G20/1.7の中古相場が3万円台でも 別に不条理・不自然な点は無い。 だけど、これで投機層は、投資した金額が 回収できて、手元にはDMC-GF1が丸々残る。 こういう措置が、個人投機層または組織的に 行われていた」 M「酷い話だ、どうみてもフェアではない。 そして、そんな話で、ダマされて買う人が いるのか?」 匠「いくらでも居るさ。だって”神レンズ”だと 皆が信じ込まされてしまうから、たとえ 定価レベルにまでに高くでも買うさ」 M「つまり、”買う方が悪い”、と」 匠「カメラやレンズの事も知らず、世の中で何が 起こっているか?も、知らなすぎるのだよ。 ”神レンズ”とか言っている時点でボキャブラリー が乏しい若年層だと思うが、この程度の仕掛けで 振り回されているようでは、その先、ずっと 詐欺や悪徳商法には要注意だろうな・・・」 M「良くわかった。 でも、それはG20/1.7の話だろう? G14/2.5とは関係が無い話だ、これはどうなのだ?」 匠「嬉しい事に、G20/1.7の”創られた投機”の 期間中、このG14/2.5は、何故か反落して、 とても安価な中古相場で買えた。 どこかに、(ネット)情報戦略上での歪みや淀み が発生すると、別の場所で、それと違う反対の歪み が出るのかも知れないな。 ”エントロピー”とか、その手の難しい情報理論にも 関連するかも知れない。 まあつまり、G20/1.7が、ある時期、市場で注目 されて、皆が必死にそれを売買していた訳だから、 その「転売騒動」に巻き込まれない、ほんの僅かに 違う位置にある本レンズG14/2.5は、大きな波の 谷間に入り込み、注目度が極めて低下して、その為 に中古相場も下落したのかも知れない」 M「情報の波、情報の歪みかあ・・ なんとなく ありそうな話だ。 つまり、このレンズはコスパが良い、と。」 匠「購入時点ではそうだ。 しかし、G20/1.7の投機傾向は、2013年に後継の Ⅱ型が発売されると、瞬時に終焉した。 つまり、バブルであり、泡となって消えた訳だ。 そして、G14/2.5の方に、また少し波が寄ってきて 今度は、G14/2.5の中古相場が上昇した」 M「ややこしい話だなあ・・ しかし、そんな些細な事にも注目しているのか? まさか、流通業者か、相場師なのか?」 匠「単なるマニアだよ。流通や投機には一切関係が無い。 だけど、モノを買うというのは、良いタイミングを 見計らって自分が納得する価格で、つまり商品価値 に対してコスパが見合う価格で買う事は当たり前 だろう? それがマニア層でのモノの買い方だ」 M「ふうむ・・ オレはマニアでは無いかもな。 新製品が出ると、そこに飛びついてしまう」 匠「昔の時代では、それは単に”ビギナーだなぁ”で 終わっていた時代だったかも知れない。 しかし、近代では、誰もが注目する新製品をいち早く ゲットし、それをSNSや動画サイトでレビューして アフィリエイトで稼ごうとしたり、その後、もう その新製品には興味が無く、高く売れるうちに売却 しまうような人達も多い」 M「アフィリエイトで儲かるのか?」 匠「知らん、あくまで、そのサイト次第であろう。 でも、普通に考えれば、それは無駄な措置だ、 新製品を高く買って、ろくに使わず売却したら もう、カメラマニアでも何でもない」 M「まあ、そうだろうなあ・・ なんだか、おかしな時代だ」 匠「ネットの普及に功罪あった、という事だよ。 良くわかって、しかも情報を吟味しないと、結局 利用者が損をする」 ---- では、今回ラストのキットレンズ。 レンズは、smc PENTAX-DA 40mm/F2.8 XS (中古購入価格 12,000円)(以下、XS40/2.8) カメラは、PENTAX K-01 (APS-C機) 2012年に発売されたAPS-C機専用超薄型AF準標準レンズ。 Kマウント版であり、PENTAXのデジタル一眼レフに 加え、唯一のKマウントミラーレス機、K-01にも装着が 可能である。 M「これはまた、薄いレンズだなあ・・」 匠「これは、PENTAX K-01(2012年)のキット レンズとなった。 中身の光学系は、従前からあるsmc PENTAX-DA 40mm/F2.8 Limited(2005年、未所有) と同じだけど、工業デザイナーの、マーク・ ニューソン氏の意向(意匠)に基づき、極端に 薄型を進めたレンズだ。 ”パンケーキよりも薄いビスケットレンズだ” とPENTAXでは言っていたが、残念ながらその愛称は まったく広まっていない。 なお、K-01とのキットレンズは黒塗装版であり、 本レンズは後にPENTAX K-5とのセットで1500台 限定発売された、Silver版であり、希少だ」 M「限定品とか、そんなのを好むのか?」 匠「ありふれた機材の場合、それを直接買いたく無い 場合に限定品を選ぶ場合も良くあるな。 だが、投機的(転売の為)にそうしたい訳では無い。 私は、買った機材を転売する事は絶対に無い、 必ず”機材は使ってナンボ”という考え方だし そもそも、本レンズには投機的価値など無い」 M「わかったが、じゃあ、性能はどうなのだ?」 匠「あまり芳しくない、描写力は並みだが、薄すぎて MF操作が壊滅的にやりにくい。 なお、母艦がK-01の場合、AF性能が極めて低い 機体な為、MFを使いたくなるが、このレンズの MF操作性は最悪だし、EVFを持たないK-01では そもそもMF操作も、ほとんど無理だ」 M「じゃあ、どうしようも無いではないか・・」 匠「そうだ。一般的には、K-01を母艦とした場合 一般的レンズでは実用性に満たない性能にしか ならない、本XS40/2.8でギリギリのレベルで あり、最低限だ。 大口径、マクロ、望遠、等の精密ピント合わせ 型レンズは、どれもK-01には向かない」 M「じゃあ、どうするのだ?」 匠「ピント合わせに厳密さを要求されないレンズを 装着して使うのだよ。具体的には、超広角とか トイレンズ、そして究極は、ピンホールだ」 M「特殊なレンズばかりではないか、K-01を買う のはビギナー層だろう? 絶対にそれらのレンズ は、持っていないと断言できるぞ」 匠「その通りだ。 カメラにどんな弱点があっても、機材を豊富に 所有しているマニア層やハイアマチュア層で あれば、カメラの弱点を課題とはしないレンズを 組み合わせる、いわゆる「弱点相殺型システム」 を組む事ができる。 だが、ビギナーではそれは無理だ。 だから、K-01に関する評価は酷いものであった ”性能が低い”とか”格好が変わっているだけ”とか まあ、そんな感じだ。 デザインが異様すぎて、好みが分かれたのも問題 であっただろう。 PENTAXは、HOYAの傘下からRICOHの傘下に変わった 時点において、とりあえずK-01は、HOYA時代の 企画の名残で発売されたが、RICOHは、K-02等の 後継機を頑なに企画しようとはしなかった」 M「まあ、普通の感覚ならばそうだろう。 このようなカメラやレンズが売れるとは思えない」 匠「だけどな、個人的には、こういう不遇なシステムは 非常に好みなのだよ。 使い難い、使えない、とか言っている機材ほどに それを買って使いこなしてやろうと考えてしまう」 M「天邪鬼だなぁ・・ それもマニアの習性か?」 匠「皆、あまり言わないが。そうだと思うぞ。 中級以上のマニア層では、結構、そうした感覚が 強く、その結果、変わったもの、珍しいモノを 手に入れたいと思う事も多い」 M「なるほどね」 匠「だけど注意点もある。 初級マニア層とかの場合、他者との差別化の為に あえて変わった機材を欲しがる事も多い。 話題性が高い、目立つ、通っぽく見られる、という のが、ポジティブな理由で、そこはそれでも良いの ではあるが、反面、ネガティブな理由も隠れている 事が多く、それは、撮影技能等に自信を持たない ビギナー層の場合、他者と同等の撮影機材で撮影を 行っても、他者の写真の方が優れているという コンプレックスを抱えているケースが多い。 そんな場合、珍妙な機材を買ってきて、それで 撮影を行う。その場合、写真の本来の腕前を問われる 事は少ないし、周囲に何か言われても”それは機材が 特殊だから”と、機材の責任に押し付けてしまえる」 M「ううむ、ダークな(暗い)理由だ・・」 匠「人間の心理というものは、複雑なものだ」 M「もういいよ、心の中を見透かされているようで なんだか気分が悪くなってきた」 匠「基本的には”趣味”だからな。ネガティブな方向に 進んでも楽しくは無い。 あくまでポジティブに 楽しめる方向を向く事が、趣味の基本だ」 M「ふむ、了解した」 ---- では、本記事は、このあたりまでで。 次回記事の内容は未定としておく。
by pchansblog2
| 2024-09-14 07:06
| 完了:レンズグルメ入門編第一部
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