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本シリーズでは、所有している古いデジタルカメラ (一眼レフ、ミラーレス機)の名機等で、時代の 近いものを、2機種~4機種程度選出して、対決 (や解説)をする記事群であるが、今回の記事が 本シリーズの暫定最終回となる。 今回は「2010年代(後半)μ4/3ハイエンド機対決」 編として、2016年および2018年に発売された、 μ4/3の最高級機2台の対決記事としよう。 ---- ではまずは、OLYMPUS機だ。 カメラは、OLYMPUS OM-D E-M1 MarkⅡ (μ4/3機) (2016年発売、発売時実勢価格約22万円) (新古購入価格 69,000円) 紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第23回 (注:紹介記事は旧ブログ掲載、以下同様) レンズは、OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm/F1.8 (2012年発売)を使用する。(以下、ED75/1.8) 本機OM-D E-M1Ⅱは、OLYMPUS μ4/3機の二代目の 旗艦(ハイエンド、フラッグシップ)機である。 初代旗艦OM-D E-M1は、本シリーズ第2回「2013年 注目ミラーレス機編」で紹介(対戦)済みである。 そのE-M1は、市場戦略上、その当時に考えられる 技術の全てを注ぎ込み、結果的に高性能・高機能機 となっていて、かつ、これも市場戦略上の理由で、 安価であった。 その完成度の高いE-M1の後継機が本機であり、 初代機の3年後の発売、と短期間の開発だから、 実の所、旧機種からの改善点を追加しずらい。 また、初代機は「戦略的価格」として安価だった から(=つまり、普及させたい)、後継機では、 それなりに価格を上げて、研究開発費を回収して いかなくてはならない。 しかも、2010年代後半では、カメラ市場全体が 大きく縮退している。ますます、カメラを値上げ して利益を稼がないと、メーカーも流通も事業を 継続する事が厳しくなる。 つまり、元々完成度の非常に高い機体を、短期間で、 さらに性能を上げ、それによる付加価値向上(値上げ) をしなければならない。これは難しい製品開発だ。 (下写真は、OM-D E-M1Ⅱ + ED75/1.8) この難しい時代での、難しい新機種開発を、どう OLYMPUSは切り抜けようとしたのか? そのコンセプトを、本機OM-D E-M1 MarkⅡの 性能や機能等から紐解いている事が、本記事での 1つの重要なポイントとなるであろう。 詳細については後述する事として、 では、対戦機は、PANASONIC機である。 カメラは、PANASONIC DC-G9 (μ4/3機) (2018年発売、発売時実勢価格約21万円) (中古購入価格 88,000円) 紹介記事:ミラーレス・クラッシックス第24回 レンズは、Voigtlander NOKTON 60mm/F0.95 (2020年発売)を使用する。(以下、NOKTON60) (注:独語綴りの変母音は省略) 本機の祖先は、2008年発売のDMC-G1 (ミラーレス・クラッシックス第1回記事等) であり、それが世界初のミラーレス機であった。 しかし、そこから10年後の、本機DC-G9は どこからどう見ても、DMC-G1とは全くの別物だ。 まあ、性能や機能は年月とともに進化していくのは 当然だが、本機DC-G9は、重厚長大な超本格機 であり、DMC-G1の軽快な印象とは正反対である。 同じ製品系列(Gヒト桁シリーズ)なのに、 どうしてこんなに変化してしまったのだろうか? そこが、本記事における注目ポイントとなる。 (下写真は、DC-G9 + NOKTON60) レンズについては、超大口径のMFレンズを装着して いる。これは、上記E-M1Ⅱ装着のED75/1.8とは、 「焦点距離が近いだけ」という状態であり、 あまり公平な対戦にはならないであろう。 つまり、この状態では、AF性能等を比較できない。 だが、実は本機DC-G9の最大の購入目的は、 本レンズNOKTON60/0.95を活用する事、であった。 NOKTON60の母艦として、どれが適正な機体か? を考察した結果、本機DC-G9に行き着いた次第だ。 すなわち、OM-D E-M1Ⅱは、μ4/3での高性能AF レンズの汎用母艦としての利用法であり、 DC-G9は、特殊レンズの専用母艦だ。 「そんな、全然違う目的の両者を対決してどうする?」 という疑問が出る事だろう。そう、その疑問は正しい。 カメラ等は、個々に使用目的が異なる訳だ。 だから、「あっちの機体のAF測距点数より、こちらの 機体の方が多い、だから、こちらが優れているのだ」 といった、表面的なカタログスペックだけを拠り所と した評価(または購入選択)は、あり得ない話だ。 でも、世の中にあるレビュー記事の大半は、そうした 表面的な仕様だけを比較したものであり、その状態では あまり有益な情報が得られない為、個人的には好まない。 それでも今回「対決記事」としているのは、この時代 つまり2010年代後半において、カメラ市場、特に μ4/3機市場が大きな縮退を続けている状態において、 μ4/3陣営であるOLYMPUSとPanasonicは、いかに この危機を乗り越えようとしたのか? あるいはその 結果として発売したカメラで、どのように市場や消費者層 に、μ4/3機の優位性をアピールしようとしたのか? その優位性を示す機体が、OM-D E-M1ⅡとDC-G9なのか? また、果たして両機におけるその市場戦略は成功したのか? そんな視点から、本記事をまとめていく事にしよう。 さて、まずはOM-D E-M1 MarkⅡの話だが、 「初代機E-M1との差異を洗い出す」といったような 評価内容は、個人的には全く好まない。 何故ならば、そういう比較評価は、1つは旧機種を 持っている人に向けて、新機種を買わせる為の宣伝記事 だと思われるからだ。 また、旧機種を持っていない人に対しても、「ここが こんなに良くなったのだから、買いなさい」と、これも 宣伝記事として通用する。 したがって、新機種を購入の対象として検討している 消費者層に対しては、気になる情報であろう。 そういう比較記事は、アクセス数を増やしやすい訳だ。 つまりWeb運営側としては、直接的な商品販売利益や、 間接的なアフィリエイト(≒広告収入)を得易い為、 市場・流通においては、普遍的な手法となっている。 又、比較記事を作る側にもメリットがあり、スペック の比較だけならば、両機を実際に所有して撮り比べる 必要が全く無い。単にカタログを見て、異なる点を 探して書けば、容易に比較記事が出来てしまう。 (又、掲載している実機の写真等も、メーカーから 提供、あるいは無断で使っているものだ。仮に無断で あっても、宣伝になるからメーカー側は文句を言わない とは思うが、実際には著作権法違反となる。 メーカー提供の製品写真だけではなく、せめて記事の 執筆者が自分で撮って欲しいものだ) まあだから、実用的な視点からは、ほとんど参考に ならない訳だ、少なくとも私はそう考えているので 本ブログでは、比較記事を書くとしても、その時代の 他機、他社機と比較するケースが多い。 何故ならば、他社機で優れたものがあれば、それを 優先的に買って使えば済む話だからだ。 何も「Ⅱ型機に手ブレ補正機能が内蔵されたから」 と言って、「そちらが良いから、Ⅰ型機を手放して、 Ⅱ型機を買う」という発想には(私は)至らない。 手ブレ補正機能が必要であれば、そういう機能は 従前からの他社機にでも、いくらでも搭載されている。 (参考:ボディ内蔵手ブレ補正機能の初出は、 2004年の「KONICA MINOLTA α-7 DIGITAL」と古い) 何も、高価になったⅡ型機を買わずとも、Ⅰ型機を 保有したまま、他の安価な手ブレ補正内蔵機を 「手ブレ補正用途の機体」として買えば済む話だ。 まあ、そんな理由からも「前後機種比較記事」は、 あまり有益な情報では無い、と個人的には認識していて、 比較をするならば、むしろ同時代あるいは前時代の 他社機全般とであろう。その方がずっとフェア(公正) であるし、実用的なカメラ選択判断(基準)にもなる。 でも、今回の対戦記事では、ごく一部で仕様比較を 行う必要がある。 何故ならば、そのカメラにおいて「旧機種とは、 ここがこう変わりました」と、メーカー(や流通)が アピールして、その機体を消費者層に買ってもらいたい 戦略の妥当性を分析する為である。 (下写真は、OM-D E-M1Ⅱ + ED75/1.8) 特に、OM-D E-M1 MarkⅡでは、旧機種E-M1が 十分すぎる程の高性能機であった為に、MarkⅡ型での 改善点をアピールしにくい(その技術的猶予が無い) その状態で何を新機種の「売り」としたのか? さらに、それが「付加価値と成り得るのか?」が 注目ポイントであろう。 この状態は、Panasonic のDC-G9とは状況が違う、 Gシリーズは、G1からG8までは、まあ「中級機」と 呼べるようなカテゴリー(注:実際にはそういう単純 な機種戦略では無いのだが、その詳細は後述する) の機体であったのが、いきなりDC-G9では、ハイエンド の本格派機体である、何故そうなったか? そして 旧来のGシリーズとは、どのように市場戦略が違うのか? そこが注目点となる。 さて、本シリーズ第2回記事で「2013年注目ミラーレス 機」編とし、OLYMPUS OM-D E-M1と、SONY α7との 対決を行った。 その記事では、その両機が生まれてきた市場背景を 詳しく分析している。 両機の対戦結果であるが、ざっくり言ってしまえば、 カメラとしての出来は、OM-D E-M1の勝利である。 しかし、市場戦略としては、SONY α7系列機の 圧勝であり、以降の時代では、SONY αの一人勝ち (=市場シェアを高め、αしか売れない)の状態が 続いている。 SONYは、2013年のα7/7Rの発売後、たたみ掛ける ように多数のα機を2010年代を通じて展開した。 他社が、α7以降、5年間もフルサイズミラーレス機 に追従しなかった事もあいまって、この期間において 消費者層に注目されるカメラは、α機ばかりとなって しまい、その注目点は「どのカメラを買うのか?」 ではなく、「どのαを買えば良いのか?」という 状態とまでなってしまっていた。 ただし、カメラ市場全体は、この時代に大きく右肩 下がりに縮退している、結果的に、新製品はどれも 大きく値上げされ、2010年前後であれば ミラーレス機は10万円以下で楽々買えたものが、 10年後の2010年代末では、50万円程度も出さないと まともな(高性能な、本格的な)ミラーレス機は 買えない、という状態となっていた。 (注:2020年代では、70~90万円も出さないと 高級ミラーレス機が買えないという異常事態だ) だから、そんな画一的すぎて、高価な機材しか無い 市場には、マニア層やハイアマチュア層は、興味を なくしてしまい、この時代、マニア層等は激減した。 OLYMPUSは、2009年~2012年まで、入門層向けの μ4/3機種群を展開していて、それらは良く ミラーレス機の発展期(この年代と、ほぼ同じ)の 市場を支えていた。 だが、以降の時代では、ミラレース機の伸びも鈍化 する事は市場関係者ならば予測がついていたので、 それ故に、2013年のOM-D E-M1で、ハイエンド機 路線を提唱した訳だ。(下写真は、OM-D E-M1) このE-M1系列の機体が、上級層や職業写真家層での 実用的機体(≒プロユース機)となれば、そこからの 波及効果で、初級中級層に対しても、 「プロが使っているんだってさ。良いカメラに違いない」 という観点で、高付加価値型の高価な機体を買って 貰うことができる。 であれば、本来、OLYMPUSは、ここからSONYのように E-M1RだのE-M1Sだの、E-M1Cだのの多数の派生機を 横展開する必要があっただろう、真のプロユース機 であれば、その利用者(ユーザー)毎の、機体用途の バリエーションは大きいだろうし、実際には職業写真 家層が使わないまでも、一般層への波及効果は多大だ。 確かに、OLYMPUSも、その戦略を行った、しかし そうした派生機の展開は、2019年のOM-D E-M1Xの 発売まで、6年間も遅れる事となる。 E-M1Xは個人的に未所有につき、詳細の言及は避ける。 だが、実用的には使えそうな機体なので、「将来に 中古相場が低下したらば」と購入候補には入っている。 でも、E-M1X発売まで時間がかったのは、OLYMPUS において、そこまで多数の機体を「戦略的」に 並行開発する事が体力的(資金、開発人数等)に困難 であったのかも知れない。E-M1X発売後しばらくして OLYMPUSは、カメラ事業の分社化(撤退)を発表する。 まあつまり「カメラ事業は、お金も手間もかかり、 儲からないのでやっていられない」という結論であろう。 かつて、銀塩時代には、OLYMPUSは、大衆機の PENシリーズや、マニア向けのOMシリーズで、膨大な カメラ販売数を記録している。そうした時代を知る ベテラン層やマニア層から見れば、OLYMPUSの撤退は 残念な話ではあるが、まあ「時代が変わった」という 事であろう。また、幸いな事に、完全撤退した訳では なく「OMデジタルソリューションズ株式会社」が、 2021年頃から、カメラ事業(開発製造販売)を 引き継いでくれていて、ブランド銘も「OM SYSTEM」 に変わっている。 (下写真は、OM-D E-M1Ⅱ + ED75/1.8) OLYMPUSは、OM-D E-M1以降、大量の機種による 「物量作戦」の展開が出来ず、掴みかけたハイエンド 機市場を逃してしまった形となっていた。 したがって、次世代機、OM-D E-M1 MarkⅡ(本機) の市場戦略上での立ち位置は、極めて重要だ。 もし、本機もまた、中途半端に実用・業務撮影の領域に 受け入れられないとなれば、かなり困った事となる。 また、E-M1を戦略的価格で安価に売りすぎていた為、 E-M1 MarkⅡは、値上げをしなければならない。 恐らく、市場想定価格は企画の最初に決められたと 予想され、E-M1(税別約15万円弱)に対して、 丁度50%の値上げの、税別22万円程度となった。 (注:現代においては、商品の価格は、まず最初に 決めるべき企画要素であろう。だから、一般消費者が 考えるように、「高性能なカメラができましたから これを高く売ります」では、全く正反対の順番であり 現代では、そういう商品企画は、まずあり得ない) では、50%の値上げに伴う性能向上はどんな感じか? 今時のカメラ市場でのユーザー層は、「数値スペック」 だけにしか注目しない、それ以外に、カメラの価値を 評価・判断する術(すべ)を持たないからだ。 では、カタログスペック(だけ)に注目してみよう。 E-M1から、E-M1 MarkⅡへの改良点の抜粋だ。 *記録画素数:1600万→2000万画素 *AF測距点数:81点→121点(グループ化可能) *AF機能改善:C-AF+MFモード、AFターゲットパッド機能 *電子シャッター最高速度:1/16000秒→1/32000秒 *機械シャッター連写速度:秒10コマ→秒15コマ *電子シャッター連写速度:秒11コマ→秒60コマ *事前撮影機能:プロキャプチャー機能あり *ハイレゾショット:25M/50M撮影可能 *4K動画撮影:あり *ライブコンポジット機能:あり→高輝度部だけの比較明合成 *バッテリー改善:350枚→440枚撮影可 ・・・と、だいたいここまでが旧機種からの変更点だ。 (注:OLYMPUS社の製品Webに、こうした「比較表」は 掲載されていた。むしろ、他の「比較サイト」よりも 詳細に書かれている程である。なお、上記は”抜粋”だ) だが、「たったこれだけか? これで50%の値上げか?」 というネガティブな感想も否めないであろう。 事実、E-M1 MarkⅡの発売時の販売者(流通)レビュー 記事のライター等も、相当に苦戦していた模様だ。 あまり、「凄くなりました!」という点が見当たらない から、”売り文句”が書け無いのである。 一般層に目を引く改善は「高速連写機能の充実」であるが まず、電子シャッター連写は、様々な使用制限がある為、 (例:ローリングシャッター歪みや、走査線が写る事) 個人的には無視しているスペックである。 (注:電子低速連写時に、AE/AFに追従している点は 無意味では無い) 機械シャッター連写は、秒8~10コマ程度で実用的には 十分であり、秒15コマともなると「学術用途か?」 という感じで、あまりに高速な連写は実用性が低い。 私が個人的に注目した改善点は、あまり、こうした カタログ(数値)スペックには現れない部分である。 具体的には以下の通りだ。 *背面モニター:ティルト式→バリアングル式 *EFVの高性能化:fpsの向上、タイムラグ短縮、見えの改良 *ISO AUTO低速限界設定:あり *MFレンズ使用時の焦点距離表示:あり これらは、いずれもE-M1で不満に思っていた点である。 背面モニターのバリアングル化は、構図自由度向上よりも むしろ「収納位置にして使える」というニーズが大きい。 EVFの改良は、E-M1では「汚く見えて遅い」という弱点が 改善されている。 ISO AUTO時の低速限界は切実だ。OLYMPUS機には、いくら 仕様上高性能な手ブレ補正機能が内蔵されているとは言え、 機械的振動が大きい事と、主要目的での望遠画角において 精度不足となる事から、手ブレ補正が有益には動作しない。 だから、低速限界設定で補佐しないとならない訳だ。 一部の他社機(一眼レフ)では、2000年代後半頃から 搭載されていた機能だが、やっとOLYMPUSまたは他社 ミラーレス陣営でも、2010年代後半から、遅れ馳せ ながらの低速限界設定機能の搭載となった。 (注1:逆に言えば、内蔵手ブレ補正が無くとも、 低速限界設定のあるカメラの方が、これまでの時代 においては、実用上では有益に使えていた) (注2:SONY α7系ミラーレス機では、内蔵手ブレ補正 が搭載されたⅡ型機より、やっと低速限界設定機能が 搭載された。しかし「低速限界設定があれば手ブレ補正 機能はいらない」とも言え、そうであれば、SONYでは 初代機では、あえてこの搭載を見送り、手ブレ補正が 機体に内蔵されるまで待っていた可能性も高い。 (→つまり、手ブレ補正内蔵に付加価値が無くなる。 それまでの機体でも低速限界を使えれば十分だからだ) --- そうなると、これは「確信犯的」であった(→つまり 機能の出し惜しみをしている)とも思われ、消費者視点 では、あまり好印象を持つ事ができなかった。結果的に 個人的には「ケチがついた」(=企画に賛同ができない) と見なし、α7系Ⅱ型機を、どれも購入していない) MFレンズ使用時の焦点距離表示は小さい事だが、これまで のOLYMPUS機では、これが表示されないために、レンズ 交換をした際に、手ブレ補正に対応する焦点距離の設定を 忘れてしまう事もあった。本機能の搭載により、EVF内に MFレンズでの焦点距離が常時表示されるので、設定忘れの リスクが減っている。 だが、残念ながら、以下のE-M1系への不満点については 改善が図られていなかった。 *機械式シャッターから電子式への自動切り替え:なし *カスタム登録でのRe-Load問題対応:なし(MarkⅢより搭載) まあ良い、いずれは、こういう機能も搭載されるだろうし 無ければ無いで、これらは、回避の手段が別途存在する。 本ブログでは、利用者が回避する手段が無い弱点は「重欠点」 と称しているが、利用者の技能で回避できる物は、さしたる 問題には成り得ないとしている。 まあつまり「OM-D E-M1Ⅱは、購入に値する機体だ」 という判断となった。 (下写真は、OM-D E-M1Ⅱ + ED75/1.8) ・・という訳で、E-M1 MarkⅡ購入検討において、 残る課題は「コスト高」のみである。 前機種E-M1の中古購入価格は43,000円(税込)だ。 しかし、この機体は数年間で4万枚以上の大量撮影を こなしていて、十分すぎる程に元を取っていた状態だ。 (参考:個人的には、全ての所有カメラにおいて 「1枚3円の法則」を満たす事で、減価償却の完了とし、 「1枚1円」のレベルにおいては、使いすぎの為、 「速やかに代替の後継機体を買い増すべき」という 持論/ルールとしている) 本機E-M1Ⅱは、価格が値上げされた事もあいまって、 2010年代末の段階では、10万円を超える高値中古 相場となっていた、これでは、コスパ的には購入に 値しない(=高価すぎる) だが2020年、OLYMPUSの事業撤退の表明とコロナ禍 により、本機E-M1Ⅱの中古相場が大幅下落した。 中古市場には、新古品(流通在庫や、展示品流用等) も含め、数百台ものE-M1Ⅱの中古品が放出された 状態である。 その中で、69,000円(税込)という適価な新古品 を見つけたので、「E-M1の50%増しの定価ならば、 想定中古価格は43,000円x1.5=6万円台となる。 このあたりがコスパ妥協点だ」と見なしての購入と なった次第である。 以上が、本機OM-D E-M1 MarkⅡの、出自、市場状況、 購入動機、適正相場、等の話である。 ただし、本機の市場戦略が成功したか否かは微妙だ。 以降、後継機としてOM-D E-M1 MarkⅢが発売された 直後(2020年)に、OLYMPUSは、カメラ市場から 撤退する事を表明してしまった・・ --- では、次いで、PANSONIC(注:正式社名はPanasonic と先頭のみ大文字。だが、本/旧ブログでは慣習的に 全カメラメーカー名は大文字表記としている) DC-G9の話である。 (下写真は、DC-G9 + NOKTON60) 2008年末に、史上初のミラーレス機DMC-G1が 発売されて以降、PANASONICでは、新規のミラーレス 機市場が、どのような消費者/ユーザー層に向けて支持 されていくか?を探る為、野球の「広角打法」的に、 できるだけ多数のコンセプトの機体を並行展開して、 どのジャンルが伸びていくか?を探っていた。 <PANASONICミラーレス機のシリーズ別コンセプト> G :基本モデル、主に静止画撮影向け GF:小型軽量の入門機、EVF非搭載 GH:動画撮影向けのハイエンドモデル GM:超小型軽量、初級機 GX:マニア向け、EVF搭載、手ブレ補正内蔵 S :高付加価値型のフルサイズ機に戦略転換(2019年~) なお、これら以外(コンパクト機、4/3機、携帯カメラ) のLUMIXシリーズについての話は割愛する。 初期のミラーレス普及期(2008~2013年頃)を 過ぎると、これらのシリーズ戦略も転換を見せる。 G :G7以降、新製品発売ペースを鈍化、高付加価値化(G8~) GF:新製品発売ペースを鈍化、海外生産、ズームキットのみ販売 GH:GH4(2014年)以降、高付加価値化と大幅な値上げ GM:廃止 GX:GX7のみ残し、MK2、MK3と進化(そこで停止) また、フルサイズのSシリーズ(2019年~)発売後は DC-G/DC-GHの高付加価値型シリーズを除き、いずれの カテゴリーのカメラも新発売が無い。 そういう風にμ4/3機の展開が鈍化しているのは、 当然ながら、カメラ市場の大幅な縮退を起因とする。 PANASONIC社の公式プレスリリースを見ても、全盛期の μ4/3機の初期月産台数と比較して、2010年代後半の 新製品の初期月産台数は、1/10以下となってしまった。 「生き残る為には、カメラの付加価値を高めて、 それを高価に売らなければならない」 まあ、メーカー側では、そう考えるだろう。 だが、消費者層側が、それについてくるか否か?は、 かなり微妙だ。「ただでさえ、新型カメラの魅力が 減っているのに、そんな高いカメラなど、ますます 買う筈が無いよ」と思われる危険性が非常に高い。 (下写真は、DC-G9 + NOKTON60) さて、まさしく、そういう市場状況だから、私も DMC-G6/GX7 (いずれも2013年発売)以降の PANASONIC機に興味が持てない状態が長く続いていた。 だが、さすがにそれらは古い機体だ。しばらくの間 はOLYMPUSのOM-D E-M1/E-M1Ⅱ/PEN-Fをμ4/3 の主力機として使っていたのではあるが、OLYMPUS機 とPANASONIC機では、操作系等に結構な差異があり 簡単に言えば、OLYMPUS機は、オールドレンズやMF レンズの母艦には一切向いていない。 DMC-G1x2、DMC-GF1、DMC-G5、DMC-G6、DMC-GX7 の所有機は、いずれもオールド/MFレンズ母艦として 酷使しつづけ、物理的および仕様的な老朽化が酷い。 つまり、ボロボロで、しかも古い状態だ。 (下写真は、史上初のミーラレス機、DMC-G1) 老朽化したPANASONIC機の代替機を、できるだけ 速やかに、MFレンズ母艦として探さなければならない、 ましてや、NOKTON60/0.95が2020年に発売され、 これを入手したが、思いの他、とても優秀なレンズであり これの母艦が急遽必要となった。DMC-G5/G6あたりは、 適正だが古すぎるし、OLYMPUS機はMFレンズに向かない。 候補機は、DMC-G8、DC-G9、DC-GH5の三択となった。 内、DC-GH5は高価すぎるし、動画撮影は個人的には 志向しないので、すぐに候補から外した。 残るは、DMC-G8とDC-G9の二択である。 DMC-G8とDC-G9の比較は以下の通り(抜粋) *発売時価格:11万円税別→22万円税別 *記録画素数:1600万→2000万画素 *AF測距点数:49点→225点(ジョイスティック選択可) *機械シャッター最高速度:1/4000秒→1/8000秒 *機械シャッター連写速度:秒9コマ→秒12コマ *電子シャッター最高速度:1/16000秒→1/32000秒 *電子シャッター連写速度:秒40コマ→秒60コマ *バッテリー改善:320枚→360枚撮影可 ここまでの改善ポイントだが、OLYMPUSにおける、 E-M1 → E-M1Ⅱの進化と、だいたい同様である。 まあ、それもその筈、μ4/3機では各社同等の部品を 共通して用いるので、必然的に機体性能も同等となる。 ただ、戦略的に、その新しい部品をいつ使うのか? どの機体で使うのか? いくらで売るのか?が 商品としてのポイントとなる訳だ。 個人的には、上記のような前機種からの改善点は、 ほとんど無視だ。 むしろ、老朽化したG6/GX7あたりからの進化の方が 重要となる。それは、具体的には以下の通りだ。 *AF原理の改善:コントラストAF→空間認識AF *EVFの解像度:236/276万ドット→368万ドット *EVF視野倍率:1.4倍前後→1.66倍 *ISO AUTO低速限界設定:あり *機械式シャッターから電子式への自動切り替え:あり *電子式ローリングシャッター歪み:顕著→少 *バースト枚数:数十枚→数百枚 *ピーキング精度:固定→2段階2色切り替え式 だいたい以上だ。 内、AF原理の進化は、PANASONIC純正の空間認識対応 のAFレンズを使わないと効能を発揮できない。 そういうレンズも購入はしたが、MFのNOKTON60の 使用時には無関係だ。 だが、他の改善点は、全てがMFの超大口径レンズを 使う上での有益な進化となっている。 (下写真は、DC-G9 + NOKTON60) 残る課題は、E-M1 MarkⅡと同等の高価格という 高コスト&低コスパである。 コスパの要素だけを見れば、DMC-G8の方が有利であり それであれば、概ね5万円台の中古相場だが、 DC-G9は、その2倍、10万円台の中古相場であった。 (注:両機は、定価そのものが2倍異なっている) ただ、DC-G9は、さすがに高価(22万円)すぎて 全く売れていなかった為、発売数年で量販店や 通販での新品価格は、11~13万円程度まで下落 していた(注:それでも、中古品より高額だ) だが、MF母艦としての改善点が、DC-G9では有益に 働いていると見なし、多少のコスト高は容認する 事とした。なにせ、旧来使用のPanasonic機が老朽化 しているので、NOKTON60の母艦が速やかに必要な訳だ。 発売から約3年の2021年初頭、税込88,000円の 適価な中古機体を見つけたので、これを購入。 しかし、旧来のGシリーズ機体は、高くても3万円 程度で購入していたので、これは約3倍も高価だ。 勿論、3倍もの高性能機では無いので、コスパ点は 大減点である。いや、減点というレベルを通り越して もし以降もPANASONICが同様なμ4/3機の高付加価値 戦略を踏襲するのであれば、もうこれをPANASONIC 最後のμ4/3機の購入としよう、と思った。 幸いにして、以降のPANASONICは、コストダウン機の DC-G99(2019年)と、Vlog用のDC-G100(2020年) という展開なので、DC-G9の用途とは被らない。 (と言うか、もはや新製品が何も出ないので、私が 危惧していた通り、最後のμ4/3機になりそうだ) では、本機DC-G9を、以降の10年間使用しつづける 事が出来るか出来ないか?そこが微妙なところであり、 場合により、OM SYSTEM(OLYMPUS)機の実用性の進化 を待ち、またそちらに転換しないとならないだろう。 さもないと、多数所有しているμ4/3機用の レンズ群を、有効活用できなくなってしまうからだ。 (下写真は、OM-D E-M1Ⅱ + ED75/1.8) では、最後に、本シリーズ記事は「対決」の主旨 なので、両機の個人評価点を上げておく。 この個人評価点は、ミラーレス機の場合においては、 本シリーズ第2回記事で説明した10項目を、 各々5点満点で評価したものの平均点である。 総合点3点が標準、3.5点あれば準名機、 4点近くにもなれば名機と言えるであろう。 *OLYMPUS OM-D E-M1 MarkⅡ (2016年) 個人評価総合点:3.05点(ほぼ標準点) *PANASONIC DC-G9(2018年) 個人評価総合点:3.00点(ほぼ標準点) 両機とも、ほぼ標準点の評価だ。 両機は、いわゆる「ハイエンド機」であるのに 評価点が低い事は、納得が行かない、という意見も あるだろう。 しかし、個人評価点は、10項目という多数の評価 項目により、総合点を算出しているので、そう 簡単に全ての項目が高評価である保証も無い。 例えば、ハイエンド機らしく、両機の【基本性能】 の評価点は、いずれも4.5点と、ほぼ満点に迫り、 所有する20数台のミラーレス機の中では、最高評価 点である。だが、他の項目がいけない、例えば、 【コスパ】の評価が、とても低い(DC-G9)とか、 前機種からの改善点が少なく【歴史的価値】が低い (OM-D E-M1 MarkⅡ)とか、それぞれ、かなりの 減点項目を持っている次第だ。 総合評価で「名機」に分類されるミラーレス機は、 とても少ない、まあ、総合3.90点の、 Panasonic DMC-G1およびSONY NEX-7の2機種のみ の状態だ。(下写真は、SONY NEX-7、2012年) で、ビギナー層に評判が良いSONY α7系機体ですら、 様々な弱点を抱え、総合3.00点にも届かない状態 である。 「カメラの価値は、その使う人によって様々だ」 とは毎回言ってはいるものの、「多面的な評価」 で、その用法の許容範囲を広げて評価した結果に おいての低評価点は、もう、「カメラそのものの 実際の価値と等しい」と、個人的にはそう思っている。 カメラの実用性能(中身)に大きな変化(進歩)が 無いままで、実用上では、不要とも思われる超絶性能を 搭載したところで、その結果として、価格が大きく 跳ね上がってしまっているのは、メーカーや流通から したら、縮退しているカメラ市場で事業を継続する為に やむを得ない措置なのかも知れないが、その事は ユーザー(消費者)から見たら、何のメリットも無いし むしろ、憂うべき状態であろう。 まあだから、2010年代後半以降のミラーレス機 (デジタル一眼レフも同様)には、個人的には殆ど 興味が持てない訳だ。これは私のみならず、多くの マニア層やハイアマチュア層も、同等の考えであろう。 (下写真は、DC-G9 + NOKTON60) という訳で、本シリーズ記事においては、もうこれ以上 新しい時代の機体は、一切興味を持てずに、当然、何も 購入も所有もしていないので、本記事にて終了である。 ---- では、今回の「デジタル名機対決クラッシックス(12) 2010年代μ4/3ハイエンド機対決」編は、これにて終了。 本シリーズは、本記事をもって暫定最終回とするが、 気が向けば補足編記事を書くかも知れない。 (一応、「コンパクト機」編は検討している)
by pchansblog2
| 2023-02-18 16:43
| 完了:デジタル名機対決
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