闇夜に光れ、愉快なホスト連中!

インディゴの夜 (ミステリ・フロンティア)

インディゴの夜 (ミステリ・フロンティア)

渋谷の片隅、一風変わったホストクラブ<club indigo>を舞台に繰り広げられる一夜ごとの大騒動。正体自称不明の女オーナーと個性豊かなホスト集団が結成した探偵団の活躍に、不思議と頬が緩んでしまう、実に楽しい一冊でありました。
それにしてもホストの面々が名前からして笑えます。アフロ頭のNO.1ホスト・ジョン太に古株ホストでキックボクサーのアレックス、元ナンパ師の犬マン、DJ経験皆無のDJ本気(マジ)、新人の山田ハンサムetc…。およそ、あり得なさそうなメンバーが揃いも揃ったという感じなのですが、各々の特技を活かした活躍ぶりが面白い。それと対照的なのが、新宿のライバル?店のNO.1ホスト空也。王道ホストの頂点に立つ、いわば業界のキングである彼の振る舞いも、実に「らしい」。ホストの異端と王道を両方描くことで、設定のリアリティとバラエティを上手く融合させてる所が上手いなと思う訳で。
そして、オーナー陣がまた格好よい!物語の主人公である女オーナー・晶とその相棒であるやさぐれ編集者・塩谷のアウトローコンビの掛け合いと、個性的なホストを取りまとめるマネージャー・憂夜。特に、空也さえも頭の上がらない「伝説の男」憂夜さんの王道っぷりは、また色々と突っ込み入れたくなるような仰々しさが最高です。そして、ちょいとずれつつも颯爽とした晶の生き方が、ホスト達の若い感性とぶつかっては邂逅していく、ちょいとメランコリーな感覚…最後の最後、少しジーンと胸を打つ物語、かなりオススメです。