中林慎太郎[執筆] 12/17 8:00

2024年に私が担当する最後の記事では、じわじわと押し寄せてきていると感じる話題を紹介します。今までは、本店EC・自社ECは「ECプラットフォーム」という考えがあったと思うのですが、それももはや古い考え方なのかもしれない。日々進化していくコマースの世界はボーダレスになり、今まで当たり前だったものが当たり前じゃなくなる世界が来ているのかもしれません。

決済もノーコードで実装できる時代がやってきた

ECサイトを作るほどではないけれど……テスト販売・カスタムなど柔軟な売り方をかなえる中小向け決済とは | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/15709

「ノーコード決済」は、「Paypal(ペイパル)」のビジネスアカウントを作成すれば、「ボタンコード決済」「支払いリンク決済」「QRコード決済」の3種の中から用途に応じて適切な決済手段が導入できるペイパル独自のサービス。ペイパルのビジネスアカウント登録時に本人確認手続きが必要となるが、導入にあたってのコストは無料であるため、立ち上げ初期のビジネスでも気軽に試せる決済サービスだ(取引に応じた手数料は発生します)。

最近までは「ノーコードでWebサイトを作る」という話がありましたが、もうすでにノーコードで決済を実装できる時代がきました。「ペイパル」に登録するだけでなんでもノーコードで決済でき、アカウントを作成できれば、QRコードでもURLでも決済画面が作れてしまう。

一昔前は「PayPay」の送金機能で感動していましたが、ビジネスにも利用できる決済システムが容易に作れる時代になってきましたね。「決済システムだから関係ない」と思っている人も多いと思いますが、結局ECで一番重要なのは決済システム。よくよく考えると「あれ? そんなことできるの?」と驚くような進化をしています。

「ノーコード決済」では、EC機能をもたないウェブサイトやブログにも、「ノーコード決済」で生成されたコードをコピペして設定するだけで手軽に決済ボタンが導入できる「ボタンコード決済」に加え、D2CのPOPUP展開、展示会など臨時イベントでの決済機能や、インバウンド顧客向けの店舗決済手段といったリアルチャネルでの活用にも役立つ「QRコード決済」が選択できる。

自分も相談を受けた際に、どうしても自社サイト・本店サイトとなると「ECプラットフォーム」という頭になりがちです。けれど、サービスの大きさなどにもよると思いますが、テストマーケティングや本当に簡易的にネットショップを作ろうと思うのであれば、「ノーコード決済」でECが完成してしまう時代がすでに訪れているんですよね。今までは簡単かつ手軽にECを運営するとなると、たとえば「メルカリやBASEで無料で」という形しかなかったのですが、誰でも決済を持てるすごい時代になりました。

今回の記事は「ペイパル」の話でしたが、「Stripe(ストライプ)」「Square(スクエア)」「ペイパル」と新しいECの世界、新しいビジネスのやり方、より柔軟な世界が今後一段と発展してくるんじゃないかと思っています。

この文脈とはまったく関係ありませんが、クロスポイントのようなサービスも導入しやすい形になり、中小企業が比較的簡単に「シームレスなEC」「ボーダレスなEC」を実現できる世界になってきています。「オムニチャネル」「O2O」と言われていた時代から時が経ち、流れの早いITの世界ではすでに使われないことも増えてきましたが、徐々に中小企業が容易に参入できる世界がきているのは間違いないのではないでしょうか。「ハイプ・サイクル」でいう幻滅期から啓発期になってきているのでしょう。

流行だけに耳を傾けず、2024年から2025年になろうとしている今こそ、自分達のサービスとテクノロジー(システム)とのさまざまなバランスを再度考えてみるのも良いかもしれません。

要チェック記事

実は売上成長が停滞しているわけではない? ECの立ち上げ期・成長期にぶつかる10の壁と対策 | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/15817

自社ECの停滞ってよく聞きますよね。データとその原因の追求。小手先に頼りたくなりますが、しっかりサイトの健康診断とお客さまに目を向けてサイトの設計をしていきましょう!

ローソンがふるさと納税に参入 全国チェーンのコンビニでは初 12月3日に特設サイト立ち上げ | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2411/28/news143.html

どんどん増えていく「ふるさと納税」。「ふるさと納税」のサイトやサービスが大きくなるなか、「ふるさと納税」が強い地域ではEC化も気になるところ。

リーバイスが始めたAmazonの音声AIサービス「Alexa」を使った新たな商品販売の方法とは? | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/13219

まだまだ先のEC体験だと思っていた音声によるEコマース。まったく想像できませんが、いよいよ音声によるコマースも動き始めています。

「最低賃金1,500円引き上げに関する意識調査(アルバイト就業者・企業)」を発表 | マイナビ
https://www.mynavi.jp/news/2024/11/post_45886.html

最低賃金の引き上げ問題。企業にとっては深刻な問題ですが、最近では「タイミー」という言葉も頻繁に聞かれるようになり、働き方にも変化が起こってきていますね。

Amazonプライムビデオに広告表示 2025年から日本でも | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2410/16/news126.html

YouTubeでは当たり前のように広告が表示されていますが、遂に「Amazon Prime」内でCMが流れるようです。これは誰もが想定していた流れですよね。さて、ECがCMを作って誰もが動画で商品を紹介する日はくるのかな。

「楽天市場」、指定日時に1回受取で「楽天ポイント」のキャンペーン。国交省の「再配達率削減緊急対策事業」の一環 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/12988

何をしたからと言って完全解決することはありませんが、EC事業者にとってもストレスになる再配達。1つひとつは小さな動きでも、塵も積もれば山となる。改善してほしいですね。

今週の唸った・刺さった・二度見した

【大反響につき全編公開】最強マーケター・森岡毅の熱血授業!USJ V字回復の仕掛け人が現役学生世代に”情熱”と”涙”の熱血授業!~人生の勝ち筋が見える~ | 日曜日の初耳学【公式】(YouTube)
https://youtu.be/0CWpIwax6cY?si=Nrk97A_pkopj5Td1

勝つための習慣

森岡氏が学生に指南するというテレビ番組です。森岡氏が好きなのでよく見るのですが、今週はこの番組内の冒頭に出てきた「勝つための習慣」ということが「確かに」と思ったので紹介します。

仕事をしていると、誰もが成功も失敗もあります。ECでは、何もしていないのに勝手に売り上げが伸びることもあります。勝手に売り上げが伸びると、なぜ伸びたのかを理解できず、売り上げが落ちた時に何も対策ができなくなってしまうという経験をしたこともあると思います。

売り上げが伸びた時も落ちた時も、日々しっかり「何故」を考えて、「売り上げ伸ばすためにはどうしたら良いのか」を考えてトライ&エラーを行う。日々の業務に追われることが多いと思いますが、少しの時間で日々「何故」を考えながらトライ&エラーを実行できる人がいる会社は確かに強いよな、と思ったので、今回はこの言葉と動画を紹介しました。

一部しか紹介できませんが「努力をしないで勝つことが一番最悪」など、「なるほどなぁ」と唸ってしまいました。この言葉以外にも考え方が非常に面白いので、見ていない人はぜひお時間がある時に見ても良いかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。5月の連載開始から8か月間でしたが、皆さんのビジネスに役立ったでしょうか? 2025年もネッ担の編集担当の人から、締め切りに追われる一年になりそうですが……。引き続き2025年もよろしくお願いいたします。

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

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