キャスター・小倉智昭氏(77)が9日、膀胱がんのため亡くなった。心から哀悼の念を表したい。
小倉氏が東京12chにいた頃や競馬中継をやっていた頃から知っているので、本当に馴染み深い感じがあるし。色々と印象に残るエピソードもあるのだけど。<大橋巨泉事務所というのも好感度あり。日本テレビの「キャッチ」もテンポがよかったな~。>
趣味も多かったのだが、大のスポーツ好きで、数多くの五輪に現地まで行って、リポートを行なっていた。<かなりの西武ライオンズファンでもあった。>
仕事の中では、やはり1999年~2021年までMCを務めていたフジテレビ朝の「情報プレゼンター とくダネ!」は、まさに小倉智昭あっての番組だと思うし。単なる進行役ではなく、「もの言うキャスター」として番組作りに携わったという意味では、日本の朝のワイドショーもあり方に大きな一石を投じた人だったとも思う。
番組のオファーを受ける条件が、自分の言いたいことを言う時間を与えるということだったとか政治や社会に対する発言には、歯に衣を着せぬものや毒舌と評されるものもあって、批判もあったときくが。(フジなのにサヨク系の番組なのかとのお叱りがあったと、関係者が笑ってたときいた。)小倉氏はそれらのを批判を自分で受け止める覚悟をもって発言しているのがわかり、共感を抱いていた。
また2016年に膀胱がんであることを告白。手術や治療で時に休養しながら仕事を継続した。
膀胱がんに関する情報は少ないからと、自らの治療や進行状況、患者としての提言などをテレビその他を通して、発表。これらの情報に助けられたり、小倉氏の病気と戦う(がんを飼って共生してる)姿勢に救われたり、励まされたりした人がらくさんると思う。その点でも敬意と感謝を示したい。
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「とくダネ!」は一時期、朝のワイドショーでは視聴率トップを続けていたのだが。2011年から元日テレ・アナの羽鳥慎一氏がテレビ朝日で、「モーニングバード」→「羽鳥慎一モーニングショー」を開始。
こちらは、やや固めの内容を増やし、反骨的スタッフの玉川一郎氏をはじめコメンテーターがかなり自由な発言を行なっていたのが功を奏してか、やがて朝の視聴率トップの座を奪うようになる。
小倉氏もこの番組が気になっていた様子。逆に羽鳥氏や玉川氏は、小川氏のことを尊敬し、少しでも近づきたいと考えていたところがあったようだ。
<今年の春には、羽鳥氏や玉川氏、元フジTVの菊間千乃弁護士らが小倉氏と食事をし、歓談する機会もあったという。>
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小倉氏の「とくダネ!」が終わって3年。今年の4月、何と羽鳥氏が番組の企画「50の質問」を行なうために小倉邸を訪問した。
<全文はhttps://www.tv-asahi.co.jp/m-show/50questions/0005/に。>
その中で、「とくダネ!」のあり方について説明。また、ネット社会が発達する中でもテレビのあり方について持論を述べていた。
まだSNSや動画で引っ掻き回された衆院補選、都知事選、衆院選が行われる前のことである。
小倉さんは既にSNSの動きの良さを認識しつつ、こんなことを言って、羽鳥くんを煽っていた。
「忖度しちゃうようなニュースが多くて横並びで皆、同じことを言ってて。やっぱりネットとかYOUTUBEの動きの良さとかスピード性にはもうテレビはかなわなくなっていくと思うから、もっと各局が政治色持っていいと思うよ」
実際のところ、今、テレビは勝負時を迎えているだけに、小倉氏の提言は重く受け止めるべきだろう。(**)
羽鳥慎一50の質問 2024年4月2日 小倉智昭編
■小倉智昭×羽鳥慎一 「今のテレビ」への本音
「今のテレビ業界」を、小倉さんはどう見ているのでしょうか?
羽鳥「(質問24)今までにない手法でやってきて、トップになって22年やってきた小倉さんが、今のテレビをどう見ているのか、今の情報番組でどう見ているのか?」
小倉「面白くないよね。」
羽鳥「(質問25)どこが面白くないですか?」
小倉「みんな、なんか人の顔色をうかがいながら言うし。このコメンテーターはこう言うだろうなってわかるんだよね。みんな役回りが決まりすぎちゃってて」
羽鳥「(質問26)じゃあやっぱり今の情報番組ってのは、そういうちょっと予定調和のところが増えてるんじゃないかっていう?」
小倉「うん、それでなんだかんだでコンプライアンスとか言い過ぎだよね。使っていけない言葉とかさ。そんなのおかしいでしょっていう。何も話せなくなるじゃない」
羽鳥「でも今、時代がそうじゃないですか。SNSっていうのも出てきて、昔にはない我々のような人間が批判されるツールが出てくる」
小倉「ビクビクビクビクしながらな」
羽鳥「(質問27)そういう中でどうしていけばいいですか?」
小倉「俺は絶対これは炎上するなって分かってて踏み込んじゃうから。そら来たっていう感じで楽しむところがあるから、みんなに迷惑かけるんだけど、それをどうやって乗り切るのかっていうのを自分なりに考えて乗り切るとか、逆手にとってもっと炎上させちゃうとかさ。」
■羽鳥慎一 渾身の質問「テレビが生き残るために必要なことは?」
長年、テレビをけん引してきた小倉さんに羽鳥が最後の質問に選んだのは…
羽鳥「(質問28)最後、これからテレビが生き残っていくために必要なことは、どういうことだっていうことだと小倉さんは思われますか?」
小倉「本当は情報とかニュースだけは生き残っていかなきゃだめだと思うんだよね。でもニュースが今みたいに、忖度しちゃうようなニュースが多くて横並びで皆、同じことを言ってて。やっぱりネットとかYOUTUBEの動きの良さとかスピード性にはもうテレビはかなわなくなっていくと思うから、もっと各局が政治色持っていいと思うよ。選挙の前に選挙のことやれないんだもんやらなくなってきたでしょ」
羽鳥「まだモーニングショーはちょっとそういう部分ではまだできている部分が」
小倉「まだ反骨精神あるもん」
羽鳥「あるのかなと思うので。」
小倉「だから見るんだよ」
羽鳥「小倉さんに言われたことを、ただここで見られてんだなと思うのがちょっと」
小倉「目立つよアップになんかなったりすると」
羽鳥「ちょっと緊張しながらこれからも頑張りたいと思います。ありがとうございます」
小倉「ありがとうございます」
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先日、『小泉父がTVを利用した劇場型選挙が、今の石丸や立花のSNS,動画活用の走りだったかも』にも書いたように、TVの選挙報道の時間がどんどん短くなっている。
選挙だけでなく、政治に関する報道も含め、政治的中立性を過剰に意識して、さしさわりのないことしか言わなくなっている。<しつこく書くが、安倍・菅官邸のメディア支配の影響が大きい。>
でも、もしここでテレビが本当に視聴者の頼りになる存在でいたければ、「とりあえず、あの番組は見てみよう」「あの人の解説や意見をきいてみよう」と思わせるような番組を作る必要があると思う。
どうか「羽鳥慎一モーニングショー」の出演者やスタッフも、フジの後番組「めざまし8」の出演者やスタッフも、小倉氏が言わんとしていることをくみ取って、視聴者に期待、支持される番組を作るよう切に願っているmewなのだった。(@_@。
THANKS