新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

仮面ライダーガヴ 第14話「奇跡の覚醒!ケーキング」感想

笑顔を幸せを返すため

???「ここで双子の片割れだけを残すことで良い出汁が出るんですよぉ~」

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • 分かち合って広がる世界と共に

 シータ&ジープの双子とのひとまずの決着までが描かれた今回のガヴ。まずはショウマが崖から落ちるシーンの続きから始まりましたが、何とか生きのびたショウマの様子に痛々しいものを覚えました。絆斗に介抱されながらはぴぱれに戻ってきたものの、ボロボロのまま手作りケーキを幸果と共に食べようとするので劇中の幸果同様心配せずにはいられなかったです。ショウマが約束を守りたい一心なのは伝わってきますが、自分を省みないほどに愚直すぎるのも考えモノですね。(それ故ショウマの傷をフォローする絆斗の献身ぶりに感銘を受けましたが)

 とはいえ幸果と共に手作りケーキを食べて、彼女と“嬉しい”“幸せ”といった感情を共有し合うシーンは一転して微笑ましかったです。自分だけ食べて美味しいだけでは終わらず、大切な誰かと同じものを食べて喜びを分かち合うことを学んでいくのでベタながら感動させられるものがあります。この「何を食べるか」以上に「誰と食べるか」に重きを置いた点は、ショウマにとっては初めての経験でしょうから余計にほっこりさせられますね。多少の無茶に思うところがあるものの、この「喜びを返し返される」関係に至るための布石だと思えば悪くないものです。

 そんな経験を経て双子との決戦では逆、逆恨みをぶつける双子に「全てお前たちが悪いんだろ!!」と言い返すほどの怒りを発揮。人間たちとかけがえのない日々を過ごしてきたからこそ、それを自分の都合で壊す彼らに憤る様子はこれまたカッコよかったですね。同時に彼らを倒す瞬間「双子と仲良く出来たかもしれない光景」を思い浮かべるシーンにもほろりときました。多くの因縁があったものの、ショウマにとって彼らも喜びを共有したかった相手だったのが伝わってきます。総じて大切な人のために戦える優しさと強さを着実に備えてきている、ショウマの主人公としての魅力を再確認した次第です。

 

 

  • ロイヤル&アメイジング!絢爛たる甘味の王者

 

ケーキ!

 

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

EATケーキ!

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

EATケーキ!

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

 

\ヒャアァァ~!/

 

ケーキング!!

アメイジング!

 

 前回自身で作ったショートケーキを幸果と共に食べ、幸せを共有したショウマから生まれた「ケーキングゴチゾウ」を赤ガヴに装填、ガヴガヴ食べることで変身する「ケーキングフォーム」。年末ということもあり出てきたガヴ最初の強化フォームです。前回登場したブシュエル同様ケーキがモチーフとなっていますが、こちらはブッシュドノエル以上に有名なショートケーキモチーフということでより豪華なビジュアルに仕上がっているのが特徴的。まずホイップクリームのツノが頭部の王冠を象っているのが秀逸で、他にもイチゴの形をした宝石が各所に埋め込まれているためケーキや王族としての煌びやかさが強調されています。白いマントの荘厳さも合わせて、フォーム名にもある「ケーキの王様」に相応しい姿と言えるでしょう。

 強化フォームだけあって戦闘能力も増大しており、苦戦していたシータ&ジープを一撃で吹っ飛ばすほどのパワーを発揮。専用武器の「ガヴホイッピア」は近くの敵で斬りつけるほか、遠くからホイップクリームの弾丸を発射するなど距離を選ばない戦い方を可能としています。そして特筆すべきはガヴホイッピアから生み出される「ホイップ兵」。ストマック家の眷属に当たるであろう存在であり、ガヴの戦闘をサポートしてくれる良き従者です。絞ったクリーム型の頭部と前掛けのみのシンプルな見た目に反して、槍を駆使した戦法が非常に強いので初見は結構驚きました。(それでいて目を回して吐いている個体がいるなど、ゴチゾウに通じる愛らしさもあるのが素敵)ホイップ兵とのコンビネーションで多人数戦にも対応しているため、まさに隙のない戦いぶりを見せてくれます。

 ちなみに変身に必要なケーキングゴチゾウですが、こちらは他のゴチゾウと異なり使っても消滅しないという稀有な特性を持っています。*1繰り返し使えるものの使用するとエネルギーを激しく消耗する欠点も抱えており、メリットとデメリットが性能に見合っているのが面白いところ。何より幸果と共に食べた特別な思い出が力になっているとも解釈出来るので、これだけでも最強フォームにしてもいいレベルでエモいフォームに仕上がっていると感じましたね。

 

 

  • 恨み嫉みで閉じていく世界と共に

 そしてシータとジープに関してですが、まず2人の誕生日の回想シーンが目に留まりました。兄たちは早々に退席するわ父・ブーシュは構ってくれないわと、家庭内での彼らの孤独が描かれていたのが興味深いです。そこからショウマに対して少なからず嫉妬を覚えるのもまぁ納得といったところで、「2人だけでも一緒にいよう」と約束し合う関係に至る点も理解しました。(とりあえずブーシュパパがショウマ以外の子どもに対しても割とロクでもないっぽい点に苦笑いしたり)

 しかしここで「自分たちだけが幸せであればいい」という考えを抱いてしまったのがこの双子の歪みの正体だと感じました。周りに味方がいないからと閉じた世界に籠り、2人以外はどうなってもいいと考えに至っているのはどうしようもありません。これは幸果をはじめとした多くの人たちとの交流で自分の世界を広げていったショウマとは、どこまでも対照的になっているとも捉えられますね。その結果大勢を弄び傷つけているので、結局のところ自分本位な邪悪として同情には至らない存在に仕上がっていると言えるでしょう。

 また今回最大の衝撃として、ジープだけが生き残る結末にも触れておきたいところ。シータが彼を庇って1人爆散するシーンは、予想はしていたものの愕然とするほどのものでした。(その後1人残され、発狂しながら髪を切るジープの姿も絶句もの)双子が一緒に退場しては幸せになってしまうとはいえ、引き離される敵キャラをここまでストレートに描いてみせたことに驚きと感嘆を覚えます。ここで何となーく脚本家やプロデューサーのほくそ笑んだ顔が浮かんできますね……などと考えながら、令和の時代にこうした展開をぶち込んできたスタッフには膝を打つばかり。ジープは今後どうなってしまうのかも含めて、悪役の末路についても楽しみになってきました。

 

 

 また今回のラストで地味に衝撃を受けたのが酢賀とニエルブの邂逅。このシーンに関しては以前から予想していた「酢賀とニエルブは繋がっている」が、ドンピシャで当たりの可能性が出てきたので内心やっぱりそうか!とテンションが上がりましたね。メガネのマッドサイエンティストの2人が揃って共謀し、絆斗の改造計画を企てていると考えると非常に納得がいきます。(酢賀が持っていたグラニュートの器官も、元はニエルブから提供されたものかもしれません)

 ただニエルブの口ぶりから2人が初対面のように見えるのが気になるところ。上の予想とは食い違う点もあるので、もしやここから力を合わせるのかという可能性もありますね。ただこの2人は最初からグルだったと信じたいので、ここは「普段は眷属越しで連絡を取り合っていたので、本人たちが顔を合わせるのはこれが初めて」という説を推していきたいと思います。

 

 

 というわけで年末特有の強化フォーム販促回の感想でした。ショウマが多くの喜びを知ると同時に新たな力を獲得していく過程を自然に描き、同時に悪役の悲惨な末路についてもしっかり見せていった内容には感服するばかりです。特に双子の悲惨な過去を見せたうえで、それとお前らがやってきた悪事はまた別!勝手に逆恨みするな!とばかりに突っぱねる展開を入れたのが見事の一言。過去と行いを別に分けて、悪役の罪の精算を丁寧に子どもたちに伝えていく姿勢は大いに評価したいところです。

 

 

 さて次回はバイトのグラニュートを巡る物語に発展。前回から登場しているロジョーが「ストマック社を抜けたい」と命乞いをしてきたことで、彼を信じたいショウマとグラニュートは全員潰す主義の絆斗が意見をぶつけ合うようです。ダブルライダーの共闘が始まった頃から懸念していた「改心したグラニュートの処遇」の話がついに描かれるとのことで、これは期待せずにはいられません。ショウマと絆斗どちらの気持ちも理解出来るだけに、この対立がどのような結末を呼ぶのか気になるばかり。ロジョーが反省したのも本当なのかどうか怪しいところですし、次回は最後まで緊張しながら見ることになりそうです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:詳しいことは「仮面ライダーWEB」(https://www.kamen-rider-official.com/gavv/15/)を参照。