JR各社が「回数券」の廃止を相次いで発表している。JR東日本は新幹線の自由席タイプの回数券販売を2021年3月に終了し、6月30日には新幹線の指定席タイプの回数券も販売を取りやめる。JR東海も、東海道新幹線の主要区間(東京―新大阪など)の回数券販売を22年3月いっぱいで終了すると発表した。
在来線でも同様の動きがある。JR西日本は、ICカード「ICOCA」(イコカ)エリア内の移動で使える普通回数券の販売を21年9月末に停止。JR九州も自社エリア内の移動で使用可能な普通回数券の販売を21年6月末に終了する。11枚つづりの「日常使い」のきっぷであり、こちらのほうが販売終了の驚きは大きいのではないだろうか。
回数券は複数枚をセットにして販売し、1枚あたりの値段が正規の運賃・料金より安くなるように設定されている。乗車料金を少しでも節約したい人たちには今も重宝され、街の金券ショップでもよく見かけた。
割引は「個人」とひもづけられる時代
回数券の代わりとなるサービスとしては、「新幹線eチケットサービス」(JR東日本)や「エクスプレス予約」(JR東海)といったインターネット予約、チケットレスサービスの利用が呼びかけられている。利用区間などに応じたポイント還元や早期購入割引により、回数券の「割引サービス」の側面は引き継ぐということだろう。
在来線でもJR西日本がイコカのポイント還元率をアップさせるなどして対応する。一方、JR九州はICカード「SUGOCA」(スゴカ)の鉄道利用時のポイント還元を同時に終了させるなど対照的で、経営環境の違いが表れている。
ポイント制度にすれば、買い物など鉄道利用以外のことにもメリットを与えられる。利用客にとっても回数券による直接的な値引きより、むしろありがたいのではないか。鉄道会社から統一された割引サービスが提示される安心感もあるだろう。回数券の場合、金券…
この記事は有料記事です。
残り748文字(全文1546文字)