如是我我聞

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仏さまから仕事を与えられる『大往生できる人 できない人』田畑正久

『大往生できる人 できない人―――潔く、とらわれず、おまかせして生きる』田畑正久 三笠書房

仏教の研究もされている医師・田畑正久先生の著書。

仏教に興味がない方向けへだと思うのだが、本のタイトル、章のキャッチコピーが大胆な二元論になっていて仏教クラスタにしてみると際どさを感じるところではないかな。

実はちょっと読み始めて簡潔に書かれている仏教の救いについてうーんという気持ちになり読むのをやめようかと思った。しかししばらく読み進めるうちにこれは特定の人にはとても必要な本かもしれないと感じた。

自分には時間がある。だから聴聞していく中で自分なりにこうだと思う表現がある程度あるのだけれどそういうのって表に出さない(もんだと思っている)。田畑氏のこの本は、一歩進んで「こうだ」ということをあえて断言していると感じる。それは読み手に対して訴えかけているともとれる。

どういう読み手を想定しているか。

それはやはり、病に悩み、死を感じ、生きていくことはどういうことなんだということを今解決したいという人を思い描いていらっしゃるのではないか。

自分はまだ死を実感する年でもなく、本当は明日もわからない身だけど明日は必ず来ると思っているような人間である。

そういう人間ではなく、今苦しい人、もう人生の時間がない人には考える方向を変えるヒントがあると思う。それが仏教なんかといわれると、そういうことを考えられた田畑先生は仏教を学んでいらっしゃるんですよ!というのを強く発信している状態と捉えたほうがいいかな。時間がある人には仏教までたどり着いてほしいというようなベクトルの示唆。この本で仏教がわかるとかそういうのではない。

全編において田畑先生が真摯に患者さんたちに向き合っていらっしゃるのが伝わってくる。きっといい人だ。

響流書房から出ている本にもあったが、「聴聞すると仏さまから仕事を与えられる」というのは自分もしみじみ感じることであった。大きい小さいじゃない。与えられるんだ。

病気、余命を宣告された方、そしてそのご家族ということに心当たりがある方にはおすすめする。

 

◆田畑正久先生の本

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◆田畑先生のお師匠、細川巌先生の本

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