三浦春馬主演『キンキーブーツ』ローラ×映画『ミッドナイトスワン』その影響とは
三浦春馬さん主演ミュージカル『キンキーブーツ』。
2021年日本アカデミー賞で最優秀作品賞など受賞の映画『ミッドナイトスワン』に、『キンキーブーツ』のローラが与えた影響とは?
2020年7月18日に死去するまで、三浦春馬さんの主演で再演予定だったブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』。
三浦春馬さんは、主役のドラァグクイーンのローラを体当たりで演じ、杉村春子賞を受賞するなど好評を博しました。
『キンキーブーツ』が『ミッドナイトスワン』に与えた影響
ローラと同じくトランスジェンダーの元男性が主役を演じる日本映画『ミッドナイトスワン』。
『ミッドナイトスワン』では、
トランスジェンダーたちがクラブの舞台でショーを演じる
という設定まで、『キンキーブーツ』の影響を受けていました。
まさに、『キンキーブーツ』なくして、『ミッドナイトスワン』の誕生はありえなかったでしょう。
その象徴として、『ミッドナイトスワン』では、主演の凪沙(草彅剛)がローラそっくりの真っ赤なヒールのブーツを履いて闊歩する場面が描かれました。
単なるLGBT問題?
『キンキーブーツ』も『ミッドナイトスワン』も、どちらもトランスジェンダーの元男性が主役で、その社会的な立場の微妙さ、彼らの苦悩が描かれている作品ではありました。
ただ、そうしたLGBT問題だけが、この2つの作品の主要なテーマなわけではないようです。
『ミッドナイトスワン』における、LGBT問題以外のテーマについて、ここで触れておきたいと思います。
それは、三浦春馬さん主演『キンキーブーツ』にも通じるテーマなのです。
『ミッドナイトスワン』のその他の元ネタ作品
日本映画『ミッドナイトスワン』には、『キンキーブーツ』だけではなく、他にも海外の有名な映画などの強い影響が見られます。
アンデルセン童話『みにくいアヒルの子』なども、その一つでしょう。
そこには、他の鳥たちとは違う容姿で生まれた彼らを差別する、という寓話が隠されているのです。
それが、『ミッドナイトスワン』に隠されたテーマの1つ、というわけです。
親による子供虐待、イジメ…
『ミッドナイトスワン』では、主役の凪沙(草彅剛)が親戚の娘・一果(服部樹咲)を一時的に預かり養育させられることになります。
一果は、実母から虐待され、母から保護するために、親戚の凪沙の家で過ごすことになるのです。こうした、親から子への虐待も、『ミッドナイトスワン』では大事なテーマの1つでした。
さらに、「イジメ」。
これは、一見するとわかりにくいのですが、キャラ名の設定などで推測できる作りになっています。
一果が通うバレエ教室の先生の名前は、片平実花。
一見ふつうの女性名ですが、「片平」というのは、往年のテレビドラマ『スチュワーデス物語』で、ヒロインを壮絶にイジメて苦しめる女性を演じた女優の名前が由来ではないかと思います。
このように、『ミッドナイトスワン』では、虐待やイジメなど、かなり真っ暗闇なイメージのテーマも取り上げられているようです。
映画『ミッドナイトスワン』は、一見すると、実母から虐待され、自傷癖のある中学生少女・一果が、バレエ教室の先生に期待され、大きく飛躍する成功物語に見えます。
親戚の凪沙にもかわいがられ、一果の養育費を稼ぐために奔走する凪沙の物語でもあります。
『ミッドナイトスワン』のテーマまとめ
『ミッドナイトスワン』は、
しがない労働者階級の貧困家庭の苦しみ、みたいな物語ではありますが、
さらに、
単純な性別だけではない容姿にまつわる差別、
虐待、イジメ。
これらのテーマもまた、三浦春馬さんが主演した『キンキーブーツ』のローラが由来となっているところが大きいようです。
『キンキーブーツ』の元ネタ作品も、海外ではかなり有名ですが、日本ではさほど知られていないため、ここでは説明は省きます。
ただ、『キンキーブーツ』という作品自体が、
主役のローラがイジメや差別に苦しむ、といった雰囲気の作品ではあるのです。
三浦春馬さんが、そうした作品で当該主役ローラを演じた。
さらに、そのローラの影響で、また新たな映画が作られた。
イジメや虐待、差別……といった、ドロドロの物語。
芸能界の闇、などと、
日本では三浦春馬さんの死後、特に騒がれていますが、
芸能界の裏では、今もまた、こうした物語が、新たに誕生しようとしているのです。
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