ネットカフェ難民なんてただの報道の演出です

 例によって見出しは演出です。
 ウィキペディアにも記述があるわけですが、
→ネットカフェ難民 - Wikipedia2007年05月日

派遣会社に登録して携帯電話の電子メールで派遣先を紹介される雇用体系を利用した、日雇い労働(ワンコールワーカー)に従事する若者が、2007年前後から首都圏で増加していると一部のマスメディア[5]で報道後、2007年3月15日には参議院厚生労働委員会での質疑で共産党所属の小池晃議員が、日本国内のネットカフェ難民の実態を調査をするように柳澤伯夫厚生労働大臣へ質し[6][7]、同大臣は「可能かどうか検討したい」と答えた。

5.ネットカフェ難民漂流する貧困者たち日本テレビ NNNドキュメント07 過去の放送記録→1月→2007年1月28日放送

→ノート:ネットカフェ難民 - Wikipedia

>マスメディア側で近年便宜的に作られ使用されている造語である。 と本文にも記載してある通り、NNNドキュメントの2007年1月28日放送で取り上げられた「ネットカフェ難民 漂流する貧困者たち」の放映の反響により浸透してきた用語であり、初版スタブ記事から出典テンプレ貼られただけで放置状態を見かけたので、私が加筆して記載しました。ネットカフェ難民のインターネット検索でも殆どがNNNドキュメントの放映後から引用した記事ですし。

身の回りの荷物の収納を8時間100円で使用できるコインロッカーについて、 出典はNTV2007年1月28日放送分『ネットカフェ難民 漂流する貧困者たち』というには本当でしょうか? どう探しても一番安いのは一時間100円、蒲田駅近辺に住んでる人いませんか? 現地検証したいので、8時間100円で使用できるコインロッカーの詳しく住所分かる人いますか?

 なんかものすごく怪しい。
→livedoor ニュース - 「ネットカフェ難民」とは「隠れたホームレス」だ

 2007年3月16日付けの「しんぶん赤旗」によると、3月15日に開かれた参議院厚生労働委員会で、日本共産党の小池晃参院議員が柳沢伯夫厚生労働大臣に対し、「(ネットカフェ難民の)現状をどう思うか」「実態調査が必要だ」などと、訴えた。

 07年1月28日に「NNNドキュメント」(日本テレビ系のドキュメンタリー番組)などが取り上げた。その後も日本テレビでは、続けて「ネットカフェ難民」を取り上げており、たとえば07年3月7日の「NEWS ZERO」でも、「隠れたホームレス」として実態が紹介された。

 ある青年は、1日200円のコインロッカーを毎日2つ使い、全財産を収納。その後、時間をつぶし、夜遅くにネットカフェに入る。滞在時間を短くし、節約するためだ。

 実情を聞くために、蒲田に10軒前後あるといわれる「ネットカフェ」のうち、「格安」といわれる数店舗にJ-CASTニュースがあたると、「取材には一切答えられない」という回答だった。

 記者でもないぼくがネットカフェに聞いても、多分同じような答しか得られないと思うんですが、蒲田駅周辺に「8時間100円」あるいは「1日200円」のコインロッカーがあるかどうか、は割とすぐに調べられそうな気がします。
 国会の会議録ではこんな感じ。
→国会会議録検索システム

参議院 厚生労働委員会 4号 平成19年03月15日
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 ちょうど一月前のこの委員会で、大臣は私の質問に対して、生産現場で働く労働者はベルトコンベアーの仕事、労働時間だけが売り物ですというような答弁をされて、これは労働者の本当に人格、尊厳を踏みにじる発言だというふうに思います。こういう立場では、私はまともな労働行政できないんではないかというふうに思いますが、しかし、今日は実態をお示しをしていきたいというふうに思います。
 ネットカフェ難民という言葉を生み出している日雇派遣という働き方について聞きたいと思います。
 先日、NNNのドキュメント番組でインターネットカフェ難民の実態を特集した番組があって、大きな話題を呼びました。インターネットカフェに寝泊まりしながら日雇派遣という働き方をしている、そういう人たちに光を当てた番組です。インターネットカフェ、あるいは漫画喫茶というようなところもあるんですが、これは非常に今増えておりまして、インターネットに今出ている全国一覧を見ますと三千四百四十九店と。さらに広がっています。
 私、実際行って体験もしてまいりました。(資料提示)これ、写真を撮ってきたんですけれども、インターネットカフェといっても別にコーヒーが出るわけじゃない。こんな仕組みであるんですね。大体一人一人小さなブースに区切られておりまして、そこにパソコンが置いてあると。いすは結構立派なんですよ、リクライニングできて、横になって寝れるようになっているんですね。
 私が行った店は、八時に行ったんですが、もう二百席以上ある店内は満員状態です。ワンフロアは五、六十席あるんですが、三分の一ぐらいの方はもう既に寝ておられました。まあゲームをするために来ている方も確かにいるんですが、中見てますと、大きな荷物を抱えて入ってきて、明らかにここに寝泊まりをしているという方も大変多いんです。年代も若者から中高年の方まで、女性も、若い女性も何人かおられました。
 先ほどのテレビ番組では、こうしたところに寝泊まりしながら日雇派遣で働いている若者を取り上げて、カフェで二年暮らしているという人も紹介されておりました。
 自分の家を持たずにネットカフェに寝泊まりしながら、どんな働き方をしているかというと、番組の中では、実態としてこんな働き方を紹介されているんですね。勤務時間は定まっていない。相場は一日六千円から八千円。集合場所に出発する時間、そのときの連絡も携帯メール。集合場所に着いたのもメールで派遣会社に連絡する。登録番号で呼ばれて、名前ではなく、おいと呼ばれる。工場のライン作業、倉庫業務、引っ越し、業種は様々だと。これ、迎えのワゴンの車でその日の現場に連れて行かれて、交通費もない、深夜手当も付かない、社会保険もない働き方だというんですね。正に当座のお金がないためにアパートにも入れない。住所がないためにまともな就職ができない。日々雇用で、辛うじてその日の生活を稼いでいる。ネットカフェ難民というのは正にそういう新たな形での、私、ホームレスが生まれていると思うんです。
 大臣に、率直に、こうした実態が今広がっている、このネットカフェ難民の実態についてどう思われるか、行政としてやはりこういう広がりをこのまま放置していていいとお考えかどうか、お聞きしたいと思います。

 ↑これもテレビの報道を元に国会で質問がなされた様子。「資料提示」とされている「資料」の、具体的なものが見たいと思いました。

参議院 厚生労働委員会 7号 平成19年03月27日
○小池晃君 それが一番大きいんですよ、この財政について言えばね。雇用保険財政は潤ったかもしれないけれども、失業者はセーフティーネットからどんどんはじかれていると、こういう現実が生まれているわけであります。
 引き続き、その雇用保険の今の実態についてお伺いしたいんですが、日本の労働者の失業者のセーフティーネットというのは雇用保険だけです。ヨーロッパのように失業扶助などの制度がない。だからこそ、できるだけ広く加入してもらう必要があるわけです。
 ところが、働いている人のかなりの部分が雇用保険に加入すらしていない、そういう実態があるのではないか。前回の質問で、急速に広がるネットカフェ難民の問題、日雇派遣の実態も紹介いたしまして、フルに働いても社会保険に入れないという実態があるということを指摘をいたしました。
 局長にお伺いしたいんですが、日本の雇用者の中で公務員等除外される人、これを除いて雇用保険に加入していない雇用者、労働者というのは一体どれだけいて、雇用者の中に占める割合はいかほどのものか、お示しいただきたい。

衆議院 総務委員会 14号 平成19年04月13日
○武正委員
(前略)
 私が、二〇〇〇年八月三日ですか、初当選の初質問は当時逓信委員会でございまして、郵政大臣に質問したのは、IT関係の人材が一次、二次、三次、四次と大変重層構造にまたがっていて、名前はそのとき申し上げましたが、大手のそうしたデータ関係の会社が受注をしても、それは二次、三次、四次と下請にどんどんどんどん仕事が回される。四次に至っては、本当にそれこそ今ワーキングプアということで、厚労省ですか、ネットカフェ難民とテレビで今取り上げられて、私も非常にショックを覚えていますが、一泊千円、二千円で、ネットカフェで寝泊まりをしている。メールで仕事の注文が入ると、それはIT系の人材であるとコンピューターの方でやる。年収は多くて二百五十万、少ないときは百万台の前半というのがテレビでも流れておりました。実は、そうした上部から下部にわたる重層構造の中で、二十代を中心に大変身を削って今のITを支えている、これを何とかしないと日本のITジャパンはうまくいきませんよと。これは初回の質問で取り上げたんですが、それこそ間もなく七年経ますが、果たしてそれが解決できているのかどうか、これが大変気がかりであるし、ぜひ御検証をいただきたいというふうに思うわけであります。

 この「武正委員」というのは、民主党国会議員の「武正公一」さんですが、民主党の議員はテレビで報道されていることを国会の議題にするぐらいの能力しかないのか(もう少し質問する前に調べられないのか)、と思いました。その点共産党議員の「小池晃」さんのほうが少しマシな印象です。
 ここまでをまとめると、
1・「ネットカフェ難民」という言葉は「NTV2007年1月28日放送分『ネットカフェ難民 漂流する貧困者たち』」が最初の出典。
2・それ以降、日本テレビの報道を中心にその言葉が世の中に広まった。
3・国会で共産党議員の小池晃氏と、民主党議員の武正公一氏が問題にした。
4・そのようなものが存在するか、事実の確認は不徹底。
 という感じです。
 こんな情報もあることはあるんですが、
→かな◆KANAtaylfcのBlog 仕込みじゃないの?TVに出てくるネカフェ難民

ここからは昨夜のテレビタックルを見た人しか解らない話で、大変申し訳ないのですが、取り上げられた女性は「私の全ての荷物(全財産)は手提げ鞄一つ」と言っていたんですね。じゃぁ着替えはどこにあるんだよ?と。
私が1ヶ月ぐらいの長期出張に行くときだってスポーツバッグ2個分ぐらいの荷物は持っていきますよ。女性が手提げ鞄一つだけで生活できるとは考えにくいんですよね。
女性ですから数着の服ぐらいあるでしょうよ。そうなると、この女性はコインロッカーなどを借りている可能性が極めて高く、スポーツバッグ2個分が楽々入るようなコインロッカーだと都心部で1日500円ぐらいですかね?
となると、ネットカフェの代金とコインロッカーで1日あたり2000円前後は使って居るんですよ。この女性は。
結局月当たりで6万円、早稲田あたりのワンルームを探せば敷金礼金1ヶ月で、家賃3万円で住める部屋なんてゴロゴロありますから、ちょっと頑張れば生活出来ますよ。

話は変わって、あるエキストラ募集のサイトに行って、
こんな感じで入力してみますと
(中略)
早速掛かっタ━━━━ヽ(〃▽〃 )ノ━━━━!!!!

 ということで、報道関係の「仕込み」について紹介しています。
 ちなみに「早稲田 格安 ワンルーム」とかで検索してみると、ゴロゴロはないんですが、ぼくが見た限りでも家賃3万円以下のものは10件以上はみつかりました。(追記:ただし「定職についていない」「保証人がいない」という場合は部屋が借りられるかどうかは疑問)(さらに追記:「保証人代行サービス」というのもあるそうです。コメント欄参照)
 ただ、このサイトの人が言及している「あるエキストラ募集のサイト」というのがどうもうまく見つからないので、見つけられた人は教えてください。(追記:「メディアパーク」というサイトとのことです→https://member.mediapark.jp/)
 さらに情報。
→ネットカフェ難民報道(スーパーJチャンネル) | ミッドナイト・ホームレス・ブルー(2007年4月14日)

下記、3月7日放映の日本テレビ「NEWS ZERO」報道とは素材もちがい、コメントこそ行政府批判に向けてはいるが、やはり根本の部分でテレビ朝日の姿勢は「ネットカフェ難民バッシング」にあるように見受けられる。実は2月、「ネットカフェ難民・ワーキングプア・ホームレス」のコメント欄でテレビ朝日から取材の依頼を受けているのだが、断ってよかったよ。いや、ほんとうによかった。マスメディアは怖いよね。

 YouTubeで見られたですか。
→YouTube - ネットカフェ難民
「仰天! オタクホームレス」とか、楽しい見出しのテレビ情報がありました。映像的にほどほどショッキングなのがテレビの題材として扱いやすいのかな。
→取材という名の突発的事件 | ミッドナイト・ホームレス・ブルー(2006年12月5日)

これまで数度、取材の依頼があった。ほとんどがホームレス問題に関わるもので、某新聞社の英字版の記者、外国の新聞の日本特派員、フリーライターなどだったが、すべて億劫なので断ってきた。先日も某新聞社から、こちらはネットカフェ利用者に関わることでやはり取材の申し込みがあったけれど、私事にかまけてほったらかしになった。
そこへまたしても今度は突発的な取材で、しかも相手は眼の前にいる。もちろんぼくを目指してきたわけではないが、といってむげに断れなかった。街頭でポツポツと話を聞いていると、やはり多くの人に断られた様子である。ではまぁよろしい。彼らがぼくに声をかけたのも縁というものかも知れない。そのままファミリーレストランへと流れた。
内容については今は詳しく触れないが、なにかネットカフェの利用者層について記事にするようであった。頻度や金額、店内での過ごし方、あるいは利用者間のコミュニケーションなど、その生態について調べていたようだ。格差社会がどうのという話が早々に出てきたところを見ると、ワーキングプアと絡めての記事なのかも知れない。

→ネットカフェ難民・ワーキングプア・ホームレス | ミッドナイト・ホームレス・ブルー(2006年12月11日)(コメント欄は「2007年02月01日 18:17」)

さて、この層をなんと呼ぶべきだろうか? 生活形態はホームレスと変わらないが、おそらく新しい呼称がつくのではないか。「ネットカフェワーカー」なんていうのはどうだろう? あるいは「ネットカフェフリーター」か。「ネットカフェホームレス」もありだが、負のイメージを引きずり過ぎる感じもする。

初めまして。私はテレビ朝日のニュース番組に所属している菊地と申します。突然ですみません。こちらの
ブログを見させていただき、テレビの取材ができないかと思いメールさせていただきました。以下は内容です。

 ↑このあたりが「ネットカフェ難民」について言及した最初あたりのテキストでしょうか。
→フィギュア萌え族(仮)犯行説問題ブログ版・サブカル叩き報道を追う 大谷昭宏「オタクの末路はホームレス、若者は咲かない造花の桜」

3月31日の夜にテレビ朝日系列で放送された、大谷昭宏の「列島激震!春の乱SP」を見て、改めて大谷が、「最近の若いもん」を人間として見ていない事が判った。

 こういう調べごと(ネットサーフィン)をやっているとどんどんぼくが他のことをやる時間がなくなります。
 ネットカフェ難民に関する実態調査の、一番新しい情報。あまりリンク切れしそうにないところから。
→ネットカフェ難民増大/食事はスープ もう2年近くいる/青年大集会実行委 政治に解決求める(しんぶん赤旗)

 「仕事をやめて二年近くネットカフェに住んでいる」「夜はいつも満席。スーツ姿の人が半分」―。懸命に働いてもアパート代さえ払えず、インターネットカフェで寝泊まりするため“ネットカフェ難民”と呼ばれ社会問題となっている青年の実態調査結果が二十七日、発表されました。
 五月二十日に東京・明治公園で開く「全国青年大集会」実行委員会が行ったもの。東京、大阪、愛知、福岡など全国十九地域、三十四店舗前で八十四人と対話し、三十七人からアンケート回答が寄せられました。

 この「店舗数」と「調査人数」だけではちゃんとしたことは言いにくいかなぁ、とぼくは思ってしまうのですが、皆さんはいかがですか。
 アンケート回答・調査結果はちゃんと公表されています。
 以下のところから、
→首都圏青年ユニオン
 以下のところへ。
→Yahoo!ブリーフケース - 青年雇用集会
→ネットカフェ暮らしの実態調査結果(word文書)
→ネットカフェ調査の特徴とまとめ(word文書)
 ということで、この調査を少し意地悪く見てみます。

ある男性は、以前勤めていた会社の後輩がネットカフェカフェ暮らしをしていると話してくれた。

 ↑それは伝聞情報。

カフェの前で、対話になった30代ぐらいの小柄な女性に話を聞くと、週5日間ネットカフェに泊まっているという。3年前、夫の暴力を苦に、家をでてネットカフェ暮らしをするようになり、このカフェにはこの一年ぐらい宿泊しているそう。

 ↑それは経済的な事情ではありません。

この半年間、ほとんど毎日泊まっている。実家は近くにあるが、自立しなければと思うと家にいづらい。

 ↑それは当人の心理の問題。

月収は20万円ほどあるが、仕事が不安定なために、いつ収入がなくなるかわからず、アパートを借りようと思えない。年金や国民健康保険の保険料は未払い。病気になったら友だちに保険証をかりようかなとおもっている。親に心配させたくないので「アパートに住んでいる」といってます。このネットカフェには同じようにずっと住んでいる人が30人くらいはいる。20代から40代の人で、みんな日雇いバイト風の人です。

 ↑それは当人のライフスタイルの問題(経済的にはアパートに住めるレベルの収入)。しかし「日雇いバイト風の人」が「30人くらいはいる」というネットカフェには少し興味を持ちました。

家がない。正社員になれず、ずっと職を転々として当座のお金を稼いでいる。

 ↑正社員になれない事情をもう少しくわしく知りたいところですが、それは多分「ネットカフェ難民になっている事情」とは直接の関係はないと思う。

出張でホテルがとれなくて、ネットカフェにとまりに来たという男性。

 ↑ネットカフェ難民ではありません(生活的にはワーキング・プア状態だとは思いますが)。

飲食店で2年間、正社員として働いており、仕事は朝8時から夜11時までで、帰ると寝る時間がなくなるので週に6日は職場近くのネットカフェに泊り、日曜日だけ家に帰る生活をしている。

 ↑これもワーキング・プアの問題か。
 タグを「ネタ」にしている通り、ぼくの今回の推測はただの「ネタ」ですが、ワーキング・プアとか格差社会としての「ネットカフェ難民」は、マスコミ報道が流している(および、それによって野党が「政治問題化」させている)ほど多数存在するとは思えず、家庭の事情やライフスタイルの一つとして、そういう生活をしている人間がいる、という情報以上のものでは、現段階ではあり得ない、とぼくは思ってしまいました。さらなる調査と、そういう生活から抜け出したいと思っている方々には、個別の対応が必要だとは思いますが、政府のせいだ、と責めるには批判材料としてどうかな、という感じです*1。
 こういう報道もありますので、
→東京新聞:ネットカフェ難民 初調査:社会(TOKYO Web)

ネットカフェ難民 初調査
2007年4月12日 夕刊
 厚生労働省は十二日、日雇いの派遣労働などをしながらインターネットカフェを泊まり歩く住所不定の若者らを対象に、初の実態調査に乗り出す方針を固めた。「ネットカフェ難民」と呼ばれ、近年増加しているとされる。
 働いても生活保護水準程度の収入しか得られない「ワーキングプア」が社会問題化する中、東京・山谷などの簡易宿泊所を拠点にした従来型から、新しい日雇い労働の形態に移行しているともいわれている。
 厚労省は「支援が必要なのか、必要ならばどのような内容が適切なのかを考えるためにも、まずは実態を把握したい」としている。
 日雇い派遣労働は「スポット派遣」「アルバイト派遣」とも呼ばれ、派遣会社に登録すれば、携帯電話のメールなどで仕事の予約が可能。日払いで銀行口座や履歴書が不要なケースも多く、手軽に稼げることから近年、正社員として就職できなかった若者を中心に広がっているとされる。
 専門家は、低賃金で家賃が払えないなどの理由で、日雇いの若者らがネットカフェに流れ込んでいるとみている。
 厚労省は本年度中に調査を始める方針。具体的な方法は当事者への聞き取りや、派遣会社を通じて日雇い派遣の実情を調べることなどを想定し、詳細を今後詰める。
 業界団体の日本複合カフェ協会はネットカフェが全国に二千八百店程度あると推計している。二十四時間営業の店で千−二千円の「ナイトパック」を利用すると、リクライニングシートなどのある個室で宿泊することもできる。
 柳沢伯夫厚労相は三月、参院厚労委員会でネットカフェ難民について「健康とか安全管理というような面から望ましい労働の形態とはいえない」と答弁していた。

 厚生労働省の調査結果を見てからまた何か言うかもしれません。
 
(追記その1)
 以下のトラックバックによると、
→24-Hour Survival:「ネットカフェ難民」記事の初出と「演出」疑惑について
「朝日新聞2006年11月2日付け夕刊」の段階で、「ネットカフェ難民」に類する記事が出たそうなので、「NNNドキュメントの2007年1月28日放送」はそれを元にしたドキュメント、ということになるかもです。
 新聞記事のテキストは以下のところなど。
→はてなブックマーク - asahi.com: 生活困窮の若者、ネットカフェ転々 支援団体にSOSも - 関西
(追記その2)
「8時間100円」のコインロッカーその他を調べてくれたかたがいましたので、トラックバックもいただいておりますが、ぼくのほうでも言及しておきます。
→煩悩是道場 - 蒲田駅前に8時間100円のコインロッカーは存在する
 
 これは以下の日記に続きます。
→ネットカフェ難民報道の主要なリスト
→ネットカフェ難民報道の続き
→「ネットカフェ難民」の定義と報道の問題について(追記:2007年12月31日)
 
(追記・2007年6月10日)
 ここはすごい。
→ワイドスクランブル「アキバホームレス」報道映像の検証
→フィギュア萌え族(仮)犯行説問題ブログ版・サブカル叩き報道を追う 補足:ワイドスクランブル「アキバホームレス(アサリ屋)」検証

*1:もっと政府を責めるには違う材料が山ほどありそうな気がします。