ぐもじんです。
「頭に来てもアホとは戦うな! 」を読んだ。
著者の田村耕太郎氏は、早稲田大学、慶応義塾大学大学院(MBA)、デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を修了し、オックスフォード大学AMPと東京大学EMPも修了。山一証券でM&Aを手掛け、政治家にもなり、今はシンガポール大学のリー・クワンユー公共政策大学院で教授をしているし、日本戦略情報支援機構というところの代表取締役でもある。
すごいキャリアだ。そんな彼が、非常に泥臭いが大切なことを情熱的に語ってくれている。
このタイトルは、次のような、今のボクの悩みというか、少し感じつつある挫折感に強烈に訴えかけてくるものだった。
- 今の会社で必死でやって生意気も言って、組織のために貢献してきたつもりだけれど、それは必ずしも周りから評価されているようにも思えないし、報われることはないかもしれない。
- じゃあ、この責任感とかは横に置いておいて、うまいこと力を抜いてやっていけばよいのだろうか、やり方を変えないといけないのだろうか。
田村さんのような情熱的に仕事をしてきた人が、アホとは戦わずに、したたかに行けということを強く言ってくれているこの本は、これからのボクの生き方に少なからず影響を与えることだろう。これからも繰り返し読みたい本のひとつとなった。
例によって、ボクの勝手な解釈を交えながら、要点を整理していきたい。
自分の時間価値を強く意識すること
「1時間あったら何が生み出せるか」を常に意識しよう。
他者に固執したり、張り合ったりする時間はない。
何が自分を満足させることにとって、一番の近道かを考えるのだ。
どれだけ自分にとって時間が大切なのかを強く意識できているかどうかが試されていると言ってもよいだろう。
自分の責任感や正義や信念のためにアホと戦ってはならない
時間もエネルギーも限られているから、限られた資源を「アホと戦う」というマイナスにしかならないことに使うのは無駄だ。
特に、責任感や正義や信念を持っている人ほど、このアホの振る舞いに許せなくなるものだが、「人生は不条理」であり、絶対的な正義というものもないかもしれないから、そんなのにこだわって、自分の目的を果たすことに遠回りをする必要はない。
どんな理由だろうが、アホと戦ってはならない。
ちなみに、ここでいう「アホ」とは、次のような人たちを指している。
- むやみやたらと足を引っ張る人
- 会議でなぜかあなたの発言だけにいちゃもんをつける人
- 敵意をみせつけて協力的な態度をとらないチームメイト
- 権力を振りかざして正しい意見をつぶそうとする人
はい。いますね。こういう人。
しかし戦うべき相手は「くよくよ悩む自分」「腹を立てる自分」なのです。
変なプライドを捨てる
「他人によく思われたい」というプライドは捨てて、「質の高い仕事をする」というプライドを持とう。
相手には、負けたふりをしたり、困った状態にいるように思われているくらいでちょうどいい。
私の見てきた成功者は皆空手より合気道である。
相手の力で相手のバランスを崩すのだ。
戦うのではなく、相手の力を活かすということだ。
まず頭に来たら、相手に花を持たせて、いい気分になってもらうのだ。(略)
そのためには相手の攻撃やいじめにやられているフリをすればいい。反撃するガッツなど微塵も見せず、敵わなくて悔しいが、「やられた」「勝てません」という姿を見せるのだ。(略)
本当に自分のやりたいことにフォーカスすれば、アホにでも頭は下げられる。
この大人の対応というか、脊髄反射せずに懐深く反応できる対応力というか忍耐力を持つことがとても大切なのだろう。
本気で自分のやりたいことがあって、それを一刻も早く成し遂げたいならば、戦っている暇はないということだ。
「一瞬のすっきり感」を優先してはならないのだ。
そして、困った人間を助けたくなるのが人間の性だから、自信満々で可愛げのない感じではなく、多少、困っちゃってますーというくらいの方がいいのだ。
幽体離脱して、怒りを沈める
カッとした時に瞬時に反応せず、自分を上から見る自分を強く意識するのがいいらしい。相手は何を考えているのかとか、何を欲しているのか。自分はどういう対応をすべきかというのが、第3者的に見ることが大切である。
こちらの記事もどうぞ。→戦うべき相手は他人に対して腹を立てる自分 - 1分★読書
嫌いな人ともコミュニケーションを取り続ける
嫌いな人と険悪になりつつあるときこそ、頻繁にコミュニケーション(最悪でも顔合わせ)をとり、関係をこれ以上悪化させないことが大切らしい。
それは、過剰な深読み合戦(なにげない行動を悪意のある行動と深読みしあうこと)により、おかしくなってしまうことを避けるためだという。
なるほど、こういう視点はなかった。
相手の気持ちを理解する力を持つ
ものすごいエリート街道を歩んできた著者だからこそ断言していた。
「頭のいい人は世の中に掃いて捨てるほどたくさんいる」と。
どんなに鋭い分析力を持っていようとも、世の中にインパクトを与えたいなら、まずは力を持つ人の気持ちを理解し、巻き込み、動かすことが必要になる。
自分一人でやれることはたかが知れているので、たくさんの人を巻き込んでいかないといけない。もちろん、自分のやりたいことをしっかりと押さえたうえで、誰かと接するときには、相手の気持ちを理解することから始めていこう。そのためには、相手のことをリサーチすることも大切のようだ。
たとえ、アホ相手でも、これは同じで、嫌いオーラを出さず、リスペクトし、相手の欲するものを理解したうえで、自分との共通の利害を見つけることが大切だと筆者は言っている。
権力者に尽くす
上司への対応としては、まず以下の2点が大切のようだ。
- 上司が部下に何を期待しているかを考えて行動すること。
- 上司も忙しいから、部下ひとりひとりの成果を把握しきれていないのだからこまめに報告して、成果をアピールすること。
それはまあそうだと思う。
そして、ボクに決定的に足りなかった視点は以下である。
やりたいことがあって、やれるチャンスが来たら、他人にどう思われようが、そんなチャンスをくれる人に徹底的に忠誠を誓って権力を手に入れようとするのは、汚いことでも、ずるいことでもなく、潔いことだと思う。そこまでやるのが「本気」ということなのだ。(本気なら、チャンスくれる人に徹底的に忠誠を誓え - 1分★読書)
これまでは、媚を売ったりすることを潔しとしてこなかった自分がいる。
上司は、自分のやるべきことをちゃんと果たしているのか?という、ずるさを許すまいとする思いもあった。
そんな感じで、しょーもない正義や組織にとってよかれという想いで、言うべきことを言ってきたのだが、こういう「くだらないプライドや見栄」に引き摺られてきた要素は確かに大きく、これが、反逆的な態度を醸し出してきたので、同じことを言っても、受け容れられなかったのかもしれない。
この世は不条理であり、正義や義理は大事だが、それを純真無垢なまま鵜呑みにして行動していては、たった一度の奇跡のような人生を満足する形で使い切ることはできない。
現実は汚く見えるものだが、そんなものに嫌悪を示すより、自分の目的に集中して、そこで結果を出すことに専念したほうがいい。結果を出すために権力に接近することが必要ならば、その力を活かすことも視野に入れて準備しておくことだ。
そしてこの文章に、この世の中を地に足つけて生き抜くために、ものすごく大切なこと、そしてボクに欠けていたものが詰まっている。
他人の目を気にせず、自分に向き合う。
ここでいう他人とは、権力者とは違うのだと思う。
権力者は徹底的に活かすのがよいが、そのなりふり構わない態度に対して他人がどう思っているかとかは気にするなということだ。
人生の意義とは、ざっくり言えば自分が満足するかどうかである。
人生の幸せは、他人の期待に応えることでは決して得られない。
自分が「心からの納得」を得られたか?ということが大切。
だから、自分が納得する基準は何なのかをよーく考えておこう。
幽体離脱をして、自分を客観的に見ながら自分と向き合うことが効果的なようだ。
早く変化の兆候に気づき行動する
今の時代は、いいアイデアはすぐに世界でシェアされるので、スピード勝負になるということだ。どれだけ早く変化の兆候に気づき、行動できるかが勝負の分かれ目らしい。
このためには、アンテナを高くして、現場や世の中をよーく見ておかないといけない。
今日は以上です!
感情的にならないための話は、こちらの記事もぜひご覧ください。
感情的にならずに生きるための12のヒント - Voyage of Life
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