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部活の指導者が守るべき10のこと―これを守らない指導者は殺されても文句が言えない

あるNPO法人と杉並区の中学校が行ったとある試みが記事になっていた。

強くなりたいけれど、理不尽な扱いは嫌-。学校での運動部の指導のあり方が議論される中、子どもたちの声を指導者に届けようと、NPO法人「コヂカラ・ニッポン」は東京都杉並区立和田中学校と協力し、十の提言をまとめた。これを基に全国の学校やスポーツクラブなどで、それぞれの「十カ条」をつくるよう呼びかける。
(東京新聞:子どもの視点で10カ条 理不尽なスポーツ指導なくそう:暮らし(TOKYO Web))

実際の「十カ条」の内容は、次のようなものである。

  1. つらくても頑張るから「何のための練習か」の説明を
  2. 「上達したね!」の一言でつらい練習も乗り越えられる
  3. もっと良い練習にするため、意見や提案を聞いてください
  4. 「なんでできない」と怒鳴る前に具体的なアドバイスを
  5. スポーツは楽しむもの。私たちはあなたの操り人形じゃない
  6. 自分の「お気に入りの子」以外を無視するのはやめて
  7. 何度も同じことを長時間かけて説教しないで
  8. 一つのミスで「なめとんのか」 僕はどうすればいいの?
  9. 練習前に恋人に振られても、私たちには関係ない
  10. 一人一人と向き合ってくれたあなたに私たちはついていく

この試み自体は素晴らしいことだと思う。だが、この程度の提言で部活にまつわる様々な問題が無くなるとは思えない。私だったら「十カ条」を次のように書き換える。

  1. 体罰は憲法や法律で禁止されている違法行為。指導者は、いかなる理由があろうとも部員に暴力を振るってはならない。
  2. たとえ身体的な暴力がなくても、理不尽な罵倒や脅迫行為などによって部員に精神的苦痛を与えることは絶対に許されない。
  3. 部員の退部や休部を妨害することは重大な人権侵害。部活に参加するのは本人による自発的な参加意思がある場合のみ。
  4. 全ての部員は公平にチャンスを与えられ、公平に評価されなければならない。部活ではいかなる差別もあってはならない。
  5. 部活動はあくまでも教育の一環。教育のレベルを逸脱した長時間かつ不健康な活動は認められない。
  6. 部活の運営は民主的でなければならない。指導者だけでなく部員やその保護者も、より良い部活動を行うために意見を言うことができる。
  7. 部活動は安全に行われなければならない。指導者や学校は、部員の安全対策に努めなければならない。
  8. 上記の提言が守られない場合、私たちは提言を正しく理解し遵守するよう指導者に要求する。
  9. それでも上記の提案が守られない場合、私たちは指導者を交代させるためにあらゆる手段を講じる。
  10. 上記の提言が守られず、私たちの生命が脅かされた場合、私たちは正当防衛のために武器を手に取る。

この十カ条を全国の中学校と高校で守らせ、違反した指導者を厳罰に処すようにすべきだ。

これは別に極端な意見でも何でもない。日本国憲法には、公務員による残虐な刑罰は禁ずると書いてあるし、公共の福祉に反しない限り自由に行動したり意見を述べたりできると書いてある。また、全ての人は法の下に平等であり、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利があるとも書かれている。合衆国憲法になると、不当な支配に対しては武器を取って抵抗する権利があるとまで言ってるのだ。国家権力と国民との間にこのような契約があるのだったら、指導者と部員との間に同じような契約を設けて何がいけないのだろう。

ましてや今日の日本は、学校や部活という空間にだけまるで治外法権があるかのように人権侵害が正当化されているのが現状なのだから、この異常な状況を改善するための取り組みが絶対に必要なのだ。