ICHIROYAのブログ

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やっぱり、日本じゃ、「起業」は怖すぎる件(1年半後の追記あり!)

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 日本じゃ起業が少ないという。
 ネットで検索するとそれを裏付ける多くのデーターが出てくる。
 それは日本の社会の活力のなさを示すものだと言う。

 しかし、やっぱり、ここ日本で「起業する」のは怖すぎると思う。
 外国のことを知ってるわけじゃないので、「日本で」と書くのが正しいのかどうかはわからないけど。

 僕が42才で19年勤めた会社を辞めるときの、恐怖感は、それは凄いものだった。
 僕はこんな状態だったので踏ん切りがついたのだけど、会社でもう少しうまくやれていたら、たぶん、辞める決心はつかなかっただろうと思う。

 何が怖いって、やっぱり、失敗したときのことだ。
 頻繁に、失踪することや、ホームレスになることを想像して、身震いしたものだ。

 僕は想像していた。

 事業を始めれば、当然、借金もする。
 起業の本などによれば、だ。
 最初は国の独立支援の制度から借りるだろう。だけど、うまく行かなければ、ほかの金融機関からも借りるだろうし、ギリギリのところまで追い込まれれば、少しだけと思ってヤミ金にも手を出すかもしれない。
 ほんとうにお金がなくて困っていた時、銀行のATMで前のひとが札束をかばんに入れるのを見て、ふと、それを奪って逃げようかとリアルに考えたことがある、と先輩経営者の方から、聞かされたこともあった。
 おそらく、長い間には、資金がショートすることもあり、借金が膨らむこともあるのだろう。
 そのお金がなければ、自分だけでなく、お取引先やお客様、身内や知人にも迷惑がかかると思うと、ついつい、もうちょっと、と思って借金が膨らんでしまうのかもしれない。
 
また、そもそも計画どおり売上があがっていても、長期療養が必要な病気になってしまうかもしれない。

  

 あるいは、その借金をするために、親や知人に連帯保証人になってもらう必要も出てくるかもしれない。
 サラリーマンの身でいると、そのあたりの感覚がわからないが、新聞や本で読む事業の世界は、自営業者同士で連帯保証人になりあったりしているようだ。
 こちらから連帯保証を頼んでおいて、相手からの申し出を断るわけにもいくまい。
 そうなると、自分の事業の状況にかかわらず、相手が沈めば自分も引きずられて沈んでしまうことになる。
 連帯保証に関する悲劇は、たくさん読んだし聞かされた。
 
 最終的に、にっちもさっちもいかなくなった経営者が、妻と離婚して失踪しホームレスになったり、みずからの保険金で借金の精算をするために自殺してしまったり、ということも普通におきている。

 恐怖心が膨らんでくると、悪い想像というのは、そこに行き着いてしまう。
 しかし、世の起業家たちは、そんな恐怖はもろともせずに、突き進んでいるのだろうか。

 万一のときは、居直る。
 居直って、がんばって返せるだけ、生きている間に返す。
 借金取りの圧力を耐え、家族に貧乏を強い、毎日毎日、ただただ贖罪のように、微々たる金額を返すために働く。
 あるいは、自己破産をする。
 だけど、誰かに連帯保証をお願いしていたら、その相手に取り立てが行くから、自己破産もできない。 

 そういったことを乗り越えて、また新しい事業にチャレンジする。
 
 そうすべきであるってことは、理解できる。
 だけど、僕は、そういったことに耐えるほど、太い神経を持っているのだろうか?
 あんたはそんなにタフじゃない、と母は断言し、会社を辞めた僕をめちゃくちゃ心配した。
 たしかに、ないかもしれない。

 起業は多産多死だという。
 多くの起業は失敗に終わる。
 それが起業だから、やむをえない。
 そして、その失敗の結果には、何が待っているのだろう?
 僕の想像は、恐怖心が生み出した幻想に過ぎないのだろうか?

 
 日本で「起業」が少ないのも、当然だ。
 統計的な実態はわからないが、すくなくとも、起業を前にした僕が、そう想像して足をすくませてしまったことはたしかだ。  
 やっぱり、日本じゃ、「起業」は怖すぎる。

PS 僕の場合、失敗が許されないと思ったので、「起業」から「商売」へと考え方をあらためて、12年、なんとかやってこれた。( 絶対に失敗せずに「商売」を始める10のポイント )この記事について、「行商をする人のためのノウハウ」っていうコメントがあったけど、言い得て妙だと思った。絶対に失敗したくないのなら、行商から始める覚悟が必要だと思う。ただし、行商から始めても、実りの多い事業に育てていくことは可能だし、ローリスクで始めても、いつまでもローリターンとは限らないことだけは、つけくわえておきたい(仲間の商売を見るにつけそう思う)。

photo by Nicolo Paternoster

 

( *ごめんなさい。追記します。日本の起業状況を細かく調べて書いた記事じゃありません。実は、昨日のホームレスの方たちの状況を書いた記事の続きで、本当に言いたかったことは、「起業に失敗して、返せないほどの借金を負ってしまったら、ホームレスになっても仕方がない」というように感じるひとが多い社会って、どうなのってことでした。事業の失敗は個人の責任だけど、そのひとを路上生活に追いやってしまうのは、社会の責任ではないかと。そこの考え方とか仕組みを変えていかないと、起業は増えないんじゃないか、と。意図のわかりにくい記事で、申し訳ありません。)

 

 ( *ごめんなさい2。予想以上に拡散してしまい、さらに、追記します。ホリエモンさんにも、「この記事あほ!」ってTwitterで書いていただきましたが、たしかに、「僕はあほ!」と思います。世の中には素晴らしい起業プランと実行力があり、出資を得て、借金もほどほどに、見事な起業をされるかたも多くおられます。その方々の素晴らしさを否定する意図は毛頭ありません。ここに書いたようなことは、しっかりした考えのもとに起業された方には無縁のことかと思います。ただし、僕のような「零細商売人」のレベルにとどまるかたも多く、その場合、売掛金の未回収なども含めて、教科書どおりにいかない場合もあるかもってことです。そして、不幸にも、家族は離散、家も失い・・・となってしまった多くの経営者に、僕は大きな同情を感じます。あしからず。)


*1年半後の追記 ずっと考えていて、1年半後にはこんなエントリーを書くに至りました。この記事を書いたころまで、「僕の記事を読んで無謀な起業に踏み切る人が出たら困る」という意識が強すぎたのかもしれません。実際にそれに近いような体験がありトラウマのようになっていました。・・・1年半後、下記のようなまったく異なるエントリーを書くほど心境の変化がありました。この記事を消すべきかどうか迷ったのですが、あえて残しておこうと思います。もしかして、上の記事を読んで「やっぱり怖いな」と思われたのであれば、ぜひ、こちらのエントリーを読んでください。(自分の過去記事が一番の悪い誤解の見本とは・・とほほ)

kyouki.hatenablog.com

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