ICHIROYAのブログ

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「着物鑑定君」と「完璧翻訳君」が世界を変えるか?

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by dbostrom

将棋ソフトが、ついに現役プロを打ち負かした。
どうやら、もう、人間が、コンピューターに、将棋で勝てる見込はなさそうだ。
いよいよ、ここまで来たか、という感じである。

Snowy Moonさんの記事「英語は学ぶ必要が無い仮説 」を読んでいて、そういえば、最近、翻訳ソフトは、どこまで進歩したのかのだろうか、と気になった。
コンピューターは、そろそろ、人間の翻訳者を打ち負かしそうか?

この見込は、僕の商売にも大きな影響がある。
多少とも英語ができる人間と、着物の知識のある人間と、ネットの知識のある人間が集まって、いまの仕事が成り立っているのだけど、「英語は翻訳ソフトでOK」となってしまったら、うちの商売の仕組みがひっくりかえってしまう。
もちろん、翻訳ソフトの精度が飛躍的に改善されれば、個人的には、楽になって、めちゃくちゃうれしいことには違いないのだけど。

で、ちょっと、調べてみた結果、やっぱり、「完全な翻訳ソフト」への道は、依然、遠いようなのだ。
言語学者のような正確な説明はできないけど、言葉とはとりもなおさず、世界観であり、短い一文の裏にも、膨大な文化的は背景、その言葉が発せられた状況などが付随している。
それを現在の翻訳ソフトのコンセプトで、「完全に翻訳」することは、何十年経っても不可能なことのようだ。
おそらく、「将棋ソフト」のようなレベルのものを、この世界のあらゆる事象についてつくる、というほどの難しさがあるのだろう。

もちろん、ひょっとして、いまの技術では想像できないような技術革新があって、たとえば、脳の言語活動を正確にシュミレートできるような技術ができて、そいつ、「完璧翻訳君」が現実のものとなる可能性は、ゼロではない。
なんだか、ありそうな、なさそうな、である。

ところで、翻訳ソフトともうひとつ、欲しいような、欲しくないような機械がある。
「着物鑑定君」だ。
その機械にかざすと、一瞬で、「素材は何か、何年ごろにつくられたのか、糸は手紡ぎ・手織りか、染料は合成染料か、自然染料か、どこの産地でつくられたものか、作家は誰か」がすぐに出てくるのだ。
僕のブログの記事のなかで、アクセスが多く、一番お役に立っていそうな記事は、
着物の生地の見分け方(ICHIROYA流:決定版) だ。
検索ワードは、「着物の見分け方」「生地の見分け」などで、いかに、多くのひとが、着物の生地や価値について、調べたいと思っているのか、よくわかる。
しかし、この記事は、いわば、初歩の初歩であって、そこから先の道が、とてつもなく長いのである。

しかし、この「着物鑑定君」があれば、なんでもすぐにわかってしまうのだ。
しかも、最近のヤフオクの相場もひっぱてくるので、いくらで買ったらよいかも、即座にわかるのである!
「着物鑑定君」があれば、どんな分野の先輩にも、千円だけ上とか、ぎりぎりの値段で競り勝つことができるのである!

まあ、しかし、「着物鑑定君」の開発も、「完璧翻訳君」と同じような壁に阻まれて、一番肝心なところで、ちゃんと機能してくれるものを作るのは難しかろう。
「完璧翻訳君」と同じような問題が残るのだ。
織物、染め物も、「言葉」と比肩しうる広がりと多様性、深さをもっている。
また、騙しの技術の歴史、というような面もあり、一筋縄ではいかない。


まあ、ともかく、「着物鑑定君」も「完璧翻訳君」も、いましばらくは、実現すまい。
残念だけど、でも、ほっと、一安心である。


コンピューターよ、将棋で勝ったからといって、大きな顔をするんじゃない!
人間様の世界は、将棋みたいに、わりきれない、素晴らしいものなんじゃよ!
参ったか!