2025/01/08
続々・【古本】の本あれこれ ― 『古書の森 逍遙 — 明治・大正・昭和の愛しき雑書たち』
うーん、やはり面白い。
私は全然読書家ではないけれど、「寝る前の御供」的にリピートする本が何冊かはある。
谷沢永一『自作自注最終版 紙つぶて』(文藝春秋/2005)しかり、伊東美和『ゾンビ映画大事典』(洋泉社/2003)しかり、そして『古書の森 逍遥』しかり。
お勉強というほど固くはなく、適度に脳ミソが刺激されつつそれぞれに新たな発見がある。
というか今『紙つぶて』も『ゾンビ映画大事典』も品切れ・絶版なんか……世知辛ぇなおい……。
話が逸れた。
本記事は『古書の森 逍遙』の紹介をつらつらとしてみたい。
本ブログをご覧いただいているくらいの古書古本好きな方であれば、既に『古書の森 逍遙』をお読みの方も多いかと思うけども、だがしかし、本記事で手に取ってくださる方が一人でも出て下さればこんなに嬉しいことはない! ということで。
本書の元になっているのは黒岩先生のブログ、『古書の森日記/古本中毒症患者の身辺雑記』である。
そちらに書かれた記事の中から選定された古書220冊を〈本の発行年順〉に並べ直し、筆者が加筆修正を施した形で掲載している。「本の入手順の掲載がよかった!」という方もいらっしゃるかもしれないが、こればかりは好みの問題であろうし、また入手順であればブログの方で気軽に読めるからこの形が正解と個人的には思う。初出記事年月日や索引がきっちり付けられているのがありがたい限り。
分量割合はざっくり【明治:大正:昭和(以降)=2:1:1】くらいで、当然と言えば当然ながら、黒岩先生が書かれた『伝書鳩 もうひとつのIT』(文春新書/2000)や『『食道楽』の人 村井弦斎』(岩波書店/2004)、『編集者国木田独歩の時代』(角川選書/2007)等に絡んだ本の紹介が多め。
「これは面白そうだ!」という純な気持ちで買い物をされているのが文章から伝わってくるのが、私のように汚れ淀んだ心で古書市に赴く人間にとっては染み入るものがある。これが……光…………。
合間の箸休め的に挿入された「古書展めぐり①~⑨」も、古書市ユーザーは「わかる!」「それな!」と楽しめるだろう。
カラサキ・アユミ先生の『古本乙女の日々是口実』(皓星社/2018)を読んでもそうだが、女性が古書市でオッサン達の間に割って入るというのは相当な覚悟が必要なのだと思う。そんな覚悟をお持ちの方(々)だからこそ、そこに素晴らしい古書が集まってくる/集まってきたという側面があるのかもしれない。
実は私は『古書の森 逍遙』を2冊所持している。
うち1冊は数年前の古書市でふと手に取って見たら、
一応古本屋なんだから本来は売りに出すべきなんだろうけども、こればっかりはいまだに手放せずにいる。
最後に本文から引用をさせていただこう。
古書展へ行くのは宝探しのようなもので、思いがけないもの、珍しいものを一冊でも買えれば、それだけで足を運んだかいがあったと満足できる。何十冊買ったとしても、ある一冊と出会えた喜びのほうが大きい場合もある。幸運にも、昨日はそういう”一冊”を手にすることができた。(中略)これを買えただけでも古書展に行ってよかった。(※p294-295)
古本好きならば全員が首肯するであろう、「ある一冊との出会い」の喜び。
そして黒岩先生がこの時に入手した「”一冊”」とはなんだったか。
この先は君自身の目で確かめてみてくれ!
版元である工作舎様のページはこちら。
直接注文が可能な他、各書店さんへのリンクも貼ってあるぞ。
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上のブログ記事をカタカタ打っていたら通販で購った『出版人物落ち穂ひろい 趣味の近代日本出版史』(2024)が届いた。
同人誌故の〈売切終了⇒入手超絶困難〉というルートが十分あり得るので、興味のある方は今のうちに。
【※なお宣伝感満載の本記事ですが、もちろん私が好き勝手に書いているだけで案件でも依頼でも何でもありません。念のため】