今夜はいやほい

きゃりーぱみゅぱみゅの「原宿いやほい」のいやほいとは何か考察するブログ

千葉内房に根付く九州スタイルとんこつラーメン。製鉄業と共に、数万の九州人が移住した街、君津へ。

 

三連休暇だったので、とりあえず、千葉に行ってみるかと思って、家を出た。埼玉から外房の方に行くと果てしなく遠いので、とりあえず内房を目指すことにした。内房のどこに行くのかは定かではなかったのだが、あるツイートをを思い出し、君津に行ってみることにした。

 

 

千葉と縁遠い生活をしていたので、聞いたことのない地名だ。しかし、恒星間飛行さんによると、なにか、君津には、千葉の深淵があるようだ。

 

在来線を乗り継ぎ、木更津までやってきた。ここまで、すでに2時間以上かかっていた。電車の中で暇だったので、君津について調べていたら、1960年代に、九州から八幡製鉄がやってきて、数万人の労働者とともに、様々な九州文化が流入してきたという、少し珍しい地域であるらしい。(この記事に詳しい 50年前に2万人の移住で九州文化が大流入! 千葉県君津市はまだ少し九州だった :: デイリーポータルZ)

 

ツイッター(現X)でフォロワーの方から、当時の小学校では、九州弁が使われていただとか、いまでも沿岸部では一部九州弁が使われているというような情報が寄せられてきた。わかりやすく九州が残っているのは、とんこつラーメンであるらしい。

 

木更津にて作戦会議、コーヒーハウスラビン

 

とりあえず木更津で、喫茶店に入って作戦を立てることにした。

 

コーヒーハウス ラビン。店の中央に電話ボックスがあるのが昭和を感じさせる。

 

どうも、とんこつラーメン屋はぱっと調べると四店舗ほどあるようだ。君津と木更津の間に九州ラーメン友理という店があり、一番近そうだったので、まずそこに行ってみることにした。そして、夕飯に、君津駅近くの日吉という店に行くことに決めた。喫茶店から出てバス停に向かった。

 

 

九州ラーメン友理にて、とんこつラーメンを食べる

 

バスは、巨大イオンで一時停止し、ソニーの事業所を通り過ぎて行った。木更津、君津のあたりは、なかなか大きな工業地帯であるようだ。埼玉は、物量の倉庫などはたくさんあるけれど、こう言った巨大工業地帯はあまり見かけないので、また全然違う印象だ。地元に働き先がたくさんあるのは良いことだ。

 

それにしても、バスのクーラーは強烈である。ごーごーと落ちてくる冷気は、甚だしい強さで、ほとんど冷蔵庫にでもいるような涼しさであった。

 

 

20分ほどバスに揺られて、九州ラーメン友理に到着した。埼玉から、千葉に行くのはあまりにも遠い。埼玉と千葉を行き来する需要がないから仕方ないのだろう。到着したときには、2時を過ぎていた。

 

 

時間的に、流石に混んでいないだろうと、呑気に店の前まで行くと、驚くべきことに、6〜7人ほどが列をなしていた。連休だもんな、しかたないか...と最後尾に並ぶ。千葉でこっそりと引き継がれたとんこつの味は、多くの人に愛されるものとなっているらしい。看板にはラーメンに加え、長崎チャンポンの字があった。

 

 

ラーメンの回転は早く、10分も待つと席につくことができた。あきらめないでよかった。朝から何も食べておらず、大変腹が減っていたので、普通のとんこつラーメンではなく、チャーシューメンに小葱と卵をつけて注文をした。自分以外ほぼ全員家族連れで、子供たちの賑やかな声が響いていた。友理は1970年創業とのことなのだが、50年を越えて、これだけ活気があるのはとても凄い事だなあと思った。

 

メニューを見ていると、チャンポンに加え、ホルモン焼きや皿うどんなどもあるようだ。食べてみたい。

 

とんこつラーメンが来た。こういう、いわゆる九州のとんこつラーメンを食べるのは数年ぶりだ。朝から何も食べていなかったので、大変にお腹がへっていた。

 

最初の一口には、麺派とスープ派の派閥がいると思われるが、暑くて体が塩気を欲しているのか、口の中を塩気で満たしたいという思いがあって、まず、スープを飲んだ。限りなき空腹の中の、とんこつの塩気!こってりはしていないけれど、薄いわけではない感じの口当たりで、旨味がよく出ていて美味しかった。豚骨の独特の香りもするけれど、これくらいあるといいよねという適度なレベルで、とてもバランスが良い感じがした。

 

麺は、いわゆる豚骨ラーメンの白く細い麺ではなく、細めの中華麺っぽい感じだった。こういったちゃんとした豚骨ラーメンを本当に久しぶりに食べたので、素朴にうまかった。小葱を追加で頼んでおいたので、さっぱりとした感じが後から追ってくる。チャーシューメンなので、びっくりする量のチャーシューが入っていた。これもけっこう美味しかった。

 

とんこつラーメンは、時々、すっごい臭かったり、しょっぱかったり、いろいろあって、意外と美味しくないこともあるので大丈夫かなと思っていたのだけど、普通にとても美味しかった。博多で一度しかとんこつラーメンを食べたことがないので、詳細な比較はできないのだけど、本家に負けず劣らずの本格的とんこつラーメンに違いないと思った。

 

途中で紅生姜を入れると、また印象が変わってよい。友理では高菜が名物らしく、壁におすすめ!と書いた紙が貼り付けてあった。高菜もいいなと思ったけれど、これ以上ごちゃごちゃしてもアレなので、またの機会にしようと思い、店を出た。

 

 

君津駅の方へ向かうことにした。近くのバス停まで歩く。道端に、日本製鉄の専用のバス停があった。製鉄の街に突入だ。

 

 

あっつ、あっつ、あっつと20回ほどこころの中で叫んでいたらバスがやってきた。最近、ラーメンよりは、蕎麦なのではないかという自らの変化によって、どちらかというと何かちょっと食べたい時は蕎麦ばかり選択していたので、あまりラーメンを食べなくなってきていたのだが、ラーメンには場を乗っ取るようなスター的な力強さがあるなあ、それはやはりすごいことだ、などと考えなから、バスに揺られた。

 

 

君津の町を徘徊する。

 

君津駅についた。駅前には謎のオブジェが鎮座していた。

 

 

恒星間飛行さんによると、川沿いを歩いて行くとよいとの事だったのだが、この暑さの中、歩行を続けると、熱中症で倒れること必達なので、駅前で自転車を借りることにした。やや心許なさを感じる車輪の大きさだ。

 

 

またがって川まで自転車を漕いでいく。当初の懸念、車輪の小ささについては思ったほどの問題はなく、むしろ快適な調子で、ちょっと漕ぐと自転車はそれなりの動力で前に進んだ。どちらかというと問題は、サドルであった。サドルがとても小さいため、ずっと漕いでいると尻が痛くなってくるのだ。

 

小糸川の側道をとろとろと走る。ああ、なんか博多でとんこつラーメン食べたくなっちゃったな。ああ、行きたいな、博多、などと思いながら、ペダルをふむ。

 

 

もう本当に暑い。これはもう本当に暑いのだ。日焼け止めも塗っていないので、肌がじりじりと焼ける感覚がある。川かつ海に近いので、湿度も増しましになっているような気がした。

 

時折、分厚い雲が流れてくるので、心で雨乞いをする。実際には、雨が降ったら傘もないし、雨をしのぐ場所もないので、大変困ったことになるのだが、整合性の取れたことを考える力もないので、とにかく雨でも降って、この大変な暑さをどこかに流して欲しいと祈った。

 

そして、尻が痛い。硬くて小さいサドルというのは大変よろしくないものだと思った。しかし、ここで引き返すのも残念なことなので、行くしかない。

 

野生の花がちらほら咲いていた。

 

 

川は表情を変えながら、ゆらりと海まで続いていく。

 

 

熱中症の危機

 

途中、何を思ったのか、小高い山の上にある、人見神社に登った。

 

 

入り口が最初、左右に分かれていて、右を選んだら大変なことになった。

 

急勾配の道無き道を行くと、神社があった。暑さと突然の過酷な運動で、心臓がここ一年で最大と思われる鼓動を記録し、ばくばくばくばくと胸を打った。シャワーでも浴びたのかというような量の汗が出て、これは大変なことになった...と思いながらとりあえず参拝をした。

 

 

なぜ気まぐれに、こんなところに登ってしまったのだと後悔したが、景色はよかった。工場地帯が遠くに見えた。

 

 

再び川沿いを行く。

 

 

製鉄関連の会社が多くある地帯にたどり着いた。時間が止まったかのような静けさがあった。休日であることに加え、お盆でもあったので人気が全くなかった。そういえば、来る途中ロックインジャパンフェスへ向かい人たちがたくさんいたな、みんな遊びに行っているんだなと思った。酷暑中の酷暑といって差し支えない熱射の中、ひとり工場地帯をうろついていると、もしかして、夢遊病の中にでもいるのではないかという気持ちになってきた。

 

日本の近代化を支えた製鉄の街。

 

限界が近づいているのか、謎に、ユニオンをぼーっと眺めた。これはかなり限界のなかの限界であるようだ。

 

この店もかつてはとんこつラーメンを出していたのだろうか。

 

吐気なども軽く出てきて、本当に熱中症になりそうだったので、工場地帯を後にすることにした。哀れ、逃げるようにして、ショッピングモールのカフェに入る。1時間ほど虚脱モードで、体を冷やした。体は落ち着きを取り戻していった。

 

九州ラーメン日吉で、古典的とんこつラーメンを食べる

 

というような感じで6時近くになった。埼玉まで帰るのに、3時間弱かかるので、夕飯を食べて撤退することにした。調べておいた日吉というラーメン屋に向かう。君津駅から自転車で数分のところだ。

 

渋い店構えだ。

 

 

なんと、驚くべきことに、ラーメンは320円だった。今時、こんなに安くて大丈夫なのだろうか少し心配になる。

 

ラーメンと、おでんの牛すじと餃子巻きを頼んだ。

 

 

餃子巻きは、九州でよく食べられているおでんの具らしく練り物の中に、餃子がはいっているというものである。

 

 

なんというか、むかしのままの形がそのまま残っている感じのおでんだった。

 

 

数分で豚骨ラーメンが来た。なんと澄んだスープ!友理とは全然違う感じだ。同じ千葉-九州とんこつでも全く違う形をつくったのだなあ。

 

とりあえずスープを飲む。いわゆるとんこつラーメンとは少し違う味で、さっぱりとした塩ラーメンがとんこつ風味になった感じで、しかし、これはこれで、少しあり方が異なるものの、美味しいものであるように思った。ラーメンをたべたのに、全然くどい感じがなかった。何だったら朝でも食べられそうな感じだ。

 

 

文化は周辺に残ると言ったりするけれど、九州の古い形のとんこつラーメンがそのままの形で保存されているかのような、そんなことを想起させるラーメンだ。

 

製鉄所で働いたあと、自分の地元、九州のことを思いながらこれを食べた人がたくさんいたんだろうなと思うと、背筋を正し食べなくてはいけないような気がした。店を出ると徐々に陽が傾いてきていた。千葉の深淵に触れた一日になった。

 

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