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2013年ライトノベル個人的ベスト5

今年も読んだ数が少なかったからベスト5で。

1. 俺の教室にハルヒはいない / 新井輝

祝・新井輝復活。

平凡な高校生が主人公で、幼馴染みは声優の卵で、ひょんなことから主人公がアニメ業界の人と仲良くなって、どんどん人脈を広げていって、売れっ子人気声優と友達になって、でも主人公自身は変わらずアニメには興味がないし、特に「学園物」は観るだけで落ち込むというんだけど、そこにキーアイテムとして「学園物」の金字塔である『涼宮ハルヒ』が登場するという話。

タイトルの「ハルヒ」のインパクトが強すぎて、予断を持って読まれがち(あるいは避けられがち)だと思うんですけど、中身のほうは完全に新井輝作品ですよね。青春恋愛+業界モノ。わりに生々しい話が、主人公の一人称視点を通すと、何故かぼんやりというかふんわりというか、な印象になってしまうのは、まさに新井輝ならではの空気感で、もう文章を目で追うだけで楽しい状態。

あ、今作を気に入った人は、是非とも『ROOM NO.1301』を読んでみてください。


2. 俺の妹がこんなに可愛いわけがない / 伏見つかさ

賛否両論というか、何かと激論を巻き起こす作品でしたし、決して完成度の高い作品ではなかったと思います。自分の中でも不満は大いにありました。しかし最終巻を読んでいて、「いろいろあったけど、過去のことは水に流して、今はただこの二人を祝福しよう」という気持ちになってしまったので、これはもう素直に賞賛するしかありません。今後も別の作品で妹キャラが出てくるたびに『俺妹』のことを思い出すんだろうなと思うと、最終巻のあとがきが胸に迫ってきます。本当にありがとうございました。

唯一、残念だったのは、読むまえから終わり方を知っていたことで、11巻12巻を発売直後に読めていたらなあと思います。

3. ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン / 宇野朴人

人と精霊が共存して暮らすファンタジー世界。主人公が属するのは強大だが衰退期を迎えつつある帝国。対するは今まさに発展の途上である共和国。そうした舞台の上で、帝国の皇女とそれに従う主人公たち五人の「騎士団」の活躍が、また古くからの「精霊信仰」と芽吹き始めた「科学」の対立、その科学がもたらす新兵器の登場、それによる戦場、ひいては世界の変化が描かれていきます。

宇野朴人のデビュー作である『神と奴隷の誕生構文』も、遠未来の超科学の世界と、戦記ファンタジーの世界がクロスする作品なんですよね。

神と奴隷の誕生構文(シンタックス) (電撃文庫)

神と奴隷の誕生構文(シンタックス) (電撃文庫)

強大な力を持つ主人公がお姫様に協力して全土統一を目指すという、そこの構図は変えずに、SF設定を省略してファンタジーに徹し、群像劇にして読みやすくしたのが『アルデラミン』だという印象があります。

最近になっていくつも出ている戦記ファンタジーの中で、頭ひとつぬけて評判の良い作品ですが、それに違わず非常に面白かったです。

4. きんいろカルテット! / 遊歩新夢

きんいろカルテット! 1 (オーバーラップ文庫)

きんいろカルテット! 1 (オーバーラップ文庫)

全国大会に固執する顧問に嫌われて部活動から弾き出された女子中学生カルテットと、彼女たちへの指導を頼まれた天才的なユーフォニアム奏者の話。プロのユーフォニアム奏者が執筆しているということで、リアリティは抜群ですし、もちろん小説としても文句なしの出来になっています。作者自身が演奏する作中曲の動画もあったり。

設定を一見すると『ロウきゅーぶ!』の音楽版/中学生版という感じですけど、趣きはかなり異なるように感じました。部活モノと非部活モノの差と言うんでしょうか。スポーツ物の漫画でも、部活に入る作品だと良くも悪くも学生レベルの内側で物語が収まるのに対し、部活に入らない作品は当初からプロの世界を垣間見たり世界で戦うような話になる。ような気がします。で、本作は後者なんじゃないかと。

ともあれ、作者の高いプロ意識とロリコン意識が感じられる良作だと思います。

5. ファイティング☆ウィッチ / 逢巳花堂

というわけで、こちらは部活モノの、スポーツモノで、格闘モノだ!

幼い頃から中国拳法を習っていた主人公が、転校した先の拳法部に入部すると、そこは美少女ばかりだった、という話。

かなり本格的な格闘描写も素晴らしいんだけど、何よりもヒロインたちが強気系や年上ばかりというのが素敵すぎる。中でもいちばん魅力的なのが、主人公の父親を崇拝するライバル校の女性コーチで、もう完全にこの人がメインヒロインだよね状態。クールで無口で思い込みが激しくていきなり結婚を申し込んでくる年上美女。最高ですよね。


以上です。
それでは良いお年を。