
約200年にわたる歴史の謎が、現代の法医学的技術によってついに解明された。
19世紀、ドイツ、ニュルンベルクに忽然と現れた16歳ほどの少年、カスパー・ハウザーは、「消えたヨーロッパの王子」であるという噂が、長い間まことしやかにささやかれていた。
だが彼は、王家とは無関係であることが、最新のDNA分析によって明らかになったのだ。
忽然と現れた謎の少年に様々な噂が飛び交う
1828年5月26日、バイエルン王国(現ドイツ)ニュルンベルクのウンシュリット広場にどこからともなく現れた16歳の少年がヨーロッパ中に衝撃を与えた。
身なりは汚く、ろくに言葉も話せず、人間らしい生活はほとんどできない半野生児状態だった。少年は謎の男に囚われて、暗く寒い地下牢で育ったということが記された謎めいた2通の手紙を所持していた。
少年は満足に話すこともできなかったが、自分の名前だけは「カスパー・ハウザー」と書くことができた。
その後、彼はいったい何者なのか、その出自についてたちまちさまざまな噂が渦巻き始めた。
一番もてはやされた噂のひとつは、実はハウザーの正体は南ドイツ、バーデンの故カール大公の嫡子、つまり高貴な血筋の生まれだというものだ。
カール大公の息子は1812年に幼くして亡くなっている。
ところが16年後にハウザーが突然現れたため、1812年に死んだとされているバーデン家の跡取り息子は、実はそのときに誘拐され、「傍系の血統を王位に就かせるための陰謀」によって瀕死の子どもとすり替えられたとまことしやかにささやかれたのだ。

何者かによって5年後に刺殺され、さらに謎が深まる
この謎をよけいに混沌とさせたのは、当のハウザー本人が不可解な出現から5年後に何者かによって刺殺されてしまったことだ。
彼は保護されてから教育を受け、読み書きなどがある程度できるようになっていた。
どのような過去だったのか、その謎が本人の口から語られようかという矢先の口封じを思わせるような死に、彼をとりまく奇怪な謎はますます憶測が憶測を呼び、多くの記事、書籍、映画、演劇の題材になった。

最新技術を使ったDNA分析が行われる
「これは19世紀最大の歴史的謎のひとつと言われています」2014年にリチャード3世の遺骨特定に貢献したひとり、遺伝学者のトゥリ・キング氏は語った。
キング氏は数年前に、カスパー・ハウザーの毛髪と血液から採取したDNAが、バーデン家の血筋と一致するかどうかを調べる国際研究チームに参加した。
これまでも同様の試みを行っているが、一貫して一致しないという結果が出ていた。そのため、ハウザーが刺殺された日に下着から採取されたという血痕が、本当に本人のものであったのかどうか、疑問を唱える研究者も出てきた。
「死後、私たちのDNAはどんどん短い断片に分解されて、しまいにはシーケンス(塩基配列)を決定するものがなくなってしまいます」キング氏は言う。
1990年代から2000年代始めに利用できたDNA分析法は長いDNAの断片には有効でしたが、ハウザーの所持品から採取したDNAの分析では一貫した結果は得られませんでした(キング氏)
そこで、キング氏らは最新のシーケンス解析技術を使って、ハウザーの毛髪と血液サンプルの分析を再度やり直し、母方から受け継がれるミトコンドリアDNAを調べてみた。
ハウザーのDNAは毛髪サンプル全体のものと同じで、1990年代の血液サンプル分析結果とも一致した。これでサンプルの信憑性が初めて確認された。

ハウザーはバーデン家の王子ではなかった
しかし、このミトコンドリアDNAをバーデン家の存命の子孫のそれと比較したところ、一致しなかった。
ハウザーの遺伝子はバーデン家の系統とは明らかに異なるという結論になり、つまり、母方の関係もなく、ハウザーがバーデン家の嫡子だという広く信じられていた説は否定されたことになる。
残念ながら、私たちが導き出したデータではハウザーが何者なのかまではわかりません
彼のミトコンドリアDNAは西ユーラシア人のものであることは確かですが、どこの地域の出なのかという地理的なことまでは特定できません(キング氏)
ハウザーが王家の血筋を引く者ではないことはわかったが、この謎めいた少年が本当はどこからやって来たのか、私たちが知ることはもうないかもしれない。
この研究は『iScience』誌に掲載された。
References: New DNA analysis helps bust 200-year-old royal conspiracy theory / DNA From 'Lost European Prince' Solves a 200-Year-Old Conspiracy : ScienceAlert / DNA From 'Lost European Prince' Solves a 200-Year-Old Conspiracy : ScienceAlert
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに重要なポイントを抽出し、独自の視点で編集したものです。
このコッチェビ(ストリートチルドレン)が何故ここまで話題になるのか??
銅像にまでなっちゃって、そっちの方が不思議でならないんだけど
>>1
当時のストリートチルドレンの水準すら余裕でぶっちぎるほどの非人間的な行動をしてたのと、あまりにも謎に過ぎる死を遂げたことで、歴史の闇に隠された重要人物ではないかという疑義が呈された結果
そもそも、ただのストリートチルドレンなら社会の耳目を引いて現代に至るまでその名が残されたりはしない
>>1 きっと他にもいたよね。この子顔がバーデン家の人達に似てたのかなあ。
>>16
バーデン大公の肖像画に似ていたらしいよ
これ幼い頃にムーで読んだな
そうか決着がついたかスッキリした
結局、「何者なのか」の候補が減っただけで、謎は謎のままか……。
科学によってどんどん霧が晴らされていくな
それ自体は良い事なんだけど、ロマンが減っていくのは少しだけ寂しい気がする
>>4
デマに支配されているよりマシ。世の中に尾ひれの付いたウソが多すぎる
幽閉されて生活してたけど、爪切る時や体の清拭とかわざわざ薬で眠らせてからされてたそうなので どこぞの貴族の要らない子なんじゃないかってその土地の人は思った訳よ。しかもタヒ因:刺 殺だし
むしろ高貴な血だと結論出ないとなおさら謎が深まる
最初にこの人の話を読んだときから疑問があるんだよな。
あれだけの「人間として運動を全くしていない状態で成長させられた」ものが、
人前に現れた当初から「立って歩いてる」んだよ。
だから過去とされている話もそう言われるように誰かに吹き込まれた可能性が高い。
何の計画でこんなことをやったんだろうね・・・。
>>8
こういう事例は他にもあるけど大抵の子は(多少のぎこちなさはあっても)立って歩くぐらいはできることが多いよ
監禁されてたと言っても全く身動きできない状態のまま育てられたわけではなく、
たぶん部屋の中を歩き回る程度のことはできた可能性が高いから、
立って歩けるのは不思議でもなんでもない
詳しいとこだと、本人曰く知らない男から事前に歩く練習をさせられてたそう
自分の名前も書けるようにされてて、それもその人から教わったそう
高貴な血と間違われたストリートの子じゃないの?
肖像画が若干しゃくれてるしハプスブルグ家の系列かもしれない(適当)
バーデン大公家か。ドイツは小国が乱立してた時代が長かったしなあ。それはそうと、リチャード3世もDNA検査の結果現王家と血の繋がりはないと判明したんじゃ?まあ途中でいろいろあるだろうし。むしろ血縁関係が証明される方がびっくりよ
>>13 >>14
DNA鑑定は、現王家ではなく、
その親戚のサマセット家とじゃなかった?
しかも、むしろ
リチャード三世のほうが
各分家前のエドワード三世からの代数が短く、歴史資料が豊富で
変な養子や庶子が混じってない確実性が高い。
(托卵に関しては何とも言えんが。)
庶子から始まり代数を経た現サマセット家のほうが、
とこかの段階で別の男の血筋に入れ替わった疑いが強い。
その「どこかの段階」がもし現王家との分岐前だった場合は
現王家のほうが血筋の正統性を失う可能性もあり得る、
ということで物議を醸した。
リチャード三世の遺体が見つかって子孫とDNA鑑定した時も
家系図に乗っていない父親がどこかで混ざっているって結果だったから
可能性が無くもない?
氏より本人だと言いたいけどね。
スケキヨさん
メイドとか関係者が妊娠して、もしかしたら高貴な血が入ってるかもしれないけどそうじゃないかもしれない状態だったのを放逐したのかな
他の王家の子である可能性は排除されてないじゃないか。
この少年の事件、コリン・ウィルソンの『世界不思議百科』(1987)でも取り上げられているが、
その時点でウィルソンは、「乳児のカスバールに与えられた虐待は貴族によるものだとは思いがたい。貧しき者たちによる素朴で粗暴な振る舞いがにじみ出ている」みたいなことを書いている。
少なくともウィルソンは「監禁していた王子を街中に放り出すような、後先を全く考えてないことを王族やお付きの人々がやるわけない」と感じていたようだ。
>>23
家柄は分からないけど妾やメイドあたりが産んだ子供を本妻が母親から取り上げて虐待していたんじゃないかと思う
長期に渡る幽閉と口止めが可能なことからそれなりの財力と権力を、安易に命を奪ったり売り飛ばさずにいた所に怨念を感じるし
本妻に何かあったどさくさに彼に同情していた使用人など教養に乏しい者が解放したので方法が拙いのかなあと
自殺説もあるし、何もかも本人の自作自演の狂言だったという説もあるんだよね
そもそもだけど
何でそこまで深読みして貴族だ王族だって思考に陥るかよく分からん
自称ルイ17世や自称アナスタシアが衆目を集めたように
あの人は事情があって公に出来ないが高貴な人であるってのは陰謀論と一緒でデマがデマを呼び話が大きくなりやすい。
自分もコリンウィルソンと同意見で王公貴族ではなく富農レベルの出自だと思うわ
もうどこまで本当の話か分からんけど
そりゃ大衆はいつの時代も下世話な話が好きだからだよ