メインコンテンツにスキップ

毎日のワクワクが手元に届く!無料メルマガはこちら

自分中心の人は、まわりから取り残される不安からSNSを利用しているとする研究結果

記事の本文にスキップ

15件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:更新:

自撮りをする女性の画像この画像を大きなサイズで見る

 新たな研究によって、自己中心的な人がSNSを使う隠れた動機が明らかになった。

 これまで長いこと、自分中心に考えている人々は、自尊心を満足させるため、あるいは自己顕示欲のために、instagramやTikTok、XやFacebookなどのSNSプラットフォームを使っていると考えられてきた。

広告の下に記事が続いています

 ところが、米ベイラー大学の研究によると、彼らが自己顕示欲というより、周囲から取り残される恐怖(FOMO=a fear of missing out)を怖れてSNS(ソーシャルメディア)を利用しているらしいということがわかってきた。

 ここから、自己中心的な人は実は絶えず不安にかられている人が多く、自分をアピールするというより、取り残されているという疎外感を感じないようにするためにSNSを使っているという結論が導き出されたという。

SNSは自分をアピールするために利用されているのか?

 自己顕示欲が強い人が自分をアピールするためにSNS(ソーシャルメディア)を利用しているという従来の考え方に疑問をもったテキサス州ベイラー大学の研究者たちが、新たな研究を行った。

 自己解釈理論など、これまでの理論では、自己中心的な人はたいてい独立心が強く、周囲とのつながりに依存している人よりも、周囲から取り残される恐怖(FOMO=a fear of missing out)を感じにくいとされていた。

 しかし、今回の研究ではFOMOに焦点を当て、自己中心的な人がSNSを利用する動機としてFOMOがどれくらい影響力があるかを調べた。

 SNSの過剰利用は、純粋にナルシシズムの傾向が強いだけではなく、恐怖や不安といったより深い心理的要因に根ざしている可能性があることを示す証拠が増えていることも、本研究を行う動機となった。

 この研究の筆頭著者、ベイラー大学のマーケティング学教授ジェームズ・A・ロバーツ氏は語る。

これだけ多くの人々がSNSを利用する動機はなんなのでしょうか? 必ずしも自尊心を満足させるためだけではないのかもしれません(ジェームズ・A・ロバーツ氏)

この画像を大きなサイズで見る

自己中心的な人がSNSを利用する動機を探る3種の質問

 これを探るため、3つの独立した研究を行った。

 まずは、199人の米国の成人を対象に、自身の自己中心性レベル、FOMO、SNSの利用状況について質問した。

自己中心性:人と会話をしているときに自分が中心になろうとする頻度を評価する3つの質問に答えてもらう。

FOMO:「友だちのほうが自分よりもめぐまれた経験をしているのではないかと不安になる」といった質問10項目について、そう思う、あるいは思わないかを回答してもらう

ソーシャルメディアの利用:1日にどれくらいの時間をSNSにアクセスして過ごすかを見ることで、関与の強さを測る

自己中な人が頻繁にSNSを利用をするのは取り残される恐怖

 これらの結果をまとめると、確かに自己中心的な人はSNSを頻繁に使用していたが、この関連性は完全にFOMOによって媒介されていたことがわかった。

 つまり、自分が注目されたいためにSNSを頻繁に使っているのではなく、まわりから取り残されることを怖れてしょっちゅうSNSにアクセスしていたということだ。

 これを裏づけるために統計モデルを使用し、FOMOを考慮すると自己中心性とSNS利用の直接的な関係性はなくなることを実証した。

SNSをチェックする女性の画像この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock

他の研究でも同様の結果。自己中心性とSNS利用は弱さの表れ

 2番目の研究では、自己中心性を単純に測るのではなく、少し手を加えることでこの発見を再現しようとした。

 241人の成人を対象にして、自己中心的条件群と自制された対照群とをランダムに割り当てた。

 自己中心群には、最近利己的にふるまったときのことを書いてもらい、対照群のほうには普通の1日について書いてもらった。

 その後で全員に、最初の実験と同じFOMOとソーシャルメディアの使用頻度についてのアンケートに答えてもらった。

 その結果、やはり自己中心的な人ほどSNSを頻繁に使う傾向があることがわかったが、それはFOMOがある場合に限られた。

 3番目の研究では、FOMOありきにすることで、自己中心性とSNS利用の関係性が弱まるかどうかを調べた。

 102人の成人に自身の自己中心度を考えてもらい、FOMOを誘発するように仕組んだシナリオにあらかじめさらす、あるいは家にいる間に安心感を感じられるようコントロールされた条件におく。

 すると、最初からFOMOを全面に出すと、自己中心性とSNSの使用頻度の関係はなくなることがわかった。

 これは、SNSの使用頻度に関して、FOMOが単なる仲介者ではなく主要な推進力となっていることを示している。

 「極めて自己中心的な人が本当に自分は他人よりも優れていると考えて行動しているのかどうか、疑問をもってきました」ロバーツ氏は言う。

今回の研究結果は、自己中心的な行動の多くは、生来の弱さや不満といったもどかしい感情によるものだという説得力のある証拠をもたらしてくれたと思います(ロバーツ氏)

 自己中心的な人は自分が注目されたいというエゴからではなく、むしろ取り残されることへの恐怖という弱さをなんとかしようとSNSを利用していたようだ。

この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock

この研究の限界とバイアス

 今回の研究は、ソーシャルメディアの利用を「弱さ」という観点から探った。これは特に重要な発見だが、この研究に限界がないわけではない。

 さまざまなデータが収集されたのはコロナ下で、人々が孤立し社会的交流が限られていた時期だったため、取り残されてしまうというFOMOのレベルが上がっていて、これがSNS利用の大きな原因になった可能性がある。

 さらに、この研究は自己申告データに依存しているため、自分を良く見せようという被験者のバイアスが多分にかかっている可能性がある。

ほかの研究と同様、さらに深く掘り下げた研究が必要になる。

 今後はより客観的な尺度を使うことで、不安や不安定などのほかの心理的要因がFOMOと相互作用してSNS利用にどのような影響を与えるかを探ることが重要だろう。

 人はなぜSNSを使うのか、その背後にあるあらゆる動機を理解することは、SNSにがんじがらめになって自滅しないために役立つかもしれない。

 不安や不満が原因でSNSを過剰に利用、中毒に陥って思考力や集中力が落ちたりすることもあれば、SNSで自己を発信し、世界中の知らない人とつながって幸福になれる場合もある。

 研究の違いによって正反対の結果が出ていることもあり、こうしたことはすべて諸刃の剣だ。

 新たな形式が次々登場するソーシャルメディアの世界に翻弄されないためにも、これを正しく利用するリテラシーをよく理解すべきだろう。

本研究は『Canadian Behavioural Science』誌(2024年10月)に掲載された。

References: New study: Self-centered people turn to social media out of weakness, not ego

本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者がより理解しやすいように情報を整理し、再構成しています。

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 15件

コメントを書く

  1. そのSNSが本人に喜ばれそうなポストしか見せずに更に自己中増長させてるのも中々皮肉

  2. SNS一切やってないし、ラインも誘われるたび断ってる。別に困らんし。

    妹と姪のラインのやり取り見てると頭痛い。もう何のやり取りなのかもわからんおっさんなので、ああいうのは自分はいらない。

  3. 今の時代、自己中心的であってもなくてもみんなSNS使ってるんだからそんなことは関係ないと思う

  4. そりゃ群れがなければ個でしかなく中心じゃないしね
    文字通りの精神性って事は興味深い

  5. 所詮は初心者の自己中
    ネトゲです負けそうになったワイ
    残りは嫌がらせ野口時間に費やすからSNSなんか見てる暇ない模様

  6. こいつ自己中だなって一番感じるのは会話泥棒されたときだから、他人を押しのける、つまり、人がいるからこそあいつは自己中だなって認識になるかも
    自分も結構自己中だけどそれ以前に集団行動したくないし、かかわりも持ちたくないから、相手のペースにさせて受け流してる。ぶつからないようにすれば摩擦はおきないのだ

  7. >これらの結果をまとめると、確かに自己中心的な人はSNSを頻繁に使用していた

    逆だよ

    真の自己中な人間は他人の目なぞ気にしない

    俺がそうだ

      1. それ自己中なのではなく自我が強いのでは。
        自己中な奴は自分が無いから不安になる。

  8. PCメールが主流の時代から返すのが面倒で、SNSの類もやってないしライン誘われても断ってきた。別にしなくて困ったことはない。ずっとスマホを片手に持って弄りながら歩いてる人いるけど、気が休まらないのではと思う。
    まあおかげさまでボッチではあるけども、色々面倒がなくて気楽だよ。

  9. 徹頭徹尾自分のことだ
    世間の流れや情報に置いていかれるのが不安で期間限定の催し物とか毎日チェックしてるし、おじさん構文になってないかいつも気にしてます

  10. SNSは恐ろしくて使わない。
    誰が見ているかわからないし、何を言われるかわからない。自分が万人に受け入れられるとは思わないし、受け入れられた様でも知らないところで何言われてるかわからない。そんな事で神経すり減らす時間があるなら美味しいカレーでも作る。
    SNSをあれこれやってる人は鋼鉄の心臓だなと思う。私にはとてもとても。

  11. SNSて若い人ほど使ってる、中年すぎて趣味で使ってる人ってみたことない
    つまり若さゆえの「取り残され恐怖」なんだと思う
    自分は若い頃は流行りのものが欲しかったし、皆と同じことをしたかった。
    だから今はSNSに全く興味はないが、もし17歳ならやっていたと思う。
    若いが故のやらかしもなにもかも外にでて広められてしまう、本当に恐ろしい装置だ。
    今小母ちゃんでよかったよ、心の底からおもうわ。

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

料理・健康・暮らし

料理・健康・暮らしについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。