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アセラ (列車)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アセラ
アセラ
概要
種類 都市間高速鉄道
地域 ボスウォッシュ圏(北東回廊
前身 メトロライナー
運行開始 2000年12月11日 (2000-12-11)
運営者 アムトラック
路線
起点 マサチューセッツ州ボストン
停車地点数 12
終点 ワシントンD.C.
営業距離 457マイル (735 km)
平均所要時間 6 34 時間[1]
運行間隔 一日20本[1][2]
列車番号 2100–2290
車内サービス
クラス First Class
Business Class
身障者対応 対応
座席 ビジネスクラス:4列
ファーストクラス:3列
食事 ファーストクラスで提供
荷物 持ち込み手荷物のみ、受託手荷物サービスなし
技術
軌間 4 ft 8 12 in (1,435 mm) 標準軌
運行速度 150 mph (240 km/h) (top)[3]
170 mph (110 km/h) (avg.)[4]
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運行系統図

アセラ英語: Acela)は、アメリカ合衆国の旅客鉄道公社「アムトラック」が運行する、ボストン - ニューヨーク - フィラデルフィア - ワシントンD.C.を結ぶ高速鉄道である。運転開始時の名称はアセラ・エクスプレスであった。名称は"Acceleration"(加速)と "Excellence"(優秀)を合わせた造語である。[5][6]

アセラは北米大陸で最も高速な列車であり、最高時速150マイル240 km/h)に達するが、その速度が出せるのはルート全体735 kmのうち80.3 kmに過ぎない[7]。高速運行が可能な区間は、主にペンシルベニア駅からユニオン駅364 km区間であり、最短所要時間は2時間45分、平均速度は132 km/hであった[2]

歴史

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自動車大国であるアメリカでは大都市近郊区間を除けば鉄道の旅客は少なく、大都市間の移動は主に飛行機が使用されている。アムトラックはアメリカ東部を中心に路線を持ち、これまでもニューヨーク - ワシントンD.C.間を結ぶ特急列車などを運行していたが、ビジネス客の利用が多かった「メトロライナー」以外の列車では利用者低迷にあえいでいた。

そこで起死回生を狙ってアメリカで最も人口が密集する地域を結ぶ北東回廊のボストン - ニューヨーク - ワシントンD.C.間に高速列車を走らせる計画が浮上した。それが2000年に運行が開始されたアセラ・エクスプレスである[8]

アセラが2016年に上げた収益5億8,500万ドルは、アムトラックの総収入の25%に相当する[9]。なおアセラの運転開始後も細々と(ワシントンD.C. - ニューヨーク間で)運転されていた「メトロライナー[10]2006年10月27日の最終運行をもって全廃となった。ちなみに最晩年の「メトロライナー」は平日1往復の運転となっていた。

運行形態と設備

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全体的に老朽化した在来線で1830年代の設備も残るが、路線の近代化工事は継続的に行われている。交差する道路は立体化されており踏切は非常に少ない。

ワシントンD.C. - フィラデルフィア - ニューヨーク間は複々線の区間が多く、最高速度215 km/h程度で225マイル(約360 km)を最速2時間47分で結ぶ。ニューヨーク - ニューヘイブン - ボストン間はニューヨーク近郊で通勤列車の本数が多いため大幅な徐行を余儀なくされているが、最高速度240 km/hに対応している区間もあり、231マイル(約370 km)を最速で3時間23分で結んでいる。

座席はファーストクラスビジネスクラスのみからなっており、他の列車のエコノミークラスとは値段、サービス両面で差をつけている。公衆無線LANも使用可能。カフェ車も連結されている。ファーストクラスでは他のアムトラック寝台車同様、食事及び酒を含む飲み物がサービスされる。アセラ車内販売限定サンドイッチも人気が高い。

編成[11][12]
号車 1 2 3 4 5 6
用途 電源車 ファーストクラス ビジネスクラス
(quiet car)
カフェ ビジネスクラス ビジネスクラス
(end car)
電源車
重量(ショートトン 102.0 71.0 69.5 68.5 69.5 71.0 102.0 623.0
重量(ロングトン,M3トン) 91.1ロングトン; 92.5 t 63.4ロングトン; 64.4 t 62.1ロングトン; 63.0 t 61.2ロングトン; 62.1 t 62.1ロングトン; 63.0 t 63.4ロングトン; 64.4 t 91.1ロングトン; 92.5 t 556.2ロングトン; 565.2 t
定員 44 65 65 65 304

車両

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車両の選定でフランスの「TGV」、ドイツの「ICE」、スペインの「タルゴ」、イタリアの「ペンドリーノ」、スウェーデンの「X2000」といったヨーロッパの高速列車が候補に上がり、「ICE」や「X2000」は実際に試運転まで行われたが、最終的にはTGVの技術をベースにした車両が導入された。車両の製造はカナダボンバルディアとフランスのアルストム企業連合が行った。

沿岸部を走るという特性から、車体はステンレス無塗装となっている。

現在アムトラックは新型車両の導入を計画中である[13]。 次期新型車両の製造メーカーはアルストムに決定した[14]アヴェリア・リバティと呼ばれる動力集中方式のタイプで、2023年秋の営業運行開始を目指している[15]。 しかし老朽化した線路に問題があるとして営業運行開始は延期され2024年以降の予定である[16]。 試験走行は2020年に開始しており[17]、全編成を置き換える予定である。

停車駅

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ボスウォッシュ圏の人口密度。黒線は鉄道路線

アセラ・エクスプレスの停車駅は、以下の通りである。途中14駅に停車するが、一部の列車しか停車しない駅は、アスタリスク(*)でマークしている。接続の詳細、及び他の列車の停車駅は北東回廊を参照。

停車駅[18]
ボストン南駅 (MBTA) マサチューセッツ州
バック・ベイ駅 (MBTA)
ルート128駅 (MBTA)
プロビデンス駅 (MBTA) ロードアイランド州
ニューヘイブンユニオン駅* コネチカット州
スタンフォード駅*
ニューヨークペンシルベニア駅 ニューヨーク州
ニューアークペンシルベニア駅* ニュージャージー州
メトロパーク駅英語版*
フィラデルフィア30丁目駅 ペンシルベニア州
ウィルミントン駅* デラウェア州
ボルチモアペンシルベニア駅英語版 メリーランド州
ボルチモア・ワシントン国際空港駅*
ワシントンユニオン駅 ワシントンD.C.

問題点

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事故や定時性の低さで毎年のように議会の槍玉に上がっているアムトラックの起死回生の切り札として登場したアセラ・エクスプレスではあったものの、いくつかの問題が生じている。

所要時間
前述のように在来線を走る高速列車であるため、線形の影響で高速化に限界がある。
故障
アメリカでは数少ない高速列車であるためか、部品の亀裂などによってたびたび全列車が原因究明のために運行停止に陥っている。
2002年8月15日には横揺れ吸収装置に亀裂が発見され、全車両無期限運行停止となった他、2005年4月15日にはブレーキディスクに亀裂が発見され、運行停止となった。いずれの事例も原因究明後には運転を再開している。

脚注

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  1. ^ a b Northeast Corridor Boston–Washington Timetable”. Amtrak (March 4, 2019). April 26, 2019閲覧。
  2. ^ a b Northeast Corridor New York–Washington Timetable”. Amtrak (March 4, 2019). April 26, 2019時点のオリジナルよりアーカイブ。April 26, 2019閲覧。
  3. ^ Acela Express Overview”. Amtrak. April 21, 2015閲覧。
  4. ^ Acela Express, United States of America”. Railway Technology. September 3, 2014閲覧。
  5. ^ Acela”. Corporate Design Foundation. October 11, 2008時点のオリジナルよりアーカイブ。May 2, 2009閲覧。
  6. ^ Vantuono, William (April 1, 1999). “Amtrak's vision: Today, the Northeast. Tomorrow America”. Railway Age. http://www.accessmylibrary.com/coms2/summary_0286-31922649_ITM August 29, 2009閲覧。. 
  7. ^ Northeast Corridor Employee Timetable #5”. National Railroad Passenger Corporation (Amtrak). p. 110 (October 6, 2014). November 12, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。December 24, 2017閲覧。
  8. ^ 「Overseas Railway Topics」『鉄道ジャーナル』第35巻第5号、鉄道ジャーナル社、2001年5月1日、120頁。 
  9. ^ Amtrak FY16 Ridership & Revenue Fact Sheet”. Amtrak (April 17, 2017). November 20, 2017閲覧。
  10. ^ 全盛期の1980年代からはアムフリート型客車編成を使用しAEM-7形電気機関車が牽引する客車列車に変更された。
  11. ^ Acela Express”. Trainweb.org (February 2001). June 18, 2012閲覧。
  12. ^ Perren, Brian (April 1998). TGV Handbook, Including Eurostar (2nd ed.). Harrow Weald: Capital Transport Publishing. pp. 156. ISBN 9781854141958. OCLC 47037025. https://www.worldcat.org/oclc/47037025 
  13. ^ 米アムトラック:高速鉄道「アセラ」の全車両入れ替えを計画」『ブルームバーグ』2012年12月14日。オリジナルの2023年1月16日時点におけるアーカイブ。2023年1月16日閲覧。
  14. ^ Alstom tipped to win Amtrak high-speed train contract”. RailUK. 2023年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。05 oct 2015閲覧。
  15. ^ Luczak, Marybeth. “Acela Trainsets: Amtrak Reveals Interiors, New Revenue Service Date (UPDATED)”. Railway Age. 2022年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。13 may 2022閲覧。
  16. ^ アムトラックの最新高速列車「アセラ」を見てみよう…運行開始は2024年に再延期”. 2023年9月23日閲覧。
  17. ^ New Amtrak Acela fleet introduction delayed”. International Railway Journal. 2022年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。05 june 2021閲覧。
  18. ^ アムトラック公式サイトから引用 (2024年9月現在)https://content.amtrak.com/content/timetable/Acela.pdf

関連項目

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外部リンク

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