鎌倉殿の13人

2022年NHK大河ドラマ第61作
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鎌倉殿の13人』(かまくらどのの13にん)は、2022年令和4年)1月9日から12月18日まで放送されたNHK大河ドラマ第61作[* 2]鎌倉幕府の二代執権となった北条義時主人公[* 2]平安末期から鎌倉初期を描く[* 3]

鎌倉殿の13人
THE 13 LORDS OF THE SHOGUN
ジャンル テレビドラマ
脚本 三谷幸喜
演出 吉田照幸
末永創
保坂慶太
安藤大佑
中泉慧
小林直毅
松本仁志
出演者 小栗旬
(以下五十音順)[* 1]
青木崇高
浅野和之
新垣結衣
生田斗真
市原隼人
江口のりこ
大泉洋
尾上松也
柿澤勇人
片岡愛之助
金子大地
寛一郎
菊地凛子
國村隼
栗原英雄
小池栄子
小泉孝太郎
坂口健太郎
迫田孝也
佐藤浩市
佐藤二朗
シルビア・グラブ
鈴木京香
菅田将暉
瀬戸康史
田中泯
田中直樹
中川大志
中村獅童
西田敏行
坂東彌十郎
堀田真由
堀内敬子
松平健
宮澤エマ
宮沢りえ
山寺宏一
山本耕史
ナレーター 長澤まさみ
音楽 エバン・コール
時代設定 平安時代末期 - 鎌倉時代初期
製作
制作統括 清水拓哉
尾崎裕和
プロデューサー 大越大士
吉岡和彦
川口俊介
結城崇史(VFX・DX担当)
制作 日本放送協会
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2022年1月9日 - 12月18日
放送時間日曜(地上波)20:00 - 20:45
放送枠大河ドラマ
放送分45分
回数48
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
番組年表
前作青天を衝け
次作どうする家康

特記事項:
初回と最終回は15分拡大。
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制作

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放送開始まで

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2020年(令和2年)1月8日に制作発表が行われ、三谷幸喜が脚本を担当し、小栗旬が主演することが発表された[* 2]。三谷が大河ドラマの脚本を担当するのは3回目であり、小栗は今作で8回目の大河ドラマ出演にして初主演であった[* 4]

制作発表の際、北条家十三人の合議制について三谷自らが解説を行った。また、『いだてん〜東京オリムピック噺〜』および『麒麟がくる』において出演者の不祥事による放送期間中の降板・代役立て・再撮影が続いたことに触れた[* 5]

今作の題材について、制作統括の清水拓哉は当初、源義経北条早雲にしようと考え取材を始めていたが、以前から北条家に興味のあった三谷が「北条義時」を提案したことでこれに決定したという[* 6]。その理由について三谷は「源頼朝が挙兵してから承久の乱までの40年以上にわたる時代を描こうとしたとき、全ての証言者になれる人物は義時くらいだった」と述べている[* 7]

表題を考案したのは制作統括の尾崎裕和であり[* 8]、「鎌倉殿」とは源頼朝をはじめとする鎌倉幕府将軍を、「13人」とは頼朝死後に発足した集団指導体制「十三人の合議制」を指している[* 9][注釈 1]。NHK大河ドラマにおいてタイトルにアラビア数字(算用数字)が使われたのは今作が初であった[* 10]

今作では、源平合戦鎌倉幕府誕生の過程で繰り広げられる権力の座を巡る駆け引きを、ユーモアを交えたホームドラマのような描写とともに[* 11]、徹底して無情で陰惨な粛清劇として描いた[* 12]。三谷は執筆にあたり、日本史を知らない海外の人が見ても楽しめる「神代の時代」のドラマを書くことを目標とし、歴史書『吾妻鏡』をベースに[注釈 2]、特に『ゲーム・オブ・スローンズ』を手本とした[* 14]。また、物語の全体像は『ゴッドファーザー』、部分的に『アラビアのロレンス』『仁義なき戦い』などの影響を受けた[* 15][* 16]

2020年11月6日、公式Twitterが開設され、第一次出演者の発表日が予告された[* 17]

2020年11月16日から11月20日にかけて、第一次出演者発表が行われた[* 18][* 19][* 20][* 21][* 22]。その後、2021年(令和3年)4月15日に第二次出演者発表が[* 23]、同年4月27日から4月28日にかけて第三次出演者発表が[* 24]、同年7月8日から7月9日にかけて第四次出演者発表が[* 25]、2022年2月16日から2月17日にかけて第五次出演者発表が[* 26]、同年3月1日に第六次出演者発表が[* 27]、同年6月8日から6月10日にかけて第七次出演者発表が[* 28]、それぞれ行われた。

2020年11月21日、時代・風俗の考証を担当する専門家チームの陣容が発表された[* 29]

2021年3月23日、時代考証を務めていた呉座勇一が自身のTwitter上への不適切投稿を理由に降板した[* 30][* 31]

同年6月9日、撮影開始[* 32]。それに伴い、本作ではスタッフおよび演者のハラスメント防止のため、Netflixなどが導入している「リスペクト・トレーニング」講習が取り入れられた[* 33]。また、大河ドラマ異例の取り組みとしてインカメラVFXの導入[* 34]単焦点レンズの使用などが行われた[* 35]

同年7月8日、音楽発表が第四次出演者発表と同時に行われた[* 25]

同年7月16日、伊東祐親役で発表されていた辻萬長が病気療養のため降板し、代役を浅野和之が務めることが発表された[* 36][注釈 3]

同年7月20日、番組ロゴが発表された[* 39]

同年12月1日、メインビジュアルの公開とともに公式ホームページが開設され[* 40]、翌2日には語りも発表された[* 41]

放送開始後

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2022年1月9日、15分拡大[* 42]で初回放送を開始。新型コロナウイルスの影響で『麒麟がくる』の終了が2月にずれ込んだため『青天を衝け』の放送が通常より約1ヶ月遅れで開始されたが、本作から通常サイクルに戻った[* 42]

今作のタイトルバックの尺は1分45秒(冒頭の語りも含めると2分10秒)で、例年より約1分の短縮となった[注釈 4]。これに伴い、スタッフの名前はタイトルバック明けやエンディングに流された[* 43]

今作より、台湾のインターネットストリーミング大手であるKKTVと、IPTVサービスを展開する中華電信MODがNHK大河ドラマの同時配信を開始した[* 44]

本放送の終了後、番組公式Twitterは、放送内容に関連した撮影直後のキャストの音声コメントを「#かまコメ」と題して公開した[* 45]。また、放送内容の元になった史実のエピソードを「#吾妻鏡」と題して紹介した[* 46]

初回放送視聴率は視聴率17.3%(個人視聴率10.6%)で、いずれも過去2作を下回った[* 47]。これは、過去2作と比較すると知名度の低い鎌倉時代を題材としたことも関係しているとされる。一方、初回総合視聴率は25.8%で、16年10月の調査開始以来、大河ドラマ初回タイムシフト最高を更新した[* 48]。また、昨年よりスタートした「NHKプラス」での視聴ユニークブラウザ数は『青天を衝け』の2~3倍を記録した[* 47]

同年3月13日に放送された第10回ではスタッフが映り込んでしまうミスがあり、後日公式Twitterにて謝罪するとともに、土曜日の再放送では該当箇所を修正して放送した[* 49]

同年5月8日放送の壇ノ浦の戦いのシーンは、VFXシーンがウクライナの製作会社に発注されていたが、戦争の影響により作業の続行が困難となり、急遽国内外の別クルーが加わって仕上げられた[* 50]

同年9月22日、10月9日は本編を休止しトーク特番を放送することが発表された。また、最終回は12月18日に放送され、全話数は48回と決まったことも発表された。大河ドラマが全48話以上になるのは『おんな城主 直虎』の全50話以来、5年ぶりであった[* 51]

同年10月25日、クランクアップ[* 32]。約1年4か月にわたる撮影が終了した。

同年12月18日に放送された最終回冒頭では、『どうする家康』に主演する松本潤が同作さながらの徳川家康役で出演した[* 52]。本作で家康が登場したことにより、大河ドラマでは4作連続で「徳川家康」が登場する異例の事態となった[* 53]

放送終了後

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2022年12月31日、当作品と次回作品の主人公(前述の松本潤)とのバトンタッチセレモニーが、史上初めて『NHK紅白歌合戦』のステージで行われた[* 54]

2023年2月7日、公式ホームページ、公式Twitter、公式Instagramの公開が、この日の午後6時をもって終了した[* 55]

今作の全話平均視聴率は12.7%(個人視聴率7.6%、総合視聴率11.8%)で[* 56]、2022年に放映された連続ドラマの中ではほぼ2位の高さをキープした[* 57]。また、全話総合視聴率は20.2%で前作を上回り[* 58]、「NHKオンデマンド」ではこれまで配信された全てのドラマ作品の中で史上最多の平均視聴数を叩き出した[* 58]スポニチは最終話放送後、「若年層を中心に配信(の視聴率)は好調」だったとし、「大河最高傑作」の呼び声が高いと書き添えた[* 59](全て関東地方・ビデオリサーチ調べ)。

あらすじ

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第一章(第1回 - 第13回)

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平安時代末期、都では平家が栄華を極め、伊豆でも平家方の豪族伊東家が権勢を誇っていた。伊豆の小豪族である北条家の主・北条時政大番役の務めを終えて京から帰還したある日、時政の次男・北条義時流人源頼朝を北条の館に匿っていることを兄・北条宗時から聞かされる。源氏嫡流である頼朝は、平清盛に敗れたことで伊豆に流罪となっていたが、監視役の伊東祐親が京にいる間にその娘・八重と密通、祐親から追われ宗時らの手引きで北条の館に逃げ込んでいたのだ。平家の横暴に不満を募らせていた宗時は頼朝を奉じて挙兵しようと考え、義時の姉・政子も頼朝に恋心を抱く。やがて北条の館は祐親により包囲されるが、相模の大豪族・大庭景親の仲裁によって和解し北条家が頼朝を預かることに決まる。義時は頼朝の真意を掴みきれず不信感を募らせるが、頼朝から「北条を後ろ盾として挙兵し、平家を打倒してこの世をあるべき姿に戻す」という本意を聞かされ畏敬の念を抱く。

京では清盛が後白河法皇幽閉し、平家打倒を掲げた以仁王源頼政とともに挙兵していた。政子を正室に迎え長女・大姫が誕生した頼朝のもとにも叔父・源行家によって以仁王の令旨が届けられるが、反乱はすぐに鎮圧される。伊豆でも平家の勢力が強化され危険が迫っていると知った頼朝は、である時政や三浦義澄ら周辺の豪族たちと挙兵する。だが石橋山の戦いで大敗し、宗時は祐親の刺客・善児に討たれる。その直前、宗時から「坂東武者の世を作り、その頂上に北条が立つ」という真の志を告げられていた義時は、その遺志を引き継ぐことを決意する。

敗走した頼朝は、安房へと逃れると下総の豪族を味方とし、義時は上総の大豪族・上総広常の説得に成功する。さらに頼朝軍は武蔵畠山重忠を味方とし、甲斐源氏武田信義の説得にも成功、3万の大軍勢とともに鎌倉に入り大倉御所を築き始める。また義時は和田・畠山軍に攻められていた祐親に降伏を促し八重を救出する。程なくして鎌倉に平維盛総大将とする平家の大軍が迫るが、富士川で対峙した頼朝軍はこれを退ける。そこへ奥州平泉から駆けつけた弟・源義経も合流し、勢いに乗る頼朝は坂東の勢力基盤を安定させていく。この頃、これまでの功績を認められ江間の領地を拝領した義時は「江間小四郎」を名乗る。また、御所に入った頼朝は鎌倉殿を名乗り、頼朝に味方した坂東武者も御家人と呼ばれるようになる。

京では清盛が病没し、息子・平宗盛がその跡を継ぐ。頼朝は改めて平家打倒を宣言するが、頼朝に反発する行家は単独での平家討伐を開始し、義経の口車に乗ってこれに参加した弟・義円墨俣川にて討ち死にする。一方、政子が2人目の子を妊娠すると、嫡男が欲しい頼朝は祐親の命で殺害された実子・千鶴丸の怨念が嫡男の誕生を阻むという弟・阿野全成の占いを信じて伊東父子を暗殺する。その後、政子は無事に嫡男・万寿源頼家)を出産し乳母夫比企能員が務めることに決まるが、政子の出世を妬む継母りくは頼朝が側女・と密通していたことを政子に伝え、兄・牧宗親後妻打ちを実行させる。これに義経が加担した結果、実行犯の義経と首謀者の宗親は頼朝により処罰を受ける。同時期、信濃源氏木曽義仲北陸で勢力を拡大させつつあった。これを危惧した頼朝は、義時らに命じて義仲の子・源義高を人質として鎌倉へ送らせ、大姫の許嫁とする。この後、義時は幼い頃から一途に思い続けてきた八重と結ばれる。

第二章(第14回 - 第26回)

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義仲は平家軍に大勝して上洛を果たし、宗盛は安徳天皇とともに都を落ち延びる。だが義仲は田舎者ゆえ後白河と反りがあわず対立、ついには後白河を幽閉する。一方、鎌倉では千葉常胤を中心とする坂東勢が頼朝に対する謀反計画を進めていた。義時は広常に協力を依頼し事態を収束させるが、広常を脅威に感じる頼朝は大江広元とともに無実の広常を首謀者に仕立て上げ、御家人たちの前で見せしめとして殺害する。その後、義時と八重の間には金剛北条泰時)が誕生する。

義仲討伐の先発隊として出陣した義経は、義仲を敗死させると平家との戦いに挑み、一ノ谷でも勝利を挙げる。一方、頼朝から義高の殺害を命じられた義時は、政子と協力し義高逃亡の手助けをするが失敗、義高は藤内光澄に殺される。激怒する政子の言葉を重く見た頼朝は、義高を討った光澄と、義高を焚き付け頼朝討伐を画策した信義の嫡男・一条忠頼を義時に命じて殺害させる。義時は自らの手を汚していくことに強い抵抗と葛藤を感じ、苦悩する。

義経は屋島の戦いで勝利を収め壇ノ浦で平家を滅ぼす。勝利に沸く義経は鎌倉に凱旋しようとするが、源氏兄弟の分断を謀る後白河の謀略により頼朝と義経は対立、義時は関係修復を望む頼朝の意を汲み兄弟が対面できるよう奔走する。だが、頼朝に敵意を持つ行家が、義経の正妻・が愛妾の静御前を殺害するために仕向けた土佐坊昌俊による襲撃を頼朝の仕業と吹聴したことで、義経は頼朝追討の兵を挙げる。これに激怒した頼朝は後白河に義経追討の院宣を出させ、京都守護に任命された時政は後白河に守護地頭の全国設置を認めさせる。

一方、朝敵となった義経は藤原秀衡が治める奥州平泉へ逃れるが、秀衡は1年も経たぬうちに死去する。頼朝の命で平泉を訪れた義時は、静御前の産んだ男子が頼朝の命で殺されたことを伝え、謀反の意思がない義経を挑発する。また、奥州藤原氏の新当主・藤原泰衡に藤原氏の滅亡をほのめかして脅迫することで義経追討へと導く。義時と頼朝の計画を悟った義経は里と娘を殺害したのち泰衡軍に討たれる。頼朝は義経を匿ったことを理由に奥州へ出兵、奥州藤原氏を滅亡させる。

義時の家庭生活は平穏であったが、八重が川に取り残された孤児・鶴丸平盛綱)を助けようとして命を落とす。義時は悲しみに暮れ政から距離を置くが、政子の励ましを受け政務に復帰する。一方、後白河と会談した頼朝は、後白河の崩御後に征夷大将軍に任官する。また、次男・千幡源実朝)が誕生すると乳母に義時の妹・実衣を選び、次期鎌倉殿となる万寿の披露目を兼ねた巻狩りを実施する。しかし、その裏では曽我十郎曽我五郎が頼朝暗殺計画を企てていた。曽我兄弟は、父の仇である工藤祐経を殺害するためと偽って時政から兵を借り頼朝の寝所を襲うが、祐経を誤って殺害してしまう。義時は、時政が兵を貸したことを不問とするため、この事件を「謀反を装った敵討ち」として処理する。同時期、義時は巻狩りで仲を深めた比企一族の娘・比奈と再婚する。

襲撃事件で死期が近いことを悟った頼朝は、弟・源範頼を謀反の罪で修善寺に幽閉し、大姫の入内を画策するが、上洛した大姫は体調を崩し病死する。疑心暗鬼に陥った頼朝は、次女・三幡の入内計画を進める裏で、大姫は範頼の呪詛によって死んだと疑い範頼を暗殺する。その後、頼家は比企能員の娘・せつとの間に長男・一幡をもうける。しかし、頼朝が落馬し昏睡状態に陥ったことで、次期鎌倉殿に頼家を推す能員と、阿野全成を推す時政は対立を激化させ鎌倉は混乱する。義時は頼朝死後の政の形を定めるため奔走し、頼朝が死去すると政子に御台所として次の鎌倉殿を決めるよう促した後に伊豆へ帰ろうとするが、政子の説得で鎌倉に留まる。

第三章(第27回 - 第38回)

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政子の後押しで二代鎌倉殿となった頼家は、北条時連北条時房)や頼時(北条泰時)らを近習とし政策を推し進めるが、代替わりによる訴訟の増加や正妻・つつじと側女・せつの対立に嫌気が差し蹴鞠に没頭する。この現状を見た義時は、文官4人と景時で頼家を補佐する政治体制を考案するが、時政と能員が味方となる御家人を引き入れたことで宿老は12人へと膨れ上がり、義時自身も政子の説得によってこれに加わる。これを知った頼家は反発し、6人の近習たちを重用して彼らに対抗させる。その直後、宿老の一人である中原親能が乳母夫を務めていた三幡の病死を機に出家して鎌倉を離れる。同時期、同じく宿老の景時は安達景盛の妻を奪おうとする頼家を諫めるが、これを逆恨みした頼家や、三浦義村結城朝光が仕掛けた策略による御家人たちからの弾劾状によって失脚に追い込まれる。その後、京で再起を図ろうとした景時であったが、駿河にて一族もろとも討ち取られる。さらに宿老であった義澄や安達盛長の相次ぐ病死もあり、合議制は崩壊する。

その後、頼家とつつじとの間に次男・善哉公暁)が誕生し乳母夫は義村に決まるが、能員は娘・せつが産んだ一幡が嫡男であると強調。時政も娘が乳母を務める千幡を次期鎌倉殿にしようと画策し、全成に頼家に対する呪詛を依頼する。一方、義時の助言を受けた頼家は一幡を嫡男と定める。ところが、頼家は突然病に倒れ、呪詛を行った全成が謀反の罪で常陸へ流罪となる。これを好機と見た能員は、比企の所領を減らそうとする頼家の排除と北条家の弱体化のため全成を死に追い込む。

ついに比企一族追討を決意した義時は、頼家が危篤状態に陥ると能員を騙し討ちにし、比企一族を滅亡させる。全て計画通りに進めた北条家は千幡を次の鎌倉殿とする準備を進めるが、頼家が病から回復したことで状況は一変。義父や妻が北条に滅ぼされたことを知った頼家は激怒し、時政の首を取ろうと画策する。一方、義時は比企の娘である比奈と離縁し、泰時が密かに匿っていた一幡を殺害。比企討伐に関わった仁田忠常が北条家と頼家との間で板挟みとなって自害したことをきっかけに、頼家を修善寺へ幽閉する。これにより実朝が三代鎌倉殿に就任し、時政を執権別当とする政治体制が確立するが、幽閉中の頼家が後鳥羽上皇と通じて挙兵の準備を進めているという報がもたらされる。これを知った義時は修善寺に善児とトウを派遣、頼家は善児との死闘の末にトウにより殺され、致命傷を負った善児もトウに止めを刺される。

同時期、時政はりくの助言により武蔵を手に入れようと画策し、娘婿の重忠と対立する。さらに、りくは後鳥羽の従妹・千世を実朝の正室と決め、息子・北条政範を使者として京へ向かわせるが、政範は後鳥羽の側近・源仲章にそそのかされた平賀朝雅によって毒殺される。一方、義時は二階堂行政から縁談を進められて彼の孫娘・のえを3人目の妻とするが、彼女には裏の顔があった。

千世が到着した鎌倉では、実朝との婚礼が華やかに行われる。一方、息子を失い悲観に暮れるりくのもとを訪れた朝雅は、政範毒殺の真相に気づいた重忠の息子・畠山重保に全ての罪を被せて畠山一族を討つよう進言する。これにより、時政は義時や時房の制止を無視し重保を殺害する。その後、息子の死を知り激怒した重忠が挙兵すると、追討軍の総大将に志願した義時は重忠を討ち取った後、親友を無実の罪で死に追いやった時政の追放を広元とともに画策。稲毛重成を時政に処刑させることで御家人たちの時政に対する不信感を煽り、政子に恩賞の沙汰を行わせる新たな政治体制を発足させることで時政から政の権限を奪う。

義時や政子の行動に激怒したりくは義村を味方に引き入れ、朝雅を新たな鎌倉殿に据えようと計画、時政もりくを守るために協力する。一方、義村の密告によって全てを知った義時は軍勢を率いて時政の館を取り囲む。しかし、政子らによる助命嘆願により時政は出家し、りくとともに伊豆へ流罪となる。時政の失脚で2代目執権に就任した義時は、京の御家人に命じて朝雅を追討する。だが、京で勝手に大軍勢を動かしたことに対し、後鳥羽は怒りを露わにする。

最終章(第39回 - 最終回)

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鎌倉では執権となった義時が鎌倉殿を差し置いて政治を運営していた。同時期、後鳥羽の命を受けた仲章は泉親衡と名乗って義時の殺害計画を企て、義盛の息子や甥を加担させて鎌倉に揺さぶりをかける。これを義盛追討の好機と見た義時は、和田一族に対して挑発行為を行い義盛の挙兵を促すが、実朝や政子の尽力によって一度は義盛と和解する。しかし、義盛の息子たちが挙兵したことで戦が勃発。義時を討伐するため激戦を繰り広げた義盛は、実朝の説得によって降伏したところを義時と示し合わせた三浦勢によって騙し討ちにされる。これにより、義時は政所別当に加えて侍所別当も兼任するようになり、御家人の筆頭となる。

一方、目の前で義盛を殺された実朝は、後鳥羽の力を借りて安寧の世を築くことを宣言し、義時は実朝の行動に危機感を覚える。その後、鎌倉を源氏の元に取り戻そうとする実朝は泰時を側に置いて積極的に政を行い、義時はこれに対抗して執権を名乗る。同時期、京から帰還した仲章は宋の技術者・陳和卿を実朝に接近させ、唐船の建造を進言。実朝がこれを実行に移すと、鎌倉が朝廷に乗っ取られると考えた義時は、時房に命じて造船計画を頓挫させる。しかし、この直後に実朝が、大御所になり新たな鎌倉殿を京から迎えることを宣言すると、政子が自身のあずかり知らぬところで行動を起こしていたことに気づく。

同じ頃、次期鎌倉殿になろうと息巻く公暁は、自身が就任するのが鶴岡八幡宮の別当と知って驚愕し、義時や義村も実朝の考えに反発する。これらの意見を抑えるため政子は時房を伴って上洛し、後鳥羽の乳母・藤原兼子と会談して頼仁親王を次期鎌倉殿として下向させることを約束させる。だが、三浦が這い上がる最後の好機を逃すまいとする義村は、北条家が頼家や一幡を殺して実朝を鎌倉殿に祭り上げたことを公暁に告げる。父と兄の死の真相を知った公暁は、実朝の右大臣拝賀式にて実朝と義時を暗殺する計画を進める。これを察知した義時は、実朝に式の中止を進言するが、実朝から御所を京へ移す構想を聞かされると彼を見限る。また、北条家を追い落とすために頼家の死を調査する仲章から脅迫を受けるとトウに暗殺を命令し、自身は拝賀式にて実朝を殺害した公暁を討ち取ろうと考える。拝賀式当日、太刀持ちとして参加した義時だったが、トウが暗殺に失敗したため仲章に決定的な証拠を握られ太刀持ちの役目を取って代わられる。しかし、仲章は義時と誤解され実朝もろとも公暁に斬殺される。義時の暗殺失敗に焦る義村は、三浦館へ逃げ込んできた公暁を殺害、その首を差し出して義時に忠誠を誓う。

鎌倉殿が不在となった鎌倉では、実衣が息子・阿野時元を鎌倉殿に据えようと画策するが、義時により時元は自害に追い込まれる。また、義時は実衣の首も刎ねようとするが、政子の説得によって沙汰は先延ばしとなる。同時期、のえも権力欲を露わにし、息子・北条政村を北条の跡取りにしようと画策する。その後、次の鎌倉殿を決めたい義時は後鳥羽と政治的な駆け引きを行い、1千騎の兵とともに時房を上洛させて朝廷に脅しをかける。これに対し、後鳥羽は時房の技量を認めて親王の代わりとなる人物を鎌倉へ送ることを承諾、2歳の三寅藤原頼経)が摂家将軍として新たな鎌倉殿となることが決まる。政子は三寅の後見として尼将軍を名乗り、その権限を利用して幽閉中の実衣を助け出す。

京では後鳥羽が、すべて義時の思い通りになった現状に不満を募らせていた。そんな中、三寅が次期将軍と決まったことに腹を立てた源頼茂が京にて挙兵し、後鳥羽の怒りは頂点に達する。これにより鎌倉との戦を決意した後鳥羽は、鎌倉の御家人たちに義時追討の院宣を発し、三浦胤義西面の武士藤原秀康に命じて義時追討の狼煙を上げる。一方、義時は頼朝の作った鎌倉を戦火に晒すことはできないと自身の首を朝廷に差し出そうとする。しかし、これまで私欲なく鎌倉を守り抜いてきた弟を死なせたくない政子は、御所に集結した御家人たちの前で演説を行い決起を促す。その後、先発隊として鎌倉を出陣した泰時は、時房や弟・北条朝時らとともに官軍を撃破して入京する。この報を聞いた義時は、武士として初めてとなる朝廷への裁きで後鳥羽を隠岐島へ流罪とする。

人生最大の危機を脱した義時であったが、突然昏倒し意識を失う。医師の診断で毒を盛られたと知った義時は、後妻・のえが犯人であると確信、彼女を追及し毒の入手先が義村であることを知る。その後、義時は義村から本音を聞き出すと、親友として泰時への助力を託す。同時期、新しい世を作ろうと奔走する泰時は、学のない御家人でもわかる武士が守るべき定を作り始める(御成敗式目)一方、義時の見舞いに訪れた政子は、義時と昔語りをする中で息子・頼家が義時の命によって殺害されたこと、先の戦で廃位させた幼帝の命を奪おうとしているとを告げられ衝撃を受ける。直後に義時は発作を起こし解毒薬を要求するが、政子は義時が泰時のために全ての怒りや呪いを背負おうとしていることを理解した上で、これ以上弟が手を汚さぬよう義時の目の前で解毒薬を捨てる。死を悟った義時は政子に後を託し、息を引き取るのだった。

登場人物

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実在人物の歴史的事項については、当記事ではなく各人物の当該記事を参照のこと。

劇中では人名の呼称を「北条義時(ほうじょう よしとき)」のように「苗字 + + 名前」としている場合がある[注釈 5]

★印は13人の合議制を構成する宿老御家人)を示す。

主人公と北条家

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北条義時とその家族

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北条義時(ほうじょう よしとき)★
演:小栗旬
本作の主人公
二代執権伊豆豪族・北条時政の次男。母は伊東祐親の先妻の娘[1]通称仮名)は小四郎(こしろう)。北条領に隣接する江間(えま)郷を拝領ののちは、江間小四郎義時を名乗る[注釈 6]
本来は生真面目かつ実直で家族や仲間思いな性格。交渉力に優れ事務方として能力を発揮する。調整役として御家人たちと鎌倉殿の間を取り持つが、押しに弱く頼み事を断れない性分で揉め事に巻き込まれやすい。御家人たちや一族間の対立が起こると最後まで平和的解決策を探り、粛清を実行する際には苦悩し涙を流す。また、実行後にも後悔の念を抱き続け、八重の死を天罰だと語る。武芸は得意ではなかったが、重忠と一騎打ちを演じるまでに成長する。恋愛は奥手で女性を見る目はなく、義村から教わった「女子(おなご)は大体きのこが好き」という女性観を生涯信じ[注釈 7]、泰時にも伝授する。
頼朝からは「弟の一人」と評されるほど信頼され、本音を聞くことができる数少ない者の1人となる。彼の恐ろしさを知りつつその傍らで政治手腕を学んだため、後に義村や時政から「頼朝に似てきた」と称される。八重については幼い頃に好意を抱いて以降、一途に慕い続ける。夫婦となって以降は良好な関係を築き、苦悩する心情を吐露する。八重が不慮の事故で亡くなると深く傷心し、その想いは死の間際まで続くこととなる。泰時に対しては、純粋であったかつての自分や亡き妻・八重と重ね合わせて希望を見い出す。政や粛清が原因となり何度も対立するが、内心では認めている。政子との姉弟仲はよく、その言動に振り回されることも多いが常に励まし支え合う。後に政の方針を巡って対立するが、生涯に渡って協力関係を貫く。
戦を嫌い政にも関心がなかったが、頼朝の真意を知り「鎌倉あっての北条」という考えで補佐する。当初は頼朝の粛清に異を唱えていたが、北条家や鎌倉を守るためと苦悩しつつも頼朝の命を忠実に実行する。頼朝が亡くなると伊豆へ戻ろうとするが、政子の説得で頼朝の遺志を受け継ぐことを決意し、特定の御家人に力が集中せぬよう行動する。比企一族の横暴が目に余るようになると、悪い根を断ち切ることが自身の役目であると自ら粛清を実行する。さらに、北条家を守るため頼家を幽閉したことで「坂東武者の世の頂点に北条が立つ」という宗時の遺志を実現させようと思い至ると、実朝を差し置いて政を運営し、泰時のため火種となりそうな御家人たちを手にかける。公暁の襲撃を回避して以降は「天に守られている」と自身を頼朝と重ねるが、承久の乱で討伐対象になると、頼朝の築いた鎌倉を戦火から守るため命を投げ打つことを覚悟する。乱の終結後、跡継ぎ問題に不満を抱いたのえと義村によって毒を盛られ病に伏す。以降も職務を続けるが、政子との雑談中に発作を起こして急死する。今際の際に解毒薬を求めるが政子に断られ、自身を楽にしようする姉の真意を悟り、後を託す。
八重(やえ)
演:新垣結衣
義時の最初の妻。伊東祐親と後妻の娘[2]であり、義時の叔母。源頼朝の先妻。江間次郎の元妻。
一途かつ頑固だが物事を冷静に分析することができ、義時や頼朝に的確な助言を与える。行動力もあり、危険を顧みず思いのままに行動し周りを振り回す。また、慈悲深く泰時[注釈 8]とともに戦災孤児たちを預かり面倒を見る。そのため、義時から「阿弥陀如来」と評される。
義時との夫婦関係は良好で、当初は義時を袖にし時に冷たい態度を取っていたが、思いを受け入れると一途に愛し苦悩する義時を励まし支える。頼朝についてはいかなる境遇にあっても想い続けていたが、父・兄の殺害や亀との密通を経て完全に拒絶し、義時と夫婦になった後は秋波を送られても受け流す。政子とは頼朝を巡り牽制し合っていたが、義時と結婚したのちは良好な関係を築く。息子・千鶴丸についてはその死を知ると墓の前で慟哭し、後悔の念は自身の死まで残り続ける。
父・祐親が伊豆を留守にした間に頼朝と通じて千鶴丸を産み、祐親の怒りを買うと頼朝と別離の上、江間次郎のもとへ嫁がされる。頼朝が挙兵すると協力し、頼朝軍が伊東の館を包囲すると次郎や義時に助けられ義澄に保護される。その後も、頼朝への思いが断ち切れず大倉御所に出仕するが、頼朝によって父や兄が殺されると義時が領主となった江間郷に移され、のちに夫婦となる。間もなく金剛(北条泰時)を産むと、度重なる戦災により増える孤児たちの世話をすることに生きがいを見出す。義時が不在の日、川遊びの最中に取り残された鶴丸(平盛綱)を発見し、その姿を千鶴丸と重ねて川へ入る。鶴丸を助けたものの力尽きて流され、帰らぬ人となる。
比奈(ひな)
演:堀田真由
義時の2人目の妻。比企尼の孫娘。比企能員の姪。
おしとやかかつ上品で広い心を持つが、容姿の良さを自覚しており押しが強い。義時を一途に慕い続け、北条の嫁として夫を献身的に支えるが、離縁させぬため起請文を書かせるなど想いが強すぎる面もある。一方で、比企家との関係も良好で、北条家との間で板挟みとなり思い悩む。義息・泰時とも良好な関係を築くが、「義母上(ははうえ)」と呼ばれることは嫌う。幼い頃に万寿(源頼家)とともに育ち、その性格をよく知る。北陸育ちで野生動物の生態に詳しい[注釈 9]
当初は頼朝の側女となるため能員によって送り込まれるが、政子に阻まれて失敗。その後、頼朝の指図で義時と娶されることとなり、富士の巻狩りで義時との仲を深めると夫婦になる。北条と比企が対立すると、義時に頼まれて比企一族の動向を探り情報を流すが、実家を裏切った責任を感じる。また、義時が自身の処遇を悩んでいると察し、自ら離縁を申し出る。
のえ[注釈 11]
演:菊地凛子
義時の3人目の妻。二階堂行政の孫娘。
裏表のある性格で、美男子や都人に弱く騙されやすい。表ではしとやかに振る舞い、理解ある女性を演じる一方、有力御家人の玉の輿に乗り、息子・政村に家督を継がせて贅沢な暮らしを送るという野心を持つ。裏では義時を辛気臭い男と称し、夫婦間の信頼関係も皆無であるため、義時からは「八重も比奈も、もう少しできた女子だった」と冷たく突き放される。また、泰時と義村には本性を見抜かれ、政子や実衣からも言動をたしなめられる。
行政ら文官たちの勧めた縁談にて義時と夫婦となり、政村を儲けると嫡男にしようと義時や政子に働きかける。承久の乱の直前、義時が相談もなく泰時にあとを託すと、義時から京都守護に任命されていた兄が上皇の命で討たれたことも相まって怒りが爆発し、義村と組んで義時に毒を盛る。しかし、それを見破られると義時の自身に対する態度への不満を吐露し、義村が黒幕だと吐き捨てる。その後、義時によって離縁はせぬまま館から追い出される。
北条泰時(ほうじょう やすとき)
(金剛 → 北条頼時 → 北条泰時)
演:坂口健太郎(幼少期:松澤禾蘭森優理斗
のちの三代執権。義時の長男。母は八重。通称は太郎(たろう)。幼名は金剛(こんごう)。初名は頼時(よりとき)。父・義時が時政から執権を継ぐ以前は江間泰時と呼ばれる。
実直で私欲は持たず、物怖じせず頑固。教養に優れ幼い頃より貞観政要を読むが、和歌は苦手。弓の腕前に長け、重忠を尊敬している。生真面目であるため冗談を真に受けることもあり、恋愛も奥手。機転が利き、物事をよく観察して的確に分析・対処する一方、空気を読まない言動をすることもあり、思い悩むと酒に逃げる。 広常の生まれ変わりとされる[* 60]
義時が源氏をないがしろにし、御家人を粛清することには公然と異を唱えるため、頼家や実朝からは北条との間に亀裂が生じたあとも信頼される。また、御家人たちとも友好な関係を保つ。義時とは度々衝突するが、反発しつつも信頼を深め、父を気遣い心配する。言動や仕草が義時の若い頃や八重を彷彿とさせることがあり、義時からは「かつての自分」として希望を託される。初とは幼い頃からの付き合いで、生真面目さを度々指摘されつつも夫婦仲は良い。鶴丸とは、義時から恨んではならぬと諭されたことで長年に渡り良好な関係を保つ。
幼い頃から万寿(源頼家)の遊び相手となり、頼家の治世となると近習に選ばれる。しかし、頼家の政治手法や横暴に苦言を呈したことで近習から外される。比企一族の討伐では一幡を密かに助けるが、義時が一幡を殺害すると反発し、頼家暗殺で親子関係に軋轢が生じる。畠山重忠の乱において初陣を飾ると、父との関係に悩みつつ父の下で政を学び、和田合戦の後に実朝に請われて側近となる。実朝が暗殺されると義時の専政を止めることを決意し政策に異を唱えるが、義時により評議から外される。後鳥羽によって義時追討の院宣が出されると、義時から鎌倉の命運を託され総大将として進撃し大勝利を収める。この後、六波羅探題に任命されると施政者として独り立ちし、学のない御家人たちでもわかる武士が守るべき定を作り始める(御成敗式目)。
(はつ)[注釈 12]
演:福地桃子(幼少期:久野楓名遠藤みのん
泰時の妻。三浦義村の娘。
父・義村の気性を受け継いだ沈着冷静な現実主義者。観察眼に優れ、物事を客観的に判断して対処し、情勢を読む力もある。泰時や盛綱とは、共に八重に育てられたという間柄であるため仲が良い。泰時との夫婦仲は良好で、夫の生真面目さを受け止め、悩みの多い夫を常に気遣う。また、度々対立する義父と夫の間を互いの気持ちを代弁しながら取り持つ。
北条朝時(ほうじょう ともとき)
演:西本たける(少年期:髙橋悠悟[* 62]
義時の次男。母は比奈。通称は次郎(じろう)。
陽気でちゃっかりとした性格で、自覚はないが機転が利く。一方、無遠慮で時に軽率な行動を取る。優秀な父・義時や異母兄・泰時に対して劣等感を抱き、自身を卑下する。義時には畏怖が勝るあまり「父を超える」という気概を持てないでいるが、泰時に対しては相談事を持ちかけるなど頼りとする。女癖が悪く、「嫁に取る」という決まり文句で何人もの女性と関係を持つ。
比企家討伐後に両親が離縁し、義時のもとに残される。御所の女房に手を出したことで実朝の怒りを買うと、義時に叱責され鎌倉を追い出される。しかし、和田合戦では初に呼び戻され、何気なく思いついた策で泰時に勝利への足掛かりを示す。泰時の進言により義時に許されると、承久の乱では泰時を補佐するよう義時から託され、泰時や時房とともに宇治川で官軍に勝利する。
北条重時(ほうじょう しげとき)
演:加藤斗真[* 63]
義時の三男。母は比奈。
北条政村(ほうじょう まさむら)
演:新原泰佑 (幼少期:林蒼央塩田宙[* 64]
義時の四男。母はのえ。烏帽子親は三浦義村。
北条時政(ほうじょう ときまさ)★
演:坂東彌十郎
初代執権。義時の父。頼朝の舅で、頼家や実朝の祖父。通称は四郎(しろう)。りくからは「しい様」、実朝からは「じじ様」、サツキからは「しいさん」と呼ばれている。
無骨な坂東武者で、武士として一度決めたら命に変えても守り抜くことを信条とする。情が深く、伊豆の所領、妻・りく、息子と娘を死に物狂いで守ることが天命であるとし、勝つためには時に卑怯な手を実行する。物怖じしない性格で、立場が上の者に対しても一切忖度はしない。また、武芸に長ける。一方で、楽観的かつお人好しなため交渉下手で、相手の口車に乗せられやすく騙されやすい。さらに、直情型のため挑発に乗りやすく、勢いに任せて後先考えずに行動しては、のちに後悔する。頭を使うことは得意とせず、政の複雑さに嫌気がさし何度も伊豆へ帰ろうとする。なおかつ面倒くさがりであるため、時に役目を放棄する。野菜の育成に自信を持っている。昔から女子には苦労していないが女性の魅力に弱く、りくの言動にしばしば振り回される。頼朝に対しては、平家を坂東から追い出すための旗印に過ぎず、娘婿でも信用していない。義澄とは悪友で、軽口を言い合う仲。
祐親に追われた頼朝を匿ったことがきっかけで、頼朝の挙兵に協力する。広常の粛清が行われると、北条が生き残る手立ては源氏に取り入り付き従う以外にないと決意を新たにし、京都守護となって全国に守護・地頭を設置することを後白河に認めさせる。その後、りくとの間に念願の男子(北条政範)をもうける。能員の娘が頼家の子・一幡を産むと、比企家の権力増大に嫉妬し娘婿の全成を次の鎌倉殿にするよう政子に頼むが、政子が頼家を次期鎌倉殿と定めると政子や義時に反発する。文官4人と景時・能員が宿老となった政治体制の構想を知ると、自身も宿老に入れるよう義時に要求する(十三人の合議制)。その後、政子の口利きで遠江守に任じられ御家人筆頭となるが、能員が一幡を嫡男にしようと動くと対立。比企の計略によって全成が斬首に追い込まれると比企一族を滅ぼすことを決意し、能員を館に呼び出して騙し討ちにする。比企一族を滅ぼしたのちは義時の提案で頼家を修善寺に幽閉し、実衣が乳母を務める千幡(源実朝)を三代鎌倉殿に就け、執権別当となって御家人の頂点に立つ。しかし、政を私物化するようになり、りくから武蔵を北条のものにするようそそのかされると娘婿・重忠とも対立する。愛息・政範の急死をきっかけにりくから畠山討伐を懇願されると、義時や時房の静止を聞かず強引に戦へと突き進んだことで義時や他の御家人と対立する。やがて、実朝を出家させて朝雅を新たな鎌倉殿に据えるというりくの計画に協力して牧氏事件を起こすが、義時に館を包囲され降伏。実朝や政子の助命嘆願、康信の配慮により出家し、りくとともに伊豆へ流罪となる。以後は二度と義時と会うことなく、10年後に死去する。晩年は近所の村娘・サツキに面倒を見てもらいながら、義時の命で蟄居先を訪ねてきた泰時や盛綱とも穏やかに語らい、達観した様子を見せた。
鶴(つる)[注釈 13]
演:吉田香織[* 65]
時政の2人目の妻。
りく
演:宮沢りえ
時政の3人目の妻。義時の継母。
公家の娘であるという矜持から自尊心や嫉妬心が強く、他者と自分を比較ばかりしている。都育ちのため権力内部の力学やからくりを知っており、その知識を活用して我欲のために他人を陥れる策を次々と巡らす。また、頼朝や義村を誘惑して情報を聞き出そうとするなど、したたかでもある。坂東に来たことについては「下向した」と思っており、京の生活が忘れられず帰りたがる。そのため、時政を出世させることが京に戻るための最善の手段であると時政をけしかける。しかし、次第に坂東の気風に馴染んで物言いも乱暴となり、北条に嫁いで良いことは1つもなかったと言いつつ嫁いだことを誇りに思っている。
時政が京入りしていた折に見初められ、妻となる。政子が頼朝の妻としての安定した地位を確立すると、夫の処遇が悪く自分も軽く扱われていると不満を抱き、頼朝が亀と逢瀬を重ねていることあえて政子にほのめかし、「後妻打ち」を耳打ちする。時政との間に待望の男子(北条政範)が生まれると、自分の子が最高権力者になることをひそかに望むようになる。また、せつが一幡を産むと、さらに比企の力が強くなることを恐れ全成を次の鎌倉殿にするよう時政をけしかける。比企一族を滅ぼした後は幼い千幡を鎌倉殿にして時政に政を行わせるよう迫り、頼家が回復すると頼家を殺すよう時政に進言する。時政が執権別当になると、千世を迎えるための使者として愛息・政範を上洛させるが、政範が娘婿・朝雅によって毒殺されると悲観に暮れる。その後、鎌倉に帰還した朝雅から、政範を毒殺したのが重保であると告げられ、時政に畠山追討を懇願する。畠山重忠の乱の後、義時が政子や広元とともに時政から政の権限を奪うと激怒。義村を味方に取り込み、実朝を出家させて朝雅を鎌倉殿に就けようと画策するが、義村が裏切ったことで館を取り囲まれると政子のもとへ向かい時政の助命を嘆願する。牧氏事件の首謀者として流罪と決まると、今後一切時政を焚き付けることはしないと義時に伝え、執権になることをためらう義時の背中を押す。後に蟄居生活に耐えられなくなり、京にいる娘のもとで華やかな生活を送る。しかし、時政のことは長年気にかけており、時房や泰時が訪ねてきた際には、時政の様子について尋ねる。
北条宗時(ほうじょう むねとき)
演:片岡愛之助
時政の嫡男。義時の同母兄。通称は三郎(さぶろう)。
真っ直ぐで楽観的な性格のため、正しいと思ったことにはひたすら突き進むが根回しが足りず、事後処理は全て義時に丸投げする。一方で武芸に長け、自身を「戦うために生まれてきた男」と称する。平家嫌いで、源氏を担いで坂東の地から平家を追い出し、坂東武者の世を作るという野望を持つ。
祐親を激怒させた頼朝を北条の館へ移し匿う。その後、平家の世に不満を持つ坂東の豪族たちを巻き込んで頼朝とともに挙兵すると、初戦では信遠らを討ち取る。しかし、続く石橋山の戦いでは平家方の軍勢に大敗する。なんとか戦場から脱出すると、頼朝が北条の館に残した仏像を取りに向かうが、善児の手に掛かり非業の死を遂げる。館に向かう直前、義時だけに「坂東武者の世の頂点に北条が立つ」という真の野望を語っており、その遺志は義時に引き継がれる。
北条時房(ほうじょう ときふさ)
(北条時連 → 北条時房)
演:瀬戸康史
時政の三男。母は鶴。義時の異母弟。通称は五郎(ごろう)。初名は時連(ときつら)。りくに「トキューサ」と聞き間違えられ、時政・実衣・後鳥羽上皇からも同様に呼ばれる。
童顔かつ人懐こい性格で、「愛嬌がある」ことを自負し、その人当たりの良さから仲裁役を務めることも多い。また、子供好きで幼い朝時や重時の遊び相手も引き受ける。一方で、義時に命じられると粛清や裏工作にも加担するなど現実主義的な一面もある。さらに、目上の人物にも物怖じせず意見し、時政の子どもたちのなかで唯一、りくにも正面きって苦言を呈する。孤立しがちな義時が唯一本心を語れる相手でもあり、良き相談相手となる。手先は不器用だが突出した蹴鞠の才を持ち、その実力は「鎌倉一の蹴鞠の名手」として京でも噂となる。実朝や善哉には蹴鞠の心構えを教えており、後鳥羽からも才能を認められる。
頼家が二代鎌倉殿となると、義時から頼まれて頼家の近習の1人となる。その後、次第に義時の手足となって動くようになり比企一族の討伐に加担、畠山討伐では義時とともに時政を制す。時政の失脚後も、義時の補佐役として実朝の唐船建造を妨害し、公暁の実朝暗殺計画を黙認する。実朝暗殺後、新たな鎌倉殿を下向させる計画が行き詰ると、義時の命で1千騎の兵を率いて上洛し、朝廷に脅しをかける。この際、蹴鞠の勝負で後鳥羽の機嫌を取り、親王の代わりとなる人物を鎌倉へ下向させることを約束させる。後鳥羽が挙兵すると、義時追討の院宣を下した鎌倉御家人の一人に選ばれるが、宇治川にて官軍を撃ち破る。承久の乱の後は、六波羅探題として西国への目配りを行いつつ、朝廷を頼らず武士が中心となって行う新たな政の形を模索する。
北条政範(ほうじょう まさのり)
演:中川翼
時政の四男。母はりく。義時と時房の異母弟。
北条家の後継者として両親の期待を一心に受けるが、実朝の正室に迎える際の使者として上洛した際、朝雅に毒を盛られ急死する。

北条家の親族・家人・従者

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牧宗親(まき むねちか)
演:山崎一
公家[4]。りくの兄。義時の義理の伯父。
都文化に通じていることから京のしきたりに厳しい。いけずな性格の持ち主で、他人の不幸を楽しんでいる節がある。責任転嫁する癖もあり、自身に害が及ぶと取り乱す。
御台所となった政子に作法や立ち居振る舞いなどの教育を施すため、りくの要請で鎌倉へ下向する。りくが提案した「後妻打ち」を引き受けると亀の屋敷を少しだけ壊すつもりだったが、屋敷を警備していた義経らに手伝わせたことで、屋敷が炎上する大事となる。激怒した頼朝により、義経を煽動した罰として(もとどり)を切られる恥辱を受ける。
伊賀光季(いが みつすえ)
演:日笠圭[* 66]
京都守護。のえの兄。義時の義兄。二階堂行政の孫。
平盛綱(たいら の もりつな)
(鶴丸 → 平盛綱)
演:きづき(少年期:佐藤遙灯
泰時の従者。幼名は鶴丸(つるまる)。
孤児だった頃は感情を表に出さず人付き合いも苦手だったが、北条家に引き取られて愛情を注がれた後は明朗快活で心優しい性格となる。泰時の補佐役として官僚的な業務をこなす一方、弓の腕前も見事であり、文武に優れる。泰時や初とは八重に育てられた間柄であり、仲が良い。特に、泰時とは身分が大きく違うものの「太郎」と呼び捨て、タメ口でしゃべり合う仲である。そのため、泰時の身に危険が及ぶときには身を呈して守ろうとするなど、忠実に泰時に仕える。また、初と同じく父と子の間を取り持つ。朝時には苦手意識を持っている。
常陸百姓の子だったが飢饉で両親を失い、孤児として八重に育てられる。川遊びで流されかけたところを八重に助けられ、成長後は頼時(泰時)に常に付き従う。義時が実質的な御家人たちの頂点に立つと、「太郎の命綱」という意味合いを込めた「盛綱」のを与えられ、源氏の世が安泰となった証として「」の姓を名乗る事を許される。また、弓の技比べで見事に的を射た功績により、晴れて御家人となる。泰時が実朝の側近として登用されてからは官僚的な業務もこなし、承久の乱では宇治川の渡河戦において自ら褌一丁で川に入り、流れ矢を肩に受けて負傷するも生き延びる。戦後、自身が生き延びたことについて「私はいつも誰かに守られている」と告げている。
善児(ぜんじ)[注釈 14]
演:梶原善
義時の下人。元は祐親・景時の家人。百姓の出身。トウからは「お師匠」と呼ばれる。
刺客として用いられ、暗殺の実行のみならず殺害の手助けや諜報活動も行う。任務中は感情を表に出さず気配を消して相手に接近し、俊敏な身のこなしと圧倒的な剣技で仕留める。感情を持ち込まず主命を粛々と実行するため、元主人や幼子を殺すことも厭わない。元百性であるため畑仕事に精通し、手先も器用である。
元は祐親の家人であり、千鶴丸や宗時らを手に掛ける。後に重忠に捕縛されると、景時の命で祐親を暗殺し、以降は景時の家人となって様々な任務を請け負う。範頼を暗殺した際、口封じに殺害した百姓夫妻の娘であったトウを後継者とする。景時が失脚すると義時の下人となる。比企能員の変の際に泰時の命で一幡を預り、ともに時間を過ごす中で思いに変化が生じる。義時から一幡暗殺を命じられると涙ながらに拒否し、トウが代わりに殺害すると墓を作る。翌年、頼家暗殺の任務を受け彼と一騎討ちを演じるも、頼家が書いた「一幡」の文字をみて動揺し、その隙に反撃され致命傷を負う。トウが頼家を殺害すると逃走を図るが、トウにとどめを刺される。
トウ[注釈 16]
演:山本千尋(少女期:高橋愛莉
善児の弟子の刺客。伊豆修善寺の百姓・五藤太の娘。
主からは刺客や諜報活動の任務を任され、冷静な性格ゆえ任務中は感情を表に出すことはない。主命とあれば幼子にも手をかける非情さを持つ一方、「主の命がなければ殺さない」という信念のもと行動する。剣技に長じ、抜群の身体能力を持つ。容姿端麗であるため、義村からは「俺の女になれ」と粉をかけられる。師匠である善児に対し強い復讐心を抱いているが、普段は一切表に出さず従い続ける。
少女時代、両親が範頼とともに殺害され、その実行犯・善児に育てられる。善児が義時の配下になるとともに仕え、比企討伐で初めて戦に参加するとせつを刺殺する。また、秘密裏に匿っていた一幡も、善児に代わって殺害する。頼家を暗殺するため修善寺へ向かうと、頼家を討ち取るとともに重傷を負った善児にもとどめを刺し、仇討ちを果たす。善児の死後はその職務を引き継ぐが、仲章の暗殺では罠にかかり捕縛される。その後、実朝暗殺事件の混乱に乗じて脱出し、その途中で絶望のあまり自害しようとしていた政子を見かけ諫める。これがきっかけで政子のもとに身を寄せ、政子から戦災孤児たちの武芸の師匠となる事を勧められると暗殺業から足を洗う。
くま
演:田中なずな
りくの侍女。

源氏

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鎌倉殿とその妻子

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源頼朝(みなもと の よりとも)
演:大泉洋[注釈 17](少年期:生駒星汰[* 69]
初代鎌倉殿源氏将軍)。源氏の棟梁。河内源氏嫡流源義朝の三男。時政の娘婿。かつての官職右兵衛権佐(うひょうえのごんのすけ)にちなんで「佐殿(すけどの)」、鎌倉入り後は「鎌倉殿(かまくらどの)」と称される。上総広常からは「武衛ぶえい)」と呼ばれている。
政略眼に長け、平家を追討して「あるべき世」に戻すために挙兵する。苦労して育ったために他人に本心を見せず、猜疑心が強いため特定の兄弟や御家人に権力が集中しないよう腐心する。また、一度疑いを持ったの者に対しては身内であっても冷酷な態度を貫き、粛清や謀略を用いることを辞さない。しかし、義時や政子、安達盛長など、信頼している特定の人物には本心を明かす。
人身掌握に優れており、「嘘も誠心誠意つけば真になる」という考えから、その場に応じた人当たりのよい態度と嘘を用いて坂東武者たちの心を掴む。しかし、所領と一族を第一と考える無骨な坂東武者とは意識の違いから悶着を招くことも多い。
武家の棟梁らしく武芸の鍛錬に励み、弓の腕前に優れる。一方で和歌を詠む才能もあり、武芸の才能は頼家に、和歌の才能は実朝にそれぞれ受け継がれている。
度々訪れる命の危機を何度も回避する運の良さを持ち、周りからは「天に守られている」と評される。信仰心に厚く、観世音菩薩を信仰して事あるごとに手を合わせ、の中にも比企尼から託された観音像を忍ばせている。
女癖が悪く、八重・政子・亀・比奈を次々に気に入る。息子・頼家からせつの他に好きな女性がいることを相談されると、「女好きは我が嫡男の証である」と頼家を褒める。
富士の巻狩りでの暗殺未遂後、もはや自分に残されている時間はあまりないと痛感するようになり、同時に強い人間不信に駆られるようになり、範頼を殺害した他周囲の人物に対しても猜疑心を募らせて次第に精神のバランスを崩していく。
だが相模川橋供養へ向かった際、巴や義時、りく、時政、政子らとの対話などを経て、「自分の運命を受け入れる」という結論に達する。橋供養から帰る道中、馬上で突然意識を喪って落馬、昏睡状態となりそのまま死去する。
政子(まさこ)
演:小池栄子
頼朝の後妻。北条時政の長女。義時の同母姉。頼朝婚姻後は「御台所(みだいどころ)」、頼朝没後に落飾して「尼御台(あまみだい)」と呼ばれる。実朝没後、次期鎌倉殿の後見となり「尼将軍(あましょうぐん)」と称する。将軍生母として従三位、後に従二位の官位を叙される。
前向きな性格で負けん気が強いが、雅やかさには目がない。北条が御家人の筆頭になることや、源氏と北条の血を引いた者が鎌倉殿となることへのこだわりは全く無く、無用な争いを嫌う。また、慈悲深く、家族に危機が迫ると自ら進んで政の世界に身を置く。他人の助言を聞き入れる柔軟性もある。為政者の妻となったことで、何気なく発した言葉の重みと影響力に戸惑うことがある。夫・頼朝とは衝突することもあるが夫婦仲は良く、頼朝も素直な感情を吐露する。頼家に十分な愛情を注げなかったことから、実朝が三代鎌倉殿に就任した後も助言や手助けを行うが、心のうちでは鎌倉殿を早々にやめて穏やかに生きてほしいと願う。そのため、実朝の乳母を務める妹・実衣とは、考え方の違いにより度々衝突する。弟・義時に対しては、政に関して頼ることが多く、頼朝が亡くなって以降は対立・牽制し合いながらも最後まで協力関係を貫き、最終回では彼の最期を看取った。
八重とは義時と結婚後に良好な関係を築き、頼朝が義時に向かってわざと八重と過ごした日々の話をすると、頼朝を一喝する。御家人たちの不満や相談事に対して積極的に耳を傾けており、彼らからの信頼も厚い。
千鶴丸(せんつるまる)
演:太田恵晴
頼朝の長男。母は八重。頼家と実朝の異母兄。泰時の異父兄。
大姫(おおひめ)
演:南沙良(幼少期:難波ありさ落井実結子
頼朝の長女。母は政子。頼家と実朝の同母姉。
本来は活発かつ無邪気で、優しい性格の持ち主。義高に一目惚れすると良好な関係を築き、生涯にわたって一途に愛する。しかし、彼が亡くなってからは傷心のあまり感情を失い、笑顔を取り戻した後も心的外傷に悩まされ、スピリチュアル的な言動や[* 70]、生を諦め死を意識した発言をするようになる。
頼朝の意向により義高の許嫁となる。義高の命が危うくなると助命のために自身の命を投げ出そうとするが、願いは叶わず心を閉ざす。その後も義高への想いを引きずり高能との婚礼を断るが、義高への愛を再確認するべく訪ねた巴から励ましを受けると前向きに生きることを決意する。しかし、後鳥羽への入内のため謁見した丹後局から強く叱責され、その夜に失踪騒ぎを起こす。義村に発見されるも発熱し、鎌倉に戻って以降も床に伏す。「死ねば義高に会える」という考えに至ったことで体調が回復することのないまま、上洛の2年後に世を去る。
三幡(さんまん)
演:東あさ美(幼年期:太田結乃
頼朝の次女。母は政子。頼家の同母妹。実朝の同母姉。乳母夫は中原親能。
源頼家(みなもと の よりいえ)
(万寿 → 源頼家)
演:金子大地(幼少期:丸山蒼來田代瑞希藤原響鳥越壮真
二代鎌倉殿。頼朝の次男(嫡男)。母は政子。時政の孫。幼名は万寿(まんじゅ)。乳母夫は比企能員で、乳母は道。官職は征夷大将軍
聡明で誇り高く、政子の負けん気の強い面を受け継く。頼朝の後継者としての気慨を強く持ち、鎌倉殿という立場の重さと日々戦いつつ政務に意欲的に取り組む。自分の力で獲物を仕留めるために何度も狩りに行ったり、幼い頃から蹴鞠の練習を毎日行ったりするなど、根気強い一面もある。一方で、困った時ほど助けを求められない性分であり、積極性が仇となって空回りすることも多い。また、血気盛んで自尊心が高く、嫉妬深い一面がある。さらに、御家人の妻を奪おうとするなど頼朝に似て女性関係にもだらしないため、度々問題行動を起こしては不要な諍いを招く。
泰時には信頼を寄せているが劣等感や嫉妬心も抱き、次第に政の方針をめぐり対立するようになる。御家人たちに対しては、幼い頃より猜疑心の強い父・頼朝の姿を見ていたことから全く信用しておらず、本音を包み隠さず言い放っては御家人たちと衝突する。また、義時や景時の意見には耳を傾けていたが、彼らが十三人の合議制を発足させたことを機に反発するようになる。一方で、比企一族の娘である側女・せつとは、当初は距離を置き冷淡な態度を取っていていたが、彼女から素直な思いを打ち明けられると思いを改め、せつとともに鎌倉をまとめていこうと決意する。
やがて御家人との対立が深まる中病にかかり、阿野全成が呪詛を行っていたという比企能員の密告を受け、全成を死に追いやるが、その直後に病状の悪化で危篤状態となり[5]、その間に比企の一族がせつ・一幡もろとも殺害されてしまう。後に病状が回復すると妻子の子を知り激怒、北条の追討を命じるも逆に将軍の座を追われ、修禅寺に幽閉される。
その後、将軍職を奪還すべく朝廷と密約結んでいたことにより、謀反の意思ありとして義時から善児とトウを派遣される。泰時からの密告でこれを知り、その晩に襲撃に来た善児と一騎討ちの末に致命傷を与えるが、直後に背後からトウに斬られて絶命する。
つつじ
演:北香那
頼家の正妻賀茂重長の娘。母は頼朝の叔父・鎮西八郎為朝の娘。
暗君の妻として謂れなき汚名を着させられ、日蔭者として目立たないように生きている。そのような中で、善哉(公暁)の成長だけを楽しみにしており、頼家の分まで生きてほしいと願う。
頼家の意志で結婚相手として選ばれ、為朝の孫娘という血筋が評価され正妻となる。公暁が実朝の暗殺を企てると、自分の生涯に悔いなど無いこと、命を危うくしてはならぬことを涙ながらに訴えて思いとどまるよう説得する。しかし、公暁に反論され失敗する。
せつ
演:山谷花純
頼家の側女(そばめ)。比企能員の娘。母は道。
芯が強く、一幡に深い愛情を注ぐ。頼家の跡継ぎに関しては、一幡と善哉のどちらがなっても良いと考えており、ただ頼家に振り向いてほしいと願う。
正妻になる予定だったが、つつじの登場により側女とされ対抗意識を持つ。頼家が、ゆうやつつじの元にのみ通うと心を痛めるが、政子から助言を得ると頼家を支えたいという素直な思いをぶつけたことで、頼家の信頼を得る。北条の比企追討によって屋敷を囲まれると道に諭され一幡を連れての脱出を図るが、トウによって殺される。
一幡(いちまん)
演:相澤壮太(幼年期:佐野仁音白井悠人
頼家の長男。母はせつ。
無邪気で活発な性格であり、その無垢な心ゆえに善児の心をも動かす。
比企一族が滅ぼされた後、泰時に助けられて善児の小屋に匿われる。善児と過ごすうちに、素性を知らずに彼を慕うようになるが、生存を知った義時の命で殺される。その際、善児が殺すことを躊躇したため、その弟子・トウに水遊びと称して連れていかれた。
公暁(こうぎょう)
(善哉 → 公暁)
演:寛一郎(幼少期:米丸玲央中野晃太朗長尾翼高平凛人
頼家の次男。母はつつじ。幼名は善哉(ぜんざい)。乳母夫は三浦義村。
頭が切れ剣の腕も立つが気性が荒い。また、思慮の浅い面があり、騙されやすい。頼家の子として生まれながら武士の名を持たぬことに劣等感を持ち、自身の名を歴史に刻みたいと願う。また、鎌倉殿の座を密かに狙う。
誕生するとつつじのもとで育てられ、比企一族の滅亡後は義村の館で匿われる。同時期、比企尼に「北条を許すな」と言い含められるが、つつじからは父親は病で亡くなったと教えられており、それを信じたまま成長する。政子の計らいで実朝の猶子となると、のちに出家。京の園城寺で6年間修行し、鎌倉に帰還する。実朝の後継者として鎌倉殿を継承する意欲を強く示していたが、実朝が皇族を新たな鎌倉殿にしようとしている事を知り憤慨。鶴岡八幡宮別当として協力するよう実朝に求められるが拒否する。その後、親王が鎌倉に下向することが決まると鎌倉殿になる夢を諦めるが、北条が父や兄を殺して実朝を鎌倉殿に祭り上げたことを義村から告げられ、幼少期に聞いた比企尼の言葉を思い出すと、自身が正当な鎌倉殿であるとして実朝と義時の暗殺を決意し、義村とともに暗殺計画を企てる。実朝の右大臣拝賀式にて計画を実行すると、実朝の暗殺には成功するが、義時と誤認して仲章を討ってしまう。逃亡中、御所にいる政子を訪ねて自身の思いを吐露し、鎌倉殿の証である義朝のしゃれこうべを持ち去るが、三浦の館へ逃げ込んだところを義村に背後から刺され討ち取られる。
源実朝(みなもと の さねとも)
(千幡 → 源実朝)
演:柿澤勇人(幼少期:吉川魁理土橋蓮水戸部巧芽嶺岸煌桜
三代鎌倉殿。頼朝の三男。母は政子。時政の孫。幼名は千幡(せんまん)。乳母夫は阿野全成で、乳母は実衣。官職は征夷大将軍右近衛権中将権大納言と順調に昇進し続け、ついに正二位右大臣左大将にまで至り、「鎌倉右大臣(かまくらうだいじん)」と称せられる。和田義盛からは「羽林うりん)」と呼ばれる。
あまり胸の内を人には話さない内向的な性格。無用な争いを好まず、雅を愛する心は政子の気性を受け継いでいる。和歌の才能は父・頼朝譲りで、藤原定家からの添削も受ける。一方で、弓や馬の稽古などは真面目に取り組んでいるものの不得手である。気遣いができ、意志が強く度胸もあることから御家人たちに慕われ、時政から「頼朝を超える鎌倉殿」、義盛から「理想の鎌倉殿」と評される。
義盛とは親しく付き合うようになり、義盛邸を訪れては政務から離れた和やかな時間を過ごす。泰時に対しては同性愛者としての恋愛感情を持ち、自身の思いを何度も和歌にする。また、泰時と強い信頼関係を築いている盛綱には嫉妬心を露にする。自身の性的指向については誰にも言えずに苦悩しており、妻・千世とも会話を避ける日々が続いていたが、子ができず苦悩する彼女の様子に心を痛め、悩みを告白した後は良好な夫婦関係を築く[* 71]
千世(ちよ)
演:加藤小夏
実朝の正室権大納言坊門信清の娘。後鳥羽上皇の従妹。
高貴な出自の姫君らしく優雅な物腰で、温和かつ気丈な性格の持ち主。政略結婚ながら実朝の良き妻であろうとし、当初は実朝と心が通じ合わず寂しさを感じていたが、彼が抱える秘密を明かされて以降は伴侶としてともに人生を歩んで行く事を決意する。
後鳥羽の意向により鎌倉に下向し、実朝と結婚する。夫婦として実朝と閨をともにすることができず、世継ぎの誕生を切望する政子や実衣の期待に応えられない事に悩んでいたが、実朝から真意を打ち明けられると良好な夫婦関係を築く。実朝が公暁に暗殺されると、遺体の手を握り占め悲しみに暮れる。その際、実朝が遺した別れの歌を発見し、政子や実衣に伝える。

鎌倉殿の従者・側近・側女

編集
安達盛長(あだち もりなが)★
演:野添義弘
頼朝の従者。は頼朝の乳母・比企尼の娘[6]。通称は藤九郎(とうくろう)。
心優しく忠義心が強い。また、観察眼に優れ、状況判断力も高い。押しに弱い面がある一方で、ならぬと思ったことには毅然と諫止することもあり、強硬な頼朝の姿勢と坂東武士との間に隙間風が生じてしまうことを常に心配する。職務熱心ではあるが名誉や官位には興味が無く、生涯無位無官で通す。涙もろいため、感激したり悔しさを感じたりした際に度々涙を流す。源氏の家人として忠節を尽くしており、頼朝が本心を明かせる数少ない人物の1人。常に頼朝と行動を共する。義時との関係性は深く、義時が八重にふられ号泣した際には抱きしめて励ます。
流人時代から頼朝に仕え、頼朝が挙兵すると坂東武者の説得にあたる。また、富士川の戦いや金砂城の戦いにも参戦し、「軍功特に大なり」と評される。その後も頼朝に常に付き従い、頼朝が亡くなると遺骨を持仏堂に納骨する役を務める。のちに出家し、頼朝の菩提を弔いながら余生を過ごすつもりでいたが、能員からの強引な勧誘を受け合議制の一員となる。頼家が息子・景盛の妻を奪おうとすると、処罰を受けることも厭わず頼家を諌める。そのため、頼家から親子共々死罪を命じられるが、政子や義時の仲裁によって命を救われる。その後、病を患うと頼朝の墓の傍に自分の骨を埋めてほしいと義時に頼み息を引き取る。
安達景盛(あだち かげもり)
(弥九郎 → 安達景盛)
演:新名基浩(少年期:渡部澪音
盛長の嫡男。比企尼の孫。幼名は弥九郎(やくろう)。
ゆう
演:大部恵理子
景盛の妻。
小笠原長経(おがさわら ながつね)
演:西村成忠
頼家の側近。通称は弥太郎(やたろう)。
中野能成(なかの よしなり)
演:歩夢
頼家の側近。通称は五郎(ごろう)。
(かめ)
演:江口のりこ
頼朝の愛妾。安房の漁師の娘[7]
頼朝の寵愛を受けるが出自に劣ることもあり、武家の娘である八重や政子に対抗心を燃やす。一方で、頼朝に相応しい女になるため文筆を学ぶなど、努力家な一面も持つ。男好きで、義村から接近されるとそれを受け入れ、広常には色目を使う。
安房では漁師の夫・権三がいたが、頼朝にはそれを伝えず召し出される。鎌倉入り後は政子の侍女頭を務める一方、内緒で頼朝と逢瀬を重ねる。頼朝から屋敷を与えられるが、亀の存在を知った政子に「後妻打ち」として屋敷を燃やされる。直前に義村によって逃されたため難を逃れ、広常の屋敷に匿われる。のちに政子の来訪を受けると、頼朝から身を引くことを約束する一方、坂東の女から憧れられる御台所として恥ずかしくない教養を身につけるよう忠告する。
よもぎ
演:さとうほなみ
大倉御所に仕える女房

源頼朝の兄弟とその関係者

編集
源範頼(みなもと の のりより)
演:迫田孝也
源義朝の六男。母は遊女。頼朝の異母弟。全成の異母兄。遠江蒲御厨で生まれ育ったため、「蒲冠者(かばのかじゃ)」「蒲殿(かばどの)」と呼ばれる。また、義村からは「くそ真面目の蒲」と呼ばれる。
生真面目かつ穏やかな性格。兄弟想いで野心はなく、人を全く疑わない。戦には堅実的な戦術で臨み、剣の腕も立つ。身分の上下に関わらず御家人たちと接するため人望も厚い。
頼朝のもとへ参上すると愚直に頼朝を補佐し、西国遠征では本軍の総大将を務めて義経とともに義仲追討を果たす。また、一ノ谷の戦いで勝利を収めると、九州へ渡って平家軍の退路を遮断する。頼朝の上洛に際して御家人たちの不満が高まるとこれをまとめ上げ、頼朝と坂東武者の間を取り持つ。しかし、富士の巻狩りにおいて頼朝が暗殺されたという情報がもたらされた際、能員に説得されて鎌倉を守るために鎌倉殿になることを決意したことで、頼朝から謀反の疑いをかけられる。その後、身の潔白を証明しようとするが、広元に断罪されると弁明する気力を失う。その後、比企尼の助命嘆願によって修善寺に幽閉され穏やかに暮らしていたが、頼朝から大姫呪詛という無実の罪を着せられ善児によって暗殺される。
阿野全成(あの ぜんじょう)
演:新納慎也
源義朝の七男。母は常盤。頼朝と範頼の異母弟。時政の娘婿。千幡(源実朝)の乳母夫。醍醐寺にて修行していたことから「醍醐禅師(だいごぜんじ)」と称する[注釈 18]。剛毅な性格から「悪禅師」と呼ばれたこともある[8]
陰陽の術に長け[* 72]、占い結果を元に助言を与え、呪詛を行うことで頼朝の政治運営を支える。しかし、結果の的中率は五分五分かつ妖術が成功することもほとんどないため、本人もそれを自覚し思い悩む。兄弟思いで人を恨むことはせず争いも好まないため、問題解決に奔走する義時に度々協力する。一方で、占い結果には忠実に従い、場合によっては頼朝に粛清を提案する。押しに弱く、断りきれず厄介事に巻き込まれることもある。北条家との関係は良好で、実衣との夫婦仲も良い。そのため、野心や出世欲はないが妻のために危険を犯すこともある。
平治の乱後、京の醍醐寺に預けられ出家する。挙兵した頼朝と合流すると占い結果で補佐し、政子が懐妊すると男子を産むためには千鶴丸の成仏が必要だとして祐親暗殺を示唆する。実衣とは鎌倉入り後に夫婦となり、千幡(源実朝)が誕生すると乳母夫になるのは「吉」という占い結果により引き受ける。頼朝が昏睡状態に陥ると、時政とりくから次期鎌倉殿になるよう説得され承諾するが、頼家が鎌倉殿となり実衣との間に距離が生まれる。時政とりくから頼家の呪詛を依頼されると、千幡を鎌倉殿とし実衣を喜ばせようとこれを承諾する。しかし、役目の重さと戦う頼家の姿を見たことで呪詛を止め、実衣へ思いを正直に告げ夫婦関係も修復される。その直後、頼家が病に倒れ、屋敷から呪詛道具が見つかると比企によって監禁される。義時や政子の奔走によって死罪は免れ、頼家から常陸に流罪を命じられるが、能員から「実衣の命が危ない」という偽情報を流され再び頼家の呪詛を行う。これが発覚し死罪となると、呪文を唱えて嵐を呼び起こした後、知家によって斬首される。
実衣(みい)[注釈 19]
演:宮澤エマ
全成の妻。北条時政の次女。義時の同母妹。千幡(源実朝)の乳母。
周りに翻弄される家族を興味津々に観察する一方、口が軽く内緒事が苦手で秘密をすぐに話してしまうため、姉・兄たちからは重要な話を事後報告されることが多い。また、正直者であるがゆえ場の空気を乱す発言をすることもある。美男子に弱く、騙されやすい。姉・政子に対しては劣等感を抱いている。実朝には、武士の手本となり、正しい政を行える鎌倉殿になってほしいと考えているため、考え方の異なる政子の介入を嫌い、政や実朝の教育方針を巡り度々衝突する。
頼朝が鎌倉入りを果たすと全成と夫婦になり、のちに千幡の乳母となる。富士の巻き狩りにて頼朝・頼家暗殺の報がもたらされると、跡を継ぐのは千幡であると権力欲を露わにする。さらに、頼朝が昏睡状態となり全成が鎌倉殿候補となると歓喜するが、政子が頼家を次期鎌倉殿と定めると敵意を露わにする。その後、琵琶の手解きを受けていた朝光の色仕掛けにかかり景時失脚の駒として利用され全成との夫婦関係が悪化する。のちに全成から正直な思いを聞き関係修復に至るが、全成は呪詛の発覚によって常陸に流罪となったのち比企の陰謀によって死罪となり、息子・頼全も京にて殺されたことで比企への憎しみを募らせる。頼家が病から回復すると、千幡を鎌倉殿とするため頼家の仏門入りに賛同する。政子とは違い、神仏は全成を護ってくれなかったとして落飾はせず実朝の乳母を続ける。乳人を務めた実朝が三代鎌倉殿となったことで御所での影響力を強めると仲章を教育係とし、実朝の正室を千世と決めて強引に縁談を進める。実朝が京から養子を迎えて大御所となることを宣言すると反対し、あわよくば時元を鎌倉殿にしようと考える。実朝暗殺後には時元を鎌倉殿に就けようと画策するが、義時に野心を利用され時元を殺される。自身も処罰の対象となり幽閉の身となるが、尼将軍となった政子に命を救われる。出家して政子の側近となると、承久の乱後には政子とともに戦で親を失った孤児たちの世話を行う。
頼全(らいぜん)
演:小林櫂人
全成と実衣の長男。
阿野時元(あの ときもと)
演:森優作(少年期:松平将馬[* 74]
全成と実衣の次男。実朝とは乳兄弟。
実朝とは、同じ源氏の一族かつ乳母子としてともに育った身でありながら鎌倉殿とその側近という扱いの差があることに不満を持つ。腹に一物持っているが一切顔には出さず、人知れず野心を滾らせる。
実朝が三代鎌倉殿に就任すると近習として仕え、時政が実朝の更迭を図った際には実朝の情報を密かに流すが、時政失脚後も近習としての務めを続ける。実朝が暗殺されて鎌倉殿が不在となると、実衣の言葉もあり鎌倉殿の後継を狙って挙兵を企てるが、義時の差し向けた軍勢に囲まれ自害する。
阿野全成と実衣の長女
演:永野ほの波[* 75]
義円(ぎえん)
演:成河
源義朝の八男。母は常盤。頼朝と範頼の異母弟。全成の同母弟。幼名は乙若(おとわか)。
文武両道に秀で、孫子の兵法和歌に精通する。また弓矢の名手でもある。素直で真っ直ぐな性格であるが故に他人を疑わず、協力を求められれば断れない。
兄弟では最後に頼朝の元へ参上する。その後、すぐに頼朝や政子の信頼を得るが、義経から嫉妬される。行家から平家討伐の誘いを受けると、義経の悪意を含んだ助言を信じて行家とともに西上するが、頼朝に認めてもらおうと功を焦ったことで墨俣川の戦いにおいて討ち死にする[注釈 20]
源義経(みなもと の よしつね)
演:菅田将暉
源義朝の九男。母は常盤。頼朝と範頼の異母弟。全成と義円の同母弟。通称は九郎(くろう)。静御前や弁慶からは「御曹司(おんぞうし)」と呼ばれている。
源氏としての誇りが強く、坂東武者と同列に扱われるのを嫌う。また、自分勝手で思い通りにならぬと暴走し、嫉妬深く兄弟にも対抗意識を燃やす。さらに、思ったことをそのまま口にすることで軋轢を生むことが多々あり、度々問題を起こしては頼朝や義時を悩ませる。一方で、母性愛に飢えており、義姉・政子に甘える一面もある。さらに、純粋で心優しき面もあり、義時に「羨ましいほどに真っ直ぐすぎた」と評される。戦の才能は突出しており、誰も考えつかぬ斬新な戦術を繰り出すが、勝つためには卑怯な手段を用いることも辞さぬため周囲の反発を招く。景時とは戦術を巡って対立するが、自身のことを一番理解してくれる人物と評価する。
頼朝が鎌倉入りする頃に参上し頼朝を感動させるが、義円を陥れたり、亀の前事件の際に館を破壊したりするなど度々問題を起こす。平家および義仲討伐(西国遠征)では先発隊の大将を務め、宇治川の戦いで義仲を破ると一ノ谷の戦いでは奇策を用いて平家軍に勝利し、後白河から検非違使に任じられる。屋島の戦いで勝利を収めたのち壇ノ浦の戦いで平家を滅ぼすが、平家が滅亡したことで戦う相手がいなくなると目的を失ったかのように「この先、私は誰と戦えばよいのだ」と呟き、「私は戦場でしか役に立たぬ」と卑下する。その後、後白河の謀略により頼朝との溝が深まると関係修復を望むが、宿舎を昌俊に襲われた際に叔父・行家から頼朝の仕業であるとそそのかされたことで頼朝追討の兵を挙げる。しかし、兵が集まらず後白河からも見捨てられたため、奥州藤原氏のもとへ逃れる。秀衡が亡くなると衣川館で里や娘と暮らしていたが、鎌倉からやってきた義時から静の悲劇を聞かされ挙兵を決意。泰衡に館を攻められると里と娘を手に掛け、義時の計略を全て見破った上で平泉を守るために死ぬことを選ぶ。その際、館へ呼び寄せた義時に鎌倉攻略の策を披露し[注釈 21]、景時に伝えるよう言い遺す。のちに首は鎌倉へ届けられ、頼朝と無言の再会を果たした。
(さと)
演:三浦透子
義経の正妻。比企尼の孫娘。比企能員の姪。
誇り高く嫉妬深い。義経に対して強烈な独占欲を持つため静に対抗意識を燃やし、手段を選ばず義経を振り向かせようとする。
源氏との繋がりを強めるため、能員により白羽の矢が立てられる。義経の西国遠征中に夫婦となるが、京にて静の存在を知りさらに義経の子を宿していることを聞くと、静を殺害するために義経の宿所を昌俊に襲撃させる。義経が挙兵に失敗し頼朝から追われる身となると、ともに奥州藤原氏のもとへ逃れ、義経との間に女児(演:泉谷星奈[* 76])を儲ける。しかし、泰衡の軍勢が迫ると、京での襲撃の真相を告白し、激昂した義経に刺殺される。
静御前(しずかごぜん)
演:石橋静河
義経の愛妾。都随一の白拍子。義経からは「(しずか)」と呼ばれている。
気丈で誇り高く、芯が強い。舞に対しては譲れない矜持を持つ。義経に誘われ川釣りに付き合うなど活動的な面もある。京言葉を話す。
後白河の命で舞を披露したことをきっかけに、義経と知り合う。里の知らぬ間に逢瀬を重ね、義経の子を身籠る。里が京へ来ると対立し昌俊の襲撃に遭う。義経が挙兵に失敗すると吉野へ逃れるが、時政の軍に捕らえられて鎌倉へ移送される。義経と別れる際、自身との関係は話さぬよう釘を刺されていたため素性を隠していたが、里の叔母・道に挑発されたことで名を明かす。のちに鶴岡八幡宮で舞を披露すると、頼朝の前で義経を慕う詩を披露し、政子に「女の覚悟」と言わしめる。のちに男児を産むが、頼朝の命で由比ヶ浜に沈められたことで鎌倉から姿を消す。
弁慶(べんけい)
演:佳久創
義経の従者。元は比叡山延暦寺の僧。義経からは「武蔵坊(むさしぼう)」と呼ばれる。
豪快な性格で武勇に優れる。恰幅の良い体格ゆえに目立ちやすい。義経を敬愛し、常に付き従う。従者たちのまとめ役を務めるが、気まぐれな義経に振り回されることも多い。主人の命には忠実に従い、時に非道徳的な行為にも手を染める。
宇治川、一ノ谷、壇ノ浦と数々の戦闘に参加し、昌俊の襲撃においても義経の窮地を救う。義経が平泉へ逃れた際にも最後まで仕え、泰衡の軍勢が迫った際には着物の下に木製の鎧を着込み、1人きりで果敢に戦う。
従者
演:福田航也[* 77]藤本康平[* 78]中村匡志[* 79]幕雄仁[* 80]東景一朗[* 81]
義経の従者。

その他の源氏一門とその関係者

編集
木曽義仲(きそ よしなか)
演:青木崇高
信濃源氏の棟梁。源頼朝らの従兄弟。
気さくかつ無骨で、私利私欲のない真っ直ぐな人物。自身の信じる正義や誠のもとに行動し、それに反する行動は一切行わない。また、身分の差を気にせず、誰に対しても平等に接する。武勇と知略に優れるが、義を重んじるため無意味な戦を嫌い、同じ源氏である頼朝とは戦を避けようとする。田舎侍ゆえ都のしきたりには無知であり、そのことで貴族たちからの信を失う。巴御前には頭が上がらない。
頼朝から平家と通じていない証として人質を差し出すよう要求され、嫡男・義高を鎌倉へ差し出す。のちに平家軍を破り(倶利伽羅峠の戦い)、入京して後白河と謁見する。しかし、三種の神器奪還の意味が理解できず公家たちを呆れさせ、兵たちが京で略奪行為を行ったことで民衆の評判も落とす。後白河から単独で平家を滅ぼすよう命じられると、備中で苦戦中、後白河が頼朝に信濃を含む東山道の支配権を与えたことを知り激怒。抗議のため都へ戻ったことで後白河から謀反の疑いをかけられ、後白河を幽閉する(法住寺合戦)。鎌倉の討伐軍が迫ると、義経が仕掛けた挑発を見破り宇治川で鎌倉軍を迎え撃つが敗走(宇治川の戦い)、北陸を目指すが近江で範頼軍に行く手を阻まれる。巴に義高への文を託して逃がした後、額を矢で射抜かれ討ち死にする。
源義高(みなもと の よしたか)
演:市川染五郎
義仲の嫡男。「清水冠者(しみずのかじゃ)」「冠者殿(かじゃどの)」と呼ばれる。
眉目秀麗かつ清廉潔白であり、父を尊敬している。気さくな人柄から、大姫や政子だけでなく、坂東武者とも打ち解ける。の抜け殻を大量に集める趣味がある。
頼朝への不戦の証に人質として鎌倉へ送られ、大姫の許嫁となる。のちに義仲が討たれると頼朝から危険視され幽閉される。盟約を反故にした頼朝とそれを止めなかった義時を恨み処刑を望んでいたが、義仲からの文で改心し義時や政子の手引きで逃亡を試みる。しかし、義時を信じきれず、寺を単身抜け出し故郷・信濃へ向かおうとしていたところを光澄に討たれる。
今井兼平(いまい かねひら)
演:町田悠宇
義仲の家人。巴の兄[* 82]。母は義仲の乳母[* 82]
海野幸氏(うんの ゆきうじ)
演:加部亜門
義高の従者。
主君のためなら自身の命が危険に晒されることも厭わない忠義者。
鎌倉入りする義高に同行し、義高が幽閉されると志願して義高を逃がすための替え玉となる。
武田信義(たけだ のぶよし)
演:八嶋智人
甲斐源氏の棟梁。
矜持が高く、強い野心を持つ。源氏の棟梁の座を巡って頼朝や義仲への対抗心を顕わにし、頼朝とは互いに牽制し合う。また、狡猾な策謀家で、相手を出し抜くためなら卑怯な手を使うことを厭わず、自らの手を下さずに相手を追い落とそうと謀略を巡らす。
頼朝と時を同じくして平家討伐の兵を挙げ、時政と義時の懐柔を図る。しかし、平家の大軍が京を出発すると頼朝からの援軍要請を承諾。富士川の戦いでは頼朝を出し抜くための策を講じるが、平家軍が勝手に敗走したため失敗する。義仲が勢力を拡大すると娘を義高に嫁がせようとするが断られ[注釈 22]、頼朝に義仲討伐を促す。一ノ谷の戦いでは頼朝軍に貢献するが、後白河からの恩賞が出ないため忠頼とともに鎌倉に赴く。その際、幽閉中の義高に接触し頼朝討伐を耳打ちする。これにより、忠頼は謀反の咎で誅殺され、自らは頼朝に忠誠を誓う起請文を書かされるが、これは甲斐源氏が御家人と同等の立場に転落することを意味することから、義時に鎌倉方の面々の異常性を訴え恨み節を吐露する。
一条忠頼(いちじょう ただより)
演:前原滉
信義の嫡男。
野心が強く、父とともに練り上げた策略を実行する。一方で、短慮な面も見られる。
信義とともに幽閉中の義高に接触し、頼朝への謀反を持ち掛ける。のちに義高を煽り謀反を企てたとする咎により、頼朝の面前で忠常に誅殺される。
源行家(みなもと の ゆきいえ)
演:杉本哲太
頼朝の祖父・源為義の十男[9]。頼朝や義仲らの叔父。通称は十郎(じゅうろう)。
矜持が高く、頼朝の家人になることを嫌う。世渡り上手で野望達成のためには嘘をつくことも辞さず、頼朝・義仲・義経らを利用する。しかし、身の危険を感じると味方をすぐに見捨てる。戦の才は無く、味方とした者は争いに必ず敗れるという「死神」のような人物[注釈 23]
以仁王による平家討伐の令旨を携えて全国を行脚し、源氏一門に決起を迫る。しかし、頼政が自害すると逃亡、頼朝が勢力を拡大させると再び平家追討を促す。これを断られると義円とともに尾張へ向かうが墨俣川の戦いで惨敗し、義円を戦死させる。その後、再度鎌倉を訪れて頼朝に所領を要求し、無下に断られると義仲の食客となる。のちに義仲とともに平家軍を蹴散らし入京するが、義仲と後白河との仲が険悪になったため密かに義仲の元を去る。平家滅亡後には義経に近付き、頼朝が義経の襲撃を命じたという嘘の情報を流して義経を頼朝討伐に導くが、義経の分が悪くなるとその元を去る。のちに鎌倉方に捕らえられ、斬首される[注釈 23]
源頼政(みなもと の よりまさ)
演:品川徹
摂津源氏の長老。公卿。伊豆の知行国主[* 83]
真っ先に平家打倒に立ち上がる行動力を持つが、感情を全く表に出さず口数も少ないため、頼朝からは人がついてこず挙兵は失敗すると判断される。
以仁王の挙兵では平家側として討伐軍を率いるが、以仁王に呼応し寝返る。激怒した清盛が差し向けた追討軍に敗れ、宇治平等院にて自害する。
源頼茂(みなもと の よりもち)
演:井上ミョンジュ
頼政の孫。
平賀朝雅(ひらが ともまさ)
演:山中崇
北条時政とりくの娘婿。比企尼の孫。官職は武蔵守
源氏の血筋を引くことを誇りとする[注釈 24]。世渡り上手で処世術に長け、立身出世に意欲を燃やす野心家。しかし、小心な保身家でもあり、その人物の程度を見切った後鳥羽に手駒として利用される。りくには贈物を送るなどして取り入り、気に入られる。
京都守護に任じられ、都と鎌倉の橋渡しのために上洛するが、下心を持って後鳥羽に接近し朝廷に取り入ろうとする。仲章に唆されると次期執権の座を狙うようになり、義弟・政範を毒殺する。この時の不審な行動を見咎めた重保と口論になると、りくに対し重保に全ての責任を擦り付ける讒言を行い、畠山重忠の乱のきっかけを作る。時政とりくが実朝の更迭を目論んだ際には次期鎌倉殿の候補とされるが、時政が失脚すると政範毒殺・畠山家滅亡・鎌倉混乱の元凶として義時に断罪され、在京の御家人により誅殺される。
きく
演:八木莉可子
朝雅の妻。北条時政の五女。母はりく。北条政範の同母姉。
朝雅が京にて誅殺されると公卿の宰相中将と再婚し、時政と別れた母・りくの身柄を引き取る。

坂東武者・御家人とその関係者

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伊豆

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伊東祐親(いとう すけちか)
演:浅野和之
伊豆東海岸の豪族・伊東家の惣領。北条義時の母方の祖父。娘が北条時政・三浦義澄・工藤祐経(のちに土肥遠平[10])に嫁いでおり、娘婿や孫たちからは「爺様(じさま)」と呼ばれている。
一族思いで娘を大事に思う一方で、敵対すると血を分けた身内でも容赦はしない。平家と敵対することを何より恐れる。
流人・頼朝を領内で監視していたが、京の大番役で留守の間に八重が千鶴丸を産んだため激怒する。これを清盛に知られるのを恐れ、善児に命じて千鶴丸を暗殺するも頼朝には逃げられる。その後、景親の仲裁で頼朝の北条家への引き渡しを認めるが、頼朝の挙兵に北条家が追随すると親族同士で敵対。石橋山の戦いでは頼朝軍を敗走させて宗時暗殺にも成功するが、次第に追い詰められ伊東の館を包囲される。この際、自害を試みるが義時に説得されて投降し、政子や義時の説得を受けた頼朝からの恩赦により死罪は免れる。しかし、頼朝の考えが転じると、恩赦の礼のために鎌倉の大倉御所へ出立しようとした矢先、善児の手にかかり暗殺される。
河津祐泰(かわづ すけやす)
演:山口祥行
祐親の長男。八重の長兄。
曽我十郎(そが じゅうろう)
(一万 → 曽我十郎)
演:田邊和也(少年期:大藤瑛史
祐泰の長男。北条時政の家人。幼名は一万(いちまん)。祐成(すけなり)[注釈 25]
剛腕で武勇に秀で、忠常とも互角に渡り合う。また、状況を冷静に判断し、的確に対応する。兄弟仲は良く、常に五郎と共に行動する。
幼少期は五郎とともに八重のもとで育てられ、父を殺した祐経を「人殺し」と罵倒する。時政を烏帽子親として元服後、御家人となることを頼朝に断られたことで源氏だけが隆盛を極める現状に不満を持ち、頼朝暗殺を計画する。同じく頼朝に不満を持つ義実と結託し、単なる仇討ちであると時政を騙して北条方の兵を借りるが、その中に居合わせた忠常に行動を怪しまれ討ち取られる。
曽我五郎(そが ごろう)
(箱王 → 曽我五郎)
演:田中俊介(少年期:加賀谷光輝
祐泰の次男。時政の家人。幼名は箱王(はこおう)。諱は時致(ときむね)[注釈 25]
血気盛んな直情型で、話すときに唾を飛ばしてしまう性分。
兄とともに頼朝を討つため立ち上がるが、頼朝と間違え祐経を殺してしまう。景時に捕らえられ頼朝と対面すると、狙ったのはあくまで頼朝であると主張するが、体裁を気にする頼朝の印象操作によって「父の仇討ち」とされ、巻狩り中に実行した罪で斬罪に処される。
伊東祐清(いとう すけきよ)
演:竹財輝之助
祐親の次男。八重の次兄。通称は九郎(くろう)。
真面目で妹思い。時に空気を読まず、言わなくても良い発言をする。宗時と仲が良く、敵味方に別れた際には戦いたくないと漏らす。
祐親が頼朝を追討を命じると、八重のために宗時と協力して頼朝を北条館へ逃がすが、父の命には逆らえず善児に命じて千鶴丸を殺害する。頼朝が挙兵すると、北条家や宗時と敵対することに苦悩する。その後、劣勢になった伊東家のため援軍を呼ぼうとするが、頼朝方に捕らえられる。祐親と同様、三浦家に預けられ死罪を免れるが、のちに父とともに善児の手にかかる。
江間次郎(えま じろう)
演:芹澤興人
祐親の家人。八重の再婚相手。
寡黙かつ物静かで従順。八重を気遣い夫として認めてもらおうと奮闘するが思いは届かず、八重の言動に振り回される。
祐親の命により、頼朝と離別させられた八重を娶る。頼朝が挙兵した際には頼朝に味方する八重に利用され、頼朝軍が勢いを増すと祐親から八重を殺すよう命じられる。和田・畠山軍に館を包囲されると悩んだ末に八重を館から逃がそうとするが、善児に阻まれ刺殺される。
工藤祐経(くどう すけつね)
演:坪倉由幸
伊豆の豪族。元は伊東家の嫡流
文化人肌で歌舞音曲に通じた風流人。その気質が都育ちの頼朝に気に入られ、寵臣となる。武芸はからきしで、襲撃や粛清に何度も失敗する。また、気が弱く図に乗りやすい。
義理の叔父かつ後見役であった祐親の娘(演:島侑子[* 84])と結婚していたが[11]、祐親に所領を奪われ妻と離縁させられる。頼朝が北条館に逃げ込むと家人になり、密命で祐親襲撃を企てるが失敗[注釈 26]、のちに再び襲撃を行い祐泰を殺害する。その後も頼朝に目をかけられ、祐親が亡くなると旧領を取り戻す[注釈 27]。頼朝から忠頼の粛清を命じられた際は怖気づき、鎌倉は恐ろしい所と悟って一度は鎌倉を離れる。しかし、その後も頼朝に引き立てられて頼朝の上洛に随行、富士の巻狩りでは比奈のもとへ出かけた頼朝の身代わりとなるが、寝所に押し入ってきた五郎に頼朝と勘違いされ殺される。
仁田忠常(にった ただつね)
演:高岸宏行
伊豆の武士。北条家とは所領が近い[12][13]
気が優しく真面目な忠義者で、穏やかな笑顔を浮かべていることが多い。また、剛腕で武勇に秀でるため、最前線での際どい任務を受け持つ。一方で、素直かつ実直な性格ゆえに駆け引きや腹芸は苦手。
頼朝の挙兵に際して北条家と同調し、頼朝や北条家の厚い信頼を得て伝令や警護・誅殺など重要な任務を請け負う。富士の巻狩りでは時政の命で曽我兄弟の仇討ちに協力するが、不審な行動を取る十郎と一騎打ちの末にこれを討ち取る。比企の乱では北条家に協力し能員を討ち取るが、のちに比企家の滅亡を知って激怒した頼家から北条討伐を命じられる。頼家と北条との板挟みになり苦悩すると、義時に相談しようとするがそれも果たせず、悩み抜いた末に御所で自害する。
工藤茂光(くどう もちみつ)
演:米本学仁
伊豆の武士。
北条家とは所領が近く、義時らと仲が良い[* 85]。非常に恰幅が良く、頼朝から太り過ぎと心配される。
石橋山の合戦の敗戦後に鎧を取り換えるため、宗時とともに所領へ戻ろうとするが、目前で善児に討たれる。
藤内光澄(とうない みつずみ)
演:長尾卓磨
伊豆の武士。

相模

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三浦義村(みうら よしむら)
演:山本耕史
三浦義澄の嫡男。義時の従弟で盟友。通称は平六(へいろく)。善哉(公暁)の乳母夫。官職は右兵衛尉
沈着冷静かつ頭脳明晰な知恵者だが、正論を皮肉交じりに語ることが多い現実主義者。基本的には情に流されず損得勘定で行動しており、時に冷徹で非情な判断を下すことも厭わない。その一方で女好きで、頼朝の先妻・八重や愛妾・亀、公家の娘である時政の後妻・りく、さらにはりくの暗殺を試みたトウにまで粉をかける。特に頼朝の元交際相手に対しては、彼女らと付き合うことで「頼朝を超える」ことができるという、義時には理解しがたい考えを持っている。義時が後妻としてのえを娶ると、会った瞬間にのえの裏の顔を見抜く。武勇にも優れており、身体能力も高い。肉体を入念に鍛え上げており、筋骨隆々の肉体美をしばしば披露している。嘘をつくときに衿を触る癖がある[14]。父・義澄からは全幅の信頼を寄せられ、相談相手になることも多々ある。頼朝については当初から快く思っておらず、義時には事あるごとに頼朝を裏切るよう助言する。実朝が三代鎌倉殿に就任すると、処世の術を授ける。
義時とは幼い頃からの付き合いであり、良き相談相手となる。しかし、心の内では頭の良さや見栄え、剣の腕前など、子供の頃から全てにおいて義時に勝っていると考えている。そんな義時が執権に就任し、自身は一介の御家人に甘んじているため、義時を越えようと執権の座を狙う。
三浦義澄(みうら よしずみ)★
演:佐藤B作
相模三浦郡の豪族[15]三浦家の惣領・三浦義明の次男[15]。妻(演:中尾文子[* 86])は伊東祐親の娘。通称は次郎(じろう)。義盛からは「叔父御」(おじご)と呼ばれている。
陽気で義理堅く、権力欲は持たない。正々堂々と戦うことを心情とし卑怯な手を嫌う。また、心優しく仲間思いで、敵方となった相手をも心配する。頭を使うことは不得意で、決断を迫られると義村に常に相談する。時政とは悪友かつ気心が知れた仲であり、時政からの頼み事は断れない。また、時政の行いを正すため叱責することもある。
頼朝の挙兵に同調するが、石橋山の戦いでは酒匂川の増水に阻まれる。この後、平家方の重忠に本拠地である衣笠城を攻められ父が戦死すると(衣笠城合戦)、安房へ逃れて頼朝らと合流し鎌倉入りする。富士川の戦いでは、富士川のほとりで時政と殴り合いの喧嘩をしたことで水鳥の群れが羽ばたき、図らずも頼朝軍を勝利へと導く。頼朝の西国遠征に反対し坂東の地盤固めを主張すると、北条家は見逃すという条件で反頼朝派の謀議に加わる。その後は平家討伐に参戦し頼朝の上洛にも随行するが、出費はかさむが所領は増えず、頼朝とその身内だけが良い思いをする現状に不満を持つ。頼家の治世となり合議制の選考が行われると、時政から北条派閥として加わるよう頼まれ、当初は渋ったものの義村の説得で引き受ける。景時が討ち取られた3日後に危篤状態となり、時政が到着すると一緒にあの世へ行こうと誘うが突き飛ばされ、直後に息を引き取る。
駒若丸(こまわかまる)
演:込江大牙
義村の息子。のちの三浦光村
三浦胤義(みうら たねよし)
演:岸田タツヤ
義澄の息子。義村の末弟。
裏表が無いまっすぐな気性の持ち主。現実主義者である兄に対し違和感を持っているがその考えを見抜き、常に義村の命に従って行動する。
兄とともに重忠の追討、重成の誅殺に加担すると、和田合戦では和田一族を裏切って北条につく。大番役で京にいた際、鎌倉で義時に対する御家人たちの不満が高まると、兄の命で後鳥羽に接近する。承久の乱では、秀康と密談して兄を味方へ勧誘する文を出し、京都守護である光季を討ち取る。しかし、泰時軍に宇治川にて敗北し、後鳥羽に出馬を願うため内裏を訪れるが拒否される。
岡崎義実(おかざき よしざね)
演:たかお鷹
義澄の叔父。三浦義明の弟。通称は平四郎(へいしろう)。
高齢ながらも血気盛んで、坂東武者の誇りが高い。忠義心厚く、義朝から受けた恩を長年忘れず、亀谷(かめがやつ)に義朝の菩提を弔う祠を建立し守っている。同じく老将の実平や秀義、常胤らと馬が合う。「御家人は頼朝の駒ではない」という考えを持ち、度々頼朝に反発する。
頼朝の挙兵では義澄らとともに戦に参加する。石橋山の戦いで息子を亡くし[注釈 28]、衣笠城が陥落すると義澄らとともに安房へ逃れる。頼朝の西国遠征には反対し、反頼朝派の謀議に参加する。その後、曽我兄弟の養父と幼馴染であった縁から、兄弟の頼朝暗殺計画に協力する。計画が失敗すると死を覚悟して出家するが、頼朝の挙兵にいち早く参加した功績により死罪は免れ鎌倉を去る。
和田義盛(わだ よしもり)★
演:横田栄司
相模の豪族。三浦家の庶流・和田家の惣領。三浦義澄の甥。義村の従兄。通称は小太郎(こたろう)。
髭を蓄えた血気盛んな荒武者。弓の名手で武芸に秀でるが[16]、戦い方は単純で頭を働かせることが苦手。平家に対して闘志をむき出しにする一方、源氏や鎌倉幕府の内紛への介入には難色を示す。御家人たちから慕われ仲間意識が強いため、坂東武者同士の争いへの加担は躊躇する。敵に対しても誠意をもって接し、姑息な手段を用いることを嫌う。事あるごとに相撲で勝敗を決めようとし、誠意や覚悟を見せるため眉毛を剃ろうとする。巴には頭が上がらず、喧嘩になると投げ飛ばされる。普段は義時、義村、重忠と行動をともにし、義時とは一対一で酒を酌み交わすほど親しく付き合う。重忠に対しては、平家方として敵対したのち頼朝に下ったことを恨んでいたが、のちに盟友となる。実朝とは、鹿汁を振る舞ったことで親しい間柄となり、「羽林」という官職であることを知ると「ウリン」と呼ぶ。実朝からは「鎌倉一の忠臣」と評される。
頼朝の挙兵に参加すると「侍大将」になりたい旨を頼朝に直訴し、鎌倉入り後に「侍所別当」に任じられる。その後も富士川の戦いや金砂城の戦いに参戦するが、西国遠征には反対し反頼朝派の謀議に参加する。義仲追討に出陣すると、巴御前の勇猛果敢な戦いぶりに惚れ込み、のちに側女とする。また一ノ谷の戦い、壇ノ浦の戦い、奥州攻めとにも従軍する。頼家の治世となるとりくの言葉を受け、二つ返事で合議制の宿老を引き受ける。時排斥を求める連判状の作成には、以前から侍所別当の座を巡って景時と対立していたため積極的に参加、景時失脚後に侍所別当へ復帰する。北条と比企の対立が深まると北条方として比企館を攻め、頼家からの時政追討の命も義村と重忠の助言を受け拒否する。実朝が三代鎌倉殿となると関係を深める。重忠が挙兵すると説得の使者に志願するが、彼の心意気に感銘を受け正々堂々戦うことを誓う。後に信を失った時政が実朝を館に監禁し出家を迫ると実朝を救出、時政失脚後には御家人たちから和田が柱になるよう要請され実朝に上総介への推挙を願い出るが、義時に阻まれ北条に不満を持つ。さらに甥・胤長が義時暗殺計画に加わり、自身の息子たちを仲間に引き入れていたことが発覚。義時に息子や甥の減刑を直談判するが胤長は陸奥国へ流罪となり胤長の幼い娘が父に会えぬまま病死、胤長の屋敷も他の御家人に下げ渡されると挙兵を決意する。しかし、実朝からの説得と政子の執り成しで義時と和解、御所にて実朝と双六に興じていたが、帰りが遅くなったことで息子たちが勝手に挙兵すると北条追討・実朝奪還を目的に戦に挑む。当初は北条方を圧倒していたが、徐々に劣勢となり巴に逃げるよう諭す。この後、実朝からの説得を受け降伏するが、義時と示し合わせた義村軍の矢を全身に受け討たれる。
巴御前(ともえごぜん)
演:秋元才加
義盛の側女。元は木曽義仲の愛妾
武勇に優れる女武者。一本眉が特徴だが、義盛のもとで過ごすようになって以降は容姿を整える。義仲とは幼馴染であり、男女の絆を超え一生を捧げて仕える決意を持つ。義盛の側女となってからはお茶目な姿も見せるようになる。義盛との関係は良好であるが、喧嘩になると義盛を投げ飛ばすなど、その強さは健在である。
義仲の愛妾時代は、兄とともに各所を転戦する。宇治川の戦いで敗れると、義仲と運命をともにしようとするが義仲から説得されて落ち延びる。その最中、義盛に捕らえられ鎌倉へ移送される。その後は義盛の元で暮らし、彼の想いを受け入れるようになる。和田合戦では夫の挙兵を手助けし、自身も出陣することを望むが、義盛に制止されて生き延びるよう諭される。和田勢の敗北の報を聞くと義盛の妻であることを高らかに宣言しつつ、追手を蹴散らしながら鎌倉を去る。
朝比奈義秀(あさひな よしひで)
演:栄信
義盛の三男。通称は三郎(さぶろう)。
血気盛んな荒武者で、武勇に優れる。鮫の刃を装飾とした首飾りを付けている。
御所に出向いた父の帰りが遅いことから北条に討たれたと早とちりし、勝手に挙兵する。実朝を奪還するため御所へ攻め込むと、父に従い勇猛果敢に戦う。義盛が討たれると、重傷を負いながらも巴に敗北の報を伝え、その場で力尽きる。
和田義直(わだ よしなお)
演:内藤正記
義盛の四男。通称は四郎(しろう)。
胤長に誘われ、義時打倒の反乱の謀議に参加する。兄たちとともに父の許しなく勝手に挙兵し、広元の館を攻める。その後、劣勢となると館に立てこもり戦死する。
和田義重(わだ よししげ)
演:林雄大
義盛の五男。通称は五郎(ごろう)。
和田胤長(わだ たねなが)
演:細川岳
義盛の甥。通称は平太(へいた)。
血気盛んな直情型であるため、騙されやすい。
泉親衡」を名乗る人物(源仲章)の口車に乗せられ、義時打倒の反乱(泉親衡の乱)の謀議に参加、さらには和田一族の者たちを謀議に引き込む。反乱鎮圧後に首謀者の1人として捕えられ、義盛の助命嘆願によって罪一等は減じられたものの奥州へ流罪となる。その後、屋敷も北条家に没収されたため、面目を失った和田一族は義時打倒の決意を固めた。
胤長の娘
演:吉田舞香
家人
演:鎌倉智士[* 87]志賀野晋平[* 88]
和田家に仕える家人。
梶原景時(かじわら かげとき)★
演:中村獅童
相模鎌倉郡の豪族[17]。通称は平三(へいぞう)。
冷静かつ冷酷で私情を挟まず、任務を粛々とこなす。武勇と戦術に長けており、戦場では冷静に状況を判断し行動する一方、型式の整った戦況報告書を書くことができ、和歌を詠むなどの教養も持ち合わせる。「刀は斬り手によって名刀にも鈍(なまくら)にもなる」として、見込んだ者を主と仰いで付き従う。職務熱心ではあるが名誉や官位には興味が無く、生涯無位無官で通す。神仏を信じており、他人の運命だけでなく、自身の運命をも天に占わせる癖がある。頼朝に対しては、出会った当初から天に守られていると感じて崇拝する。義経については、その才能に嫉妬しながらも天に選ばれた者であると認め合っており、その死後も度々回想する。義時には当初から信を置いており、普段は感情を表に出さないが義時の前では本音を語り、時に涙を見せる。
当初は平家方として頼朝を追い詰めるが、頼朝に天運を感じて見逃す。義時の仲介で頼朝の配下となると、侍所所司として頼朝が命じた諜報活動や粛清を実行するが、広常を自らの手で誅殺したことで他の御家人たちとの間に溝が生じる。西国遠征で範頼率いる本隊の軍奉行を務めると、戦術を巡って義経と対立しつつも戦いぶりを「八幡大菩薩の化身」と評価し理解を示すが、平家滅亡後は「天に選ばれた者は2人もいらない」として義経についての讒言を行う。この後も頼朝の命を忠実に実行し続け、頼朝から頼家を託されると政治体制や処罰についての助言を行い頼家の信頼を得る。しかし、宿老への就任で頼家との間に軋轢が生じ、景盛の妻の略奪を諫めたことで頼家から恨みを買う。その後、人妻略奪未遂で頼家が御家人たちの信用を失ったことから、失言によって謹慎処分となっていた朝光を見せしめとして死罪にしようとするが、逆に66人の御家人たちから自身の排斥を求める連判状が出されたことで、頼家に謹慎を言い渡される。さらに、後鳥羽から来京の誘いを受けて再起を図ろうとするも義時の密告で頼家の知るところとなり、奥州外ヶ浜への流罪を命じられる。これに対し、比企の館から一幡を拉致して人質とすることで上京を画策するが、義時の説得を受け一幡を開放。義時に坂東武者の世を作ることを再確認させ、善児を譲り渡すと鎌倉を去る。この際、義時には流罪先へ向かうと告げるが戦場で死にたいという思いから京へ向かい、その思いを察した義時の放った追っ手により駿河にて一族もろとも討ち取られる。
梶原景季(かじわら かげすえ)
演:柾木玲弥
景時の嫡男。
大庭景親(おおば かげちか)
演:國村隼
相模の豪族。「相模の奉行」と称する。
忠誠心に厚く、清盛に恩を感じ心服している。武勇に優れるが、若干短絡的な面が見られる。平家の権勢を笠に着ている面はあるものの暴慢ではないため坂東武者からは頼りにされ、のちに時政や義澄からは「悪い奴ではなかった」と評される。
平治の乱で義朝に味方したが敗れ、清盛の温情に助けられてからは平家方に与する。頼朝の引き渡しに端を発した祐親と時政の小競り合いでは、両者を仲裁する。頼朝が挙兵すると、石橋山の戦いで勝利を収め頼朝を追い詰めるが、のちに頼朝が鎌倉へ入ると景時に見限られ、経俊とともに捕らえられる。処刑時は取り乱した素振りを一切見せず、広常に対して頼朝を生かしたことを後悔しないよう警告した後、斬首される。
山内首藤経俊(やまのうちすどう つねとし)
演:山口馬木也
相模の豪族。は頼朝の乳母[11]。通称は瀧口三郎
楽観的かつ打算的で口が軽い。自主性がなく長いものに巻かれやすいため、幼い頃にともに過ごした頼朝をも平気で裏切る。また、生に対する執着心が強く往生際が悪い。
当初は頼朝の挙兵に参加することを約束するが、いざ挙兵するとそれを反故にするどころか、頼朝の使者である盛長に悪態をつき、挙兵の情報を景親に流す。その後、平家方として頼朝に弓を引くが、景親とともに捕らえられる。見苦しく弁明するが、母が頼朝に嘆願したことで斬罪は免れ、鎌倉を追放される。
土肥実平(どい さねひら)
演:阿南健治
相模土肥郷の豪族[18]。通称は次郎(じろう)。
湯河原の温泉郷に館を構える[18]。「みんな仲良く」が口癖で、仲間思いのため坂東武者同士の争いを嫌い、度々仲裁を行う。また、情に厚く自身を頼る頼朝からの協力要請を断れず、強い忠義心からどんな状況にあっても頼朝に従い続ける。また、正直者ゆえ嘘をつくことができず、押しにも弱い。
義時に頼まれ、頼朝の挙兵にいち早く呼応する。頼朝が石橋山の戦いで敗れた際には手配した小舟で安房へ脱出させる。頼朝らと鎌倉入りすると、富士川の戦いや金砂城の戦いに従軍。頼朝が義仲の討伐を決めると反頼朝派の謀議に参加するが、頼朝に弓引くことにためらい体調不良を理由に離脱する。義時に問い詰められると、謀反の計画があることをほのめかす。その後は一ノ谷の戦いや奥州攻めにも参戦する。合議制の選考の際には、自分の名前が挙がらない事を嘆き、亡き頼朝への恩返しをしたいと加入を申し出るも、「北条と比企の権力争いに巻き込まれるのでやめるべき」だと義時に退けられる。景時排斥を求める連判状が作成されると御家人たちを諌め、坂東武者同士が対立する現状を嘆いた。
佐々木秀義(ささき ひでよし)
演:康すおん[注釈 29]
元は近江の豪族。頼朝の祖父・源為義の娘婿。
歯がほとんど抜け、発言内容は不明瞭。穏やかに見えるが齢68歳ながら血気盛んで、同じ老将である義実や実平と馬が合う。
頼朝の挙兵に参陣すると、息子らとともに山木の館を襲撃する。その後、石橋山の戦いで敗れ安房へ逃れた頼朝らと合流する。
佐々木定綱(ささき さだつな)、佐々木経高(ささき つねたか)、佐々木盛綱(ささき もりつな)、佐々木高綱(ささき たかつな)
演:木全隆浩(定綱)、江澤大樹(経高)、増田和也(盛綱)、見寺剛(高綱)
秀義の息子たち。

武蔵

編集
比企尼(ひきのあま)
演:草笛光子
武蔵比企郡の代官・比企掃部允の妻[19]。常・里・比奈・安達景盛・平賀朝雅の祖母。長女は安達盛長、次女河越重頼三女は伊東祐清に嫁いでいる[19]。源頼朝の乳母
大らかな性格で慈愛に満ちているが、激昂すると執念深い。頼朝に意見することのできる数少ない人物であり、時に頼朝の頬を叩くこともある。
平治の乱により頼朝が伊豆へ配流となると、夫とともに武蔵の所領に下向する[19]。その後も長年にわたり頼朝に資金の援助を続けており、範頼が謀反の疑いをかけられた際には範頼の助命嘆願を行い、昔と変わってしまった頼朝を叱責する。比企追討によって邸宅が囲まれると、道の手引きによって脱出する。その後、善哉の前に変わり果てた姿で現れ、「北条を許してはなりませぬ」と言い含めた後に姿を消す。
比企能員(ひき よしかず)★
演:佐藤二朗
武蔵比企郡の豪族[20]。叔母である比企尼の養子。万寿(源頼家)の乳母夫であり、一幡の祖父。通称は藤四郎(とうしろう)。
飄々としているが目先の損得に流されやすく、脅しにもすぐに屈する。臆病かつ決断力に欠けるため二の足を踏むことが多く、重要な場面で勝機を逃す。加えて坂東育ちではないため、実力者ながら他の坂東武者たちからは尊敬されていない。道からは苦言を呈されることもあるが夫婦関係は良く、二人三脚で比企家の立場を押し上げる。一幡の外祖父として武士の頂に立ち京へ上るという強い権力欲を内に秘め、命の危険を回避し野望を達成するためには嘘や裏切り、殺害、買収、仲間を見捨てるといった卑怯な手を実行することも辞さない。北条を伊豆の小物と考えて対抗意識を燃やすが、義時については「北条の割には出来が良い」と評価する。
頼朝が挙兵すると当初は静観していたが、勢力を増すと接近し万寿の乳母夫となる。その後は北条家に取って代わるため源氏との繋がりを強める一方、反頼朝派の御家人たちに協力するなど立場を変える。さらに、身内である範頼を鎌倉殿にすることで比企一族の安泰を保とうと画策するが、頼朝が範頼に不審感を抱くとこれを見捨てる。せつが一幡を産み、時政に対抗するため頼家を補佐する宿老に就任すると自身が頼家を動かそうと考える。だが、頼家が反発したため全成に頼家の呪詛を依頼する。この行為が全成の死罪に繋がると北条家を激怒させ、北条家と比企家の協調にこだわっていた義時をも打倒比企家に駆り立たせてしまう。頼家が危篤に陥ると野望達成のため義村を味方に引き入れようと動くが、「関東28か国の御家人を一幡に、関西38か国の御家人を千幡に仕えさせる」という義時の提案を退けたことで、北条家に大儀名分を与えてしまう。その後、北条家が自身に有利な案を認めたことに気をよくし、和睦のために丸腰で単身北条館に乗り込んだところを騙し討ちに遭い、負け惜しみと北条家への呪詛の言葉を吐きながら忠常に討たれる。
道(みち)
演:堀内敬子
能員の妻。万寿(源頼家)の乳母。
世情に敏感で、勢いのあるものに乗りたがる。一方で、厄介事に関わる事を露骨に嫌がる。一族への思いが強く、夫と二人三脚で比企家の立場を押し上げる。また、せつや万寿に対して愛情を持って接し、同じ一族である比奈や里のことも気に掛る。
平家隆盛の中、頼朝に協力しようとする比企尼に異を唱えるが、流れが変わると源氏に取り入るよう能員をけしかける。万寿が産まれると、その乳母となる。千幡(源実朝)の乳母に実衣が選ばれると比奈を頼朝の側女にしようと画策し、富士の巻狩りにて頼朝と万寿が討たれたという報がもたらされると比企一族の娘を妻に持つ範頼を次期鎌倉殿にするよう能員を焚き付ける。比企討伐において能員が討たれ、邸宅が北条の軍勢に取り囲まれると、せつを比企尼・一幡らとともに逃げるよう差配し、自らは邸宅に残って一族滅亡の運命に殉じる。
比企時員(ひき ときかず)
演:成田瑛基
能員と道の息子。通称は弥四郎(やしろう)。
両親と同じく比企一族の繁栄のために行動し、血気盛んで暴力を用いることも厭わない。頼家に取り入るため、彼の悪政にも意見せず粛々と命を実行する。
比企宗朝(ひき むねとも)
演:Kaito
能員と道の息子。通称は三郎(さぶろう)。
常(つね)
演:渡邉梨香子
比企尼の孫娘。能員の姪。
畠山重忠(はたけやま しげただ)
演:中川大志
武蔵の豪族。名門・秩父平氏の嫡流。時政の娘婿。通称は次郎(じろう)。
武勇と教養に優れ、清廉潔白な人柄から「坂東武士の鑑」と評される。自身の見栄えの良さについては自覚している。基本的には無益な殺生は好まないが、覚悟を決めると苛烈な戦闘をも辞さない剛毅さを持つ。見た目に反して腕力は強く、激怒して打ち付けた床を凹ませるほどの力を持つ。その一方で、銅拍子の腕前も一流である。義経を裏切った泰衡が滅びると「神罰」と発言するなど信心深い。義時・義村・義盛と行動を共にすることが多く、度々相談を持ち掛けられる。
頼朝の挙兵に際しては心ならずも平家方に組するが、頼朝方が優勢になると鎌倉入り前に降伏する。その後は、頼朝と坂東武者たちとの間を取り持つ義時を陰に陽に手助けし、宇治川の戦い・一ノ谷の戦い・壇ノ浦の戦いで武功を上げる。北条家と比企家の衝突が不可避となると北条側に付き、「我々は食らいついていくしかない」と言い切り、比企館を襲撃する。実朝が三代鎌倉殿となると、時政から武蔵守就任を打診されるが、同時に代々で世襲してきた重職「惣検校職(そうけんぎょうしき)」の返上を迫られる。さらに、重保が政範を毒殺したという疑いをかけられると激怒し、武蔵にて兵を整える。のちに義時に説得され弁明のため鎌倉へ向かうが、重保が北条の手により討ち取られた事を知ると全滅覚悟で挙兵を決意。使者としてやってきた義盛から生きるよう説得されるもこれを拒絶し、「戦など誰がしたいと思うか」と心情を吐露しつつも義時率いる幕府方の大軍に寡兵を率いて突撃を敢行する。乱戦の最中に義時との一騎打ちに持ち込むと、殴り合いの末あえて義時にとどめを刺さず、晴れ晴れとした笑顔を浮かべてその場を立ち去る。その後、愛甲季隆に討ち取られる。
ちえ
演:福田愛依
重忠の妻。北条時政の三女。義時の異母妹。
重忠の妻であることに誇りを持ち、夫婦関係も良好で、重忠から信頼される。
畠山家と北条家の決裂が決定的になると、重忠より所領を譲られ後事を託される。乱の終結後、謀反人の遺言に従ってはならないとして所領安堵を固辞すると、義時と政子に対して涙ながらに抗議した後、武蔵へ帰国する。後に本領で再婚し、生まれた子に畠山の家名を存続させた。
畠山重保(はたけやま しげやす)
演:杉田雷麟
重忠とちえの息子。時政の外孫。義時の甥。
父に似て清廉潔白。真っ直ぐな性格で信念を貫き、立場が上の者や多勢に無勢であっても立ち向かう。
政範の随員として上洛した際、政範の急逝とその直前の朝雅の不審な行動を目撃し、朝雅を問い詰めて口論となる。これを義時らに報告するが、朝雅から政範毒殺の罪を擦り付けられる。時政が畠山討伐を決意すると義村の策略によって由比ヶ浜に誘い出され、武士の意地を通して抵抗し討ち取られる。
家人
演:高味翔一郎[* 89][* 90]
畠山家の家人。
足立遠元(あだち とおもと)★
演:大野泰広
武蔵の豪族。
几帳面で文筆の才能に長ける。自分の意見を持たず、他人の言動に流されやすい。自己評価は高いが、周囲からの評価がそれほどでもない事を残念に思っている。当初、政子のもとへ突然現れたため、実衣から「一番得体が知れない」と評される。
頼朝から大倉御所の差配を任されると、政子の身の回りの世話を行う。合議制の選考の際には、北条派閥として宿老となる。実朝が三代鎌倉殿となると、幽閉された頼家に呼び出され味方になるよう誘われる。この後、時政らを中心に展開される権力闘争の凄まじさに怯え、年齢を重ねたせいもあり宿老の務めをこなす自信を失った事を政子に告白する。政子から引退して所領で余生を過ごすよう勧められ、これを受け入れる。
稲毛重成(いなげ しげなり)
演:村上誠基
武蔵の豪族。秩父平氏の一門で、畠山重忠の従兄弟。時政の娘婿。
北条の婿の中では影が薄いが、あきとの夫婦仲は良好。気は弱いが、多少の野心を持つ。
北条家と畠山家が対立すると時政に命じられ、「惣検校職」を継承させるという条件で重保をおびき出す役目を引き受ける。畠山家滅亡後、時政失脚を目論む義時と広元による謀略の一環として混乱の責任を押し付けられ、捨て石として義村により誅殺される。
あき
演:尾碕真花
重成の妻。北条時政の四女。義時の異母妹。

上総・下総・安房

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上総広常(かずさ ひろつね)
演:佐藤浩市
上総の豪族。通称は介八郎(すけのはちろう)。「上総介(かずさのすけ)」と呼ばれることが多い。
自尊心が高く、若い頃は「坂東の暴れ馬」の異名を取るほどの荒くれ者。中年になって行動が慎重になり、常胤から「小さく収まった」と言われるが、時折往年の荒い気性を見せる。一方で女性に対しては自律的な面を持つ。若い頃から戦に明け暮れ学が浅いため、上京を見越して密かに書や文字の練習をする。頼朝に対しても尊大な態度を取り「佐殿」と尊称で呼ぶことを嫌がる。しかし、学がないことを義村に利用され、本来は「佐」の唐名である「武衛」を唐での「仲間」への呼びかけと入れ知恵されたため、誤解したまま「ブエイ」と呼び続ける。義時からは度々相談事を持ちかけられ、自身も義時には心を開く。
頼朝方の義時と平家方の景時から勧誘を受け、常伴の襲撃をくぐり抜けた頼朝の運を見定め2万騎の大兵力を率いて頼朝方につく。その際、頼朝の陣にあえて遅参し頼朝の出方次第ではこれを討たんと目論むが、それを見抜いた頼朝に一喝され臣従する。鎌倉入り後には御家人の筆頭となるが広元から危険視される。御家人たちが反頼朝の謀議を企てると、義時から頼まれ未然に阻止する。しかし、広元と頼朝の謀略によって謀反の首謀者とされ、景時により「誅殺」の名目で粛清される。粛清後、頼朝の大願成就と東国の泰平を願う自筆の願文が見つかる。
千葉常胤(ちば つねたね)
演:岡本信人
下総の豪族。上総広常の又従兄弟[21]
坂東の重鎮で[* 91]、老齢ながら血気盛んな坂東武者。義朝の郎党であった事を誇りとし、栄えある戦さに出られる事を誉れと考える根っからの戦人。頼朝からは「父も同然」と称される。酒を飲むと同じことを繰り返す癖があり、義経が亡くなると「九郎殿は強かった」と何度も発言する。
頼朝が安房へ逃れると、齢60歳過ぎにして下総の目代を討ち取り、いち早く味方につく。頼朝の鎌倉入り後は、富士川の戦いや金砂城の戦いに従軍するが西国遠征には反対し、反頼朝派を先導して頼朝を御所から退去させる計画を立てる。頼朝側に計画が漏れると責任を取って自害しようとするが、義時らに説得され断念、兵を退くことを条件に許される。その後は平家討伐や奥州攻めにも従軍して勝利を収める。しかし、頼朝が上洛した際には、頼朝とその身内だけが良い思いをする現状に不満を持つ。合議制の選考の際には、候補者の1人として名前が挙がるが、老年であるため外される。
安西景益(あんざい かげます)
演:猪野学
安房の豪族。頼朝とは幼馴染[* 92]
長狭常伴(ながさ つねとも)
演:黒澤光司
安房の豪族。通称は六郎(ろくろう)。

常陸・下野

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八田知家(はった ともいえ)★
演:市原隼人
常陸の豪族。
常に着物の胸元をはだけさせた格好をしており、鍛え上げた胸筋を覗かせている[* 93]。若々しく精悍な風貌だが康信と同世代で、御家人の中でも年長格[注釈 30]。「俺は俺」という考えから、高位の人物にも媚びず、あくまで自分の思いを通す誇り高き一匹狼的存在。基本的には寡黙で他人とも不必要な関わりは持たないが、任された仕事に黙々と取り組み土木作業や大工仕事にも長ける職人気質の持ち主であるため、要所要所で重要な役割を担う。また、情に厚い面もあるが女性を見る目はなく、義時とのえの婚姻を後押しする。
合議制の選考の際、能員から金品を受け取り宿老の1人となるが、比企派閥に属することは断り独断で行動する。全成が頼家を呪詛した罪で常陸に流罪となると、自らの手で全成を斬首する。頼家が危篤状態となった際、義時から比企と北条のどちらに付くか問われると、あくまでも自身は中立であると強調。時政の横暴が目に余るようになり義時が時政の追討を決意すると時政の首を刎ねるよう進言する。しかし、政子の助命嘆願を聞くと自害を試みた時政を救い出す。時政の失脚後の義時の政には不満を吐露するが、和田合戦では北条方につく。実朝の造船計画が持ち上がると現場監督となり引退前の最後の大仕事として作業に取り組むが、義時の妨害工作により建造は失敗に終わる。
佐竹義政(さたけ よしまさ)
演:平田広明
常陸の豪族。
小山朝政(おやま ともまさ)
演:中村敦
下野の豪族・小山政光の長男。義母は頼朝の乳母[注釈 31]
長沼宗政(ながぬま むねまさ)
演:清水伸
小山政光の次男。結城朝光の異母兄。
熱血漢で激高しやすく、しばしば暴言を吐く。また、直情型かつ短慮であるため、騙されやすく利用されやすい。兄貴分の知家とともに行動することが多く、知家の引退後は義村と行動を共にする。
畠山重忠の乱では北条方として参戦するが、時政に不信感を抱く。その後、畠山討伐を仕向けたのが重成と聞かされ捕縛するが、時政が重成を見捨てて殺害を命じると激怒する。和田合戦では和田軍に加わるが、義村から寝返りの策がある事を知らされ北条方につく。実朝の死後に義時の力が強まると義村とともに朝廷へ接近し、義時追討の院宣を受け取る。しかし、義村が義時に院宣の存在を伝えたため鎌倉方として参戦。その後も官軍に寝返る機会を窺うが、宇治川で鎌倉方が官軍を圧倒したため機会を失う。乱の終結後に義時から問い詰められ、義村とともに官軍に寝返ろうとしていたことを自白する。
結城朝光(ゆうき ともみつ)
演:高橋侃
小山政光の三男。母は寒河尼。頼朝の烏帽子子。通称は七郎(しちろう)。
容姿端麗で、琵琶の名手。自身の容姿を駆使し謀略を用いる策略家だが、非情にはなりきれない。
義村から景時失脚の計画を持ちかけられると承諾し、頼家の政について忠常と語る中、わざと「忠臣は二君(じくん)に仕えず」と発言することで景時から謹慎を命じられる。その後、景時から死罪を命じられると、義村の暗躍により景時排斥を求める連判状が頼家に提出されたことで死罪を免れる。景時の失脚後、義村から報酬を受け取り身を隠す。

鎌倉の文官

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三善康信(みよし やすのぶ[注釈 5])★
演:小林隆
下級公家。太政官書記。母は源頼朝の乳母の妹[22]。法名は善信(ぜんしん)[注釈 32]
心優しく温厚で、仲裁が得意。責任感や正義感が強く、違和感を感じたことに対しては臆せず苦言を呈する。また、後進の育成にも尽力する。長らく京にいた経験から朝廷の内情に詳しく、的確な助言を与える。争い事を嫌い、涙もろく情に厚いため、罪を犯した者を庇ったり減刑を望む発言をすることが度々ある。実務能力が高く忠実に仕事をこなす一方、慌てもので早とちりや早計な判断をすることがある。さらに押しに弱く、物事を頼まれると断れない。歌道は得意とは言えず、仲章から馬鹿にされる。
当初は京から都や朝廷の情勢を伝える書状を頼朝に送っていたが、のちに鎌倉に下向し問注所執事となる。頼家が二代鎌倉殿となると合議制の宿老に就任し、ほどなくして出家するが出仕を続ける。実朝が三代鎌倉殿になった後は政子からの依頼で歌道の指南役を務めつつ、実朝の政を献身的に支える。承久の乱の直前には、年齢を重ねたことで執務中に居眠りするようになるが、後鳥羽が挙兵した際には作戦会議に駆け付け、徹底抗戦を主張して義時らを後押しする。
大江広元(おおえ ひろもと[注釈 5])★
演:栗原英雄
幕府の政策を担う官僚。元は朝廷に仕える下級公家。官職は安芸(あきのすけ)[注釈 33]
頭脳明晰かつ冷静な性格。観察眼に優れ、坂東武者とは違った立場で動向を観察・分析する。また、感情に流されず「最も頼りになる者は、最も恐ろしい」という考えのもと顔色一つ変えず非情な決断を下す。一方で、情に厚い一面もある。文官ながら武芸にも秀でる。義時のことは、頼朝の存命時から頼りになる人物と評価する。また、政子に特別な感情を抱いており、彼女が迷い悩んだ際には助言や後押しをする。御家人に対しては、坂東の勇者のおかげで都落ちと嘲笑った公家たちの鼻を明かすことができたと感謝する。
頼朝の要請で鎌倉に下向し[23]、広常の誅殺や範頼の流罪など知恵袋として度々助言や進言を行い頼朝を支える。公文所が設置されると別当に就任し、頼家が二代鎌倉殿となると合議制の宿老となる。北条と比企が対立すると表向きは中立の立場を取るが比企討伐を決意した義時を支持し、その後は頼家暗殺や時政の失脚、義盛の粛清などで義時に知恵を授ける。のちに目を患うも出仕を続け、政について悩む政子に逃げてはならぬと諭す。また、義時には仲章の暗殺を提案する。出家後も政に関わり続け、承久の乱では速やかに京へ攻め上るよう義時に進言する。乱の終結後、廃位させた先帝を復権させる動きが起こると、義時に先帝の殺害を提案する。
中原親能(なかはら ちかよし[注釈 5])★
演:川島潤哉
頼朝を支える官僚。官職は斎院次官(さいいんのすけ)[注釈 33]
実直に政務をこなし、朝廷と鎌倉の繋ぎ役を務める。しかし、心の内では鎌倉を恐ろしい場所と考えている。
頼朝からの要請で鎌倉へ下向し、主に外交を担当する。鎌倉の使者として度々上洛し朝廷との橋渡しを行うが、三幡が若くして亡くなるとその死を深く悲しみ、出家して帰洛する。その後も鎌倉との関係は絶えず、朝廷に鎌倉の情報を報告する。
二階堂行政(にかいどう ゆきまさ)★
(藤原行政 → 二階堂行政)
演:野仲イサオ
頼朝を支える官僚。本姓藤原行政(ふじわら の ゆきまさ)。官職は主計(かずえのじょう)[注釈 33]
口数が少なく、表情一つ変えずに黙々と政務をこなす。秩序や法に厳しく、時に皆を一喝し厳しい沙汰を進言することも多い。のえと義時との縁談を進めた頃から権勢欲を見せ始める。
頼朝からの要請で鎌倉へ下向する。その後は政所で財務を担当し、合議制の宿老となる。時政が横暴を重ねるようになると、義時を味方に引き入れようとのえとの縁談を進める。のえとの間に政村が誕生すると、泰時を差し置いて政村を三代執権に就けようと企む。老齢により隠居生活を送るようになってからも権勢欲を捨てず、のえの元を訪れては野心を煽りたてる。

平家

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平家一門

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平清盛(たいら の きよもり)
演:松平健[注釈 34]
平家の棟梁。武士として初めて太政大臣となったことで[24]相国(へいしょうこく)」、出家しているため「清盛入道」と称される。法名は「浄海[注釈 35]
豪胆かつ狡猾で、感情の起伏が激しく執念深い。戦の才だけでなく、政治感覚にも優れる。戦経験が豊富なことから時勢の変化に敏感。
平治の乱に勝利した後、絶大な力を誇る。後白河とは蜜月の仲だったが、鹿ケ谷の陰謀が露見したことで[24]福原に幽閉し、外孫である安徳を即位させる(治承三年の政変)。以仁王の挙兵を即座に鎮圧すると、当初は頼朝の挙兵を気にも留めていなかったが、反乱が大規模になるや維盛を総大将とする大規模な追討軍を送り込む。その後、園城寺や奈良の東大寺を焼き討ちにするが病に倒れ息を引き取る。臨終の際、頼朝の首を自身の墓前に供えるよう宗盛に言い遺す。
二位尼(にいのあま)
演:大谷恭子
清盛の妻。宗盛の母。
平宗盛(たいら の むねもり)
演:小泉孝太郎
平清盛の三男[25]で後継者[* 95]。母は二位尼。
線が細く、武将としての剛毅さに欠ける。愚鈍ではないが現状認識が甘く、しばしば後手を踏む。戦の才はあまりなく、定石で戦いに挑む。また、政治的駆け引きも得意ではなく、相手を信じすぎてしまうため敵の罠にはまることもある。一方で、心優しく家族思いである。亡きに対しては、敬意を持ちつつも劣等感を感じている。
兄の死により家督を相続する[25]。頼朝が挙兵すると侮って対応が遅れ、清盛を激怒させる。清盛が死去すると後継者として平家を守ろうとするが、義仲軍が京に迫ると安徳と三種の神器を擁して都落ちする。その後、一ノ谷の戦い屋島の戦いで義経軍に敗れ、壇ノ浦の戦いにて入水するも失敗し捕らえられる。鎌倉に護送されると御簾越しの頼朝と対面し、鎌倉に入れぬ義経のため頼朝宛の書状の代筆を申し出る。義経の計らいにより、本来は罪人同士で会うことのできない清宗と最期の対面を果たす。
平清宗(たいら の きよむね)
演:島田裕仁
宗盛の嫡男。
平知盛(たいら の とももり)
演:岩男海史
清盛の四男。宗盛の同母弟。
平維盛(たいら の これもり)
演:濱正悟
清盛の嫡孫[26]。清盛の嫡男・平重盛の嫡男[26]。官職は少将[注釈 36]

伊豆の官僚

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堤信遠(つつみ のぶとお)
演:吉見一豊
伊豆の権守。山木兼隆の後見役
傲慢で態度が大きく、攻撃的で意地が悪い。坂東武者を見下し、清盛から権守に任命されたことを笠に着て義時たちに様々な嫌がらせを行う。
頼朝の挙兵の際に標的となり、時政・宗時・義時に討ち取られる。
山木兼隆(やまき かねたか)
演:木原勝利
伊豆の目代。本姓は平兼隆(たいら の かねたか)。
平家の威光を笠に着て坂東武者を見下し嘲笑う。また、時に軽口を叩く。
以仁王の挙兵の後、清盛の義弟・平時忠が伊豆の知行国主となったことから目代に任じられる。頼朝の挙兵で最初の標的となり、山木館にいたところを討ち取られる。
中原知親(なかはら ともちか[注釈 5]
演:森本武晴
伊豆の目代。下田を治める。山木兼隆の縁者。
顔が長く[* 96]、義時や宗時から「馬面」と揶揄される。

奥州藤原氏

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藤原秀衡(ふじわら の ひでひら)
演:田中泯
三代奥州藤原氏当主。官職は鎮守府将軍[注釈 37]。「奥州の覇者」と称される[27]。源義経からは「御館(みたち)」と呼ばれている。
老獪な策士で、政治的駆け引きに優れる。また、冷徹かつ慎重で状況判断力にも優れる。さらに、自らの手で鎌倉を攻め落とすという野心を内に秘める。一方で情に厚く、義経の才を認め実子のように養育する他、平家を滅ぼした義経を日本一の英雄と褒め称える。
平泉を拠点に陸奥出羽を支配して平家と並ぶ勢力を誇り、京から来た源氏の御曹司である義経を庇護する[27]。頼朝から追われた義経が平泉へ戻ると快く迎え入れるが、程なくして病に倒れ、義経を大将軍とし藤原氏が義経の下で力を合わせるよう遺言を残して亡くなる。その後、死期を悟った義経の前に霊となって姿を現す。
とく
演:天野眞由美
秀衡の正妻。のちに国衡の妻。泰衡の母。
藤原国衡(ふじわら の くにひら)
演:平山祐介
秀衡の長男。泰衡の異母兄[* 97]
好戦的な熱血漢。泰衡とは仲が悪く衝突を繰り返すが、それ以外の人物には友好的。
義時が平泉を訪れると、秀衡の遺言に従って義経の引き渡しを拒み、義時の挑発で挙兵を決意した義経に同調する。
藤原泰衡(ふじわら の やすひら)
演:山本浩司
秀衡の次男で後継者[* 98]。母は秀衡の正妻・とく。
臆病かつ慎重な性格であるため国衡とは仲が悪く、度々衝突する。また、小心者で脅しに屈しやすい。
秀衡の遺言により新たな御館となる。義時が平泉を訪れると秀衡の遺言に従い義経の引き渡しを拒むが、義経が挙兵の動きを見せると動揺し、目の前で善児に頼衡を殺されると義時の恫喝に屈する。その後、義経の館を襲撃して義経の首を鎌倉に届けるが、勝手に義経を討ったという理由で頼朝率いる大軍に攻められ、逃亡中に次郎に討ち取られる。
藤原頼衡(ふじわら の よりひら)
演:川並淳一
秀衡の六男。泰衡の異母弟。
河田次郎(かわだ じろう)
演:小林博
泰衡の家人。

朝廷

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天皇・皇族

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後白河法皇(ごしらかわほうおう)
演:西田敏行[注釈 38]
治天の君。「日本一の大天狗(ひのもといちのおおてんぐ)」と称される[* 99]
狡猾な策士であり、直轄軍を持たない中で威光を保つため、源氏と平家、頼朝・義仲・義経を様々な手段を用いて操り翻弄する。しかし、自身の立場が危うくなると怯え、責任転嫁する。朝廷の権力を守ることを使命としているが、そんな中でも乱世を楽しむ。信心深く大仏の再建に尽力し、開眼を自らの手で行うなど行動力も持ち合わせる。今様を好み、自ら歌うこともある。また、相手を騙すため医学の知識も身につける。
清盛とは表向きでは良好な関係を演じるが心の内では毛嫌いしており、頼朝の夢枕に度々現れては平家打倒の発破を掛ける。頼朝については平家討伐の駒として利用するが、権力を増大させると潰そうと企み、頼朝の理想とする世について「薄っぺらい」と一蹴する。坂東武者については見下しているが、真っ直ぐな性格により自身の命に忠実に従う義経や、自身に忖度しない時政のことは気に入り、手駒にしようとする。
清盛とは蜜月の仲であったが、間を取り持っていた清盛の義妹・建春門院(演:一木香乃[* 100])が死去すると関係が悪化し[* 101]、福原に幽閉される(治承三年の政変)。清盛が亡くなり宗盛に政権を返上されると、頼朝追討の院宣を平家に与える。のちに義仲が入京すると平家追討と三種の神器の奪還を命じるが、京のしきたりに無知な義仲に失望し頼朝と接近。義仲が討たれると義経を気に入り、義経の勝利を手助けする。その後、平家軍を破った恩賞として義経を検非違使に任じ、平家が滅びると頼朝と義経を対立させるため、義経の鎌倉帰還を幾度となく妨害する。頼朝と義経の対立が決定的となると義経に頼朝追討の宣旨を与えるが、頼朝軍が京へ迫ったため義経追討の宣旨を頼朝に与える。上洛した時政と義時にこれらの行為を問い詰められると、義経に脅されたためだと責任転嫁し、日本全国に守護地頭を設置することを容認。頼朝が上洛の意思を示すと、平家や義仲、義経を滅ぼしたことを後悔しつつも御所にて対面し、頼朝を牽制する。しばらくして死の床に伏すと、後鳥羽に「守り抜かれよ」という遺言を託して崩御する。
以仁王(もちひとおう)
演:木村昴
後白河法皇の第三皇子。
安徳天皇(あんとくてんのう)
演:相澤智咲(幼年期:伊藤光之丞
後白河法皇の第七皇子・高倉天皇の第一皇子。母は清盛の娘・建礼門院[* 102]
源氏軍の猛攻により平家軍とともに都を落ち延びると一ノ谷、屋島と逃れるが、壇ノ浦において追い詰められ幼くして入水する。
後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)
(後鳥羽天皇 → 後鳥羽上皇)
演:尾上松也(幼少期:尾上凛菊井りひと
高倉天皇の第四皇子[* 103]。安徳天皇の異母弟。後白河法皇の孫。
後白河の才能と気性を受け継ぎ、後白河の遺言を実行するため朝廷の権力増大に心を燃やす。権謀術数に長け、謀略を一種の遊戯と捉えて遊びを楽しむように様々な策を練る。また、洞察力と情報解析力に優れ、鎌倉の状況を手に取るように理解する。多芸多才の趣味人でもあり、刀・弓・蹴鞠・似絵など、常に趣味を楽しむ。坂東武者のことは見下し、特に北条家を毛嫌いする。義時については田舎者でありながら自分の頭越しに行動を起こすことに激怒し、不倶戴天の宿敵と見做す。一方で、蹴鞠という共通の趣味を持ち、その腕前も優れる時房のことは気に入り、頼りとする。自身に忠節を尽くす実朝については、北条家に対抗するための駒と考えており、後白河と同様、実朝の夢枕に現れ発破を掛ける。
安徳が都落ちすると三種の神器が無いまま4歳で践祚され[* 103]、19歳にして第一皇子(土御門天皇)に譲位し治天の君として院政を開始する。その後は、実朝が北条に取り込まれぬよう仲章を下向させ、時政失脚に成功する。しかし、跡を継いだ義時が駒である朝雅を誅殺したため激怒。京にいながら御家人たちの義時に対する不満を煽り、義時に対する実朝の不信感を増大させる。実朝が朝廷を頼るようになると、巨大な唐船の完成によって実朝の権威が高まることに期待する。また、時房の蹴鞠の腕前を見て気に入ると、自身の皇子・頼仁親王を次期鎌倉殿として下向させることを約束する。鎌倉殿が不在となると、危険な鎌倉に親王を下向させたくはないが北条の力は抑えたいと考え、三寅(藤原頼経)を下向させる。これより、全て義時の思い通りになった現状に不満を募らせる中、源氏の跡目争いが原因で頼茂が京にて挙兵した
ため義時追討を決意、鎌倉の御家人たちに義時追討の院宣を発する。しかし、鎌倉軍が官軍を撃破し入京すると状況は一変。内裏を訪れた秀康や胤義に出馬を乞われ承諾するが、兼子に説得されて後白河の遺言を思い出し最終的には拒否する。時房と対面した際は、秀康や胤義が勝手にやったこととして罪を免れようとするが、義時の裁定により隠岐島へ流される(承久の乱)。

朝廷の女性

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丹後局(たんごのつぼね)
演:鈴木京香
後白河法皇の寵妃。
政治感覚に優れ、坂東の者たちを「東夷(あずまえびす)」と呼んで牽制するなど朝廷の実力者としての凄みを見せつける。しかし、政子に対しては大きな力を持つ人物の側に仕えた「似た者同士」と感じており、助言を与えるなど厳しさの中にも愛のある発言をする。
後白河の側近的役割を果たしすと、策謀を巡らし彼に有益な策を授ける。後白河の崩御後も通親と組んで権勢を維持し、大姫の入内に協力を求める政子の見通しの甘さを叱責する。後鳥羽が院政を開始すると落飾し、修行と称して気ままな旅を楽しむ。鎌倉を訪れると尼御台としての覚悟が定まらない政子を叱咤激励し、天下人の妻としての自覚を促す。
藤原兼子(ふじわら の かねこ)
演:シルビア・グラブ
後鳥羽上皇の乳母。通称は卿二位(きょうのにい)。
後鳥羽の側近として院政を支える。相談相手を務め献策もする参謀的存在で、状況判断力に優れ咄嗟の機転も利く。交渉力に長けており高い政治手腕を持つが、有益な情報を提示されると心を乱す。基本的に後鳥羽に対して忠実だが、彼の安全と権威を守るためならあえて意向に逆らい、抑えつける事もある。強気で誇り高く、武士を終始見下し敵視する一方、政子のことは気に入り「東大寺の大仏様のよう」と称する。
後鳥羽が実朝の正室に千世を選ぶと、これに尽力。実朝から親王下向の要請があると、頼仁親王の養育係を務めていたことから彼の立身出世を目論み、上洛してきた政子と交渉、頼仁を実朝の後継者とする事で話をまとめる。しかし、実朝が暗殺されると一転して頼仁の鎌倉行きに猛反対する。後鳥羽が義時討伐の意志を示すと積極的に賛同するが、戦況が不利になると胤義・秀康の策で出馬に動きかけていた後鳥羽を説得する。

公家・武士とその一族

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九条兼実(くじょう かねざね)
演:田中直樹
摂関家の実力者。関白
意志が強く、違和感を感じると皇族相手でも暗に苦言を呈する。作法しきたりに疎い田舎侍を見下す。
頼朝とは協力関係にあったが、頼朝が大姫入内を画策すると牽制する。その後、勢力を強める通親と力関係が逆転し、慈円に朝廷の繁栄を託す。
慈円(じえん)
演:山寺宏一
兼実の弟。後鳥羽上皇に仕える僧侶。後鳥羽からは「慈円僧正(じえんそうじょう)」と呼ばれる。
親譲りの大きな鼻の持ち主。学識豊かで弁が立ち、談判を得意とする。人の本質を見抜くことが得意で、義時と対面する以前から後鳥羽と思考が似ていることを見抜く。また、夢のお告げを見ては後鳥羽に伝える。兄弟仲は深く、事後を託される。
後鳥羽の顧問として活躍し、実朝の正室選定や政子の上洛において策を授ける。一方で鎌倉との融和を図り、実朝暗殺で鎌倉殿の座が空席となると、候補として兄・兼実の曾孫かつ頼朝の妹の曾孫である三寅を推薦し、これを実現させる。しかし、この行為を政治的野心の為と見た後鳥羽に不信感を持たれ、義時追討を決断した後鳥羽を諌めたことで側近の地位を追われる。
三寅(みとら)
演:中村龍太郎(幼少期:越田一央織
四代鎌倉殿(摂家将軍)。兼実の曾孫。頼朝の妹の曾孫でもある。のちの藤原頼経
活発な幼子。母親代わりの政子にとても懐いている。
慈円の推薦により2歳で鎌倉殿となる。義時が鎌倉の第一人者であるのを見せつける狙いもあり、4歳にして着袴の儀を義時の介添えの下に行い、鎌倉殿としてお披露目される。
平知康(たいら の ともやす)
演:矢柴俊博
後白河法皇の側近。壱岐守平朝親の子[29]の名手で「鼓判官(つづみのほうがん)」と呼ばれる。
立場を追われても何度となく立ち上がる不屈の精神の持ち主。作法しきたりに疎い田舎侍を毛嫌いし、見下している。一方で、実力や才能がある者に対しては身分関係なく評価し、自分が認めた者には的確な助言を行う。蹴鞠にも優れ、頼家や時房に指導する。戦闘能力は低く、戦には弱い。
義仲が法住寺殿を襲撃すると、防戦の指揮を執るが大敗する(法住寺合戦)。その後、義経の篭絡を図る後白河に協力するが、頼朝が勢力を増大させると後白河に責任を押し付けられ都から追放される。さらに鎌倉に流れ着き頼家らの蹴鞠指南役となるがお役御免となり、押松おしまつ)と改名して後鳥羽の従者となる。後鳥羽の命で鎌倉に潜入し義時追討の院宣を有力御家人に届けるが、義村の密告によって捕縛され京へ帰される。
土御門通親(つちみかど みちちか)
演:関智一
朝廷の実力者。中納言
知謀に長けており、情報収集力も高い。景時とは以前から交流を持つ。
兼実の追い落としに成功すると、後鳥羽に自身のを入内させ、その娘が産んだ皇子を土御門天皇として即位させる。以降、後鳥羽の後見役にして土御門の外祖父として絶大な権勢を振い、鎌倉に揺さぶりをかける。
一条高能(いちじょう たかよし)
演:木戸邑弥
一条家の嫡男。頼朝の甥。
源仲章(みなもと の なかあきら)
演:生田斗真
後鳥羽上皇の側近。在京の御家人。
容姿端麗かつ学識豊かで風姿に優れる。和歌の際に秀で、藤原定家と繋がりを持つ。人の懐に入るのが得意で、特に女性を誑かす。また、弁舌の才を駆使して御家人たちを手玉に取り、意のままに操って鎌倉に揺さぶりをかける。しかし、いざとなれば表立って迅速に対応する行動力もある。情報収集力と分析力にも秀で、数々の謀略を巡らす。世渡り上手かつ野心家であるため後鳥羽の手先である事に満足せず、親王将軍の補佐役として鎌倉の実権を握るという野望達成のため、義時の座を虎視眈々と狙う。
実朝を手駒にしたい後鳥羽の命で鎌倉に下向し、歌道の指南役となり信頼を得る。一方で、京と鎌倉を行き来し、後鳥羽の策の実行役として暗躍する。また、信濃国の御家人泉親衡いずみ ちかひら)と称して胤長に近付き義時打倒の謀反を企てさせる。その後は、実朝が義時への不信感を募らせていくのに乗じて権勢を拡大させ、義時と真向から対立。のえに接近し、頼家の死の真相を探ったことで義時の怒りを買う。実朝の右大臣拝賀式ではトウに襲撃されるが逆に捕え、頼家暗殺の決定的な証拠を掴んだと義時を恫喝する。また、義時の役目であった太刀持ち役を奪い取るが、義時の殺害を狙った公暁に誤認され暗殺される。
藤原秀康(ふじわら の ひでやす)
演:星智也
後鳥羽上皇の側近。西面武士の指揮官。
顔に向こう傷のある魁偉な風貌をしている。自信家である一方で、策士として綿密な計画を立て根回しを行うなど、慎重な一面もある。武芸に長けており、強弓の使い手。
頼茂が挙兵すると、後鳥羽の命でこれを鎮圧。後鳥羽が挙兵を決意すると胤義と密談し、義村を味方に引き入れようと画策する。承久の乱では京都守護の光季を討ち取るが、泰時軍に宇治川にて敗北。後鳥羽に出馬を願うため内裏を訪れるが、後鳥羽に拒否される。

文化人

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僧侶

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文覚(もんがく)
演:市川猿之助
神護寺僧侶
怪しげで汚らしい見た目の怪人物。灰汁が強く、僧であるが強欲。また、強引で押し付けがましい。何度追い返されても諦めない不屈の精神を持ち、執念深い。口八丁手八丁の策士でもあり、頭の回転が早く機転も利くため、物事に臨機応変に対応する。
出家前は義朝とともに北面武士として院御所の護衛を務めていたとして、誰とも知れぬ髑髏を「源義朝のしゃれこうべ」と吹聴し、諸国をめぐりながら平家打倒を説いて回る。京へ戻ると後白河の依頼で清盛を呪詛し、清盛が死去したことから神護寺の僧となる。頼朝から秀衡の呪詛を依頼されると鎌倉へ下るが、役目を怠ったとして全成に役目を奪われ、常胤を中心とした反頼朝派の謀議に加わる。頼朝の死後、通親の暗殺を企てた罪で捕縛され後鳥羽の命で隠岐へ配流となる(三左衛門事件)。のちに、隠岐へ配流される後鳥羽の前に怨霊として出現する。
文陽房覚淵(もんようぼう かくえん)
演:諏訪太朗
伊豆山権現社の長。
頼朝が挙兵すると政子たちを匿い、千鶴丸に会うため寺を訪れた八重には事の顛末を伝える。
土佐坊昌俊(とさのぼう しょうしゅん)
演:村上和成
僧兵。元は興福寺の僧侶。
若い僧侶
演:坂東駿[* 104]
伊豆山権現社の僧侶。
住職
演:緒方賢一
願成就院の住職。
僧侶
演:野崎亨類[* 105]
公暁の門弟。

仏師・技師・医師

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運慶(うんけい)
演:相島一之
仏師奈良の仏師・康慶の息子[30]
身分が高いものにも忖度せず、誰に対しても軽口を叩く気さくな性格。身分に関係なく依頼者と製作者の関係以上の深入りをしない。関わった人物の風貌や人柄を鋭く観察し、本質を的確に見抜くなど洞察力に長ける。仏師としての腕は一流で、飲酒を好むが仏の前では酒を飲まないという信念を持つ。
粛清を実行する中で徐々に冷酷になっていく義時に興味を示し、いつか義時のために仏像を造りたいと語る。実朝暗殺の後、義時から自分の顔に似せた仏像を造るよう命じられ、一旦は迷いのないつまらない顔となった義時に興味はないと断るが、承久の乱の終結後に「今のおまえに、瓜二つ」として異形の像を引き渡す。これにより義時を激怒させるが、殺すまでもないとして放逐される。
陳和卿(ちん なけい)
演:テイ龍進
の技術者。
強者に迎合し、権力者の懐に入るのが得意。信を得るためなら嘘を付くことも辞さない。宋の高い技術力を持つ自信家であるが、少々抜けている面もある。
仲章の手引きで鎌倉を訪れ、実朝が見た夢を利用して取り入り渡宋を決断させる。その後、実朝に命じられ大船を設計するが、義時による妨害工作で図面が書き換えられたことに気付かぬまま造船を進め、計画は失敗する。
医者
演:春海四方
頼朝の典医
医者
演:黒板七郎
京の医者。
医者
演:康すおん[注釈 29]
佐々木秀義の孫[注釈 39]
重病を患った頼家や実朝を回復させ、体調を崩した義時を診察する。

市井の人物

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歩き巫女(あるきみこ)
演:大竹しのぶ
鎌倉に住む巫女
気迫ある怪しげな白髪の老婆。あちこちで天幕を張り、占いやまじないをしながら暮らす。占いの精度は百発百中で、未来を見通し予言する。また、出会った瞬間に人の本質を見抜き、的確な助言を与える。一方でお茶目な一面も持つ。
後年は認知症の症状が見られ、朝時から「天命に逆らうな」という言葉のみを繰り返すようになったと語られる。しかし、予言を信じる実朝はその言葉を信じ、抵抗せず公暁に討ち取られた。
サツキ
演:磯山さやか
伊豆の女性。
若くて可愛く、気立てがよい[注釈 40]。明るくて面倒見が良く、高齢の時政を世話する。時政との関係は良好で、泰時からは「祖父のことをとても気遣ってくれた」と評される。
権三(ごんぞう)
演:竹内まなぶ
安房の漁師。亀の夫。
野武士
演:慈五郎
藤平太(とうへいた)
演:大津尋葵
相模腰越の村人。
小六(ころく)
演:中村大輝
摂津の狩人。
五藤太(ごとうた)
演:藤田健彦
修善寺の農民。トウの父。
五藤太の妻
演:山田里奈
修善寺の農民。トウの母。
代官
演:沖田裕樹
伊豆の代官。
百姓
演:田村泰二郎比佐仁
伊豆の百姓。
ウメ
演:石川萌香
鎌倉の百姓。
百姓
演:細川唯関塚まいこ南一恵西岡野人高橋克明
鎌倉の百姓。

特別登場

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侍女
演:長澤まさみ[* 107]
大倉御所に仕える侍女[注釈 41]。第39回放送で登場。
徳川家康(とくがわ いえやす)
演:松本潤 
吾妻鏡」の愛読者。のちの江戸幕府初代征夷大将軍。次作の大河ドラマ『どうする家康』の主人公であり、最終回の冒頭で登場。

スタッフ

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鎌倉殿の13人紀行

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放送

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放送時間

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総合テレビでの放送分はNHKプラスで同時配信され、放送後7日間は見逃し視聴が可能。

放送日程

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  • 初回と最終回は15分拡大。
  • 第18回は本編の放送時間を45分に拡大(「紀行」コーナーを別日時で放送[注釈 43][* 108][* 109]。BS4Kでは放送時間を46分に拡大し、「紀行」コーナーも同時放送[* 110][* 111]。)。
  • 第48回は本編の放送時間を59分に拡大(第18回と同様に「紀行」コーナーを別日時で放送[注釈 44][* 112])。
放送回 放送日 サブタイトル 演出 紀行 地上波視聴率
01回 01月09日 大いなる小競り合い 吉田照幸 鶴岡八幡宮神奈川県鎌倉市
史跡 北条氏邸跡静岡県伊豆の国市
17.3%[* 113]
02回 01月16日 佐殿の腹 音無神社(静岡県伊東市
蛭ヶ島公園(静岡県伊豆の国市)
14.7%[* 113]
03回 01月23日 挙兵は慎重に 末永創 総本山園城寺滋賀県大津市 16.2%[* 113]
04回 01月30日 矢のゆくえ 三嶋大社(静岡県三島市
香山寺(静岡県伊豆の国市)
15.4%[* 113]
05回 02月06日 兄との約束 吉田照幸 石橋山古戦場(神奈川県小田原市
伊豆山神社(静岡県熱海市
13.4%[* 113]
06回 02月13日 悪い知らせ 保坂慶太 しとどの窟(神奈川県湯河原町
源頼朝船出の浜(神奈川県真鶴町
13.7%[* 113]
07回 02月20日 敵か、あるいは 末永創 玉前神社千葉県一宮町
千葉神社(千葉県千葉市
14.4%[* 113]
08回 02月27日 いざ、鎌倉 吉田照幸 寿福寺(神奈川県鎌倉市) 13.7%[* 113]
09回 03月06日 決戦前夜 保坂慶太 横割八幡宮(静岡県富士市
八幡神社(静岡県清水町
14.0%[* 113]
第10回 03月13日 根拠なき自信 安藤大佑 西金砂神社茨城県常陸太田市 13.6%[* 113]
第11回 03月20日 許されざる嘘 吉田照幸 三十三間堂京都府京都市 13.5%[* 113]
第12回 03月27日 亀の前事件 末永創 正法寺埼玉県東松山市
妙本寺(神奈川県鎌倉市)
13.1%[* 113]
第13回 04月03日 幼なじみの絆 吉田照幸 豆塚神社(静岡県伊豆の国市)
最誓寺(静岡県伊東市)
12.9%[* 113]
第14回 04月10日 都の義仲 安藤大佑 倶利伽羅古戦場(富山県小矢部市
倶利伽羅神社石川県津幡町
12.1%[* 113]
第15回 04月17日 足固めの儀式 保坂慶太 十二所果樹園(神奈川県鎌倉市)
上総介塔(神奈川県横浜市
12.9%[* 113]
第16回 04月24日 伝説の幕開け 末永創 義仲寺滋賀県大津市 12.9%[* 113]
第17回 05月01日 助命と宿命 吉田照幸 清水八幡宮(埼玉県狭山市
常楽寺(神奈川県鎌倉市)
12.5%[* 113]
第18回 05月08日 壇ノ浦で舞った男 赤間神宮山口県下関市 12.7%[* 113]
第19回 05月15日 果たせぬ凱旋 安藤大佑 若宮八幡宮(京都府京都市)
吉野山奈良県吉野町
13.2%[* 113]
第20回 05月22日 帰ってきた義経 保坂慶太 高館義経堂岩手県平泉町
接待館遺跡(岩手県奥州市
12.8%[* 113]
第21回 05月29日 仏の眼差し 末永創 願成就院(静岡県伊豆の国市) 13.2%[* 113]
第22回 06月05日 義時の生きる道 中泉慧 東大寺(奈良県奈良市
法住寺(京都府京都市)
12.9%[* 113]
第23回 06月12日 狩りと獲物 吉田照幸 頼朝の井戸の森(静岡県裾野市
曽我の隠れ岩(静岡県富士宮市
13.3%[* 113]
第24回 06月19日 変わらぬ人 安藤大佑 源範頼の墓(静岡県伊豆市 12.0%[* 113]
第25回 06月26日 天が望んだ男 吉田照幸 旧相模川橋脚(神奈川県茅ヶ崎市 12.2%[* 113]
第26回 07月03日 悲しむ前に 保坂慶太 源頼朝の墓(神奈川県鎌倉市) 12.9%[* 113]
第27回 07月17日 鎌倉殿と十三人 末永創 永福寺跡(神奈川県鎌倉市) 11.7%[* 113]
第28回 07月24日 名刀の主 安藤大佑 梶原景時館址(神奈川県寒川町
清見寺(静岡県静岡市
建長寺(神奈川県鎌倉市)
12.9%[* 113]
第29回 07月31日 ままならぬ玉 中泉慧 三浦義澄の墓(神奈川県横須賀市 11.9%[* 113]
第30回 08月07日 全成の確率 吉田照幸 大六天の森栃木県益子町
大泉寺(静岡県沼津市
11.4%[* 113]
第31回 08月14日 諦めの悪い男 保坂慶太 妙本寺(神奈川県鎌倉市) 12.1%[* 113]
第32回 08月21日 災いの種 吉田照幸 極楽寺(神奈川県鎌倉市) 11.8%[* 113]
第33回 08月28日 修善寺 末永創 源頼家の墓(静岡県伊豆市) 10.2%[* 113]
第34回 09月04日 理想の結婚 中泉慧 六角堂(頂法寺)(京都府京都市)
小野城跡(三重県亀山市
11.9%[* 113]
第35回 09月11日 苦い盃 保坂慶太 畠山重忠公史跡公園(埼玉県深谷市
菅谷館跡(埼玉県嵐山町
11.2%[* 113]
第36回 09月18日 武士の鑑 末永創 畠山重忠公碑(神奈川県横浜市) 12.4%[* 113]
第37回 09月25日 オンベレブンビンバ 小林直毅 円覚寺(神奈川県鎌倉市) 12.6%[* 113]
第38回 10月02日 時を継ぐ者 吉田照幸 願成就院(静岡県伊豆の国市) 11.7%[* 113]
第39回 10月16日 穏やかな一日 保坂慶太 十国峠・源実朝の歌碑(静岡県熱海市)
鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)
12.0%[* 113]
第40回 10月23日 罠と罠 中泉慧 光念寺(神奈川県三浦市
正行院(神奈川県横須賀市)
11.3%[* 113]
第41回 10月30日 義盛、お前に罪はない 吉田照幸 和田塚(神奈川県鎌倉市)
善栄寺(神奈川県小田原市)
11.3%[* 113]
第42回 11月06日 夢のゆくえ 末永創 船玉神社(神奈川県藤沢市
実朝歌碑(神奈川県鎌倉市)
11.3%[* 113]
第43回 11月13日 資格と死角 吉田照幸
松本仁志
明王院(神奈川県鎌倉市) 11.5%[* 113]
第44回 11月20日 審判の日 保坂慶太 覚園寺(神奈川県鎌倉市) 11.0%[* 113]
第45回 11月27日 八幡宮の階段 安藤大佑 鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)
源実朝公御首塚(神奈川県秦野市
06.2%[* 113][注釈 45]
第46回 12月04日 将軍になった女 末永創 多摩川浅間神社東京都大田区
雲林寺(神奈川県横浜市)
安養院(神奈川県鎌倉市)
11.3%[* 113]
第47回 12月11日 ある朝敵、ある演説 吉田照幸
谷口尊洋
聖福寺福岡県福岡市
名超寺(滋賀県長浜市
11.9%[* 113]
最終回 12月18日 報いの時 吉田照幸 北条小町邸跡(神奈川県鎌倉市)
北条義時の墓(神奈川県鎌倉市)
14.8%[* 113]
平均視聴率 12.7%(視聴率ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム)

放送時間変更・休止

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総合テレビ・再放送枠における放送休止など

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再放送枠以外での再放送

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  • 1月23日(日曜日)の13時05分 - 14時50分に総合テレビで初回と第2回を連続再放送。
  • ミッドナイトチャンネル・深夜のイッキ見!」編成の一環としてのキャッチアップ放送として、2月17日(16日深夜)と18日(17日深夜)に総合テレビで第1回から第6回までを集中再放送。また7月10日分の放送休止に合わせて、7月16日(15日深夜)から18日(17日深夜)に総合テレビで第18回から第25回までを一挙再放送[* 115]。これらの再放送はNHKプラスで同時配信され、放送後7日間は見逃し視聴が可能であった。

ダイジェスト

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1か月分の放送をダイジェストにした「20分でわかる!『鎌倉殿の13人』」を放送。ナレーターは木村昴。放送内容は前後編に分けてNHKの公式YouTubeでも公開。

また、各回のダイジェストの初回放送時はそれまでの放送分も合わせて放送された。これらの放送はNHKプラスで同時配信され、放送後7日間は見逃し視聴が可能であった。

放送回 初回放送日 放送時間 本編回
01月ダイジェスト 02月06日(5日深夜) 01時31分 - 01時51分 01回 - 第04回
02月ダイジェスト 03月05日(4日深夜) 02時45分 - 03時05分 05回 - 第08回
03月ダイジェスト 04月03日(2日深夜) 00時10分 - 00時30分 09回 - 第12回
04月ダイジェスト 05月02日(1日深夜) 02時55分 - 03時16分 第13回 - 第17回

総集編

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2022年12月29日に総合で、12月31日と1月2日にBS4Kで放送(4部構成)。

放送回 放送時間(総合) 放送時間(BS4K) 放送時間(BS4K) 本編回
第一章 13時05分 - 14時15分 23時45分 - 00時55分 08時00分 - 09時10分 01回 - 第13回
第二章 14時15分 - 15時20分 00時55分 - 02時00分 09時10分 - 10時15分 第14回 - 第23回
第三章 15時25分 - 16時31分 02時00分 - 03時06分 10時15分 - 11時21分 第24回 - 第36回
最終章 16時31分 - 17時40分 03時06分 - 04時15分 11時21分 - 12時30分 第37回 - 第48回

関連番組

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  • ラジオ深夜便 〜もっと、鎌倉殿の13人〜(NHKラジオ第1NHK-FM
  • 鎌倉殿サミット2022 〜源頼朝 死をめぐるミステリー 日本史上の大転換点〜(2022年1月2日、NHK BSプレミアムNHK BS4K
  • チコちゃんに叱られる! 新春拡大版スペシャル! 鎌倉殿の13人が見たい!(2022年1月2日、NHK総合) - ゲスト出演は菅田将暉、中川大志、佐藤浩市。
  • 北条ファミリーが語る!『鎌倉殿の13人』放送直前SP(2022年1月3日、NHK総合)
  • 50ボイス「鎌倉殿の13人」(2022年1月3日、NHK総合) - 司会は小池栄子。
  • 英雄たちの選択(NHK BSプレミアム)
    • 北条義時・チーム鎌倉の逆襲(2022年1月5日)
    • 頼朝暗殺未遂!? 曽我兄弟敵討ち事件の深層(2022年6月8日)
    • 鎌倉殿暗殺!源実朝 禁断の政治構想(2022年10月5日)
  • 歴史探偵(NHK総合) - 所長(司会)は佐藤二朗。
    • 「武士の都・鎌倉」(2022年1月12日)
    • 「ヒーロー 源義経」(2022年4月27日) - ゲスト出演は迫田孝也。
    • 「源平合戦 壇の浦の戦い」(2022年5月4日)
    • 「北条政子」(2022年6月15日) - VTR出演は小池栄子。
    • 「鎌倉バトルロイヤル」(2022年7月20日) - ゲスト出演は山本耕史。
    • 「3代将軍 源実朝」(2022年10月12日) - ゲスト出演は柿澤勇人。
    • 「後鳥羽上皇と承久の乱」(2022年11月2日)
  • 土曜スタジオパーク(NHK総合)
    • 「鎌倉殿の13人」特集 - 小栗旬(2022年1月15日)
    • 「鎌倉殿の13人」特集 - 坂東彌十郎(2022年2月26日)
    • 「鎌倉殿の13人」特集 - 佐藤浩市(2022年4月16日)
    • 「鎌倉殿の13人」壇ノ浦直前SP - 菅田将暉(2022年1月15日)
    • 「鎌倉殿の13人」特集 - 小池栄子(2022年8月27日)
    • 「鎌倉殿の13人」特集in京都 - 山本耕史(2022年12月3日)
    • 「グレーテルのかまど」「鎌倉殿の13人」特集 - 瀬戸康史(2022年12月17日)
  • ロコだけが知っている「大河"鎌倉殿の13人"SP!静岡伊豆の国市&東京板橋の魅力」(2022年1月19日、NHK総合)- ゲスト出演は坂東彌十郎と小池栄子。
  • 日本人のおなまえ「山本耕史&中川大志も初耳!『鎌倉殿の13人』SP」(2022年1月27日、NHK総合)[* 117]- ゲスト出演は山本耕史と中川大志。
  • 鎌倉DAYS(2022年1月29日、NHK総合)[* 118]
    • 「鎌倉LOVEの13人」※全4部(① 9:30-10:00、② 10:50-10:55、③ 11:22-11:24、④ 11:49-11:54)- ゲスト出演は坂東彌十郎、宮澤エマ、坪倉由幸。
    • 「走れ!鎌倉」(11:24-11:49)- ゲスト出演は山本耕史。
  • チャリダー★快汗!サイクルクリニック "鎌倉殿の13人"スペシャル(2022年1月29日、NHK BS1[* 119]- ゲスト出演は山本耕史。
  • 体感!「鎌倉殿の13人」の世界~鎌倉・伊豆~(2022年3月3日、NHK BSプレミアム)- ゲスト出演は山本耕史、ナレーションは高岸宏行。
  • 沼にハマってきいてみた「鎌倉幕府沼 大河ドラマとコラボ!」(2022年3月9日、Eテレ)- ゲスト出演は高岸宏行。
  • 決戦!源平の戦い(2022年4月9日、NHK BSプレミアム・NHK BS4K)- ゲスト出演は秋元才加。
  • プロフェッショナル 仕事の流儀「小栗旬スペシャル」(2022年5月3日、NHK総合)
  • 義経のスマホ(2022年5月24日 - 6月3日、NHK総合)
  • 新・にっぽんの芸能(Eテレ)
    • 坂東彌十郎と見る「鎌倉殿」と歌舞伎(2022年5月27日)- ゲスト出演は坂東彌十郎。
    • 鎌倉ゆかりの芸能スペシャル「賤の苧環」IN鶴岡八幡宮(2022年10月28日)- ゲスト出演は坂井孝一。
  • 100カメ「鎌倉殿の13人」(2022年6月14日、NHK総合)[* 120]
  • 美の壺「いざ鎌倉 武士たちの美意識」(2022年7月22日、NHK BSプレミアム・NHK BS4K)
  • 「鎌倉殿の13人」応援感謝!ウラ話トークSP〜そしてクライマックスへ〜(2022年10月9日、NHK総合)
    • ディープバージョン(2022年10月17日、NHK総合) - 60分拡大版。
  • 先人たちの底力 知恵泉(NHK総合)
    • 「イノベーション! 誕生 御成敗式目 北条泰時」(2022年11月22日) - ゲスト出演は坂東彌十郎。
  • ドラマの裏側×SDGs(2022年12月4日、NHK総合)
  • 鎌倉殿の13人 〜オープニング13の秘密〜(2022年12月11日、NHK総合)- 出演はエバン・コール、当番組制作スタッフ。
  • 三谷幸喜の言葉 〜『鎌倉殿の13人』の作り方〜(2022年12月17日、NHK総合)- 出演は三谷幸喜、ナレーションは山寺宏一。
  • グランドフィナーレ〜『鎌倉殿』の最後の一日(2022年12月27日、NHK総合)
  • 小栗旬×松本潤 今だからこそ、大河について話そう(2023年2月12日、NHK総合)

受賞・反響

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受賞

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  • 2022年10月11日、「第七十回菊池寛賞」が発表され、三谷幸喜が受賞した[* 121]
  • 同年11月28日、イー・ガーディアンが主催する「SNS流行語大賞2022」が発表され、テレビ・映画部門での部門賞を『鎌倉殿の13人』が受賞した[* 122]
  • 同年11月30日、「GQ メン・オブ・ザ・イヤー2022」が発表され、メン・オブ・ザ・イヤー・ベスト・アクター賞を大泉洋が(他作品での活動も合わせて)受賞した[* 123]
  • 同年12月5日、「Yahoo!検索大賞2022」が発表され、作品カテゴリー・ドラマ部門で、『鎌倉殿の13人』が1位となった[* 124]
  • 2023年1月20日、「2022年12月度ギャラクシー賞月間賞」が発表され、『鎌倉殿の13人』が受賞した[* 125][注釈 47]
  • 同年2月2日、「2022年エランドール賞」の授賞式が行われ、特別賞を「『鎌倉殿の13人』制作チーム」が、新人賞を中川大志が(他作品での活動も合わせて)受賞した[* 126]
  • 同年2月16日、「第13回ロケーションジャパン大賞」の授賞式が行われ、『鎌倉殿の13人』と静岡県伊豆の国市が準グランプリを受賞した[* 127]
  • 同年2月22日、「第114回ザテレビジョンドラマアカデミー賞」が発表され、最優秀作品賞を『鎌倉殿の13人』が、脚本賞を三谷幸喜が受賞した[* 128]
  • 同年3月17日、「第74回日本放送協会放送文化賞」が発表され、三谷幸喜が受賞した[* 129]
  • 同年4月1日、「第31回橋田賞」が発表され、橋田賞を小池栄子が受賞した[* 130]
  • 同年4月4日、「第41回向田邦子賞」が発表され、三谷幸喜が受賞した[* 131][注釈 48]。5月23日に行われた贈賞式には、三谷氏を祝福するため29人のキャスト陣が集結した[* 133]
  • 同年4月28日、「第60回ギャラクシー賞」が発表され、テレビ部門の個人賞を長澤まさみが(他作品での活動も合わせて)受賞した[* 134]
  • 同年7月13日、「第15回伊丹十三賞」が発表され、三谷幸喜が受賞した[* 135]
  • 同年10月14日、「第50回伊藤熹朔賞」の受賞式が行われ、ドラマ部門の協会賞を『鎌倉殿の13人』「第18回 壇ノ浦で舞った男」が受賞した[* 136]
  • 同年10月24日、東京ドラマアウォード2023が発表され、作品賞・連続ドラマ部門の優秀賞を『鎌倉殿の13人』が、個人賞の主演男優賞を小栗旬が受賞した[* 137]

反響

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  • 2022年1月9日の初回放送当日に行われた「グランド・プレミアin伊豆の国」の観覧には1万2000通を超える応募があり、倍率は約40倍となった[* 138]
  • 第1回のBSプレミアムの放送をうけ、Twitterでは「#鎌倉殿の13人」のタグを使用したツイートがTwitterトレンド世界1位となり[* 139]、その後も36話まで21話連続で1位となった[* 140]。最終的に、48回中42回で1位を獲得した[* 59]。また、12月29日に放送された総集編でも、「#鎌倉殿の13人総集編」がトレンド1位となった[* 141]
  • 今作では、出演者がドラマについて語るトークショーが各地で積極的に開かれ、全国19の都道府県、51会場でトークショーが行われた[* 142]
  • 主演の小栗は、新型コロナウイルスの感染を予防するため撮影時に着用していたマスクに様々なメッセージを書いており、その内容が話題となった[* 143]。中でも「全部大泉のせい」はSNS上で話題となり、イー・ガーディアンが主催する「SNS流行語大賞2022」にノミネートされた[* 144]
  • 2022年10月9日に放送された「『鎌倉殿の13人』応援感謝!ウラ話トークSP~そしてクライマックスへ~」では、放送終了後にSNS上で「ノーカット版を放送して欲しい」という声が多数あがったため、同月17日に「ウラ話トークSPディープバージョン」がNHK総合で放送された[* 145]
  • 同年12月7日にNHKホールで行われたファンミーティングの観覧には4万通を超える応募があり、倍率は31倍となった[* 146]。そのため、オンラインでの観覧が再度募集され、イベント当日は2万5000人がオンライン配信で参加した[* 142]。オンライン配信では一時繋がりにくい状態となり、NHKが視聴者に謝罪した[* 147]
  • 2022年12月18日の最終回当日に行われた「グランドフィナーレ」の観覧には約7万通の応募があり、134倍の倍率を突破した1030人が参加した[* 148]
  • 2023年1月10日、鶴岡八幡宮境内に開設された「大河ドラマ館」の来場者が、31万5011人にのぼったと発表された[* 149]。また、同年1月15日、韮山時代劇場に開設された「大河ドラマ館」の来場者が、目標の10万人を大幅に上回る19万5838人だったことが発表された[* 150]。同年2月22日には伊豆の国市が、大河ドラマ館の設置による市内への経済波及効果が16億1千万円だったとの試算を発表した[* 151]
  • 同時配信が開始されたKKTVと中華電信MODで大きな人気を獲得し、KKTVが毎年発表する「Kドラマ大賞」の視聴者投票で2位を獲得した。また、日本ドラマファンのコミュニティーで影響力がある12人のKOL(Key Opinion Leader / インフルエンサー)が選ぶ2022年最優秀作品に選出され、小栗旬が主演男優賞を、三谷幸喜が最優秀脚本賞を受賞。監督も最優秀監督賞の2位に輝いた[* 44]

ドラマ舞台地の誘致運動・反応

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  • 2022年1月9日の初回放送当日は、18時から19時のBSプレミアムBS4Kでの先行放送に併せて、伊豆の国市の長岡総合会館(アクシスかつらぎ)にて主要出演者6人(小栗、大泉、小池、片岡、坂東、宮澤)をゲストに、第1回を見ながらトークを繰り広げるパブリックビューイングイベント「グランド・プレミアin伊豆の国」が開催された[* 152]。この模様は沼津三島伊豆函南の4市町にもオンラインで同時生中継され、沼津には新納、三島には野添、伊豆には米本、函南には高岸が現地ゲストとして出席した[* 153]。5カ所でのパブリックビューイングは、過去の大河ドラマで最大規模であった[* 154]
  • 本作の放映に合わせ、北条家ゆかりの地に大河ドラマ館が開設された。
    • 北条家の拠点であった伊豆の国市韮山に「鎌倉殿の13人 伊豆の国 大河ドラマ館」が、韮山文化センター韮山時代劇場を改修して2022年1月15日から2023年1月15日まで開設された[* 156]
    • 鎌倉市鶴岡八幡宮鎌倉文華館鶴岡ミュージアム内に「鎌倉殿の13人 大河ドラマ館」が併設され、2022年3月1日から2023年1月9日まで開設された[* 157]
  • 2022年8月16日、静岡県三島市の「三嶋大祭り」で行われた「頼朝公旗挙げ行列」に、大泉、野添、迫田、高岸の4人が今作と同じ衣装・甲冑姿で参加した[* 162]
  • 同年10月23日、長野県上田市で行われた「木曽義仲挙兵武者行列」に、青木、木村、町田が今作と同じ衣装・甲冑姿で参加した[* 163]
  • 同年12月18日の最終回当日は、18時から19時のBSプレミアム・BS4Kでの先行放送に併せて、鎌倉市の鎌倉女子大学岩瀬キャンパス松本講堂で、主要出演者6人(小栗、小池、坂口、宮澤エマ、宮沢りえ、山本)をゲストに、最終回を見ながらトークを繰り広げるパブリックビューイングイベント「グランドフィナーレ」が開催された[* 164]。この模様はNHK札幌名古屋京都大分の全国4放送局のスタジオにもオンラインで同時生中継され、うち札幌には金子と山本、京都には栗原が現地ゲストとしてそれぞれパブリックビューイング前のイベントに出席した[* 165]。これらの様子は編集された上で、12月27日午後10時55分より放送された。

関連商品

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サウンドトラック

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  • 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 オリジナル・サウンドトラックVol.1(2022年2月9日発売、SMJ、EAN:4547366540970)
  • 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 オリジナル・サウンドトラックVol.2(2022年7月6日発売、SMJ、EAN:4547366562835)
  • 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 オリジナル・サウンドトラックVol.3(2022年11月9日発売、SMJ、EAN:4547366581911)
  • 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 オリジナル・サウンドトラックThe Best(2022年12月21日発売、SMJ、EAN:4547366587166)
  • 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 オリジナル・サウンドトラック完全盤(2022年12月21日発売、SMJ、EAN:4547366587173)

書籍

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公式ガイドブック
  • NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人(NHK出版
    • 前編(2021年12月25日発売、ISBN 978-4-14-923389-5
    • 後編(2022年5月27日発売、ISBN 978-4-14-923390-1
    • 完結編(2022年10月7日発売、ISBN 978-4-14-923391-8
  • NHK大河ドラマ歴史ハンドブック 鎌倉殿の13人 北条義時とその時代(NHK出版、2021年11月30日発売、ISBN 978-4-14-911053-0
ガイドブック

楽譜

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  • 『大河ドラマ「鎌倉殿の13人」メインテーマ ピアノ・ソロ譜』NHK出版オリジナル楽譜シリーズ(2022年1月28日発売、ISBN 978-4-14-055414-2

DVD/BD

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  • NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」完全版 第壱集 BOX(第1回 - 第11回、2022年7月22日発売)
  • NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」完全版 第弐集 BOX(第12回 - 第22回、2022年11月25日発売)
  • NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」完全版 第参集 BOX(第23回 - 第33回、2023年1月27日発売)
  • NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」完全版 第四集 BOX(第34回 - 第48回、2023年3月24日発売)
  • NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」総集編 (第一章 - 第四章、2023年5月26日発売)

脚注

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注釈

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  1. ^ 最終回では、頼朝死後の政変とその余波で落命した13人の政治家(梶原景時、阿野全成、比企能員、仁田忠常、源頼家、畠山重忠、稲毛重成、平賀朝雅、和田義盛、源仲章、源実朝、公暁、阿野時元)という意味も含まれていたことが明かされた。
  2. ^ 三谷は「これ(『吾妻鏡』)が原作のつもりで書いている」とコメントしている[* 13]
  3. ^ 辻は2021年8月18日に死去した[* 37]。辻が演じた映像の一部は、2022年10月9日放送の特番「『鎌倉殿の13人』応援感謝!ウラ話トークSP〜そしてクライマックスへ〜」内で公開された[* 38]
  4. ^ 『青天を衝け』は2分50秒、前々作『麒麟がくる』は2分42秒。
  5. ^ a b c d e 苗字ではなくの場合、藤原と同じく氏と名前の間に「」を入れて読む(例:三善康信〈みよし やすのぶ〉)。劇中では「の」を入れているが、公式サイトやガイドブック等では入れない形となっている。
  6. ^ クレジット上は一貫して「北条義時」。
  7. ^ 最終回(第48回)より。自身を暗殺しようとした三浦義村への尋問の際、ついでとして「あれは嘘だ」と打ち明けられている。
  8. ^ 史実では泰時生母は「阿波局」という御所の女房とされており、生没年や出自などの詳細は不詳。本作では歴史考証担当の坂井孝一による「阿波局と八重は同一人物」という仮説を採用している[3]
  9. ^ 第23回放送より。
  10. ^ 三谷幸喜の言葉 〜『鎌倉殿の13人』の作り方〜(2022年12月17日、NHK総合)より。
  11. ^ 史実には残っていない「のえ」の名は、伊賀の方の「伊賀」から連想した伊賀越えの「ごえ」の部分から三谷がとったという[注釈 10]
  12. ^ 初のモデルとなった矢部禅尼は、史実では建暦2年(1212年)以前に泰時と離別したと考えられているが、本作中では承久の乱の後も離別していない。このような史実の変更のついて制作統括の清水拓哉は、「例年の大河より登場人物を減らしていて、分かりやすく仕上げた。(中略)役割を誰かにまとめたりして整理した。」と述べている[* 61]
  13. ^ 第1回放送。3人目の妻を迎える北条時政の報告に対し、北条義時が「鶴義母上(つる ははうえ)が亡くなられてまだ間もない…」と返している。
  14. ^ オリジナルキャラクターである「善児」の名は、梶原善がキャスティングされるようにと願いを込めて三谷が名付けたという[* 67]
  15. ^ 三谷幸喜の言葉 〜『鎌倉殿の13人』の作り方〜(2022年12月17日、NHK総合)より。
  16. ^ オリジナルキャラクターである「トウ」の名は、山本千尋からイメージした豆板醤の「とう」から付けられたという[注釈 15]
  17. ^ 第23話の一部のシーンでのみ、体調不良で撮影を欠席した大泉に代わって義時役の小栗旬が代役を務めている[* 68]
  18. ^ 第7回放送。初登場時の紹介より。
  19. ^ 史実には残っていない「実衣」の名は、斜に構える皮肉屋なキャラクターから「ムーミン」シリーズに登場するミイの名から三谷がとったという[* 73]
  20. ^ 第11回放送。ナレーションより。
  21. ^ この時義経が立てていた作戦は、1333年新田義貞が鎌倉を陥落させたときの作戦と同じである。
  22. ^ 第13回放送より。
  23. ^ a b 第19回放送。ナレーションより。
  24. ^ 平賀氏は甲斐源氏武田氏と同じ源義光を祖にもつ一族で、朝雅は義光の曾孫にあたる。
  25. ^ a b 第22回放送。曽我十郎・五郎の台詞より。
  26. ^ 第2回放送より。
  27. ^ 第17回放送。工藤祐経の台詞より。
  28. ^ 第15回放送。岡崎義実の台詞より。
  29. ^ a b 二役。
  30. ^ 第42話「夢のゆくえ」より。
  31. ^ 第12回放送。初登場時の紹介より。
  32. ^ 第35回放送。三善康信の台詞より。
  33. ^ a b c 第12回放送。初登場時の紹介より。
  34. ^ 松平は1979年放送の大河ドラマ『草燃える』において、本作の主人公である北条義時役を演じた[24]。また、1992年放送のTBS大型時代劇スペシャル平清盛』(TBS)では本作と同役で主演を務めている[24][* 94]
  35. ^ 第10回放送。平清盛から藤原秀衡宛の手紙より。
  36. ^ 第10回放送。劇中の台詞より。
  37. ^ 第10回放送。平清盛から藤原秀衡宛の手紙の宛名より。
  38. ^ 西田は1972年放送の大河ドラマ『新・平家物語』において、本作の主人公である北条義時役を演じている[28]
  39. ^ 秀義の孫には佐々木善住という医師がいたとされるが[* 106][31]、『日本医譜』では佐々木善住は秀義11世孫の室町時代の人物とされており、配役上は明言されていない。
  40. ^ 第48回放送。泰時の台詞より。
  41. ^ 第39回放送。クレジットは「語り」のままである。
  42. ^ 第39回放送の冒頭、大倉御所にて義時とすれ違う侍女として登場し、視聴者に語り掛ける演出となった。
  43. ^ 第18回の紀行は、「いよいよ壇ノ浦へ!『鎌倉殿の13人』紀行(18)」として放送された。
  44. ^ 最終回の紀行は、「『鎌倉殿の13人』紀行 最終回特別編」として放送された。
  45. ^ 裏番組の2022 FIFAワールドカップ日本対コスタリカ戦テレビ朝日)が世帯視聴率42.9%をマークした[* 113]
  46. ^ 前日安倍晋三銃撃事件に伴う特設ニュースに伴う休止。
  47. ^ 大河ドラマのギャラクシー賞月間賞は「いだてん~東京オリムピック噺~」以来3年ぶり
  48. ^ 大河ドラマで同賞の受賞は初[* 132]

出典

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書籍

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  1. ^ NHK出版・前, p. 18.
  2. ^ NHK出版・前, p. 22.
  3. ^ 坂井孝一 2021, pp. 142–147, 149–153.
  4. ^ 東京ニュース通信社, p. 77.
  5. ^ この際、病状回復のために臨終出家が行われ、意識を回復した後に気付いた。
  6. ^ NHK出版・前, p. 60.
  7. ^ NHK出版・前, p. 44.
  8. ^ NHK出版・前, p. 46.
  9. ^ NHK出版・前, p. 42.
  10. ^ NHK出版・前, p. 70.
  11. ^ a b NHK出版・前, p. 74.
  12. ^ NHK出版・前, p. 62.
  13. ^ 東京ニュース通信社, p. 72.
  14. ^ NHK出版・完, p. 111.
  15. ^ a b NHK出版・前, p. 56.
  16. ^ NHK出版・前, p. 58.
  17. ^ NHK出版・前, p. 68.
  18. ^ a b NHK出版・前, p. 59.
  19. ^ a b c NHK出版・前, p. 64.
  20. ^ NHK出版・前, p. 52.
  21. ^ NHK出版・前, p. 61.
  22. ^ NHK出版・後, p. 64.
  23. ^ NHK出版・前, p. 107.
  24. ^ a b c d NHK出版・前, p. 94.
  25. ^ a b NHK出版・前, p. 96.
  26. ^ a b NHK出版・前, p. 98.
  27. ^ a b NHK出版・前, p. 90.
  28. ^ NHK出版・前, p. 100.
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  31. ^ 佐々木善住」『デジタル版日本人名大辞典+Plus』https://kotobank.jp/word/%E4%BD%90%E3%80%85%E6%9C%A8%E5%96%84%E4%BD%8Fコトバンクより2022年12月28日閲覧 
  32. ^ @HUNBASSADOR (2022年1月28日). "オルネル=バーリン・アンナ 駐日ハンガリー大使". X(旧Twitter)より2024年3月23日閲覧
  33. ^ NHKテレビドラマ「鎌倉殿13人」のテーマ音楽を演奏するブダペストスコアリング/ミラクル・バスについて”. 日本ハンガリー友好協会公式ブログ (2022年1月25日). 2024年3月23日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年3月23日閲覧。
  34. ^ Budapest Scoring • A world-class orchestra right at your fingertips

ウェブサイト

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  1. ^ 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 総集編 DVD 全2枚”. NHKスクエア. NHKエンタープライズ. 2023年10月5日閲覧。
  2. ^ a b c 2022年 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 三谷幸喜が贈る予測不能エンターテインメント!”. NHKオンライン. NHK (2020年1月8日). 2020年1月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月8日閲覧。
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  6. ^ 清水拓哉(インタビュアー:山崎春奈)「「源義経」案もあった?「この人、クレイジーだな…」三谷幸喜にプロデューサーが驚愕した日【鎌倉殿の13人】」『BuzzFeed Japan』、2022年12月14日https://www.buzzfeed.com/jp/harunayamazaki/kamakruradono-01/2023年2月4日閲覧 
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参考文献

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  • 『鎌倉殿の13人 前編』NHK出版〈NHK大河ドラマ・ガイド〉、2021年12月25日。ISBN 978-4-14-923389-5 
  • 『鎌倉殿の13人 後編』NHK出版〈NHK大河ドラマ・ガイド〉、2022年5月27日。ISBN 978-4-14-923390-1 
  • 『鎌倉殿の13人 完結編』NHK出版〈NHK大河ドラマ・ガイド〉、2022年10月7日。ISBN 978-4-14-923391-8 
  • 『NHK2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」THE BOOK』94号、東京ニュース通信社、2021年12月25日。ISBN 978-4-86701-350-2 

外部リンク

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NHK総合 大河ドラマ
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鎌倉殿の13人