米国ワシントンDCから来日し、特定秘密保護法の危険性を連日訴えている元NSC高官、モートン・ハルペリン氏が、5月9日、「秘密保護法の廃止を求める国際シンポジウム ―秘密保護法と国際人権基準」と題した集会に登壇し、日本の秘密保護法がいかに国際的な基準から逸脱しているかを説明した。
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(取材・記事:IWJ原佑介、記事構成:IWJ平山茂樹)
特集 秘密保護法
米国ワシントンDCから来日し、特定秘密保護法の危険性を連日訴えている元NSC高官、モートン・ハルペリン氏が、5月9日、「秘密保護法の廃止を求める国際シンポジウム ―秘密保護法と国際人権基準」と題した集会に登壇し、日本の秘密保護法がいかに国際的な基準から逸脱しているかを説明した。
■ハイライト
ハルペリン氏は、日本の秘密保護法の問題点を考える上で、強行採決をもって成立した審議過程にも問題があると指摘する。「民主国家であるならば、秘密保護の法律を作ろうとする政府は広範な人と相談して作らなければいけない」。しかし自民党は、衆参両院での採決を急ぐため、福島市内とさいたま市内で地方公聴会の開催を強行。野党からは「アリバイ作りだ」と強い批判の声があがった。
野党の国会議員との協議、市民社会との共有、さらに国際的な専門家と話し合うことで各国の秘密保護法を学び、もっともいいと思える基準を理解する必要がある、という。ハルペリン氏は、米国の例を紹介する。
「米国では、数年前に、情報機関の職員の身分を秘密にするための法律が審議され、成立した。策定には数年かかった。この場合も米国議会との協議、市民社会との協議が続けられ、公聴会も何度も開催された。私も、この法が通過するまでに6回、公聴会で自分の意見を述べた。この法は、情報機関にとっても市民社会にとっても、満足のいくものとなった」
ハルペリン氏が日本の秘密保護法でもっとも問題視するのは、一般国民に対してまで刑事罰が設けられていることだという。ツワネ原則では刑事罰が想定されていないとし、「秘密保護法がなくても、すでに一人の新聞記者を起訴したという例が日本にはある」と、「西山事件」の正当性のなさを示唆。
「米国の同盟諸国にも秘密保護法を持っている国はあるが、民間人やジャーナリストに刑事罰を課すという法律を持っている国はない」と断じた。
また、ツワネ原則では、公務員が秘密情報を漏洩したケースでも、解雇などの行政処分で対応するよう定めている。さらに日本では、政府の汚職や違法行為を明るみにした場合に内部告発者を保護する仕組みがないことも、国際基準から逸脱していると話した。(取材・記事:IWJ原佑介、記事構成:IWJ平山茂樹)
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