衆議院国家安全保障特別委員会は11月25日、福島市内で特定秘密保護法案に関する公聴会を開催した。意見陳述者として、馬場有浪江町長ら7人が出席。7人全員が同法案に対する反対意見を表明した。
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ)
特集 秘密保護法
衆議院国家安全保障特別委員会は11月25日、福島市内で特定秘密保護法案に関する公聴会を開催した。意見陳述者として、馬場有浪江町長ら7人が出席。7人全員が同法案に対する反対意見を表明した。
記事目次
■ハイライト
冒頭、額賀福志郎団長が挨拶し、進行について説明した。「派遣委員への質疑応答はできない」と述べ、意見陳情者を紹介し、浪江町長の馬場有氏から意見陳情を始めた。馬場氏は「秘密の保護ではなく、情報公開が原則ではないのか? 国にあるべき秘密があるのはわかるが、不透明な秘密を、さらに作ることは必要なのか」と疑問を述べ、次のように述べた。
「福島第一原発事故の際、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報が非公開だったため、町民は被曝した。福島県議会は、特定秘密保護法案について、『審議時間が不十分。秘密の範囲が広く、明確ではない』と意見書を出している。原発事故の発災当時、原災法特措法第10条全電源喪失、15条の通報すらなかった。さらに、東電の通報協定も守られていなかった。発災当時、避難するための情報は、マスコミ報道しかなかった」。
続けて、馬場氏は「われわれは、民主主義の根幹の憲法13条の幸福追求権、生存権、財産権、すべて侵害されている。基本的人権を守って、国民に情報公開をしてほしい。慎重に対応して、十分に国民のために議論するべきだ」と語った。
福島弁護士会副会長の槇裕康氏は、「政府は、原発情報をテロ防止対策にからめ、特定秘密の是非を二転三転させて使い分けている。それは、法律の曖昧さを示していて、実際に施行されたら、どうなるかわからない。あまりにも内容があいまいで、広範な範囲になってしまう。施行後は、何が秘密なのかわからない構造になっているので、どうすることもできない」と懸念を表明した。
「福島第一原発の汚染水漏えいも、テロ防止事項で隠される可能性が高い。国民の生命、身体の安全の基本となる情報すら秘匿される。むしろ、原発事故での教訓を生かし、情報の公開・公表を押しすすめる法制度の方が重要だ。海外における日本の信頼は、まず国民の信頼があってこそ成り立つ。国民の信頼を無視し、海外に信頼されても、それは政府の独善にすぎない。日弁連、福島県弁護士会、他県弁護士会は、ツワネ原則にのっとって反対意見書を公表している。白紙にもどし見直すべきだ」と訴えた。
桜の聖母短期大学キャリア教養学科教授の二瓶由美子氏は、「廃案を求める。全国で公聴会を開き、多くの国民の声を聞くべき。チェルノブイリを視察して思ったことは、情報の共有と教育の重要性だった。この法案は、時の流れを逆行させる法案だ。国家公務員法100条は、秘密保持を義務づけている」と話し、さらに、平成14年8月29日に、福島第一原発の危険性をアメリカの原子炉メーカーの社員が告発していた事件について説明した。
「私たちは、子どもたち、孫たちを守っていかなくてはならない。そのためには、情報公開をすべきだ。特定秘密指定の拡大の懸念があり、国会が議論の場ではなくなる。さらに、適正評価制度は憲法14条に反する。マスコミのほとんどの世論調査では、7~8割の国民が反対している。ストップしてほしい」と訴えた。
(…会員ページにつづく)
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