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総理の動静は「知る権利」の範囲外!? 憲法、刑事法から見た「秘密保護法」の危険性 2013.10.28

記事公開日:2013.10.28取材地: テキスト動画
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特集 秘密保護法|特集 小池百合子都知事の素顔に迫る!

 総理の一日の動静を知ることは、国民の権利を超えている――。

 小池百合子元防衛大臣が示した見解である。安倍政権は、このような感覚で特定秘密保護法の成立を目指しているのか。国民の知る権利が形骸化するのではないか。このような疑念がますます強まる。

 そんな小池元防衛大臣の発言が報じられた10月28日、衆議院第二議員会館では、「学者が問う“秘密保護法”」と題した記者会見・意見交換会が開かれた。この集会では、秘密保護法に反対する研究者らが、「刑事法」と「憲法・メディア法研究」という2つの分野に分かれ、それぞれ反対声明を発表した。

- 憲法の基本原理を崩す法案が秘密保護法 -

  刑事法研究者である村井敏邦一橋大名誉教授は、秘密保護法案が、臨時国会において「日本版NSC設置法案」と合わせて審議されることからも、「軍事立法」であることは明確だと指摘。秘密保護法案は、戦前の「軍機保護法と性格を一(いつ)にするもの」述べ、「報道の自由、表現の自由にだけ焦点があたり、国家機密、軍事機密の保護、憲法9条改正の先駆けだという意味での議論が、まだ十分ではない」と危機感をあらわにした。

 憲法・メディア法研究の観点から秘密保護法案に反対している田島泰彦上智大教授は、「憲法の骨格である基本原理――基本的人権の尊重、国民主権・民主主義、平和主義に照らし、この法案はいかがなものか、という視点で声明を組んだ」と、声明の内容について紹介した。

 「国民主権では、人々が政治の在り方を決めるとき、もとになっている情報が入手できなくていい、というものではない。国民主権が健全に機能するためには、国民に重要な情報が提供され、それをもとに国民が自由活発な議論をする――これは当たり前の話だ。この『あたり前』を、行政の一存だけをもって特定秘密に指定し、閉ざしていく。民主主義の土台を崩すような提案だ」

 田島氏はさらに、「(日本国憲法は)9条を持つ(平和)憲法。そういう意味で、無前提に『軍事情報は秘密で結構です』というわけにもいかない。(軍事防衛情報であっても)吟味の対象にされるべき。現代の民主主義国家で、『防衛、軍事情報はすべて秘密だ』としている国はない。秘密は必要最小限にして、軍事防衛秘密であっても、国民が十分に知る機会を提供され、自由な批判や議論がされるべき」と指摘。「こうして基本的人権の尊重、国民主権、平和主義という憲法の原理をことごとく踏みにじり、傷つける危険性の高い法案に他ならないことから、この声明を出した」と趣旨を説明した。

■ハイライト

  • 日時 2013年10月28日(月)
  • 場所 衆議院第二議員会館 (東京都千代田区)

秘密保護法と戦争参加は車の両輪

 「今の憲法下では、到底認められない」

 このように話す山内敏弘一橋大名誉教授は、田島氏と同じく憲法の観点から秘密保護法案に反対している。秘密保護法案は、改憲集団的自衛権の行使を可能とする「解釈改憲」の議論と、「車の両輪」のように整備されつつあるとの見解を示し、「集団的自衛権の行使を、国民の知らないうちに、秘密裏に進めるために、秘密保護法制が必要になっている、と言っても差し支えない」と指摘する。

 その上で山内氏は、「政府が集団的自衛権の行使の研究をしているか、あるいは着手しているか、そして米軍と一体となって行っているのか、国民には知る権利がある。この法案が通れば、集団的自衛権の行使が可能という事実だけが進行し、既成事実が作られてしまう。戦前の大本営発表と同じ事態になりかねない」と警鐘を鳴らした。

秘密保護法は国民の見えない日米協議で進められていた

(…会員ページにつづく)

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