国内ガジェット系クラウドファンディングの現実

まず、なにも考えずに以下2つのリンクを見て欲しい。

おわかりいただけただろうか。

だだかぶりだ。

両方ともスマートフォンに視差画像を表示してそれを両目それぞれで見ることで3Dに見えるようにするためのケースだ。

全く同じネタで同じようにクラウドファンディングを同じ時期にやるというのはだいぶ被り過ぎだが、別にどちらかがどちらかをパクったとかではなく、ただの偶然だろう。アイディアとしては誰でも思いつくものだからそこまで不思議ではない。実際、他にもほぼ同じようなものをつくって展示しているのを見たことがある。

同じようなものを同じような時期にクラウドファンディングに出しているが、両社には1つ大きな隔たりがある。ファンディングの規模だ。

VRケースは目標額こそ280万と大きく出ているが、集まった額は2週間を残して6万弱。
一方でvrAseの目標額は55000ポンド。1ポンド158円換算で869万円。達成額は1000万円を超える。

この違いはいったい何なのだろうか?

コンテンツの違い

クラウド・ファンディングを成功に導くかどうかで、プロダクト自体の魅力の次に、場合によってはそれ以上に重要なのがPVだ。両者とも使用風景にタイトル文字を入れ込むというとてもシンプルな作りのPVだ。

VRケースのPVが「どうやって組み立てるのか」といったような使い方の説明になっているのに対し、vrAseは「どう使うのか、どう楽しむのか」ということがフィーチャーされている。

Webに載せている情報もvrAseはどのような使い方が出来るのかに加え、メディアの評価や競合製品との比較、開発メンバーの紹介などを紹介することによって説得力を増している。
一方でVRケースは視野角やレンズの枚数など製品の仕様についての情報が目につく。折りたたんで作れるような設計は確かに小ロットでのコスト削減には効果的に思えるが、ユーザにとってはあまり重要なことではない。

実際はvrAseの方だって、PVに出てくる全てのシーンを現時点で実現しているわけではないであろう。それでもそこを見せることによってユーザに可能性を感じてもらえるようにしているのだ。

メディアのポテンシャルの違い

コンテンツをいかにうまく見せようとも、国内外あるいは日本語英語という違いが大きく結果に影響していることも否めない。Kickstarterと国内のクラウドファンディングサイトの知名度やマーケットの違い、あるいは文化的な違いなども含まれるのかもしれないがそれらをポテンシャルとまとめてみた。

国内外両方のクラウド・ファンディングに出したプロダクトとしてはロボット「RaPiRo」が有名だ。

Rapiroはkickstarterで75099ポンドで1187万ほど。国内では440万弱を集めている。

http://www.kickstarter.com/projects/shota/rapiro-the-humanoid-robot-kit-for-your-raspberry-p
https://www.makuake.com/project/rapiro/

kickstarterで成立したことでニュース性がある中での国内クラウド・ファンディングで半額以下。コンテンツは変わらないのでこれはポテンシャルが違うということなのだろう。

乗り越えるべき課題

これは実にもったいない。スマホで視差画像を表示して左右別々に見るためのアダプタを作ろう、というアイディアは変わらない。ただし、実現する過程の中で大きな差が出てしまった。「実行できないアイディアには意味が無い」と言われるのはこういうことだ。

モノづくりをする場合には「実現する」ということをもっと意識しなければいけない。設計だけではなく製造も、そしてプロモーションもサポートも。それぞれアイディアはあっても、アイディアを育てられないことが大きな課題だ。

実現させるためには目標設定が重要だ。VRケースの場合、280万円という目標はどこから導きだされたものなのか、そしてそれが現実的だと思った根拠は?また、折りたたみ式という設計の必要性は?価格設定は?などなど疑問が残る。

こういうのは開発者だけでやるのは難しい。ビジネス的な視点を持つ人の協力が必要だ。実は今そういう仕組みを作っている会社があって、弊社の意見もいろいろ取り入れてもらっている。今後ガジェットでクラウド・ファンディングを考えている方がいれば連絡をいただければ紹介しますよ。※ただし、本当にやる気がある人に限るw

まあ、クラウド・ファンディングだから無理めな設定してダメなだダメでいいや、というのも一つの考え方だけどね。



だだかぶりで思い出したこれw