NHKニュースが「日本からノーベル賞が出なくなる」と報道している。ノーベル賞そのものは単なるイベントだからどうでもいいが、理系の生産性が落ちたことは事実だ(文系はもともとだめだが)。これからもっとひどくなるだろう。優秀な若者が、日本で研究者にならないからだ。
その原因をこのニュースは「国立大学の法人化が悪い」とか「政府が科学技術にカネを出さない」という話にしようとしているが、図を見れば明らかなように、政府の科学技術予算は横ばいで、大学の定員は減ったので、教員一人あたりではかなり増えた。つまり問題は大学の予算ではないのだ。
大学教師なら誰でも知っているように、この時期に新規採用も減り、ほとんどが任期つきになった。教授や准教授の既得権(テニュア)を認めたまま、若手だけを「非正規」採用したので、40代で非常勤のままという研究者が増えた。そういう状況を見て、優秀な若者が日本の大学院に進学しないのは当然だ。
これは日本社会の縮図である。大企業が「正社員」の既得権を守って新規採用を減らしたので、若手が「非正規」のまま昇給しない。おかげで賃金が下がって雇用は増えたが、新陳代謝が止まって労働生産性は低下した。これを「アベノミクスで完全雇用になった」と自画自賛している政治家は、無知でなければ嘘つきである。
続きは9月25日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。
その原因をこのニュースは「国立大学の法人化が悪い」とか「政府が科学技術にカネを出さない」という話にしようとしているが、図を見れば明らかなように、政府の科学技術予算は横ばいで、大学の定員は減ったので、教員一人あたりではかなり増えた。つまり問題は大学の予算ではないのだ。
大学教師なら誰でも知っているように、この時期に新規採用も減り、ほとんどが任期つきになった。教授や准教授の既得権(テニュア)を認めたまま、若手だけを「非正規」採用したので、40代で非常勤のままという研究者が増えた。そういう状況を見て、優秀な若者が日本の大学院に進学しないのは当然だ。
これは日本社会の縮図である。大企業が「正社員」の既得権を守って新規採用を減らしたので、若手が「非正規」のまま昇給しない。おかげで賃金が下がって雇用は増えたが、新陳代謝が止まって労働生産性は低下した。これを「アベノミクスで完全雇用になった」と自画自賛している政治家は、無知でなければ嘘つきである。
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